東京平和運動センター97-2

TKOPEACENEWS

　2面　NO.97　2010.8.30

活　動　報　告

■APECエネルギー大臣会合対抗シンポジウム
　今年、アジア太平洋経済協力会議（ＡＰＥＣ）が日本で開催されます。11月に横浜で首脳会議が開かれますが、その前段に各大臣会合が全国各地で開かれます。このうちエネルギー大臣会合が６月19日～20日に福井市で開催された。福井警察の過剰なまでの厳戒態勢の中、６月19日、アジア太平洋経済協力会議エネルギー担当大臣会合が福井市内で開かれました。20ヵ国のエネルギー担当大臣が、日本一原発が集中する福井に結集し、省エネルギー政策や地球温暖化対策について話し合われました。会議のまとめとしての「エネルギー安全保障にむけた低炭素化対策に関する福井宣言」（福井宣言）では、エネルギー源の多様化と二酸化炭素（CO2）の排出削減に向けて、省エネの推進や再生可能エネルギーの導入促進をうたいつつも、日本政府の肝いりで「新規の原発建設の促進」を明記しました。
　このような地球温暖化対策に原発活用を積極的に打ち出す動きに対抗して、原水禁、原子力資料情報室、原発反対福井県民会議の３者によって、同日、青森や鹿児島など全国各地から250名が集まり、「６・19対ＡＰＥＣ市民エネルギーシンポジウム」を開催し、地球温暖化対策に原発は役に立たないことを訴えました。

■下北スタディーツアー
原子力資料情報室主催の「第５回スタディーツアー」に、東京平和運動センターとして昨年に引き続き11名が参加しました。今回は原子力発電や関連施設も含めて「原発半島」と呼ばれる下北半島を視察しました。日程は７月17日から19日の２泊３日の視察でした。
　原発と核兵器を分けて考えているのは日本人くらいで、諸外国ではnuclear power generation　とnuclear weaponsで表記され同一視されているようです。今回のツアーでは、原発の危険性をさらに理解すること。原発建設着工と増設予定がされている大間原発や東通原発の状況とその背景など把握すること。六ヶ所再処理工場、中間貯蔵施設など核燃料施設の現況や問題点を確認すること。そして、なぜ下北にこれほどの原発と核燃料施設が集中したのか、現地の闘争や現在の下北の住民がどのような状況にあるのか。また、ツアーを通して参加者の意見交換や交流を深めることなど、目的に参加しました。八戸に到着後、貸切バスに乗り換え「花とハーブの里」に向かいました。車内では、知識と運動経験豊富な原子力資料情報室のスタッフや原発反対運動に関わってきた参加者から貴重なお話を聞くことができました。また、ツアーを通してガイド役をして頂いた「核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会」代表の澤口進さんのお話は、私たちの目的を充分捕捉してくれました。「花とハーブの里」ではドキュメント映画「六ヶ所ラプソディー」でのチューリップで素晴らしい映像をくれた菊川慶子さんにお話を伺いました。六ヶ所再処理工場本格稼働に反対し、この地でチューリップ祭りや自然エネルギー教室など開いて運動の輪を広げています。六ヶ所再処理工場の廃棄煙突や海への冷却水排水は、放射線を撒き散らし、農漁業への影響も出ているということでした。　　
　むつ小川原港では、各地の原発廃棄物・英仏に依頼した高レベル廃棄物処理キャスクなどの搬入港を見学しました。また、六ヶ所断層の露頭を見て、この断層が六ヶ所再処理工場まで続くと説明され、「震災原発」の危険や原燃の立地計画の杜撰さを再認識しました。六ヶ所原燃ＰＲセンターでは、足早に再処理工程などを確認しました。
　
　２日目はむつ原子力船で問題となった、むつ科学技術館を見学し、むつ中間貯蔵施設計画地に向かった。この地はすでに造成され、近くのむつ港が搬入港と利用できることや原発施設立地交付金を当てにして進められようとしている。昼食後、佐井港から仏が浦往復の遊覧。美しい海と奇岩が並ぶ素晴らしい光景でした。その後、大間原発建設地の中にある「あさこはうす」を訪ね、お話を聞きました。熊谷あさこさんは原発計画に反対し、原発側のカネのバラマキに一貫して土地を売るのを拒否し続けてきました。元々この予定地内の大間・奥戸漁業は原発計画に反対していました。電源開発の現地駐在員たちが、執拗に工作し漁業権の放棄へと持ち込みました。その後もあさこさんは拒否し続けました。現在の「あさこはうす」に行くのには、原発敷地内の道路を通らなければなりません。母親のあさこさんの死後（06年５月）、３年前から小笠原厚子さんが「あさこはうす」を守り、現在は函館と大間を往復しながら、母親のあさこさんの意思を守っています。私たちは厚子さんからのお話を聞き感動を新たにしました。家のフェンスに寄せ書きフラッグを取り付け、連帯を図りました。電発は結局、あさこさんの意思に負けて、炉心を250メートル南に移動させました。原発の建屋の250メートル隣に住民の土地がある原発建設史上初めて珍事。
最終日は東通原発資料館に行き、ツアーの幕を閉じました。まじめに、楽しいツアーでした。

■普天間爆音訴訟支援行動
　米軍普天間飛行場をめぐる「爆音訴訟」で７月29日、福岡高裁那覇支部で判決があった。第４次厚木爆音訴訟原告団20名とともに裁判傍聴、報告集会、全国基地爆音訴訟原告団連絡会議第２回総会など参加した。判決は・飛行差し止めの請求棄却・騒音測定の請求棄却・低周波音により精神的苦痛増大・騒音被害に賠償請求は許される・慰謝料日額はＷ値75（うるささ指数）区域が200円、Ｗ値80区域が400円・危険への接近の法理による免責主張は理由がない・将来の賠償請求は却下。1審の約2.5倍となる賠償金を命じ、米軍機墜落の恐怖で周辺住民の精神的苦痛が増大していると認め、普天間の危険性を指摘した。
　また、「普天間飛行場」は住宅など民間の施設と極めて近接して『世界一危険な飛行場』と指摘した。飛行差し止めの請求棄却がされたものの、２倍以上の賠償金や『世界一危険な飛行場』と指摘したことなど、この間の運動の成果が表れました。
　翌日の連絡会議第２回総会は、午前９時から午後５時まで熱心な討議がされました。総会途中で伊波宜野湾市長の講演を受けました。知事選への意欲が感じ取れました。最終日の31日は、辺野古で交流連帯集会を行い、爆音訴訟団の運動発展と辺野古新基地建設反対を誓いました。
　８月２日～３日には、沖縄から普天間爆音訴訟団20名他、全国基地爆音訴訟連絡会議、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックなどで、国会前の座り込み、各省庁、政府関係者などへ要請行動、午後７時から全水道会館で「宜野湾に静かな夜を返せ」普天間支援・報告集会を開催しました。

■被爆65周年原水禁世界大会
　今年５月の核不拡散条約（ＮＰＴ）再検討会議、初の米・仏・英代表が広島平和記念式典へ参加、何よりも潘基文（バンキブン）国連事務総長が核兵器禁止条約の必要性を問題提起するなど、今年の原水禁世界大会はこれまで以上に注目を浴びた大会でした。ヒロシマ大会（6800人）ナガサキ大会（4500人）でした。東京平和運動センターは、ヒロシマ大会に260人（三多摩平和運動センター70人含む）、ナガサキ大会には31人、三多摩平和運動センター40人の参加でした。
　４日の午後４時に平和記念資料館前で折り鶴行進の前段独自集会を行い、核兵器廃絶平和ヒロシマ大会会場まで炎天下の中を元気よく行進を行いました。翌日の５日は、三多摩子供派遣団・区職連絡会子供派遣団などは、子ども広場や独自企画で被曝の実相を体験しました。
　また、東水労は31人全員が大久野島のフィールドワークに参加。大半の人は、各分科会に参加して、学習や討論に参加しました。
　午後２時からは国際会議がアークホテル広島で開催され、「東アジアの安全保障と非核化」をテーマにアメリカ（ピースアクション）、中国（軍縮協）、韓国（参与連帯）などの代表が参加し討議を行いました。最終日の６日は平和公園で黙とうの後、秋葉広島市長の格調高い平和宣言や菅首相・潘基文国連事務総長の話を聞きました。菅首相の挨拶に心のぬくもりを感じなかったのは私だけであるまい。
　広島まとめ集会午前９時から中国新聞ホールで開催され、特別企画「お話・池田香代子さん」ありました。
長崎大会は８月７日、午後3時半から長崎県立体育館で「核兵器廃絶平和ナガサキ大会」開催されました。８月８日（日）分科会、ひろば、フィールドワーク、子どものひろば、ピース・ブリッジ2010、平和のシンポジムin長崎など。８月９日（月）は江平町公民館への慰霊碑墓参を行い、９時からの長崎まとめ集会に参加しました。閉会後、爆心地公園まで非核平和行進を行い、11時2分の鐘の音を合図に核兵器廃絶と犠牲者のめい福を祈りました。

◆1047名ＪＲ不採用問題の報告交流会
　６月15日、東京グランドアーク半蔵門で開催されました。1987年にＪＲを不採用となり、1990年４月１日に国鉄清算事業団から1047名が２度目の解雇をされてから23年。去る４月９日、民主・社民・国民新党の与党三党(当時)と公明党は、政府との間で組合員１人平均2200万円の和解金を支払うことなどを盛り込んだ1047名のＪＲ不採用問題の解決案を取りまとめることで合意しました。長く苦しい闘いを経た大きな前進です。報告交流会参加者は、なお残る雇用確保の課題解決に向けた決意を新たにしました。

◆７月に国労東京地方本部石上委員長が事務所に見えられ、和解成立の報告とこれまでの支援にお礼を申されました。以下、報告とお礼状です。

最高裁において鉄道・運輸機構との和解成立
1047名のＪＲ不採用問題に対するご支援・ご協力ありがとうございました。

ご報告と御礼
　長年にわたり、私どもの1047名のＪＲ不採用問題の早期全面解決をめざす取り組みに対し、並々ならぬご理解・ご協力を賜り、心から感謝申し上げます。
　1987年にＪＲを不採用となり、1990年４月１日に国鉄清算事業団から1047名が二度目の解雇をされてから23年の歳月が経ちました。
　一日も早い解決を求め、闘い続けた歳月は実に四半世紀に及び、当時は働き盛りにあった被解雇者の平均年齢もすでに56歳を超え、無念の思いを残して亡くなった当事者も64名を教えます。　　　
更にこれからの人生や老後の生活設計など将来への見通しが立たないなかでの不安や動揺は計り知れず、まさに解決は一刻の猶予も許されない状況にありました。
　こうしたなか、去る４月９日、民主・社民・国民新党の与党三党(当時)と公明党は、政府との間で｢雇用・年金・解決金｣を柱とした1047名のＪＲ不採用問題の解決案を取りまとめることで合意しました。国労は当事者・原告をはじめとする｢４者・４団体とともに直ちに解決案の受諾を表明し、４月26日に開催した第78回臨時全国大会において正式に承認を行い、６月28日には最高裁において鉄道・運輸機構との間で和解が成立しました。
　23年もの長きにわたり、皆様方から頂いたご支援・ご協力と言葉です言いつくせぬご厚情にあらためて感謝と御礼を申し上げます。
　書面にてはなはだ失礼かと存じますが、引き続き、残された課題である雇用問題の解決まで皆様方のご理解を賜りますようお願いし、ご報告ならびにご挨拶とさせていただきます
　長い間のご支援・ご協力、本当にありがとうございました。

２０１０年７月　　　　　　　　国鉄労働組合

活　動　日　誌

６月19日（土）ＡＰＥＣエネルギー大臣会合対抗シンポジウム（福井）
６月27日（日）朝鮮学校差別を許さない！『高校無償化』即時適用を求める市民行動（芝公園）
７月２日（金）高野猛学習会
７月３日～30日映画「ヒロシマ・ピョンヤン～棄てられた被爆者」
７月11日（日）第２２回参議院議員選挙投票日
７月17～19日　下北スタディーツアー
７月23日（金）日朝国交正常化連絡会全国総会・　記念講演会（15:00～社会文化会館）
７月24日（土）食とみどり、水を守る都民会議農業学習会モロコシ刈り（東秋留）
７月29～31日　普天間基地爆音訴訟
８月４～９日　被爆65周年原水禁ヒロシマ・ナガサキ大会　　　
８月14日（土）空襲被害者全国集会（浅草)
８月14日（土）平和の灯をヤスクニの闇へキャン　ドル行動(14:00～社会文化会館)
８月15日（日）戦争犠牲者追悼・平和を誓う集会(千鳥ヶ淵戦没者墓苑)
８月22日～９月20日 2010在日朝鮮人歴史・人権月間

今　後　の　日　程

８月22日（日）韓国強制併合100年・日韓市民共同宣言大会(豊島公会堂)
８月27～28日　柏崎・刈羽「原発震災3周年」（柏崎）
８月29日（日）2010年在日朝鮮人歴史・人権東日本集会　神奈川近代文学館
９月５日（日）統一マダン（荒川区旧真土小学校、PM３～５）
９月12日（日）沖縄統一市議選（名護市含む）
９月13～14日　フォーラム責任者会議（熱海）
９月14～15日　全国基地ネット問題ネットワーク第14回総会（函南）
９月17日（金）９・17日朝ピョンヤン宣言８周年集会（全水道会館、18：30）
９月25日（土）原子力空母横須賀配備２周年抗議集会（ヴェルニー公園、AM11）
９月26日（日）JCO臨界事故11周年抗議集会（水戸市、PM.１）
10月２日（土）東アジア米軍基地環境問題シンポ（大和市）／アジア・アフリカ支援米稲刈り
10月16日（土）日米安保と東アジアの平和を問うシンポジウム（社文、午後）
　　　　　　主　催：フォーラム平和・人権・環境
10月17日（日）ピースアクション（芝公園、午後）　主催：ＷＯＲＬＤＰＥＡＣＥＮＯＷ
11月６日（土）～８日（月）韓国併合100年安保５０年、東アジアに新たな平和と友好を－憲法理念の実現をめざす第４７回大会（第４７回護憲大会）会場：宮崎市　ホテルサンフェニックス国際会議場他

ＡＰＥＣ横浜開催日程
11月７～８日　最終実務者会合
　　10～11日　閣僚会議
　　13～14日　首脳会議　会場パシフィコ横浜

日印原子力協定の締結に反対する声明

　６月25日、日本政府は、日本とインドとの間で原子力協定締結の交渉に入ると発表しました。また、菅直人首相はサミットの開かれているカナダでインドのシン首相と会談し、「両国が原子力協定締結の交渉に入ることを踏まえ、原子力分野の協力推進で一致した」とも報道されています。原水禁はＮＰＴ体制の形骸化に結びつく日印原子力協定の締結に反対します。
　1998年、日本も共同提案国となり、全会一致で決議された、国連安保理決議１１７２では、インド及びパキスタンに対し、「核兵器開発計画の中止」、「核兵器用の核分裂性物質の生産中止」を求め、「すべての国に対し、インド及びパキスタンの核兵器計画に何らかの形で資する可能性のある設備、物質及び関連技術の輸出の禁止」を求めています。今年の核拡散防止条約（ＮＰＴ）再検討会議の最終文書でも、「すべての加盟国に対して、核関連輸出が直接的にせよ間接的にせよ、核兵器のまた、その他の核爆発装置の開発を支援してはならない」ことを確認しています。
　また、インドは包括的核実験禁止条約（ＣＴＢＴ）にも署名していません。日本が促進をしているＣＴＢＴの発効要件国のうち未署名国は、インド、パキスタン、北朝鮮だけです。インドとの交渉では、少なくともＣＴＢＴへの署名、批准、インド国内の全ての核施設を査察の対象として、核兵器開発をやめさせることが前提となるべきです。そうでなければ、日本自ら提案した国連決議に反して、核兵器計画に何らかの形で資する可能性のある設備、物質及び関連技術の輸出につながる協定を結ぶことは許されません。
　原水禁は、ＮＰＴ体制を強化し、核廃絶への道を開くために、2008年の米印原子力協定締結に反対してきました。
　ＮＰＴは、「未加盟国に対して原子力で協力しない」を基本原則としています。ＮＰＴ未加盟国で核兵器を保有するインドに対する原子力協定の締結は、世界から核の恐怖を排除するために、５年ごとの運用検討会議を重ねてきたNPT体制を形骸化し、核兵器廃絶への道のりをより険しくすることとなります。インドが原子力の平和利用を主張するならば、核兵器を放棄して、ＮＰＴに加盟し、国際原子力委員会（ＩＡＥＡ）の管理下に入るべきであると確信します。原水禁は、そのことを日本政府がインドに強く求めることを要請します。
　原水禁は、日本政府が内外の要請に安易に応えることなく、核兵器廃絶の道を信念を持って進むことを要求し、インドがＮＰＴに加盟することなく「日印原子力協定」の締結を行わないよう強く要請します。

原水爆禁止日本国民会議
議長　川野浩一

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