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不当な解雇を撤回させよう!

 
会社から突然「解雇する」と言われたら

会社から、「辞めてもらいます」とか「解雇する」と通告されることがあります。言われた労働者としては途方に暮れますよね。どうしたらよいのでしょうか。
また、「労働基準法どおりの解雇予告手当は支払う」と言われたりします。
もうどうしようもないのでしょうか?
解雇案件は、ジャパンユニオンの労働相談でも多い事例です。

解雇をするには合理的理由が必要です

会社は労働者にたいして一方的な解雇(労働契約の解除)はできません。
解雇をするには合理的理由が必要になります。

労働契約法(平成20=2008年3月1日施行)の第16条では、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められました。

この規定は、それまで労働基準法第18条の2に規定されていた条文を、移したものです。そして、この規定は、これまでに多数の裁判例で確立されていた解雇権濫用法理を、法律上明らかに定めたものです。

労働基準法20条1項には、解雇予告のことが定められています。労働者を解雇しようとする使用者が、この規定を守らねばならないことは当然ですが、この規定を守っていればすべての解雇が法的に有効だと思うのは間違いです。この規定を守っていても、やはり解雇が有効であるためには、合理的な解雇理由が必要なのです。
まずは使用者に解雇理由を説明させましょう。

使用者に解雇理由を明らかにさせましょう。
その際に、「リストラだから」とか「不況で苦しいから」という一般的・抽象的説明に終わらせないようにさせることが必要です。
具体的な理由を説明させましょう。
例えば、勤務成績不良が理由だと言われた場合は、いつのどのようなことが勤務成績不良にあたるのか具体的に説明を求めましょう。

使用者による解雇理由の説明は記録に残るようにしましょう。
場合によっては、使用者に配達証明付き内容証明郵便を送って解雇理由の説明を求め、使用者から郵便で回答してもらうのもよいでしょう。

このような解雇理由を明確にさせる過程で、解雇の合理的理由がないことが明らかになる場合があります。
合理的理由といえるかどうか自分ではわからない場合には、労働組合ジャパンユニオンの労働相談窓口に相談しましょう。

なお、使用者が説明した解雇理由に反論するために、出勤退勤の記録(タイムカード等)や休暇取得の記録(休暇届等)や業務記録(営業日報、週報、月報、スケジュール管理表、目標実績管理記録等)が有効に使える場合がありますので、これらのものの控えや写しを残すことができる場合は、普段から確保しておくことが必要です。

また、使用者は通常は就業規則に解雇事由や懲戒解雇事由を定めているので、普段から就業規則の写しを確保しておくことも大切です。使用者は就業規則を変更することがありますが、労働者としては変更後の就業規則だけでなく、変更前のものも確保しておくべきです。

整理解雇の場合には4つの要件をみたすことが必要です。

解雇理由が、経営悪化などの使用者側の経営事情にある場合は、「整理解雇」と呼ばれ、以下の4要件を満たす場合以外は、解雇権濫用となって、解雇は法的に無効となります。

(1)人員削減の必要性が存在すること
(2)解雇を回避するための努力義務がつくされていること
(3)解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること
(4)解雇手続が妥当であること(労働者に対する説明、労働組合との協議など)

平成15年労基法改正にあたり、衆参両院の厚生労働委員会は附帯決議を行っています。そのうち参議院厚生労働委員会の附帯決議では、「使用者に対し、東洋酸素事件(東京高裁昭和54年10月29日判決)等整理解雇4要件に関するものを含む裁判例の内容の周知を図ること。」について、適切な措置を講ずることを政府に求めています。
そもそも法令で解雇が禁止されている場合もあります。

労働基準法、労働組合法、雇用機会均等法などの法令には、解雇が禁止される場合がいくつか規定されています。これに違反する解雇は、解雇権濫用かどうか問題にすることなく、法的に無効です。

〇業務上の傷病による休業期間及びその後の30日間は、解雇できない(労基法19条)。
〇産前産後の女子が労基法65条によって休業する期間及びその後30日間は、解雇できない(労基法19条)。
〇国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇をしてはならない(労基法3条)。
〇労働者が労基法違反の事実や労働安全衛生法違反の事実を労基署や労働基準監督官に申告したことを理由として解雇してはならない(労基法104条、労安法97条2項)。
〇労働者が都道府県労働局長に紛争解決の援助を求めたこと、またはあっせんを申請したことを理由として解雇してはならない(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条3項、5条2項)。
〇女性労働者が都道府県労働局長に紛争解決の援助を求めたこと、または調停を申請したことを理由として解雇してはならない(男女雇用機会均等法12条2項、13条2項)。
〇労働組合の組合員であること、労働組合に加入したり、結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたことを理由とする解雇は、不当労働行為になり(労組法7条1項)、〇憲法28条の団結権等の保障を内容とする公序良俗に違反し、無効。
〇解雇について、労働者が女子であることを理由として、男子と差別的取扱をしてはならない(男女雇用機会均等法8条1項)。
〇女子が婚姻し、妊娠し、出産し、又は労基法65条の産前産後の休業をしたことを理由として解雇してはならない(男女雇用機会均等法8条3項)。
〇育児休業・介護休業の申出をしたこと、育児休業・介護休業をしたことを理由とする解雇はできない(育児介護休業法10条、16条)。
法的に有効な解雇と無効な解雇の見分け方の要点は以上です。

解雇(通告)と退職勧奨の違いー退職勧奨に応じる義務はありません

退職勧奨とは、「会社から従業員に対して、退職を勧める行為」のことで、高圧的な態度で強引に退職を迫る場合も含みます。
しかし、それでも退職勧奨は会社から従業員に対して「退職をしてくれませんか?」とお願いしているにすぎず、解雇(通告)とは違います。

退職勧奨に応じる義務はありません。
退職するかしないかはあくまで労働者本人の自由です。
退職の意思がなければ退職届を書く必要はありません。

嫌がらせ、不利益の押しつけなどによる退職強要は本来許されないことです。そのような場合には、嫌がらせや不利益の内容を記録しましょう

解雇や退職勧奨(退職強要)にたいしては

会社から退職強要を受けたときは、それが解雇なのか退職勧奨なのかをはっきりさせることが必要です。

同時に、自分の働く地域の労働組合に労働相談されることをお勧めします。
また
「労働者なら誰でも全国どこからでも入れるインターネット労働組合」であるジャパンユニオンに労働相談されることをお勧めします。
さらには、
突然の解雇や退職勧奨に備えて、普段からジャパンユニオンに加入して自分の身を守っておくことが大事でしょう。
「備えあれば憂いなし」です。

解雇・雇止めの労働相談Q&A

●病気で3週間有給休暇で休んだら解雇された
●精神障害者への差別
●実際は会社からやめさせられたのに自己都合退職とされた
●懲戒解雇だから明日から来なくていいと言われた
●「経営が苦しい」から解雇!泣くしかないのか?
●「労災」で解雇!どうしても納得できない
●「病気で休業」で解雇!従うしかないのか
●パートの更新が拒絶され雇い止めと言われた
●売り上げ実績が悪いからクビ?
●「リストラ」を理由に解雇を通告されました
●突然「辞めてくれないか」と言われた
●急に社長から解雇を通告されました
●試用期間が終わり解雇通告、解雇予告手当は?
●契約期間満了による雇い止めは有効か?
●解雇を通告されたが離職票には「自己都合」?
●整理解雇についての要件・手続きは?
●解雇に対し何らかの補償を請求できないか?
●うつ病で解雇?
●契約期間満了で雇い止め
●業務メールを会社側に「検閲・閲覧」されて懲戒処分
●形だけの取締役にさせられ、金までとられ解雇
●内定の取り消し
●PIP(業務改善プログラム)の結果を理由に解雇されそう

【組合費】入会金2,000円(初回のみ)、月額組合費1,000円(できるだけ年12,000円、半年6,000円の一括払いでお願いします)
*詳細は「加入方法とその後の流れ」を参照してください。/加入申込書