学校経営について

(その1)

発行者:埼玉県大里郡岡部町岡部小学校・若林直樹校長

発行日:1999年4月

 下記の資料は「埼玉県大里郡岡部町」の「岡部小学校」で教職員に配布されたもの
 です。「若林直樹」校長は、1999年4月の人事異動で嵐山・菅谷中から異動さ
 れた方のようです。

 お読み頂くとおわかりになりますが、学校教育を受けられるお子さんを
 お持ちの方は、それぞれお子さんが通っていらっしゃる学校の校長に
  「自分の子どもにどのような付加価値をつけるつもりか」
 ということを、お尋ねになった方がよろしいのではないかと、
 かように私は思います。

 今、「日の君」が問題になっておりますが、これも「付加価値」の
 一つとお考えの校長先生もいらっしゃるのではなかろうかと、
 思ってみたりもします。

 子どもが「キレる」ということが言われており、それがどのような状況のことを
 言うのかはわかりませんが、しかし、このように「付加価値をつけさせられる」
 子どもたちはたまらないだろうなぁ、と思ってしまうのは私だけでしょうか。

     学校経営について(その1)                   平成11年4月 岡部小学校  若林 直樹 1.経営理念  経営とは利益を目指すものである。学校は保護者から大切な児童を預かり、望まし い姿に変容させる所である。保護者は学校に対して、自分の子どもに生きる力を付け てくれることを期待している。子ども自身も小学校段階では学校教育によって自分自 身をどう高め変容させればよいかを主体的に判断することは難しいが、変容できたこ とを年齢が上がるにつれ自覚できるようになる。このことから保護者も子ども自身も どちらも学校という機関に変容を期待していると考えてよい。学校経営で目指す利益 とは子どもの変容のことである。子どもは年々放っておいても変容していく。この放 っておいても成長する変容しか得られないとしたら学校教育は何もしていないのと同 じとなり、何ら利益をあげたとは言えない。学校教育目標に沿って意図的計画的に子 どもの変容を図ることが子どもに付加価値をつけることになる。小学校の教育は保護 者から児童を預かり、付加価値をつけ中学校に送り出すことを使命とするといっても 過言ではない。 2.全教職員の経営参画  学校が子どもの望ましい変容をねらいとする人材養成工場とみれば、校長は工場長 であり、経営最高責任者となる。運営委員会は人材養成工場の養成方針の企画にあた り、運営委員はその企業の部長であり、利潤追求のアイデアと経営手腕が要求されて くるものである。担任の教師は任された学年や学級という人材養成のそれぞれの工程 の最高責任者となる。当然それぞれの工程での利潤を追求し利益をあげなければ人材 養成工場全体の利潤は見込めない。やはり利潤追求のアイディアと経営手腕が要求さ れてくる立場にある。限られた経営陣(全部で22名)でより効率よく利益をあげる ためには経営陣全員が1つの利益をあげるという目標に向かって、足踏みを揃え経営 参画意識を持って進むことが求められて来るのは当然である。 3.経営参画意識の停滞を防ぐために  経営参画意識を持っても、過去のやり方になれており、そこから抜け出そうという 意識が働かない限り、経営参画意識は停滞する。子どもにどのような付加価値を付け たらよいのかを考察することから停滞を防ぐことが可能となる。日本は無資源国であ る。その代り人材だけは豊富といえる。この人材に対して社会が求めているものは、 創造力のある人材である。この視点から言えば、付けるべき付加価値は子どもに創造 的な思考力を身につけさせることが社会から求められていると言えよう教科の指導を 通して創造的な思考力をどう付けられるのか。その考察が教材研究となる。  常に、創造的な思考力を子どもに付けさせるにはどうしたらよいかを意識して学習 指導にあたることが経営参画意識の停滞を防ぐことになる。 4.算数科の研究授業を求めた理由  創造的な思考力を付けるには、どの教科でも可能であるが、算数科が一番課題解決 学習させやすいので取り上げて見た。研究授業をするとなると授業者はそれなりに教 材研究をするが、創造的な思考力を付ける授業に迫れるかが問題となる。小学校段階 では創造的な思考力そのものを追求し身につけさせることは大変難しい。その基本と なるものに重点を置くべきでしょう。具体的には「自己教育力を付けさせる」ことを 目的に学習展開をすることが一番手堅い方策ではないかと考える。さらに、自己教育 力を付ける算数指導は問題解決学習を追求することにより所期の目的は達成されやす い。算数科の授業を持っている先生には必ず年1回は研究授業を、算数科を持ってい ない先生には自分の最も得意とする教科の研究授業を年1回どちらも「自己教育力を 付けさせる」を共通のテーマとして実施してみることが児童のためにもなるし、先生 方の力量をつけることにもつながる。このことが研究授業を先生方に求める最大の理 由である。授業を通してどのような児童を作っていくかを常に考えて授業を展開する ことが、授業経営となる。教師の経験年数を積むのではなくキャリアの豊かな教師と なって欲しいと願って研究授業を一人最低1回は年間に実施して欲しいものです。
(Web管理者記)
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