<これまでの経過>

1997年 9月 アーシアン運営委員会で職業訓練校建設支援を決定
12月 「職業訓練校建設協力委員会」発足に向けて、関連団体に呼びかける
1998年 2月 ムザヒル氏と話し合うため、ツアーに先立って代表と事務局をカラチに派遣 
カンパ活動にむけての道具作り(生徒のサイン入り栞、ガラ)
「職業訓練校建設協力委員会」発足
4月 各地域での会合に出向き、ガラ募金(設置)の呼びかけ開始
10月 ムザヒル氏来日(10月13~23日)
「チャリティ・コンサート/パキスタン音楽の夕べ」や各地域での会合に参加し、支援をアピール
絵画展示即売会に向けて実行委員会発足
12月 「チャリティ絵画展示即売会」・・・幕張メッセで(12月19~21日)
1999年6月 パキスタン大使館訪問(現地での政府高官アプローチを側面サポート )

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 プロジェクトを立ち上げた年は精力的にカンパ活動を展開し、絵画展の成功もあって当初の目標額を達成することが出来ました。
 その後の1年近くは現地での土地取得を待ちましたが、カラチでの土地確保は私たちの想像を越えて難航しました。
 その間、ムザヒル氏は専門外だった技術教育について情報収集し、子どもたちの為に政府認可の訓練校が望ましいと考えるようになりましたが、同時にその条件を充たす学校を創るには資金が大きく不足することも解りました。
2年が過ぎ、働く子どもたちの状況も変わらないままです。
私たちはムザヒル氏に「今、出来ることから始めよう」と提案しました。そして・・・・・

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2000年5月ムザヒル氏来日(5月17~30日)
ムザヒル氏が提示した4つの案を話し合いを重ねて検討し、下記で合意

1.まず、アルーカイールに併設した訓練所を先に作り、実際に技術教育を始める

2. 将来に備えて政府認可の訓練校建設に必要な最低面積用地(400平方ヤード) 確保の努力を続ける
6月カラチで現地委員会が発足、初会合が持たれる
7月ムザヒル氏所有の木工所を移転、訓練所への改築工事開始
8月アーシアンからスタッフ2名をカラチに派遣(8月1~6日)
現地委員会メンバーと初の合同委員会を持つ
工事の進捗状況を確認し、購入予定の候補地を下見
11月アーシアンからスタッフ2名を現地に派遣(11月29日~12月5日)
合同委員会を持ち、これまでに移譲した資金の使途を確認
工事の進捗状況確認や設備費や運営費の見直し
12月訓練所の建物(二階建て)が完成
電気科の教師雇用、授業開始の準備を始める
アルーカイールの近くに400平方ヤードの土地を確保(組織名義で)
2001年1月訓練所で電気科の授業が始まる
3月縫製科の正規の教師と助手を雇用
調整を終えた中古のミシン5台が届き、授業が始まる
4月
アルーカイール併設・職業訓練所の開所式が行われる(4月11日)


開所式にはアーシアンからのツアー一行など13名の日本人が出席し現地の人々と喜びを共にしました。
2001年11月
~2月
緊急カンパ「子どもたちが学びつづけるために」

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 9.11後、アメリカのアフガニスタン空爆は隣国のパキスタンで暮らすスラム地域の人々の生活にも影響を及ぼした。

 アフガニスタン国境から遠い港湾都市カラチですが、、米軍の艦船らが集結したためアラビア海が緊迫。景気が悪化し、職を失った親の代わりに働くため、学校に行けなくなる子どもたちが急増し、緊急カンパ活動を行いました。

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2002年1月アーシアンからスタッフ2名パキスタンへ派遣
4月ムザヒル氏、現地委員サジド氏来日
5月ムザヒル氏、現地委員アモッド氏来日
2003年9月~2月写真展「アル・カイールの子どもたち~パキスタン・カラチにて~」千葉県内16箇所で開催、子どもたちの写真を使ったオリジナルカレンダー2004の作成と販売(カレンダーを「子どもたちの様子」ページにて掲載)
2004年11月GRA(日本の外務省が行う草の根無償資金協力)に今より規模の大きい職業訓練校建設のための資金を申請
4月アーシアンからスタッフ2名パキスタンへ派遣
5月併設の職業訓練所が政府の技術省に登録される。
GRA日本大使館派遣チームがアル・カイールアカデミーを現地視察
7月GRA不採択の結果がパキスタン現地から届く

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 パキスタンの日本大使館へGRA不採択の理由を問い合わせました。不採択の主な理由は次のようでした。

1.職業訓練校の建設予定地が反政府政党の支配地域であり、政治的圧力をかけられる可能性が大きいため。
2.主にムザヒル氏が運営を行っていてムザヒル氏に何かあった場合の後継者のことを含めた継続性に疑問が残った。  

 日本大使館派遣チームは男性のみで、アル・カイールアカデミーの副校長を務めるタスニームさん(女性)はイスラムの宗教上、対応することが出来ませんでした。派遣チームとの話し合いは現地語ではなく、英語で行われました。先生方の調整や学校の運営に大きく携わる彼女が派遣チームとの話し合いに参加できなかったことも大きな要因になってしまったのではないかと考えています。

 GRAは政府間の関係も大きく影響し、カラチ内は約8割が反政府支配地域であり、国家間援助の限界を感じました。

 数年に渡り、アーシアンはGRA申請書類づくりを一緒に行ってきました。1000件以上の応募があり、最終選考の30~40件に残っていただけに残念な結果でした。現在、パキスタンの現地委員会と連絡を取りながら今後のことについて検討中です。

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2004年10月 千葉県国際協力・多文化共生モデル事業に採択される。不足していたミシンの購入や子どもたちの状況を伝えるための作品づくりの資金として助成金が採択された。
2005年2月アーシアンからスタッフ2名をパキスタンに派遣
今回は、助成金でミシン10台を寄贈することができました。初めてのこころみとして柏市の絵画教室に通っている子ども達の絵手紙を持参し、絵画交流も行いました。
現地の女性たちが中心となって活動しているNGOを訪問し頑張っているのすがたに接することができました。


写真1 助成金で贈ったミシンを使って自習中



写真2 アルカイールアカデミー校長室でインタビュー中


写真3 絵画交流 絵手紙を持参 アルカイールの子ども達と


写真4 NGO団体訪問


写真5 機織りをしている女性

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2006年パキスタン訪問

今年は、例年になく雨の多い年だそうで、訪問中も雨ばかりでした。今回は代表・ショップスタッフ・オブザーバー・事務局を含め5名がパキスタンを訪れました。


写真1:大雨により道路はいたるところで浸水。
     カラチ市内の様子


写真2:アルカイールアカデミー職業訓練所
     縫製科の様子


写真3:アルカイールアカデミー職業訓練所
     電気科の様子


写真4:カチュラクンディ分校
(ゴミ捨て場で生活している子ども達。雨に濡れながらの授業)


写真5:ムザヒル校長先生宅でのミーティング
     真ん中の布はテーブル代わり

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2012年 4月2012年パキスタン カラチ 現地訪問報告

 5年ぶりになるパキスタンへの訪問は、「職業訓練所・理科系短大の現況確認」とアーシアンが応援してきた縫製科から派生した新プロジェクト「縫製工房」の開所式に出席することを主な目的として、アーシアンからは2名参加しました。

●パキスタン訪問日程2012年4月6日~12日
 (藤田宏子、中村由美子、JFSA田邉理事長)

・4月6日(金)
11:00成田発(CX501便)30分遅れで、香港経由
24:15カラチ到着(1時間遅れ)
出迎え:ムザヒルと弟家族、JFSA現地担当西村

・4月7日(土)
10:00出発 10:30アルカイールアカデミー本校到着
・本校内施設、縫製工房・授業見学(成人識字学級、縫製科)
・男子生徒へのインタビュー 同席ムザヒルの妻タスニーム、西村
14:30帰宅 休憩後昼食
16:00~18:00近所散策(徒歩)
同行者:タスニーム、子ども4人、サジド(兄)夫人、西村
・商店街、モスク、アルカイール卒業生と職場で再会、染色屋など
・カミューズシャルワールの生地購入(縫製科で翌日仕立ててもらう)
19:00~21:30 ムザヒルとミーティング(アルカイールアカデミーの教育事業について)

・4月8日(日)
バス2台(130名)でオックスベイ海岸へピクニック
カチラクンディ分校生徒、工房スタッフ、先生たち、タスニーム両親、ジェラード氏親子合流
19:30~21:30ムザヒルとミーティング(主に職業訓練所の現況と今後)

・4月9日(月)
09:30アカデミー着・縫製科生徒へのインタビュー 同席タスニーム、西村
12:00~13:30車移動(渋滞)ハジケンプ 同行アマダリ他1名
古着業者ワリーの倉庫 ・昼食(北部地方の料理をごちそうになる)
19:00アルカイール事業部とJFSAとのミーティング(ムザヒル、サジド、アーモッド)
・洪水被災地タドウ村支援事業について協議
23:30ムザヒル、西村空港へ(グリーンコープ3名を出迎え)

・4月10日(火)
私営のバス(個人経営者)のストため、市営バスのみ運行、通行量が少ない
09:00出発エアコン付ワンボックス車で(グリーンコープメンバーと共に)学校到着
10:00カチュラクンディ分校到着(タスニーム、ママダリ、カユーン、同行)
・授業見学 ・診療室見学 ・集落、労働現場視察 ・移動途中、建設中の村の新分校見学
12:00アルカイールアカデミーに戻り、
・職業訓練所見学 ムザヒル、田邉(通訳)
・夕方、ジンナー(建国の父)廟見学のためムザヒル家族とサジドと共に全員で外出
18:00帰宅 20:30元電気科の教師サジドが来訪(ハイダラバードから3時間かけて面会に)

・4月11日(水)
09:15~縫製工房オープニングイベントに参加・縫製科教師へのインタビュー 田邉(通訳)
16:30タスニーム、次女サバも同行し、ママダリ運転でマーケットへお土産の買い物
20:00ムザヒルと最後のミーティング
22:15空港へ 24:45カラチ発(CX2700便バンコク→香港で乗り継ぎCX500便)

・4月12日(木)
20:00成田無事到着

アルカイールアカデミー職業訓練所の縫製科は、2年前の大雨で教室が雨漏りをし、それ以後は、本校の旧校舎の教室で34名が学んでいる
電動ミシンや机は使えなくなり、基礎コースで使用していた手動ミシンを使用していた
一般授業の基礎コースも同じ部屋をやりくりして使っていて、本来の縫製科の授業は12時から13時におこなわれている
一方、電気科は昨年途中に教師と助手が退職し、それ以後授業はおこなわれていない。
2011年度の州の技術省の資格テストは受験出来ているが、今後電気科の需要があまりないと判断し、発電機のコースを考えていたので新しく教師を募集しなかった

訓練所の建物は、
1階は注文家具製作、2階は塗装、修理等の工房として使用している
3階は工事途中で資材置き場になっていて、資金が調達出来たら工事再開予定
この期間は学期切り変え時で、授業はなく作業のみ、通常午前3時間は一般授業、午後が訓練
・賃金をもらいながら12名の生徒が学びながら製作実施をしている、この12名は退学者や辞めかけた生徒たちで、賃金(1日100ルピー)を支払うことで学校に復帰させることが出来ている
・注文はムザヒル会長の知人からまわしてもらっている
・教えているのはムザヒル氏経営の家具工房で働いている30年のベテラン職人、
もう一人は、古着販売なども手伝っているアマダリ、彼も家具工房で働いていて、製図も彼が教えている

今後の職業訓練所については、
州技術省に2コースで登録しているが、現在縫製科の1コースであることで特に差し障りない
縫製科は本校の教室を使用しているが訓練所の校舎で行う必要はない
縫製の授業は一般授業のカリキュラムにはなく、訓練所は必要不可欠
木工コースをすでに現在スタートさせ実践しているが、資格の必要性はあまり評価していないので、現在は登録することは考えていない。
12名から将来的には30名まで増やしたい
コース登録については発電機コースを準備中

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2013年6月交流支援 パキスタン アルカイールアカデミー職業訓練所
パキスタン交流会  6/6(木)生活クラブ千葉3階ホール

→ファイルで見たい場合は下記をクリックして下さい
パキスタン交流会報告(ワードファイル)
パキスタン交流会報告(PDFファイル)

 
 今回日本ファイバーリサイクル連帯協議会(JFSA)の招きでパキスタンから来日したのは、ムザヒル校長、アルカイールアカデミービジネスグループのカユーンさん、古着を買ってもらっている古着商のワリさんの3名です。

<ムザヒル校長の話>
パキスタンの政権が代わり、経済状態が悪くなり、治安がますます悪くなっている。特にカラ チではいろいろなグループが対立している。
 政治的、経済的にも悪い状況の中で、アルカイールアカデミーでの教育にやりがいを感じている。
 現在、3500人以上の子どもを135人の先生が指導している。自分たちが教育できることで子どもたちも変わってきたし、子どもたちの親の意識も変わってきた。
 アルカイールアカデミーには現在、本校と分校2か所があり、本校職業訓練所(アーシアンが支援している部門)
 ほか大学(理系カレッジ)―85人の生徒(18才~19才)が通っていて、ユニバーシティに行ける資格を取っている。
 他の地区にも学校を作り、なるべく多くの子どもたちを教育したい。なかなか教育を受けられない女子もアルカイールアカデミーでは勉強しいているので希望者が多いが、場所の確保が難しく、250人くらいの枠しかないので今は他の場所では断っている。
 パキスタンでは土地登記が重なっていることが多く、土地取得が難しい。その中でアーシアンから職業訓練所の土地購入してもらえたことは大きかった。
 パキスタンはなかなか電気の供給がされず、停電も多い。教室内に照明を準備することも難しい。自然エネルギーの太陽パネルも考えたが、太陽パネルを設置すると盗まれるのでそれもできない。
 盗電(街灯などから電線を引き、電気を盗むこと)が普通に行われている。
 パキスタンでは輸出できるものが無く、外貨を稼ぐことができないため、インフラ整備もままならない。経済状況が悪いうえ、宗教上の対立で常に治安が悪い。特にカラチは悪くなっている。
 職業訓練所の縫製科は本校内の明るい教室に移動した。前の教室は離れた建物にあり暗かったため、縫製科の女の子の身の安全を確保するため。(数メートルの距離でも危険な状況にある)

 最後にカユーンさんとワリさんに、現地ではどんな古着の需要が多いか聞いてみました。
 1番は女性の下着(ブラジャー)だそうです。男性のズボンも需要が多いそうだが、ズボンはせいぜい1kg10~20円だそうで、女性の下着は1kg450円くらいの値がつくそうです。(ワリさんが「企業秘密の値段を明かしてしまった!!」と焦っていました。)
 あと、ハンカチ(タオルハンカチも含む)の需要も多いそうです。古着回収では使わなくなったブラジャーでも大丈夫だそうです。

●交流会に参加して  大塚裕子
 初めてムザヒル校長先生とお会いし、お話する事ができました。ですが、彼の語るパキスタンの現状は、私の想像をはるかに超えていました。「法も正義もない」という言葉が胸にささりました。政治も経済も破綻し、絶望的ともいえる状況の中で、子ども達に教育の機会をと尽力されている先生に尊敬の念を新たにしました。
 JFSAの皆様にも貴重なお話をたくさん伺う事ができました。危険を顧みず活動を続ける皆様にはただただ頭が下がります。私達アーシアンの会員にはなかなかそのような活動はできませんが、もっとたくさんの人が関心を持ち、私達のできる事で支援を続けることができたらとの思いを強くした一日でした。

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2014年8月総会当日おこなったミーティングで決まった発電機の支援

発電機
 発電機

 8月末発電機が設置されました。

 アーシアンでは、アルカイールアカデミーのムザヒル校長、運営委員のアーモッド氏が来日した折の6月に話し合いをもちました。パキスタン、カラチでは、昨年から5月頃まで9ヶ月間にわたり電気が供給されない状況が続いていました。4月末には、生徒たち1,000名あまりが電力会社まで抗議のデモ行進をしたと聞きました。6月の来日時には、電気供給は一応再開されたものの、実質は学校の授業時間のうち6時間以上が計画停電という状況でした。最も気温が高くなる(40度)時期だったため、倒れる子どもたちが続出するという事態。その状況を聴き、必要性、緊急性を考え、発電機支援を決定しました。設置された8月末は最も暑い時期は過ぎていましたが、カラチでは11月まで暑い期間が続くので、現在生徒たちは改善された環境で授業を受けることができています。
 アーシアン支援の発電機はカチュラクンディ新分校2棟の16教室の照明と扇風機を賄っています。軽油の高騰で年間約30万円かかる燃料の課題は解決していません。何とか使い続けて欲しいと思います。(支援金30万円は、久光製薬からの寄付金10万円と職業訓練校建設資金カンパの残金20万円を充てました。)

 今回、アルカイールアカデミー本校には「グリーンコープ」、カチュラクンディ分校には「大地を守る会」の支援でそれぞれ発電機が設置されました。発電機の購入・設置については職業訓練所元電気科教師サジド氏が協力協力してくれました。

学校遠景
 校舎遠景

August 28, 2014
 2014年6月の日本滞在中は藤田さんとアーシアンの方々が忙しいなか私たちのために時間をさいていただき、アルカイールの代表団と会議を開いてくれました。~中略~
 この資金で私たちはすぐに05KVAガソリン発電機を購入しました。
 発電機は無事に使用可能になり、生徒達はほっとしています。
彼らは今、勉強に専念できるようになりました。

 発電機の音を初めて聴いた時の、生徒、教師、スタッフの顔に現れた大きな喜びをうまく表現できません。
 それはまるで、砂漠の照りつける太陽の日差しのあとの、柔らかくて涼しいそよかぜのような感じでした。
 私たちアルカイール福祉団体のメンバー、及び生徒、教師、スタッフは、藤田さんとアーシアンに心から感謝しております。どうぞメンバーすべてのかたに私たちからの感謝の気持ちをお伝えください。

Muhammad Muzahir Sheikh and members,
Al Khair welfare society, Karachi

授業風景
 授業風景

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2015年6月「アルカイール・アカデミーとのミーティング/交流会」報告

●日時:2015年6月26日(金)
●場所:アーシアン事務所
●参加者:
 ムザヒル校長、アルカイールアカデミイビジネスグループ事務局カユームさん
 JFSA(田邊さん、桑山さん)
 アーシアン(中村、蒲原、森田、笠原、赤津、藤田、福山)



アルカイール・アカデミーとのミーティング/交流会
 
アーシアン新体制との顔合わせ・自己紹介の後、以下の項目にそって話し合いがすすめられた。

1)アーシアンの運営状況及び2015年度支援金の説明
・会員の高齢化による会員数の減少
・会費の減少。新会員の加入はなかなか望めないため会費収入の減少。
・アルカイール・アカデミーの職業訓練所のファンドが、昨年度で終了。
・今年度前期支援金15万円を、本日(6/26)渡す。

2)質問事項

a)職業訓練所関係
縫製科について
・縫製科の現在の状況(生徒数、教室の様子など)
 55~60人の生徒が学んでいる。教材費は無償なので生徒は入りやすい。
 先生が結婚するとやめてしまうのでそれが問題。現在タスニームの妹のアスマンが教えているが、彼女自身の技術を高める必要がある。
・卒業後の就労状況
 技術省の認定試験には毎年多くの生徒が合格している。
 多くの生徒は家庭で裁縫をやったり、近所で頼まれたものを作っているが工賃が安い。縫製工房で働いている人もいる。それ以外に、工場で働いている人もいるが、工賃は少し多いが働く環境が良くない。
木工所について
 木工の技術を身に着け、賃金をもらうまでには4~5年かかり、仕事をしながら訓練しお金を払うことはできないため、生徒は現在いない。収入を望んでいるのは本人ではなく親の方で、すぐにお金にならないため生徒が来なくなった。
発電機科の見通しについて
 国の技術省は3か月後に発電機科の規定ができると言っているが、いつになるかわからない。
 許可がでればやりたい。

b)発電機の稼動状況について

・1年の内 10カ月使用、1日5~6時間。ガソリン代は1日約900ルピーかかる。その他、メンテナンスに1年間5000ルピーかかっている。
 お金がかかり大変だが、発電機がないと授業も出来なくなりそれも困る。
    
c)給食支援金に関して
・アーシアンからの提案
生活クラブちばで、展示会・デポ・ちばライブリーの売り上げの1%を給食の支援にしたい。食べるものというみんなに見える形で支援したい。話をするとっかかりとして、給食がわかりやすい。
・アルカイール・アカデミーから送付された給食の現状の説明(別紙)
 Campus no.Ⅰでは normal menu として チャパティ(あるいはライスなど)とカレースープ、Campus no.Ⅱでは スパイスの効いた豆や水牛のミルク、Campus no.Ⅲでは 皆勤賞の生徒に家庭の食材をたすけるため米のプレゼントなどがあります。

3)今後のメールでの連絡先の確認

4)アーシアンからの要望
・会員に学校の様子を伝えたいので、年3回写真とエピソードを送ってほしい。
 アーシアンからリクエストのメールを送る。

5)その他

・現在校門とは反対側に入口を作る工事をやっている。基礎の工事ができつつある。
 学校は2時で終了なので校門がしまってしまうが、反対側に入口ができると大人の授業が午後もできるようになり、学ぶ機会が増える。
 2014年度4月~9月の支援金の一部をその工事費にあてた。アーシアンは、了解済み。

※Campus no.Ⅰ-New Karachi
 Campus no.Ⅱ-Kachra Kundi
 Campus no.Ⅲ-Ghulam Hussaim Goth

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2015年11月JFSA総会での招日交流会報告

●日時:2015年11月25日(水)13:30~15:30 
●場所:JFSA海外衣料支援センター千葉
●報告者:ムハマド・ムザヒル校長先生、サズィド・ナズィール氏(アルカイールビジネスグループ:AKBG)

※ラジャさんのカレー出前の昼食交流会で始まり、ムザヒル校長、サズィド氏からそれぞれ「子どもたちと仕事~子どもたちを取り巻く人々の存在」をテーマにお話をうかがいました。

JFSA総会ムザヒル校長&サズィド理事
JFSA総会ムザヒル校長&サズィド氏

(ムザヒル校長の話)
「学ぶこととはたらくこと ~ アル・カイールアカデミー の子どもたちの現状から」
 
 あと4校学校を立てたい地域がある(合計7校になる)、教育を必要としている子ども達のために場をつくることが自分の使命であり、カラチ市には教育から遠ざけられている多くの子どもたちが存在しています。

 貧しい境遇の子ども達は親の理解がなければ学ぶことが出来ない。現にアルカイールでもほとんどの男子生徒は午後は家族の為、食べるためにお金をかせぐため帰宅してなんらかの仕事、それもけっして安全とは言えない環境のなかでわずかばかりの報酬を求めて働いています。自分から家族のために働きたい気持ちで仕事をする子どももいますが、多くは親から稼ぐことを強いられています。まずは親たちの理解を得るために教育の大切さや必要性を親達と面談してじっくりと話し合い、親の抱えている問題や状況を把握しコミュニケーションを深めながら通学させてもらえるように対応している。

 学習意欲があるのに家庭の事情で途中退学した生徒には、奨学金をだして復学出来るようにしているが、無償では無く学校への奉仕活動を課している。
 学校は勉強する場であり、労働施設は同じ場所に置くべきでは無いと自分はおもっているのだが、現状ではしかたが無い。
 スラムの子どもでも優秀な成績で進学し大学に進学している、 現にアルカイールで教えている先生のほとんどがアルカイールの卒業生達です。貧しさから抜け出し、人間として自立した生活を送れるようになるために、こどもたちにとって教育は欠かせないものです。

 AKBGの事業を継続するため、JFSAをはじめ古着事業でのご協力に感謝し今後も協力を御願いします。

(サズィド・ナズィール氏の話)
「働く子どもたちと大人たち ~ サズィド・ナズィール氏の仕事から」

 私は、2000年から2006年まで職業訓練所・電気科教師を務めました。アーシアンが職業訓練所を開所してくれたことで、教師としてアルカイールと出会えることができたことに感謝しています。

 個人的な事由で教師をやめ一時アルカイールを離れましたが、カラチの街中で偶然出会ったJFSAの西村理事に兄貴分がするように耳をつかまれて「おい、早くアルカイールに戻ってこいよ」と声をかけられ、自分の心の内にあった「アルカイールに協力したい気持ち」を呼び起こされてAKBG(アルカイールビジネスグループ)の理事として経営面で協力しています。発電機とセキュリティ(カメラ)関係の仕事をしていますが、発電機事業では、かつての教え子を4人雇い入れて内1名は最近独立して発電機関連の仕事をはじめました。アーシアンの職業訓練所は、生徒達の自立にもチャンスを与えてくれています。

 なによりも、生徒達が卒業して仕事について社会の中で自立していけるようにこれからも、一緒に協力して行きましょう。 

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2016年2月 今年の2月19日から25日にJFSAの派遣事業に同行させていただき、代表の中村由美子と理事の蒲原伸子の二人がパキスタンのアルカイールアカデミーを訪問しました。
 アルカイールでは昨年の10月に三つの学校が新設されました。建物は廃校になった校舎や工場などを使い本校から教師が通い運営しています。カラチ市内に6校になりますが、まだまだ学校に行けない子どもたちが大勢いるそうです。
 また、2010年に水害の被害に合い支援したダドゥーにも出かけました。緑豊かな田園地帯が広がる地域です。
 こちらでも公立の学校を訪問しました。教室が足らず庭に椅子を並べ授業をしているクラスもありました。
 これからアルカイールはNGOの学校支援制度を使い、学校運営に参加する計画を立てています。
 パキスタンでは学校があっても教師の待遇が悪く、先生が副業に忙しく授業が成り立たない現状があり、シンド州では1000もの学校が廃校になっています。
 本校では授業の様子や給食の様子もみてきました。子どもたちはカーペットを敷いた教室で楽しそうにお皿を囲み食事をとっていました。この日のメニューはカレーピラフでした。本校では1日200人の生徒が給食を利用しています。
 以前アーシアンの送った発電機は本校に置かれていました。これからメンテナンスをしてから新しくできた学校で使われるそうです。

 縫製科の教室は本校の1階にあり、この日はシーツに刺繍をする授業をしていました。縫製科は7,8年生の女子生徒の
 全員が授業の一つとして受ける形で運営されています。生徒たちはカラチ市の資格試験を受けて、毎年多数の合格者をだしています。男子の職業訓練の場として発電機科の新設が懸案事項となっています。今アルカイールでは電気科(メカニック・エレクトリック)の開設を考えていますが、それには常に最新の機器を揃えるなど費用の面での問題があります。
 そこで理論だけを学校で学び、工場に協力してもらい授業の後に働きながら機器の扱いを学ぶような形で実現する方向で進めています。

 今回の訪問で私たちの行っている交流支援事業の内容がより多く理解できました。これからもいろいろな人がパキスタンを訪れ、支援の意義を感じることも大切です。できれば年1回の訪問を実施していきたいと思います。電気科の開設にも協力をしていきたいと考えますが、今のアーシアンの会員数では年間30万円の支援金を維持していくのがやっとの状態です。
 男子の職業訓練所、電気科の開設の力に少しでもなれるよう会員の皆さまと一緒に会員を増やし実現したいと思います。

〈 縫製科の生徒にインタビュー〉
 アリーナ・モハマド・シャフィークさん

 〈 縫製科の生徒にインタビュー〉

 アリーナさんは本校の8年生、14歳です。学校から10分位のところに7人の家族と暮らしています。
10人兄弟の8番目、9年前に病気でお父さんを亡くされたそうです。
 普段は午前中にアルカイールで授業を受けて午後は進学のためコーチングスクールに通っています。
将来は会計士になりたいそうです。縫製科の授業は衣服をつくれるようになり嬉しいとのこと。
 学校では友達とのおしゃべりが一番の楽しみだそうです。

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2018年7月《アルカイールアカデミー招日交流会》
 
日時・2018年7月6日(金)
場所・柏ショップ前交流スペース

 
 昨年度から商品開発の事業が進んでいますが、今年度もパキスタンへの訪問ができないため、代わりに縫製工房のリーダー、サルマさんをJFSAの訪日に合わせてご招待しました。
 7月6日、柏ショップにおいてアルカイールアカデミーのムザヒル校長先生、副校長のタスニームさんとご一緒に交流会とミーティングを開催することができました。
 

交流会 パキスタンデイ(ランチ&トーク)
参加人数 18名

 連日真夏日が続く中この日だけ涼しい雨模様となり、パキスタンの民族衣装であるカミューズ・シャルワールを纏っている女性二人にとっては少し救われた一日になったのではないでしょうか。

 アルカイールアカデミーの校長、副校長、縫製工房代表の三人をお迎えし、18名の参加者と一緒に特製パキスタンカレー(ひよこ豆カレー)のランチを取りながら“パキスタンデイ”は始まりました。正真正銘のパキスタンの方を前にして「パキスタンカレー」と銘打つことは少々おこがましかったのですが、「美味しかった」と言って頂いてほっと胸をなでおろした次第です。
 


 ランチの後はチャイと黒糖クッキー・ドライマンゴーのティータイムになり、職業訓練所の紹介や経緯、生徒の様子、学校や地域の変化、これからの展望と問題点等々、そして縫製工房の商品開発の状況など話していただき、我々が支援しているアルカイールアカデミーの現状を知る良い機会となりました。

 さらにQ&Aではパキスタンに於ける重い教育問題、そして麗しい女性のファッションの話に至るまで中身の濃い時間が流れました。



 出席者はアーシアン会員の他、柏ショップに来て下さる顧客、地域の方など多くの方が参加して下さりパキスタンデイは盛況のうちに終わりました。

 最後になりましたが、いつもウルドゥー語を通訳して下さるJFSAの田邉さんには感謝申し上げます。

(報告:理事 新堀洋子)

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