『女たちの情報紙 ふぇみん  f e m n 』   1999. 4. 15.

[新刊紹介]

☆いい人はガンになる  吉川勇一 著  

とてもユニークな題名のこの本は、反戦平和の市民運動家として知られる吉川さんの、ガン治療体験記と闘病をめぐってのエッセイ集。
 今も集会やデモ現役の吉川さんが、九一年秋以来、膀胱摘出、胃ガン切除、腸閉塞手術と次つぎに大病に見舞われていたことにまず驚くが、その語り口は実に軽妙で、「ガン闘病記のたぐいはほとんどが凄絶、悲壮……中には明るいものがあってもいい」という境地のなんと壮快なことか。
 さすが長年のオルガナイザーである。この本には、ガンと向き合いながら見事に生きている何人かの”いい人”が登場、そのエピソードが印象深いが、三百名もが集まった先日の出版記念会では「これからは”いい人仲間”のネットワークづくりを」という熱っぽい言葉が飛び交っていた。一冊の本が広げていく人びとの輪。そのパワーに脱帽     (加)

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