ピョンテク米軍基地拡張予定地のテチュリ村一帯は、こうのとりの営巣地として有名らしい。はるか彼方までみはるかす三四九万坪の平野は、こうのとりだけでなく、野生生物の宝庫でもあろう。韓国でもこれだけの広大な平野はめったにないという。だからこそ米軍に目をつけられたのだ。

　しかし、なんともったいないこと！　この、こうのとりの野で穫れる米は、韓国最高の米というではないか。

　治水もよく管理され、旱（ひでり）もない。米作りには最高に適した沃土で、国内の約三〇パーセントの生産量を誇り、ピョンテク米といえば日本の新潟魚沼産のコシヒカリに相当するブランド米だという。

　集会中、最も多く聞こえてきた言葉は「米軍基地拡張反対」｢強制収用阻止｣｢この地は私たちの命、死ぬまで守る｣そして、三月にも予定されているという政府の行政代執行へ抵抗する合言葉は、｢三月に種をまき、四月には草取り、五月には稲の苗を植えよう。今年も農業をするぞ｣だった。

　ピョンテクの広大な野を失うのは、人類としてあまりに愚か。

　実は、集会会場で売っていた三キログラムのもち米をなにげなく買い、持ち帰って食べてみました。何というこの香り、この味…至福、とはこのことか。ピョンテク米よ、永遠に。

　　　　　　　　　　　　(縄文人改め黒米・赤米)