CPR NEWS LETTER No.28 2001年5月12日発行
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5月26日(土)のCPR総会・セミナーに参加を!

過剰収容が深刻化。被収容者のあいつぐ自殺

 法務省矯正局によると、全国の刑務所と拘置所(支所含め計199カ所)の昨年末現在の収容者数が、1966年以来、34年ぶりに6万人を超え、計6万1242人となりました。8年連続の増加で、99年末より約5千人(約9%)増加、うち受刑者は前年末より約10%増の5万125人、定員を1732人超えて104%の収容率、6人の雑居房に7人収容する施設もあります。拘置所の被告人や容疑者などは、前年末比で約6%増の1万1217人(定員1万5801人)。矯正局は「不況で犯罪が増え続けていることと、凶悪化や被害者保護の影響で刑期が長くなっていることが主な要因だろう。外国人や、出たり入ったりしている収容者が依然多い一方で、初めて入る収容者も増えている」と説明しています。法務省では、受刑者を刑期や年齢、犯罪傾向などで収容施設ごとに分類してきましたが、初犯であってもB級施設(「犯罪傾向の進んだ者」を収容)に収容したり、外国人受刑者を母国で服役させる「受刑者移送条約」の締結などを「対策」としているようです。しかし、これらでは収容者増に対する抜本的な対策にはなりません。被拘禁者の生活状況や刑務官の労働条件にしわ寄せすることなく、過剰収容状態を解消するために、法務省は今こそ、短期的には刑務官の定員増加等、長期的には刑罰制度全体の改革も視野に入れた対策について、NGOも含めた独立した外部機関による検討を開始すべきです。
 こうした中、全国の拘置所内で自殺が多発しています。それぞれ原因は異なるでしょうが、過剰収容状態とそれに伴う刑務官の労働条件の悪化が影響していないかどうか、第三者機関による調査は不可欠です。
 来る5月26日(土)午後2時から(午後1時半からCPR総会)、東京の「早稲田奉仕園・50人ホール」(電話03-3205-5411)において、龍谷大学法学部教授で、今年までイギリス・ブリストル大学で客員教授をつとめた福島至さんをお招きして、CPRセミナー「刑務所内での人権NGOの活動・イギリス」を開催します。福島至さんには、イギリスで被拘禁者の死亡事件を調査するNGO「インクエスト」を中心に、イギリスの人権NGOの活動を報告していただきます。多くのみなさんのご参加をお願いします。

昼夜間独居拘禁に関する質問主意書への政府答弁書

 植田至紀議員(衆議院・社民党)が2000年10月25日に提出した「昼夜間独居に関する質問主意書」に対する内閣の答弁書が、12月26日付で出されました。これにより、「厳正独居拘禁」の全国的な実態が初めて明らかにされました。事務局の大山武さんから報告します。

日弁連と法務省の受刑者処遇に関する勉強会

 懲役受刑者は、刑務作業として物品などの生産や印刷作業などに週平均40時間従事、禁固受刑者の9割も請願作業に就いています。刑務作業に対しては監獄法で「労働への対価ではない恩恵的・奨励的な性格」の作業賞与金の支払いが定められています。見習工は時給5円20銭、熟練工で最高の時給36円70銭で、1999年度の受給額の実績は、受刑者平均で月4082円でした。法務省は受刑者が作業賞与金を被害者にどのくらい送金しているかを初めて調査しましたが、99年のデータでは、全国で172人が被害者に送金、63人が被害者に直接送り、残りが家族を通じ送っていました。殺人など長期の懲役受刑者が多く、服役しながら、わずかな賞与金で被害弁済を図る実態が浮き彫りになりました。
 日弁連と法務省は2000年、受刑者の処遇に関する勉強会を開始、11月にはイギリスとドイツを共同で視察しました。イギリスの受刑者の平均賃金は週12〜15ポンド(約2100〜2625円)、ドイツの受刑者は、社会保険支払者の平均年収5万3000マルクの5%(1カ月換算で約1万3250円)で、日本は両国に比べて数分の1のレベルでした。視察にも加わった日弁連の西嶋勝彦弁護士は「労働しているのに、恩恵ではおかしい。特に被害者への慰謝の意味は大きいのに、今のままでは満足に対応できない。出所時の家賃の保証金に届かないのでは、再犯の可能性も出てくる。犯罪予防の観点からも、増額した方が社会的コストはかからない」と話しています。日弁連は、「罰としての労働」から「社会復帰のための労働」への転換が必要だとして先進国で採用されている賃金制の実施を求めています。一方、法務省は「バブル崩壊の影響で作業収入も伸びない。賞与金の基準額を上げるように努力しているが、仕事量の確保にも苦労している状況だ」として、賃金制にして増額するのは困難とする姿勢だということです。
 日弁連と法務省との受刑者処遇に関する勉強会の実情について、海渡雄一さんが報告します。

「ラマダン」中の暴行・強制補食に敗訴判決

   パキスタン系イギリス人A氏が、東京拘置所に勾留中、看守に暴行を受けた上、日の出から日没まで断食するイスラム教の「ラマダン」期間中に鼻にチューブを通されて流動食を強制補食させられた事件の国家賠償請求訴訟について、99年1月22日東京地裁民事10部は請求棄却の不当判決を下しました。代理人の野島正さんに報告していただきました。

府中刑務所・Kさん事件で控訴審敗訴判決

   Kさんは、府中刑務所で受刑中の1994年4月18日、看守のO係長に房から引きずり出されて、革手錠と金属手錠を併用して装着された上、保護房に収容されました。その後、O係長は保護房の中で、革手錠を力任せに10センチ増し締めし、8時間放置しました。Kさんは、腰に内出血が生じ、腰の神経を痛め足の指に障害が残りました。94年10月、Kさんは国家賠償請求訴訟を提起しましたが、一審敗訴の後、2000年11月30日には東京高裁第4民事部も控訴を棄却しました。代理人の海渡雄一さんに報告していただきます。

ミシェル・マッセ教授講演会報告

 2000年9月21日、フランス・ポワチエ大学のミシェル・マッセ教授による「欧州における被拘禁者の人権〜フランスを中心に」と題する講演会が開催されました。マッセ教授は、CRIという受刑者やその家族の援助、えん罪救援等の市民団体にも参加しています。事務局の桑山亜也さんが報告します。

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