ハリケーン「カトリ−ナ」による大災害は人災


ブッシュ政権は、
この自然災害に備えるために必要な財源を
イラクでの征服戦争のための財源へと転用した!



インターナショナル・アクション・センターの声明 (その1)
Statement from the International Action Center
2005.9.2


 こちらには詳しい論評が載っています
 ブッシュの被災者放置=人種差別とイラク戦争政策最優先に怒りが爆発
(アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局へのリンク)


 米の反戦平和団体 − インターナショナル・アクション・センターがハリケーン「カトリーナ」の大災害についての声明を発表しています。
 
 そこでは、この災害は決して自然災害ではなく、イラク侵略と占領のために自然災害対策予算を削減し、シミュレーションでも既に明らかにされていた災害対策を怠ったこと、実際にハリケーン「カトリーナ」の接近に際しても、車など移動手段をもたない貧困な住民が避難できないのを承知で何の緊急対策もとらなかったこと等、ブッシュ政権の反人道的・非人間的な政策を強く非難しています。

 日本の政府はこうした反人道的・非人間的政策をとるブッシュ政権を支持し、米の支援のためだけに、自衛隊をイラクに駐留させ続け、更に1年延長することを狙っています。

 イラク占領がイラクの人々に対してだけでなく米と世界の人々の平和と安全にとって脅威であることがますます明白になっています。

 世界の反戦平和運動の力でブッシュのイラク占領を終わらせましょう。自衛隊のイラクからの早期撤退を実現しましょう。

 インターナショナル・アクション・センターセンターの声明を2回に分けて紹介します。
(翻訳ピース・ニュース)
 
 時間を追うごとに、ハリケーン「カトリーナ」通過後の恐怖と惨状の事態が明らかになっている。これらのイメージを更にショッキングにしているのは、これらの死と破壊の多くは防ぐことができたということである。

 ハリケーンによって生じた死と破壊のほとんど全てはブッシュ政権による犯罪的な無策の直接の結果である。この危機は多くのリポートや新聞記事によって予測されていたにもかかわらず、ほとんど何も対策が施されなかったのである。

 自然災害は我々のコントロールを超えたものであるが、予測し予知することのできる災害に対する備えはコントロールできるものである。前もって人々とその住宅を守る計画が作成されていれば自然災害も大惨事にならずにすむ。しかしその計画は作られなかったのである。

 苦しんでいる人々が有色人種であるということに触れないでこの大惨事を語ることはできない。ニューオーリンズの住民の70%は黒人であり、ハリケーンの影響を受けた周辺の地域でも大半は黒人である。
彼ら黒人を避難させる為に何の準備もされなかったし、嵐の後の基本的な緊急要請にはなんら考慮が払われなかった。そして現在でさえも彼らは政府から見捨てられ無視されている。これらの事実はアメリカ社会の核心とブッシュの政策の中心に人種差別があることをむき出しにしている。

 危機の前から危機の間中、政府のあらゆるレベルでの犯罪的な怠慢は、これらの権力にいる人々にとって貧しい人々、特に黒人の生命は絶対的に何の関心もない、という明らかなメッセージを発している。

 ブッシュ大統領はこの種の自然災害に備えるために必要な財源をイラクでの征服戦争のための財源へと転用した。ブッシュは既に2001年、FMEA(連邦緊急事態省)が危険の可能性を警告したにもかかわらずこのことを実施したのである。ヒューストン・クロニクル紙は2001年12月1日にこう報じた:「ニューオーリンズは沈みつつある。ハリケーンからの主要なバッファである守り神のミシシッピ河デルタは急速に浸食され歴史的に重要な街は危険な状態で大惨事に見舞われる可能性が高い。・・実際のところ、連邦緊急事態省は今年の初めに、ニューオーリンズの潜在的な危険性をわが国で直面しているもっとも破壊的な大惨事として可能性の高い3つのうちの一つとして位置づけたほど不安定なのである。」

 ブッシュ政権はその危険性を承知していたしそれにどう備えるかも承知していた。しかし彼らはほとんどなにもしなかった。―― 彼らは実際には予防と緊急対応措置のための財源をカットし、その地域の人々を不可避の大惨事に孤立無援で立ち向かうようにさせたのである。今まさに、ニューオーリンズと無数の周囲の地区の壊滅とともに、数万人の人々が食料も飲料水も電気もない状態におかれている。数千の住宅が破壊され死者数は上昇を続けている。

 これは前例のない規模の大惨事である。この大惨事に喘いでいるのは貧しい労働者、特に有色人種である。

 備えなし

 大惨劇の展開を見ると、連邦政府と気象学者も含んで誰もが巨大な規模のハリケーンがその地域に向かっていることを知っていたにもかかわらず、現実的な非難計画は何も立てられなかったことは明らかである。

 老人、障害者、貧困層にとって避難やシェルターの提供は何も無かった。「誰もが自分自身のために」ということだ。避難する能力のない人々、避難のために金を支払うことができない人々は自滅することを余儀なくされた。ニューオーリンズの人口の20%、圧倒的に最貧困層の10万人以上の人々に対して、何の処置も取られなかった。車もなく、クレジットカードもなく、ホテルの予約もない人々はなすすべも無くただ迫り来る氾濫を待つだけだった。死者数は増大し続け、そのことは政府が特に貧困層と労働者の人命に何の関心もないことをますます明らかにしつつある。

 もし政府が人々の生命を気遣うならば、なすことができ、またなすべきだった明白な多くの事がある。人々の避難のために列車、航空機、バス、そしてその他の移動手段を用いることができたであろう。地域中のコンベンションセンター、ホテル、大学寮をシェルターとして使うことができた。政府は私企業の住宅開発業者の利益のために、土地収用法を使って労働者の所有地を取り上げる。今回は本当に人民のために土地収用法を使うまたとないチャンスであったであろう。

 避難についての何の計画もなかったために、2万人以上の人々がスーパードームに群がった。そこでは何日も十分な食料も、保護施設も、水も、医療的ケアも無かった。ニューヨーク・タイムズ紙はこう報じている「水曜日には悪臭がただよっていた。メインエントリープラザでは、焼け付くようなルイジアナの太陽に焼かれて膨らんだ白いビニール袋の腐ったごみの山が、屋根やバルコニーから救出された後、新たにドームに到着した避難者の息を詰まらせた。トイレから押し寄せる香りはなお一層むかつくものだ。鼻をつく泥と残飯で滑りやすくなったごみ屑は廊下と通路に溢れた。」

 状況を写すビデオ(下記を参照)はまさに状況がどのように絶望的かを示している。- 人々には食料も水も医療もない。遺体が道路に積まれている。人々は完全に政府から見捨てられたのだ。

 連邦政府の即座の大量の介入のみが状況を救済できる。政府は食料と医薬品の備蓄へのアクセスを持っており、政府はそれらを配給するための輸送機とヘリコプターを保有している。しかし、人々が死んでいるのに、まだ政府は動かないことを選択している。

 
 戦争と富裕層の減税のために緊急事態準備をカット

 この強さのハリケーンはいつかは避けられないことを知りながら、ブッシュ政権はこの地域での米工科軍団の予算を71.2百万ドル削った。この削減はハリケーンと洪水予防のプロジェクトとカテゴリー5のハリケーンから地域を予防する方法を決定する調査を削った。この削減は富裕層への減税とイラク占領のための予算を工面するための削減の不可欠なプログラムであり、ブッシュ政策の一部であった。

 洪水予防のための予算の71百万ドル以上の削減を、ルイジアナの人々からイラクの戦争のために取り上げる17億ドルと比べれば、ブッシュの終わりなき戦争政策がいかにこの地の人々を危険に晒しているのかというもう一つの見本となる。

 8月30日のエディター・アンド・パブリッシャー紙はデルタ地帯で工科軍団が計画した堤防の補強と揚水ステーション建設の決定的に重要なプロジェクトが遂行されなかったことを暴いた。「軍団はイラクでの戦争の支出と本土の安全対策のための支出による圧迫が連邦政府の減税と同時にやって来たことが緊張を招いていることの原因であることを隠そうとはしない。

 「2004年のハリケーンシーズンはここ十年で最悪のものだった。それにもかかわらず連邦政府はこの春、ニューオーリンズのハリケーンと洪水対策予算の歴史上最も厳しい削減を行ったのである。」

 
 イラクへ送られた緊急事態専門家と装備

 通常は避難の支援と大惨事の救援に配備される州兵は十分に対応することができなかった。というのはミシシッピ州兵の40%、ルイジアナ州兵の35%がイラクにいるからである。彼らの装備の大半もまたそうである。それらの装備には高水位車両、ハンビー、燃料補給車、発電機などが含まれる。それらはこのようなタイプの緊急時に対処するためには必要不可欠なものである。

 ワシントンポストによれば、「数千の市民兵がイラクで戦闘している状態のため、ハリケーン「カトリーナ」に直撃された州は昨日、救助と治安任務を緊急要請した―― 部隊のうちでも、陸軍部隊と浄水チームを要請した。そして遠隔の州の援助と現役軍の援助を要請した。」

 州兵の隊員の多くは緊急医療専門家であり、消防隊員である。彼らはこの大惨事から隣人が復旧するのを支援するために郷土にいるべきなのであり、不法な占領を維持するためにイラクにいてはならない。

 
 環境問題の軽視による惨禍の激化

 自然の緩衝地帯となっていた湿原地帯の除去により洪水がより激しいものとなった。ブッシュ政権は20百万エーカーにも上る湿原地帯の連邦保護を除去した。ブッシュ政権は人命の完全な無視と1997年京都議定書を遵守することを拒絶し国際法への軽視を実証した。京都議定書は合衆国とその他54の国が署名した条約である。その合意は地球温暖化を引き起こすCO2の排出に制限を加えようとするものである。

 英国政府のチーフ科学アドバイザーであるディビッド・キング卿はハリケーン「カトリーナ」による惨劇は地球温暖化がもたらした可能性があると述べた。「ハリケーンの強さの増大は地球温暖化と関係がある。1987年以来、ハリケーンの強さは海の表面温度と関係があることが知られており、ここ15から20年にわたりこの地域の海面温度は0.5℃上昇していることが分かっている。つまりハリケーンの強さの増大は地球温暖化と関係していると結論付けることはたやすい」

その2へ続く