TKOPEACENEWS
  1面 NO.6号/00.4.28発行

狭山事件の再審開始と全証拠開示を求める

東京高裁・東京高検への要請行動報告

 狭山東京実行委員会は、「2・7東京集会」の決定にもとづいて3月30日午後3時より東京高等裁判所刑事第5部に対して、事実調べと再審を求める要請を、午後3時40分より東京高等検察庁に狭山事件の全証拠開示をするよう要請をおこないました。
要請行動にはこれまでに集約した団体署名1,112 (高裁)、1,113 (高検)提出し参加団体、労組の代表よりそれぞれ以下の通り具体的に要請をおこないました。


●東京高等裁判所刑事第5部に対して


・事実調べや新証拠の採用などまったく棄却決定は
許すことのできない。裁判所の暴挙である。刑事5部は社会的にも理屈の通った審理をしてもらいたい。(全水道・東水労)
・東京の宗教者・寺院・教会など380ケ所から団体署名に協力をいただいた。7月8日の棄却決定はあきれかえる内容の決定であったといえます。刑事第5部は事実調べを必ず行ってくれ、事実調べをやれば石川一雄さんの無罪は明確になると確信しています。(東京同宗連)
・私は、30数年狭山事件にかかわってきました。高木裁判長は脅迫状の筆跡は石川さんではないと認めていながら、書くときの心理で筆跡は違うことがあるなどとした、でたらめな判断をしている。日本における筆跡鑑定の権威である学習院大学の大野教授は「この筆跡鑑定で石川さんを犯人とすることは、日本に正義はない」と表明されている。異議審では事実調べをかならずやってくれ。(部落解放都連)
・狭山事件と免罪を考える南部の会として、集会を開催して決議文を採択してきたので読み上げて、会としての要請にします。内容としてとくに7月8日の棄却決定に抗議します。元捜査官の証言、犯行とされた場所での農作業中の農民の証言など、重要な証言、証人などの事実調べをやるべきだ。また、東京高等検察庁に対して全証拠を開示するよう裁判所として命令をだすべきだ。(南部の会)
・7月8日の再審棄却決定は本当に不当なものである。政治的に部落民を差別する決定であり怒りを覚える。この決定は事実調べも行わず門前払いであり許せない。私たちは、これからも事実調べ、再審が実現するまで何度も裁判所に要請にきたい。刑事第5部は異議審においてはキチンと審理するよう要請します。(墨田支部)
・江東区においては、18団体が加盟して狭山事件の勝利のために共闘会議を結成している。7月8日の棄却決定に怒り心頭である。異議審では事実調べなどキチンと審理してほしい。(江東共闘会議)
・部落解放中央共闘会議にも参加して、狭山事件の完全勝利をめざして闘ってきました。本日団体署名として提出をしましたが、一枚の団体署名に何万人もの気持ちが込められている。裁判所はこの重みをかんずるべきである。全国民的な声として再審開始をねがっている。この事を十分に理解すべきである。(政労連)
・棄却決定に対して学習会を開催して勉強してきたが、どうしてこのような決定になったのか理解できない。刑事第4部の高木裁判長ははじめに結論ありきとして、ろくに事実調べもおこなわず棄却決定をしたのだろう。本当に不当な決定に抗議します。第5部はキチンとした審理をすべきだ。(品川支部)
・毎月23日に石川さんの無罪を勝ち取るために、街頭宣伝行動や学習会などを組織してきている。刑事第5部の裁判長は現地調査などしてから判断をすべきである。(南部の会)
・早期に再審開始を強く求めます。(社民党東京)

 こうした各団体からの要請に対して、応対にでた3人の官吏官は、決議文、団体署名、ここでの皆さんからの要請を主任書記官を通じて、裁判長に伝えるとの返事であった。


●東京高等検察庁に対しての要請について


・検察が証拠を隠しもって開示しない限り、狭山事件は不公平な裁判である。同じ土俵のなかで同じ条件のもとでの裁判をつよく求めます。石川さんもすでに60歳をこえている。早期に全証拠を開示してほしい。(部落解放都連)
・7月8日の棄却決定は、全証拠が開示されていないで決定されたもので、公正に欠けるものである。国連の人権委員会でも勧告されていることでもある。異議審では全証拠の開示を強く求めます。(東京同宗連)
・全証拠の開示を求めるために、決議文を採択してきたので読み上げます。検察が開示しないのは人権問題でもある。国連でも勧告しているのにいまだ隠しもっているのは許せないことである。(南部の会)
・一般市民からしても全証拠を開示するのは当然だと思う。警察、検事はこの間でも神奈川県警、新潟県警などで事件について常に隠している、許されることではない。同じ様に狭山事件についてもいまだ証拠を隠しているのは許せない。裁判においては証拠にもとずいて審理するのは当然だ、石川さんの権利からして開示すべきである。(全水道・東水労)
・客観的にみて判断するために、全証拠を開示すべきである。(品川支部)
・どう考えても証拠が隠されていることに納得できない。石川さんが犯人でないために検察は証拠を隠しているのではないか。異議審では全証拠を開示すべきである。(江東支部)
・狭山事件においては、石川さんは被害者である。全証拠を開示しろ。本日の行動のため18団体で構成する江東共闘会議として決議をしてきたのでそれを提出します。(江東共闘会議)
・普通に考えてもどうして開示しないのかと思う。 開示を強く求めます。(南部共闘会議)
・社民党東京も実行委員会に参加している。全証拠を早期に開示するよう求めます。(社民党東京)
・中央共闘会議に参加し闘っている。これまで個人署名なども取り組んできたが、この署名だけはだれ一人としてためらう者はいません。検察庁は国民の信頼をえるためにも証拠を開示すべきだ。

 こうした各団体の要請に対して、応対にでてきた2人の事務官は、検察官に伝えるとの返事であった。
 検察庁の応対について、場所が1Fの待合室であるため背もたれの無い椅子とメモする机もなし、国民の権利としての要請行動が検察庁の非常識な対応に参加者は強い憤慨を覚え、せめて裁判所くらいの部屋を用意するなど、こうした要請もしました。次回の要請が楽しみです。しかし検察庁がどんな態度であろうとも、狭山事件の完全勝利まで何回もしつこく、全証拠開示を求める行動は続ける事を表明して要請行動を終了しました。

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