講演会報告

「政治は民意を尊重することが大事」
前岩国市長 井原勝介さん講演会報告

「違法爆音はどこでも違法!『厚木』と『岩国』を結ぶ集い」
2010.1.31 大和市生涯学習センター
主催:厚木基地爆音防止期成同盟、第四次厚木爆音訴訟団、基地撤去をめざす県央共闘会議
より



 1月31日、「違法爆音はどこでも違法!『厚木』と『岩国』を結ぶ集い」を、岩国市前市長の井原勝介さんを招き、大和市内で開催した。(主催:厚木基地爆音防止期成同盟、第四次厚木爆音訴訟団、基地撤去をめざす県央共闘会議) 

 井原さんは講演の中で、「厚木」と「岩国」という点にも触れ、艦載機を送り出す側と受け入れる側であるが、爆同をはじめ神奈川の人たちは、以前から岩国の闘いも応援していただいており、大変感謝していると語った。

 集会は、冒頭に西山正啓監督の「岩国の選択」ダイジェスト版を上映した後、講演と質疑応答が行われた。沖縄・辺野古への関心で陰に隠れがちな岩国の現状も含めて、井原さんから直接、話を聞く機会となった。


最近の著書「岩国に吹いた風」の内容を
紹介しながらお話される井原前岩国市長

井原氏の講演内容

 選挙は必ずしも民意を反映するものではないため、住民投票によって民意を測ることが重要である。

 名護では13年前に住民投票で民意が示されたが、その後は、市長により捻じ曲げられてきた。今回の選挙でやっと元に戻ったと考えている。また、今回の名護の「選挙監視団」にも注目しており、岩国でも今後はこういうことを考えたい。

 国や県は民意を受け止めることはなく、私が国の言うことを聞かなかったので、どんどん露骨に圧力をかけてきた。しかし、政治は民意を尊重することが大事であり、受け入れを容認することはできなかった。


熱心にお話を聞く参加者
 国や県との裏交渉というものもあった。人目に付きにくい場所を選び、本音で話をするが、官僚は言葉を巧みに用い、事実上の容認を飲ませようとする。

 当初、反対していた人が急に態度を変えたりすることがあるが、これは裏取引によるものである。

 愛宕山開発について、今になって米軍住宅にするというが、だまされたというのが本当だ。

 10年くらい前から滑走路の沖合移設のため愛宕山を削って埋め立ての土砂に使い、山を削った広大な土地を住宅地として開発しようとした。

 この沖合移設でもだまされた。最初から米軍の移駐を前提にしていたのではなかったのか。よく考えれば、滑走路はあるのだから、2500億も3000億も使って新しい滑走路を造り、移設で済むわけがない。

  だまされたという話をしたが、それは法律的にどこかおかしいところがあるはずだ。滑走路の沖合移設に関しては、知事による公有水面埋め立て承認が、工事が終わってないにも関わらず米軍再編に組み込まれることになり、当初の承認理由から変わってしまった。

  それで取り消しを求める裁判に訴えた。その他にも、基地の爆音訴訟、愛宕山開発事業認可取り消しの取り消しを求める訴訟、愛宕山米軍住宅化に関する「市長協議報告書」の全面公開を求める訴訟を提起している。

 新政権は、来年度予算に艦載機部隊移駐関連の約270億円を計上しており、そのうち、愛宕山買取費用が約199億円である。新政権にはある程度期待していたが、見直しをすることもなく計上され、ショックである。しかし、4月までに止めなければならず、落ち込んでばかりもいられない。

 政権交代があったといってもすべてがうまくいくわけではない。我々が声を出し、動くことによって変えていくしかない。

[質疑応答]

(質問) 新政権で少しは民意が反映されるようになったのではと感じるが、外務省や防衛省の官僚がネックとなっているように思うがどうか?
(井原) 官僚は一般的に民意を聞こうとしないが、外務省や防衛省は特にその傾向が強い。民意を踏まえた外交に転換しない限り、米軍再編もうまくいかないだろう。

(質問) 沖縄が焦点になってはいるが、一方で岩国や座間などをみると米軍再編全体を攻めきれてないのでは?
(井原) 安保条約破棄や基地撤去をいってもすぐにコンセンサスが得られるものではない。それよりも日本の安全保障の在り方、アジアとの関係を根本的に議論し、時間をかけて解決する必要がある。そうはいっても、基地の負担を少しでも軽減することも迫られている。民意を反映させるため、国民も参加して議論をつくし、納得できる解決策を作っていく必要がある。


[本の紹介]

「岩国に吹いた風」
 岩国前市長 井原勝介著
 高文研発行
 \1,890

井原氏の最近の著書「岩国に吹いた風」の中では、この講演会でお話された内容が詳しく書かれています。
 
 井原氏のブログはこちら