現代企画室

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スラップ

クリストス・チョルカス/著
湊 圭史/訳
2014年12月刊行
定価2500円+税
4-6並製・528頁
ISBN978-4-7738-1426-2 C0097

メルボルン郊外のとある昼下がりに、子どもの頬をはたく平手打ち(スラップ)の音が突如なり響く。一見して平和な都市郊外の生活に潜む屈折した人間関係、現代人の心に巣くう闇や不安を赤裸々に描き出し、賛否両論の渦を巻きおこしたオーストラリア随一の人気作家の問題作。

友人同士のバーベキュー・パーティーで、傍若無人にふるまう他人の子どもについ手が出てしまう。そんな些細な「事件」をきっかけに、関係者それぞれのふだんは奥底に秘めている他者への偏見や怒り、愛と欲望、失われた過去への郷愁や未来への不安が噴出する。まるで世界の縮図のような多文化社会・オーストラリアで、出自、世代、性別、信条、生活レベルを異にする多彩な8名の登場人物の視点から語られる、「日常」を内側から揺すぶる複雑な陰影に富んだ感情のドラマ。オーストラリア現代文学傑作選第3巻。

【著者紹介】クリストス・チョルカス(チョルカス,C.)

1965年、オーストラリア、ヴィクトリア州メルボルンにギリシャ系2世として生まれる。第1長編『ローディド』(The Loaded, 1995)は、10代の同性愛者のドラッグや性的体験を赤裸々に描いて、オーストラリアのグランジ文学の代表作とされる。第3長編『死せるヨーロッパ』(Dead Europe, 2005)は、ゴシック・ホラーの仕掛けを用いてヨーロッパ近現代史のねじれに光を当てる意欲作だが、作中に色濃く反映された歴史上および現在のヨーロッパにおけるユダヤ人問題によって論争を巻き起こした。本作『スラップ』(The Slap, 2008)も賛否両論を集めながらベストセラーとなり、TVドラマ版はイギリス、アメリカなどの英語圏のみならず全世界で放映される。最新作『バラクーダ』(Barracuda, 2013)では、ギリシャ系の水泳選手を主人公に現代のスポーツ文化の暗部を描いている。

【著者紹介】湊 圭史(ミナト ケイジ)

1973 年生まれ。オーストラリア文学・アメリカ文学研究。同志社女子大学表象文化学部准教授。

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