市民投票の結果を無視し、海上ヘリ基地建設受け入れを表明した比嘉鉄也市長の暴挙は、地方自治と民主主義を蹂躙するものである。ここに断固抗議する。


 比嘉鉄也名護市長は12月24日夜、首相官邸で行われた橋本竜太郎首相との会談で普天間基地の返還に伴う代替海上基地の名護市への受け入れを表明すると同時に市長を辞職するとの意向を伝えた。行政の長として全く許し難い無責任な行為であります。

 そもそも、名護市は、市長を実行委員長として二度市民大会を開き、名護市のいかなる地域においても普天間基地の代替は断じて許さないとの決議を行いました。また、名護市議会においても、代替基地は断固反対すると議会決議を全会一致で二度行っています。市長は、これまで市長に命令できるのは、市民と議会であると繰り返し議会で答弁を行って来た。それにもかかわらず市長は、久志地域13ケ字の部落総会における反対の決議を無視して事前調査を容認しました。市民にとって重大なことは、市民一人一人が決めようと海上基地建設の是非を問う市民投票条例が19735人の暑名をもって名護市に提出されました。名護市長は、賛否を問う条例案を二択から四択に変えるなど市民が求めた条例案を議会に提案、10月2日名護市議会において与党多数で可決されました。

 12月21日市民投票が行われた結果、海上基地建設に反対の票が16254票で52.59%、条件付き反対は、385票で1.24%でした。また、賛成は、2562票で8.28%、条件付き賛成は、11705票で37.87%でした。反対票だけで過半数を獲得、海上基地建設の是非を問う市民投票において名護市民は基地建設反対の意志を明確にしました。

 市長はこの結果を厳粛にうけとめ、市民投票条例第三条第二項「市長は・・・地方自治の本旨に基づき市民投票における有効投票の賛否いずれか過半数の意志を尊重するものとする」の趣旨に則り、海上ヘリ基地建設反対を全市民に表明し、その旨を直ちに日本政府に申し入れるべきところを、こともあろうに投票結果とは全く反対の海上ヘリ基地建設容認の意思表示を行いました。まさに民主主義の原則である多数決のルールを否定するものでありファッショ的暴挙といわざるを得ません。

 今回の市民投票において、政府は、沖縄出身の自衛官に対して文書で指示したり、那覇防衛施設局の職員200人を連日動員して「振興策」や「国策」ヘの協力を押し付けるなど、なりふりかまわぬ介入を行いました。また、ゼネコンなどの建設業界の動員をはじめ、不在者投票を組織的に動員するなど目に余る条例違反が横行しました。こうした政府、業界の介入にもかかわらず、投票の結果は、海上ヘリ基地建設反対が二千票余の差で勝利しました。当然のこととして市民は、比嘉市長が海上ヘリ基地建設を断念するものと思っていただけに、市長が正反対の容認の態度を示したことに大きなショックと憤りを感じています。

 われわれ海上ヘリ基地建設に反対している名護市議会11人は、市長の市民無視、条例無視を断じて認める訳にはいきません。市長がかかる暴挙を撤回して、あくまでも民主主義のルールに則って海上ヘリ基地建設を断念することを強くもとめるものであります。市民を混乱に陥れた市長の責任は重大であります。われわれはここに民主主義と地方自治をまもるために比嘉名護市長にたいして強い抗議をするものであります。

 1997年12月26日

 名護市長 比嘉 鉄也 殿


 関連記事:

  • 比嘉市長、海上ヘリ基地受入表明(沖縄タイムス 12月25日)
  • 市長が海上基地を受け入れを表明/比嘉名護市長きょう辞任(琉球新報 12月22日)

  • 海上ヘリポート建設計画


    声明・決議等][沖縄・一坪反戦地主会 関東ブロック