TKOPEACENEWS
 1面 NO.112 2012.6.10


「復帰」40年、サンフランシスコ条約発効60年 5.15沖縄平和行進
核兵器も原発も、そして一切の軍事基地のない平和な時代をつくろう

 復帰40年の平和行進は、5月10〜13日にかけて全国の仲間が結集して開催されました。東京からは13日の行進と県民集会への参加を基本に100名を越える参加者となりました。
 なお、12日には辺野古基地建設予定地で闘う、へリ基地反対協の皆さんを激励、カンパを手交しました。さらに、15日まで東京平和センターの代表2名が残り、全国ネットの仲間とともに、東村高江のヘリパット建設反対現地テントを激励しました。午後からは政府主催の「式典」に反対する県民集会に参加しました。以下、13日の「県民大会」の平和フォーラム報告を転載します。

 5月13日午後、3コースから宜野湾市の宜野湾海浜公園屋外劇場に集結し、「復帰40年 5.15平和とくらしを守る県民大会」を3000人参加のもと、開催しました。崎山嗣幸実行委員長(平和センター議長)が「全国で共闘の輪を広げ、国策で押し付けられた基地を沖縄からなくし、原発のない日本を目指していくことが重要だ」と主催者あいさつ、藤本泰成平和フォーラム事務局長の連帯あいさつ、野国昌春北谷町長の激励あいさつと出席した自治体首長の紹介、政党、国会議員のあいさつが行われました。
 その後、闘いの報告が崎原正吉与那国改革会議議長、新川秀清第3次嘉手納基地爆音訴訟団会長、島田善次普天間から爆音をなくす訴訟団長、安次富浩へリ基地反対協代表委員と高江へリパッドいらない住民の会の伊佐真次さんから行われました。このうち島田団長は「沖縄はいまだに憲法番外地。皆さんの地元で沖縄の基地問題をどう考えるのか、問い掛けてほしい」と訴えました。
 原水禁・非核平和行進タスキ引き継ぎ式、韓国からのゲストの連帯あいさつ、平和行進各コース団長からの報告が行われました。最後に崎山議長のガンバローで終了しました。

 復帰40年、講和60年
 5・15平和とくらしを守る県民大会宣言
 2012年5月13日


 沖縄は、今年、沖縄と本土を分断し沖縄を米軍の統治に売り渡したサンフランシスコ講和条約締結から60年、また1972年の施政権返還「本土復帰」から40年の大きな節目を迎える。戦後沖縄を「基地の島」とし形成した二つの日米合意の基本戦略は今日なお踏襲され、冷戦の構図が崩壊し戦後67年が経過する今なお、沖縄を「基地の島」の鉄鎖につなぎ続けている。
 この長い戦後を通じて、県民は、米軍を相手にまた日米両政府を相手に「基地のない平和な島」の実現を要求し行動を続けてきた。しかしながら、日米両政府は、県民の切実な要求に耳を傾けるどころか、辺野古や高江に見られる米軍の新基地建設、また民主党政権になってから突如として浮上してきた与那国島での自衛隊基地の建設問題など県民要求に逆行する動きを強めている。その上、宮古島や石垣島、与那国島など先島諸島における民間空港や港湾の軍事利用がなし崩し的に強化拡大され、さる4月のPAC3配備の一大騒動の際には、大規模に民有地を囲い込んだ上、歩哨の自衛隊員に拳銃の携行をもさせた。さらに、ただでさえ危険極まりないと言われる普天間基地に、県民がこぞって反対するウルトラ欠陥機MVオスプレイの配備を強行すると米側は公言し、そのため普天間基地の継続使用すなわち「普天間基地の固定化」が喧伝される傍ら、その一方で、同基地の嘉手納基地統合の動きも強まっている。
 このように米軍基地と自衛隊基地強化の動きが急を告げる中、私たちは、今回2012年平和行進を与那国島でスタートさせた。国境の島を軍事の島に造り替えようとする政府に厳しく抗議するとともに、決して基地建設は許さないという決意を示すために多くの労組員が島に渡った。また、PAC3配備で揺れた宮古島で「戦争反対」の力強い行進が展開され、石垣島でも同様に行進が展開される予定になっている。
沖縄本島では、東西・南の3コースで、高江、辺野古の新基地建設反対、オスプレイ配備阻止、普天間固定化・嘉手納統合反対など新基地建設と基地の機能強化に反対するシュプレヒコールととともに、沖縄戦の風化と教科書改ざんを迫る動きに反対する抗議の声がこだました。
 昨年は、突如として発生した3・11東日本大震災の復興支援を最優先する立場から、長年継続されてきた平和行進の全国募集が見送られたが、今年はあらためて全国から1500名に上る大行進団が編成され力強く今年の平和行進に合流した。その中で、福島第一原発事故で深刻な放射能被害に見舞われた福島県から、また同様に上関原発建設問題で揺れる山口県から、そして被爆地長崎県から本土代表団が選出され「反原発」「脱原発」「核兵器廃絶」を「反戦反基地」とともに高らかに訴えた。「基地」と「原発」。国策として押し付けられた「犠牲」を甘受することなく、各地が連帯し中央政府の無謀を許さず堂々と闘い前進していくことが確認された今沖縄平和行進の意義は限りなく大きい。私たちはそのことを確認し、核兵器も原発も、そして一切の軍事基地のない平和な時代を作るために一層団結を強めて闘いぬくことを確認した。そしてそのことを本大会の名において宣言する。



【全国基地問題ネットワーク資料】
MV-22オスプレイの沖縄配備に関する問題点
作成日 2012年5月24日

(朝日新聞より)

 1.はじめに
 アメリカ政府は沖縄県に、MV-22オスプレイを配備する計画を進めています。当初、配備時期は今年10月としていましたが、7月に前倒する意向であることが判明しました。配備先は宜野湾市にある海兵隊の普天間基地です。基地所属のヘリコプター約50機のうち、旧型のCH-46ヘリ24機を、オスプレイに転換する予定です。
 オスプレイは、ヘリコプターとプロペラ機を合わせたような航空機です。左右の翼の先に可動式のエンジンとプロペラがあり、離着陸時にはプロペラを上に向け、飛行時には前に向けます。ヘリコプターと同じように垂直に離着陸し、飛行機と同じような速度と距離が出ることから、海兵隊は各ヘリコプター部隊でオスプレイへの機種転換を進めているのです。
 オスプレイはこれまでに6度の墜落事故を起こし、36人の死亡者を出しました。アメリカの専門家は、トラブルでエンジンが停止した場合に安全に着陸する機能を持たないことを指摘しています。さらに離着陸時の騒音は、従来のヘリコプターよりも大きいことが明らかになりました。
 配備先の普天間基地は、宜野湾市の中心にあり、基地周辺は住宅密集地です。昼夜を問わぬ騒音は、住民の生活を破壊しています。2004年8月には、基地に隣接する沖縄国際大学にヘリコプターが墜落する事故が起きました。危険な普天間基地に、危険なオスプレイを配備する計画に対して、沖縄では大きな反対が湧き上がっています。


2.オスプレイの危険性
(1) 6度の墜落で36人が死亡
 オスプレイは試作段階で、2度の墜落事故を起こしています。1991年の事故では死者は出ませんでしたが、1992年の事故では7人が死亡しました。さらに初期生産段階で2度の墜落事故を起こし、2000年4月の事故では19人が、同年12月の事故では4人が死亡しています。墜落事故で多くの死者を出しましたが、アメリカ政府は機体の欠陥は改善されたとして、2007年から部隊配備を始めました。しかし2010年4月にはアフガニスタンでの作戦中に着地に失敗して4人が死亡し、2012年4月にはモロッコでの演習中に墜落して2人が死亡しています。
 沖縄への配備を前に、日米両国政府は、オスプレイは安全だというキャンペーンを行っています。在日海兵隊の日本語のホームページには、「MV22オスプレイ」という資料が掲載されています。そこには「アメリカ海兵隊の過去10年間の戦闘回転翼航空機で、最も低いクラスA事故率」、「2002年5月〜現在:70,000を超える飛行時間―死亡事故0」と記載されています。
 この資料には作成日が記載されていませんが、内容から2011年以降の作成であると思われます。そのため過去10年間の事故率には、1991年から2000年までの4度の事故が含まれていません。さらに2010年の死亡事故も、カウントされていません。またオスプレイのハワイ配備に際し行われた環境影響評価(アセスメント)の資料によると、オスプレイのクラスA事故率は、過去10年では従来機のCH-46より高くなっています。アメリカがオスプレイに関して発表しているデータは、国内向けと日本向けで大きな差があるようです。
(2) 離着陸時の騒音は増大 低周波音は一部地域で基準値を超える
 アメリカ政府は、オスプレイをカリフォルニアの海兵隊基地に配備する際にも、アセスメントを行いました。報告書では従来機のCH-46と比較すると、オスプレイは巡航時の騒音はやや小さく、離着陸時の騒音はやや大きいとしています。
 また日本政府は昨年末、沖縄県に対して、名護市辺野古での新基地建設に関するアセスメントの評価書を提出しました。この評価書の中には、オスプレイが飛行時に発生する低周波音について、一部の地域では心理的・生理的に影響を与える基準を上回ると記載されています。
 2011年1月にはアメリカのアラバマ州で、住民の苦情によって空軍がオスプレイの訓練を中止する事態も起きています。
普天間基地周辺の住民は、離陸・周回・着陸を繰り返す訓練の騒音に悩まされています。騒音増大は、住民に多くの苦痛を与えるでしょう。
(3)離着陸時に強い風圧と排気
 オスプレイが離着陸する際に、回転するプロペラが下方向に巻き起こす風圧は、相当に強いようです。アメリカのニューヨーク市では2010年5月に、展示飛行で飛来したオスプレイが会場の公園に着陸しょうとした際、風圧で周りの木を折り、10人が怪我する事故が起きました。
 また沖縄県が入手したアメリカ海軍のレポートは、離着陸時にエンジンの排気によって火災を引き起こす可能性があることを明らかにしています。レポートによると米軍は、離着陸に際して茂みを避けることなどで火災は回避できるとしているようです。
 オスプレイが配備される普天間基地の滑走路はアスファルトで覆われています。しかし、オスプレイが飛んでいく先の一つである北部訓練場は、森林地帯の中にあります。またヘリコプター着陸帯(ヘリパット)の周辺には民家もあります。オスプレイの離着陸による事故が発生する危険性は大きいでしょう。
(4)オートローテーション機能がない
 ヘリコプターが飛行中にエンジンが停止した場合、機体が落下を始めると、下からの風を受けてプロペラが回転し、その揚力で不時着の際の衝撃を弱めることができます。これをオートローテーションと言います。オスプレイは、離着陸時にはプロペラを上に向けて、ヘリコプターの様に飛行します。しかしオスプレイには、オートローテー 『琉球新報』(2012年1月23日)は、「米国防総省付属機関・国防分析研究所(IDA)で1992年から17年間、オスプレイの技術評価を担当した元主任分析官レックス・リボロ氏が米下院の公聴会で『オートローテーション機能の欠如』を『重要な問題点』と明らかにし、『飛行中にエンジンが停止した場合の緊急着陸機能が欠如している。人命軽視の軍用機だ』と証言した」と報じました。
(5)飛行機モードでの不時着ではプロペラが飛散する
 報道機関の取材によって、オスプレイがエンジン停止のトラブルを起こした場合には、プロペラを上に向けたヘリコプターモードではなく、プロペラを前に向けた飛行機モードで滑空して着陸することが明らかになりました。しかしオスプレイのプロペラは機体の高さよりも高いため、前に向けたまま着陸すればプロペラが地面に接触します。これでは安全に着陸することはできません。そのため飛行機モードでの緊急着陸時には、プロペラは機体にぶつからないように、外れる設計になっているようです。この場合、機体や搭乗者は安全かもしれませんが、高速で回転するプロペラが飛散することになり、周辺に大きな損害を与えることが想定されます。

3.日本政府は何も知らされていない
 2011年6月13日に防衛省で開かれた記者会見で、オスプレイの危険性について問われた北澤俊美防衛大臣(当時)は、次のように答えました。
「淡々と2007年以降の7万時間に及ぶ実績データを沖縄の皆様方に開示をして、ご理解をいただくと。科学的に判断をしていただければいいのではないかということで、今後も沖縄のご質問には米側からのデータを徴収しながら進めて参りたい。」
 それでは、防衛省の持っているデータとは、どのようなものでしようか。『琉球新報』(2011年6月9日)に、「オスプレイ 防衛省 ネットで安全情報収集 米が詳細提供せず」という記事が掲載されています。内容は以下の通りです。
 「普天間飛行場に2012年後半に配備が予定されている垂直離着陸輸送機MV22オスプレイをめぐり、米側が安全性に関する詳細な情報を提供せず、防衛省がインターネットで米国防総省のオスプレイに関する公表資料や米国内の環境影響評価(アセスメント)などで情報を収集をしていることが、8日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。 同日行われた県選出国会議員の意見交換でも、オスプレイ配備について説明に訪れた防衛省の担当者が米側から資料提供を受けていないことを認めた。開発段階で事故が多発した同機の配備に対し地元の懸念が強まる中、両政府が詳細な情報を共有してこなかったことが問題となりそうだ。政府関係者によると、日米防衛当局はオスプレイの配備について議論をしてきたが、米側が「軍事機密」などとして性能や安全性に関する詳細なデータを提供していないという。」
 民主党政府はオスプレイの安全性を強調しています。しかしアメリカから情報を得ることができず、沖縄県民に対して、インターネットで収集した内容をもとに「科学的に判断」することを求めているのです。これでどうして、安全だという政府の言い分を信用することができるでしょうか。

4.運動の焦点
 以上、見てきたように、オスプレイは通常の飛行でも騒音が増大し、墜落の危険性が大きく、緊急着陸に対応できない可能性が高いことが明らかです。このオスプレイが、普天間基地を起点にして、嘉手納基地、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブ、北部訓練場、伊江島演習場などとの間を飛び交うことになるのです。沖縄本島の北部・中部の全域が危険にさらされます。
 沖縄では今年の夏以降、米軍に関連する大きな動きが三つあります。一つはオスプレイの7月配備です。二つ目は辺野古新基地建設のための海の埋め立て申請です。政府は基地建設のアセスメント評価書を昨年末に沖縄県に送付し、沖縄県は知事意見を今年3月に政府に提出しました。政府は年末までの間にアセスメントの全手続きを終了させ、沖縄県に対して埋め立てを申請すると想定されます。三つ目は北部訓練場内の東村高江でのヘリパット建設の強行です。
 オスプレイの配備と、辺野古新基地建設、東村高江のヘリパット建設は連動しています。オスプレイ配備を許せば、一方で普天間基地の暫定使用を長期化させ、他方で辺野古新基地建設の動きを強め、高江ヘリパット建設を進めさせることになるでしょう。しかしオスプレイの配備を阻止できれば、海兵隊は部隊の運用に支障をきたし、県外・国外への移転を進めることにつながります。
 オスプレイ配備を止めるために、沖縄平和運動センターや、基地の県内移設に反対する県民会議が、様々な行動を計画しています。こうした沖縄現地での行動に積極的に参加し、支援するとともに、各地で沖縄集会やデモを行うことで、オスプレイの配備を阻止するための全国的な運動を作っていきましょう。

●タイトル頁に戻る ●目次頁に戻る ●機関紙頁に戻る ●次頁に進む