TKOPEACENEWS
 2面 NO.31/02.10.1発行

・・・プルサーマル計画返上を求める新潟行動について・・・

 刈羽村では、先の住民投票でプルサーマル計画に「NO!」の声が圧倒的多数を占めました。その後東電を始め政府・原発推進勢力は、新潟での実施に向けた巻き返しに躍起になり、村内の全戸訪問による理解活動という「説得活動」やマスコミを使った宣伝攻勢が続けられています。その中で刈羽村が、7月23日以降、村内20ケ所で対話集会を開き、8月26日以降に何らかの村長考えを出そうとしています。現在、5回の対話集会が開かれましたが、その内容はプルサーマル実施に向けた世論作りとなっています。このまま進めば「村民の意見を聞いた」との形だけ作られ、住民投票の結果を覆される危険性があります。
 プルサーマル計画は、福島第一原発が先行して導入実施される予定でしたが、福島知事の「政府はプルサーマルを含め核燃料サイクル計画を見直すべきである」との発言以来、福島での実施は棚上げされています。高浜原発もMOX燃料データーのねつ造で計画が頓挫しています。新潟は住民投票で拒否されましたが、この夏に刈羽村の住民意見を覆し、プルサーマル計画の突破口にしようとして狙われています。
 新潟でのプルサーマル計画の実施は、定期点検でも、MOX燃料を途中で入れ替えることもできるとも言われています。まさに、何としでも実績をつくり福島、福井、そして他の原発へも波及していこうとしています。だからこそ新潟のプルサーマル問題は、全国の原発につながる問題で、ここでくい止めることができれば、各地のプルサーマル計画を変え、再処理計画の流れも変えていくことができます。
 新潟県平和運動センターから以上のような情勢の説明があり、新潟県、柏崎市、刈羽村の3自治体と東電柏崎刈羽原子力発電所所長に対して8月21日それぞれ要請をおこなってきました。当日の参加団体は原水爆禁止日本国民会議、青森、宮城、神奈川、群馬、茨城、東京、埼玉、三重、新潟の各平和運動センターでした。この行動は全国の各ブロック別に23日まで連日行われました。

代表団は
■刈羽村村民の意思を尊重して3自治体は東京電力に計画を返上しろ
■村民投票の結果を話し合い集会で覆すことは許せない
 プルサーマルの安全性について証明されていない。脱原発、脱プルトニウム政策に転換すべきである
■3自治体は、事業者の要請で実施するのは本末転倒ではないか安全性を考えて導入はさせてはならない
■柏崎市としてプルサーマル導入はなんのメリットがあるのか明らかにしてくれ、安全対策はどうしているのか、市民の不安はどのように解消しようとしているのか
■東電刈羽原子力発電所は事故を隠しているのではないか

3自治体は
●プルサーマル計画の返上については白紙にもどす状況になっていない、刈羽村住民の理解がどうなっているか3者協議で話し合うことになっている。事前了解を見直すことはできない。
●刈羽村は20ケ所で村民の対話集会が実施されている。いずれ知事との協議になるだろう。
●流れとしては、8月末か9月上旬に3者協議を予定している。村民の話し合いなどの結果、新しい要素も加わっているのでそれらで判断したい。いずれにしろ、一時返上、中止にはならない。

東電刈羽原子力発電所広報部は
◆プルサーマル導入計画はあきらめてはいない。住民投票の結果は当社が住民のみな様に理解を求めることに欠けていたことであり、全住民説得活動はそのために実施している。このことは、刈羽村議会でも指摘されていました。
◆これまで当社しては住民にさらに理解を求めるために、5,000人の全家庭に訪問し説得行動、プルサーマル計画の説明をしている。村民の皆さんを六か所村、東海原子力発電所などに見学の招待などしてきた。
◆刈羽村内に総合運動場の建設、室内競技場、茶室などの建設をしています。(総額100億円)


新潟県知事 平山 征夫 様

・・・プルサーマル計画実施返上を求める要請・・・

 常日頃の新潟県ならびに県民生活向上と発展のためにご尽力されている貴職に対し、心より敬意を表します。
 さて、7月10日、柏崎刈羽原発のプルサーマル計画についての知事ならびに柏崎市長、刈羽村長の3者会談において、実施が先送りになり、再会談が行われることになったと伝えられています。
 その際、3者は「村民意識に変化はなく、現時点で住民投票結果を見直す必然性はない」ことで一致したといわれています。ところが、再会談時には、実施の判断基準を刈羽村の「村民対話集会」の結果を手がかりにするため、急遽村長ならびに市長はベルギー訪問をするなど、実施に向けての実績づくりを急いでいるように見えてなりません。
 そしてこの動きは、経済産業省と東京電力の仕組みの中にあるとしか思えません。
 県民の多くは、一年前の住民投票の結果を、明確な「プルサーマル・ノー」という厳正な審判だと信じています。それをどんな調査方法であれ、一年ばかりで村民の意思が変わったとするのは、あまりにも暴挙だと考えられます。加えて、ヨーロッパを中心とした世界の脱原発社会への確実な歩みと、電力業界の実状をみるときに、核燃料サイクルの一端であるプルサーマル計画は見直すべきです。
 次回の3者会談では、ぜひとも、急いで実施に踏み切ることは絶対に避け、実施返上することを強く要請します。

                                  
           2002年8月21日
新潟県平和運動センター
議 長 道 見 忠 弘
東京平和運動センター
議 長 本 郷 真 一


学習討議資料
原子力資料情報室パンフより
プルサーマルに未来はない!


■プルサーマルって何に? MOXって何に?
 原子力発電所では、ウランを燃料として使っています。これに対して、プルトニウムとウランを混ぜ合わせた核燃料の事をMOX(モックス)燃料といい、MOX燃料をふつうの原発で燃やすことをプルサーマルと呼んでいます。
 日本のプルサーマル計画では、燃料全体の3分の1くらいまでを、ウラン燃料の代わりにMOX燃料を入れて運転しょうとしています。といっても最初から3分の1をMOX燃料にかえるわけではなく、徐々にMOX燃料の数を増やしていって、3〜4年かけて3分の1までにするのです。
 国や電力会社は、1999年からMOX燃料の使用を初めて、2010年までに16〜18基の原発でプルサーマルを行うとしています。計画が具体化しているのは、高浜3、4号炉、福島第一3号炉、柏崎刈羽3号炉の4つの原発です。

■プルサーマルは危険がいっぱい
 電力会社は、「原子炉の中では現在でもプルトニウムが燃えているので、プルサーマルになってもなにも変わらない」といっています。しかし、プルトニウムが燃えている量は大きく違っていてとても同じとは言えません。
 MOX燃料には、はじめから高い濃度でプルトニウムが入っているわけですから、これまでの原発とは核反応の起き方や発熱の仕方などに大きな違いが出てきます。
 MOX燃料をふつうの原発で燃やすとき、どんな安全上の問題点が出てくるのでしょうか。よく知られているのは次のような問題です。
 ●原発のブレーキ=制御棒の効き方が悪くなる。
 ●原子炉の出力のコントロールが難しくなる。
 ●原子炉内の圧力が高くなったり、冷却水の温度が低くなったりすると、出力が急に大きくなる可能性がある。
 ●同じ燃料集合体の中でも、出力が高い燃料棒と低いものとの差が大きくなる。
 ●放射性ガスの環境中への放出量が増える。
  このためMOX燃料を使うと、燃料が痛みやすくなったり、原子炉やいろんな機器への負担が大きくなったりと、確実に安全性を切り詰めることにつながります。
 MOX燃料を実際に使った場合、原子炉の運転にどのような影響を与えるのか、ということについては科学的に良くわかっていない部分が多く、限られた知識をもとにモデルを作って、コンピューター上で模擬計算を行なっているに過ぎません。
 電力会社や国が行っている「安全」の説明には、実証的な根拠はないに等しいのです。

プルトニウムが環境中に放出される!
 さまざまな事故の起きる危険性が高くなるのがプルサーマルです。チェルノブイリ型の暴走事故が起こる可能性も、スリーマイル島型の燃料溶融事故が起こる可能性も、今までの原発より高くなります。
 国の安全審査では、原発事故が起きても放射能が環境中にたくさん放出されることはないとしていて、プルトニウムを放出するような事故についてはまったくの想定外です。
 しかし、原発を作る時に考えていたよりももっと大きな事故が起きれば、格納容器も役に立たず、プルトニウムなどの放射能が環境中に大量に放出するのは間違いありません。
 チェルノブイリ原発事故によるプルトニウム汚染の地図をみれば、プルトニウムが環境を広く汚染する事故が現実にありうることは一目瞭然でしょう。


★以上は原子力資料情報室発行のパンフから活用させていただきました。
★原子力資料情報室は、原子力に依存しない社会の実現をめざして作られた非営利の調査機関です。            産業界から独立した立場から、原子力利用の安全性に関する各種資料の収集や調査研究などを行ないそれらを市民活動に役立つよう提供しています。
★東京平和運動センター加盟の各団体、労働組合の皆さんぜひ賛助会員になられますようお願いします。
★賛助会員への申込は03−5330−9520
 よろしく。

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