申 入 事 項

一 三月二十四日に委員会が開催され、本件土地についての協議が開催されるとの報道がなされているが、石原正一代理人としては、本件手続瑕疵に関する法的評価に関する意見書(補正によって瑕疵が治癒するものではなく、取下乃至却下を免れないこと)、手続違背の状況(那覇防衛施設局に重大な過失のあったこと)について、詳細な意見書を提出する予定である。

二 地主としては、本件土地に対する申請は当然却下されるべきと考えるが、、那覇防衛施設局の報告のみを前提として判断をすることなく、地主側の意見書を前提として、慎重な審理を求める。

三 防衛施設局からの報告書を開示して頂きたい。

四 必要に応じて、口頭で事実関係を説明する機会を保証して頂きたい。

 申 入 の 事 情

 申入人の共有にかかる、沖縄県中頭郡嘉手納町字東野理原三五○番所在の土地につき、那覇防衛施設局より、貴委員会に対して、使用裁決申請手続がなされ、現在審理が継続中です。

 しかしながら、一九九七年三月十一日に至り、本件土地の共有者の一人である石原正一に対する手続きが使用認定手続から一切欠落していることが明かとなり、同十二日の公開審理において、那覇防街施設局に対して、事実関係を明かにするよう釈明をもとめましたが、調査中であるとの理由からこれを拒否されました。

 実際には、十二日の公開審理当日の早朝午前六時二○分から同五十五分にかけて、那覇防衛施設局の特命をうけた者として、横浜防衛施設局施設部施設取得課長萱沼利行、浜松防衛施設事務所所長北山正行外二名がおとずれ、謝罪をおこなっていました。

 右謝罪経過は、録音されていますが、同テープによると、防衛施設局は、当初から石原正一に対する手続きは何らとっていないことを謝罪し、驚くことに、契約期間の二○年が五月十五日で切れるので、その後も契約して欲しい旨説明しています。途中、施設局関係者から米軍特措法ですとの声が入っているが、一環して、契約期間が満了するので、契約して欲しい旨の申し入れに終始し、強制使用に関する説明は一切なされていません。

 本来の所有者を欠落させたままで使用認定がなされ、さらに、本来の所有者を欠落したままで使用裁決申請がなされた時の効力については、議論のあるところです。

 報道によりますと、防衛施設局ほ、補正を行うかのような考えをもっているようですが本件については補正によって瑕疵が治癒するものではなく、取下乃至却丁は免れないと考えます。

 真正な所有者を対象としない申請であって申請手続そのものが違法であり、却下を免れないというべきであり、また、申請書に添付された土地調書、物件調書についても、真正な所有者の立会のない違法な調書であって、申請の要件を充たさず、いずれの理由からも違法であって却下を免れないというべきです。

 真正な所有者の確定のための調査について、防衛施設局に過失があるか否かを前提として補正の可否を判断する学説もありそのような取扱例もあるようですが、本件の調査過程は明かに違法であり、重大な過失があり、そのような立場からしても、補正ではたらず、却下を免れないと考えます。

 以上のような事情について、真正な石原正一を特定した経偉および、収用法、行政法の専門家の意見書を現在準備中です。

 那覇防衛施設局は、公開審理当日も、実際には本人に対して、「昨日あなたが真実の所有者であることが判明し、いままで、あなたに対する手続きをとっていなかった」として謝罪しているにもかかわらず、公開審埋の場では調査中であると言い逃れをし、さらに、本人に対しては「民法の契約期間二○年が五月十四日で切れるので、契約をして欲しい」と虚偽の事実を申し向けており、その主張は全く信用出来ないと考えます。

 従いまして、申入の趣旨の通り、慎重な事実調査と、法的論拠の調査をもって収用委員会としての判断をなされますよう申し入れます。

1997年3月14日 


 出典:公開審理ニュース 第3号(沖縄軍用地違憲訴訟支援県民共闘会議)

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