メッセージ 弁護士
1998年3月31日(火)

所沢高校の処分問題について
                         1998年3月31日
                       東京弁護士会
                       弁護士  伊 藤 和 子

 今回の処分は、行政が、生徒たちが自分たちで考え、築きあげてきた自主的
活動を、教師の処分という威嚇的手段により、力で抑圧・蹂躪しようとするも
のであり、教育の名に値しない、到底許されない処分である。
 埼玉県教育委員会は、このような不当処分を直ちに撤回すべきである。
 所沢高校の生徒の皆さんには、こうしたあらゆる妨害に負けずに、生徒たち
の自治と権利を守るため、皆さんの素晴らしい力を発揮されるよう、期待して
やみません。
 全国の子どもたちが皆さんの行動に励まされています。がんばって下さい。


                           1998.3.31                             津 田 玄 児               コメント  所沢高校の竹永教諭に対し、「4月9日は『入学を祝う会』のみを行い、教 職員も校長の行う『入学式』に反対する」主旨の発言をしたことを理由に、 「戒告」の処分がなされたことを聞き、大変驚いています。  私は伊藤弁護士と共に、東京弁護士会の子どもの人権相談センターの相談員 として、生徒たちが自主的に開催する、「卒業記念祭」・「入学を祝う会」へ の校長の介入について、子どもの権利を侵害するものではないかとして相談を 受け、関係者から事情を聞きアドバイスをしてきた者です。  これらの「会」は、昨年校長が職員会議の決定を覆して、「入学式」を強行 したために発生した混乱に、生徒が巻き込まれた事態の再発を避けるため、生 徒たちが自主的に組織したものです。生徒たちはこのことについて校長との 「話し合い」を求めていますが、校長は「生徒は指導されるもの、説明はする が話し合いはしない」として、「話し合い」を拒否してきており、県教育委員 会も、この校長の行為を放置し、適切な行政上の指導をしていないと聞いてい ます。  子どもの権利に関する条約は、子どもたちに影響を及ぼすあらゆる事柄につ いて子どもたちが自主的に意見を述べることを保障し、大人がその意見をきち んと受け止める(12条1項)ことを、子どもたちの生存・発達の確保の基本 としています。それにより子どもたちがすこやかに成長することが保障される ともに、大人も自らの誤りに気づきこれを正すことが出来るからです。所沢高 校の生徒たちの、校長が引き起こした混乱を避けるための自主的な取組は、そ の意味でも貴重であり、校長を始めとする教職員、そして県教育委員会は、こ れをきちんと受け止める義務を負っているはずです。  生徒との「話し合い」を拒否する校長への指導を怠りながら、逆に生徒たち の取組に理解を示す教師の発言の主旨をとらえてこれを処分することは、子ど もたちの「入学を祝う会」の取組への露骨な圧力です。子どもたちを動揺させ、 自由に意見表明が出来る環境を封ずる、子どもの権利の侵害であるばかりか、 所沢高校における混乱の、自主的な解決の芽を摘み子どもたちを巻き込んだ、 混乱を放置することにつながり、こどもの生存・発達の視点からも、絶対に容 認できるものではありません。  条約の実施に責任を負う立場にある、県教育委員会によりなされたというこ とは、条約違反の問題でもあり、国の内外で広く取り上げられるべきであり、 今年五月二七、八日に予定されている、日本における条約実施についての、国 連子ども権利委員会における、日本政府の報告審査においても、問題にされる べきだと考えます。

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