TKOPEACENEWS
 1面 NO.31/02.10.1発行

東京電力 原発トラブル隠す


〈2002年8月30日新聞報道〉
■福島、新潟県13基29件、点検記録にウソ80〜90年代
■2000年7月内部告発を2年間放置・もみ消し!
■トラブルを過少評価「ごまかし体質」が鮮明!
■この体質は95年「もんじゅ」、01年浜岡原発水漏れ事故などウソの報告、隠すは電力業界の「温床」!
■危険だと判断したら原発は止めろ!
■日本の原子炉をとめて総点検が必要!
■原発の検査体制の抜本的な見直しが必要!
■政府の原子力政策の抜本的な見直しこそが必要!

 東京電力が、福島県と新潟県にある原子力発電所計13基で、80年代後半から90年代前半にかけての自主点検記録を改ざんしていたことが内部告発で明らかになりました。東電の組織的不正行為を断じて許すわけにはいきません。同時に、2年前にこのことが指摘されていたにもかかわらず、そのことを棚上げして「原発は安全、プルサーマル計画の推進」を言い続けてきた経済産業省をはじめ国側にも大きな責任があります。
 この原子力推進側(国、電力業界)のウソ、隠す、安全軽視など体質、温床に対して、原子力資料情報室など専門家や地元市民などは、表記のような見解をあきらかにしています。東京平和運動センターとしてもこの問題は見逃すことのできない重要なこととしてうけとめ原水禁国民会議などとともに厳重に抗議するとともに9月12日には抗議集会や東京電力までのデモ行進などで広く都民にその不正について追及してきたところです。
 また、事故隠しが発覚する前に関東各県の平和運動センターは、新潟県平山征夫知事、柏崎市西川正純市長、刈羽村品田宏夫村長に対して「プルサーマル計画」が8月下旬か9月上旬にも導入のための「事前了解」を与える動きがあったため8月21日に急遽計画の中止と返上を求めて東京電力刈羽原発などを含めて要請行動をしてきたところです。要請の席上新潟県などの3自治体の責任者は「プルサーマル導入」は安全であり導入の許可を東京電力に与えることは時間の問題であると表明したり、東京電力刈羽原発の広報室の責任者は、刈羽村村会議員の質問に対して「絶対に事故隠しはしていません」と明言していました。各県の平和センターの代表者もこれまで「もんじゅ」や「浜岡原発事故」「東海臨界事故」などにおいて、事故隠しが行われてきた会社の体質は信用できないとして、厳しく追及した直後の事件の発覚となり、東京電力に不信感を増幅したところです。
 東京平和運動センターニュース31号については、こうした活動とプルトニウムの危険、プルサーマル計画の危険などについて集中して報告することとします。

原子力政策の推移と主な事故
1951 米国で世界初の原子力発電
 54 日本で初めて原子力関係予算を計上
 66 国内初の商業用原子力発電「東海発電所」が運転開始
 71 東京電力初の原子力「福島第一発電所」が運転開始
 73 通産省資源エネルギー庁設置
 74 電源三法公布
 79 米スリーマイル島で原発事故
 86 ソ連チェルノブイリで原発事故
 91 関西電力美浜発電所で細管破断事故
 96 新潟県巻町で原子力発電所建設の賛否問う住民投票実施
 99 JCOウラン燃料加工施設で臨界事故
2000 使用済み核燃料の六ケ所村再処理施設への本格搬入開始


◆東京電力の申し入れ

2002年9月5日
東京電力株式会社
社長 南 直哉 様


フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議  長 岩松 繁俊
原子力資料情報室
共同代表 伴  英幸

抗議申し入れ

 8月29日、原子力安全・保安院によって、貴社の柏崎刈羽、福島第一、第二原発の3原発の13基で、1980年代後半から90年代にかけ、シュラウドのひび割れなどのトラブルについて、修理記録の改ざんやウソの報告など29件の不正が明るみに出されました。さらにそれらが貴社による直接の指示によるものだったということも判明しました。このことは、またしても原発がもつ暗部が明るみに出たもので、食品業界と同様に、国民生活の基幹をになう貴社の組織的不正行為を、私たちは断じて許すわけにはいきません。
 不正が隠されたまま「原発は安全だ。プルサーマルを実施してほしい」と国側とともに原発やプルサーマル計画を福島や新潟などで強引に進めていたことは、国民の安全と信頼をないがしろにするものであり許されるものではありません。
 ましては指摘された原発がいまだ稼働していることは、貴社が「住民の安全」の側に立っていないことを表しています。これだけ国民的な信頼を裏切りながら、抜本的な対応が即座に取れないことは、企業のモラルや危機管理の弱さを露呈しているものです。会長、社長の辞任だけで済むものでなく、企業体質と原子力推進路線そのものに問題があり、抜本的な見直しが必要です。
 ついては、貴社の不正行為に対して抗議するとともに以下について要求します。

1.今回の事態に対する貴社の認識と具体的な対応を明らかにすること。
2.不正が行われた原発とその疑惑のある原発のすべてのデーターを公開すること。
3.不正が行われた13基の原子炉の即時停止と詳細な総点検を実施すること。
4.あわせてすべての原発の総点検を実施すること。
5.貴社が計画しているプルサーマル計画から完全に撤退をすること。
6.原発に批判的な意見をもつ者も含めた公正な第三者を調査委員会に入れること。
7.貴社の保安院に対する「非協力」対応の徹底的な調査をすること。
8.貴社の責任をあきらかにすることと同時に、抜本的な原子力推進路線の転換をはかること。


◆経済産業省へ申し入れ

2002年9月5日
経済産業省
平沼 赳夫 様


フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
議  長 岩松 繁俊
原子力資料情報室
共同代表 伴  英幸

抗議申し入れ

 貴省の原子力安全・保安院によって、8月29日、東京電力の柏崎刈羽、福島第一、第二原発の3原発の13基で、1980年代後半から90年代にかけて行われていたシュラウドのひび割れなどのトラブルについての修理記録の改ざんやウソ報告など29件の不正が明るみに出されました。さらにそれらが東京電力による直接の指示によるものだったということも判明しました。このことは、またしても原発がもつ暗部が明るみに出たもので、食品業界と同様に、国民生活の基幹をになう電力業界の組織的不正行為を、私たちは断じて許すわけにはいきません。
 今回の事件は、2年前の内部告発によるものですが、全容が明らかになるのに何故に長期に渡る時間がかかったのか、一般的な感覚からしてもあまりにも遅すぎる対応です。「東電に法的手続きで報告を求める手はあったはず。業界とのなれ合い体質があった」との指摘の声もあり貴省の対応に大きな問題があります。    
 また、2年前に問題が指摘されていたにもかかわらず、「原発は安全だ。プルサーマルを実施して欲しい」と事業者とともに貴省は、原発やプルサーマル計画を強引に進めていたことは、安全と信頼をないがしろにするものであり許されるものではありません。
 東京電力側の犯罪的行為が糾弾されるのは当然のことですが、原子力政策の企画立案し、チェックする立場の貴省の責任は極めて重く、抜本的な安全行政の再構築と原子力政策の転換が必要です。
 ついては、貴省の対応に対して抗議するとともに以下について要求します。

1.今回の事態に対する貴省の認識と具体的な対応を明らかにすること。
2.不正が行われた13基の原子炉の即時停止と詳細な総点検を実施すること。
3.あわせて全ての原発・原子力施設の総点検を実施すること。
4.GEII社のデーターの公開と隠蔽協力の実態を明らかにすること。
5.プルサーマル計画、再処理計画から完全に撤退すること。
6.原子力に批判的な意見をもつ者もふくめた公正な第三者機関に手による調査委員会の設置をすること。
7.東京電力側の「非協力」対応と貴省の調査対応についても徹底的な調査をすること。
8.貴省の行政責任を明らかにすることと同時に、抜本的な原子力安全行政の再構築をはかること。

以 上


◇抗議申し入れの経過
 9月5日14:00から経済産業省・資源エネルギー庁・電力・ガス事業部・原子力政策課と16:00からは東京電力(株)広報室原子力センターにそれぞれ申し入れをおこないました。
 経済産業省には、「行政として責任があるのではないか」、「不正が行われた原発は、最低でも止めて検査すべきではないか」などと申し入れましたが、明確な答えがなされませんでした。再度申し入れを行うことにしました。また、東京電力では、「データーの公開」、「福島第一原発7、8号機、東通1、2号機の断念、プルサーマル計画の断念」、「原発のコマーシャルの中止、見学会の組織化をしない」などの言葉を引き出しました。その他にも「不正が行われた原発の即時停止・検査」は、持ち帰って検討することを迫り、脱原発に向けた路線変更を強く主張しました。
 9月中旬に東電側の調査報告が出るので、その頃、再度協議をすることが確認されました。

 今回の東京電力の事故隠しに対する声明は以下の通りです。

・・・・・東京電力の事故隠しに対する声明・・・・・

 東京電力の柏崎刈羽、福島第一、第二原発の3原発の13基で、1980年代後半から90年代にかけ、シュラウドのひび割れなどのトラブルについて、修理記録の改ざんやウソの報告など29件の不正が内部告発によって明るみに出されました。さらにそれが東電の指示によるものだったという証言も出てきました。このことは、またしても原発への信頼を大きく損なうものであり、食品業界と同様に、国民生活の基幹をになう電力業界の組織的不正行為を、私たちは断じて許すわけにはいきません。厳重に抗議すると同時に全データーの全面公開を求めます。
 また、不正が行われた13基の原子炉の即時停止と詳細な総点検を求めます。中でも現在もひび割れなどが修理されずに残っている原発が稼働し続けていることは犯罪的な行為です。「住民の安全」の側に立ち即時点検・停止を進めることが急務です。あわせて全ての原発・原子力施設の総点検の実施を求めます。
 今夏、東京電力は、プルサーマル計画を実施しようとして、福島第一原発3号機、柏崎刈羽原発3号機の定期検査を利用しMOX燃料を原子炉に導入しようとしていました。刈羽村では住民投票によって拒否されているにもかかわらず強引に推し進めようとしていました。すでに2年前に内部告発で指摘されていたにもかかわらず、「原発は安全だ。プルサーマルを実施して欲しい」と事業者や国側のプルサーマル推進は、安全をないがしろにするものであり許されるもではありません。現在、「プルサーマル計画の実施は当面見送る」としていますが、見送りではなく中止すべきであることはもはや明らかです。国民的レベルで原子力への信頼が失われた今、プルサーマル計画、再処理計画からの完全な撤退を私たちは強く要求します。
 さらに東京電力が組織した虚偽記載調査委員会には、「当時の責任者」を加えるなど、その原因究明への態度にも大きな問題があります。原因究明と今後の安全に対する信頼を大きく損なうものです。また、東京電力側の犯罪的行為が糾弾されるのは当然のことですが、原子力政策を企画立案し、チェックする立場の国の責任は極めて重く、抜本的な安全行政の再構築がなされなければなりません。
 すでに世界は確実に脱原発に進んでいます。経済的合理性もなく、安全性も確立されていない、使用済み核燃料を再処理しプルトニウムを利用する核燃料サイクルを進めるのは日本だけで、強引にプルサーマル計画や再処理工場の建設を進めています。今回の事件でも日本の原子力業界の安全に対する意識と能力の欠如がいよいよ明白となりました。
 私たちは、あらためて脱原発を推し進めると同時に、プルトニウム利用政策の根本的な転換へ向けて今後も全力で運動を強化していきます。

    2002年9月3日
         フォーラム平和・人権・環境
          原水爆禁止日本国民会議
           議 長  岩松 繁俊

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