訪問記

戦後の在日朝鮮・韓国人のくらしを知る

「韓国併合」100年と在日韓国・朝鮮人(後編)- 在日と戦後社会-
高麗博物館
2012.4.4〜8.26

 
  「『韓国併合』100年と在日韓国・朝鮮人(後編) 在日と戦後社会」展が新大久保・高麗博物館で開かれている。2010年11月から翌年3月まで開かれた前編─1945年までを引き継ぐもので前回以上に盛りだくさんな内容になっている。年月のみ考えても前編35年に対し戦後はその倍近くあるわけで、そのうえ朝鮮半島が二つの国に分割されたことから一層複雑になった歴史をまとめてくださったスタッフの努力に感謝するばかりだ。



 
  45年8月の解放が明るい希望を与えたのもつかの間祖国への帰還は進まず、さらに朝鮮戦争が追い打ちをかけ多くの在日の人々が日本に残ることを余儀なくされた。彼らの生きるための闘いの歴史は一方で日本の社会が戦後もいかにひどい差別を行ってきたかを教えてくれる。

 度重なる民族団体の解散や朝鮮人学校の閉鎖など在日の団結・自立を阻もうとする日本政府とそれに協力するGHQは、在日の人々を人権をもった個人ではなく管理すべき対象として取り扱ってきた。(この国の政府は基本的には今も「自国民」に対しても同じ態度だけれど)その露骨なあまりにひどい状況に行くたびも立ち上がった人々の姿は心を打つ。

 生活保護要求闘争、小松川事件、金嬉老事件、出入国管理法案反対闘争、日立就職差別反対裁判、指紋押捺拒否運動・・・さまざまな展示は記憶の底に残っているものも初めて見るものもあるが一方的な報道しか見てこなかったことに恥じ入る思いだ。

 展示は闘争の歴史ばかりでなく、下関、猪飼野、三河島などの町の様子や文学・映画などの紹介コーナーもある。この機会にぜひ目を通してみたいと思った。
 あと会期は1カ月あまりだが、ひとときお立ち寄りいただきたい。

                 

高麗博物館のサイト
http://www.40net.jp/~kourai/
 
 「『韓国併合』100年と在日・韓国朝鮮人(前編)」展を紹介したPNの記事はこちら
http://www.jca.apc.org/~p-news/bunka/kourai2011_0306.htm

Y.A