STOP!ブッシュ・小泉 2004年12月
アフガン・イラクの次を北朝鮮にするな
◆◆有事立法が成立してしまいました。平和憲法を打ち砕くような暴挙です。◆◆
しかしこれで全てが決まってしまったわけではありません。
●私たちは、戦争準備の一つ一つの動きに反対して、有事法制を発動させず、再び日本が侵略戦争を行う国にならないよう平和の取り組みを強めていかなければなりません。

●これまでの「やめろイラク攻撃!STOP!ブッシュ・小泉」のコーナを、「STOP!ブッシュ・小泉!アフガン・イラクの次を北朝鮮にするな」コーナに変更して、引き続き戦争への危険な動きに警鐘を鳴らして行きたいと思います。
イラクでの植民地支配の実態、日本やアメリカによる北朝鮮への戦争準備の動きと
それに反対する動きなどを伝えてゆきます。

 2004年11月のページへ


 12/31

韓国軍もイラク派遣期間を一年間延長

日韓の反戦運動の連帯で
   イラクからの両軍の撤兵を勝ち取ろう!


 韓国国会は31日夜、同日で期限が切れる韓国軍のイラク派遣期間を、05年末まで1年間延長することを投票総数278、賛成161、反対63、棄権54の賛成多数で可決した。与党・開かれたウリ党からは3分の1もの反対票がでたが、野党ハンナラ党が賛成に回ったため可決された。

 北朝鮮を反国家団体とする国家保安法の改廃問題をめぐる与野党対立のあおりで国会が空転し、期限切れの1時間余り前になっての延長決定となった。韓国は、イラク北部のクルド人自治区アルビルに米英に次ぐ3600人規模の部隊を派遣しているが、派遣延長の同意案が31日までに可決されなかった場合、駐留の法的根拠がなくなり、活動ができなくなるところだった。

 これで、日本の自衛隊、韓国軍がともにイラクへの駐留を一年間延長することになり、両国は、米ブッシュ政権の不法で残虐極まりないイラク侵略・占領を支持し、積極的に支援するという恥ずべき国となってしまった。

 しかし抵抗戦争がますます強まる中、闘いはむしろこれからである。日本と韓国の反戦運動は、日韓両軍のイラクからの即時撤兵を勝ち取るために、連帯して闘おう!

 12/30

反米、反占領軍の抵抗さらに激化 
         米軍兵士の死亡も急増


米と多国籍軍はイラクからただちに撤退せよ!

 AP通信は30日、イラク駐留米軍に対する抵抗勢力の武装闘争のデータをまとめ、04年夏以降、情勢が悪化し続けていると総括した。同通信によると、米軍は9月からの4カ月間に少なくとも348人の死者を出し、累計で1万人を超えた負傷者の4分の1以上も、最近4カ月間の戦闘や仕掛け爆弾、自爆攻撃によるものという。ブッシュ大統領が「大規模戦闘の終結」を宣言した03年5月1日までの負傷者が542人だったのと比べ状況の悪化が際立つ。米軍と有志連合軍への攻撃件数も、03年は9月649件、10月896件、11月864件だったのが、04年の同じ3カ月には約1400件、約1600件、約1950件と激増した。米兵の死者数は04年前半には月平均62人だったが、6月末にイラク暫定政府に主権を移譲して以来、月平均78人にはね上がっている。開戦後に死亡した米兵のうち200人近くが州兵や予備役からの動員組だが、この3分の1以上も最近4カ月間の死亡で、11月には27人と最悪を記録したという。

 反米、反占領の抵抗闘争は激化の一方をたどっている。1月30日の国民議会選挙強行に抵抗して、さらに闘争は激化するであろう。米軍と多国籍軍がイラクを占領し続ける限り、そして米とその傀儡(かいらい)政府=暫定政府が選挙を強行してイラクを支配し続ける限り、抵抗闘争は決してなくならない。

 12/29

サマワ陸自宿営地近くで迫撃弾5発 

自衛隊への攻撃の可能性がさらに高まっている

 サマワの陸上自衛隊の宿営地の近くで未使用の迫撃砲弾5発が見つかり、通報を受けた地元警察が30日朝から捜査を始めたという。警察によると、砲弾は宿営地近くの河原の穴などに隠されていた。宿営地では4月から計8回、迫撃砲弾やロケット弾などによる攻撃が起きている。

 「自衛隊がいるところが安全」とうそぶいた小泉首相だったが、自衛隊が直接武力攻撃を受ける可能性は増大している。米を支援する日本に対するイラク人民の反感が強まっている。自衛隊はイラクから撤退しない限り攻撃の可能性にさらされている。攻撃を受ければ、応戦になり、自衛隊がイラク人を殺傷する可能性もまた高まる。そしてイラク人の対日感情はさらに悪化するであろう。
 
 小泉政権は、自衛隊員が殺される前に、そして自衛隊員がイラク人を殺す前に、即刻の引き揚げを決断すべきだ。

 12/29

自民の新憲法制定推進本部 4月末までに「試案」へ

憲法改悪反対の動きをさらに強化していこう!

 21日に発足した自民党の新憲法制定推進本部(本部長・小泉首相)は、来年4月末までに憲法改正草案の「試案」をまとめる方針を決めたという。1月24日に起草委員会(委員長・森前首相)の初会合を開き、テーマごとに設けた10の小委員会で具体案を検討する。

 この新憲法制定推進本部は、陸自幹部の改憲案提出という違憲・違法事件をもみ消すために、そして「草案大綱素案」への強い党内批判のために、それまでの党憲法調査会の憲法改正起草委員会を廃止して新しく出直しを図ったものである。起草委員には幹事長経験者も加え、その起草委のもとには、総裁と衆参議長経験者でつくる「顧問会議」を設置して、挙党体制をとっている。

 小泉・自民党は、来年11月の立党50周年へ向けて、憲法改悪草案作りに挙党体制で走り始めた。軍事国家化、日米同盟の強化、教育の反動化などを許さないためにも憲法改悪反対の動きを強化していこう。

 12/27

広島陸自第13旅団のイラク派遣に反対して
      市民が人間の鎖を計画


小泉政権は自衛隊派兵延長を撤回せよ!
           全部隊を即刻撤退させよ!


 広島県の海田町に司令部を置く陸上自衛隊第13旅団のイラク派遣に反対し、市民らが第5次派遣部隊の出発直前の1月22日、陸自海田市駐屯地を取り囲み、人間の鎖を作って反対を訴える計画という。県内の被爆者や市民団体メンバー、弁護士、宗教関係者ら41人の呼びかけ人が「私たちの戦後60年間が問われている。ヒロシマから実質的な軍隊である自衛隊がイラクに行くのを見過ごすわけにはいかない」とする「ヒロシマ・ピープルズ声明」を27日発表した。

 同旅団からは今月6日ごろ、クウェートで半年間の後方支援活動にあたる第3次業務支援隊が出発。1月末〜2月初旬には、第5次派遣部隊の参加要員約20人が出発する。同部隊は、イラク・サマワで3カ月間、活動する予定。4〜5月に交代する第6次派遣部隊にも、同旅団から約20人が参加するという。

 12/24 憲法全面否定の改憲案を作成・提出した
    陸自幹部に口頭注意のみ


防衛庁内部の身内調査ではなく
    国会で徹底調査し厳しく処分せよ!


自民党はただちに改憲策動を中止せよ!

 防衛庁は24日、陸上自衛隊幹部が現憲法の平和主義を全面否定する改憲案を作成し自民党憲法調査会の中谷改憲案起草委員会座長に提出していたという前代未聞の違憲・違法行為に対して、「組織的な行為はなく公務員の憲法順守義務にも抵触していないが、配慮を欠いていた」とするデタラメな調査結果を発表し、口頭注意だけで事を収めることを表明した。

 その改憲「草案」は、本コラム12/4にも記したように、軍隊の設置、集団的自衛権の行使、首相の国家緊急事態布告、すべての国民の国防義務、軍事裁判所を念頭に置いた「特別裁判所」の設置など、現憲法の平和主義を真っ向から否定するものである。
 考え方を示した「改正案」は、「集団的自衛権、並びに国連の集団的措置(集団安全保障)に基づく武力行使の容認」について「必要不可欠」と強調し、これらを実現すれば「日本が攻撃されていない場合で米国等が攻撃された場合に米国等の防衛」「有志連合軍に参加しての戦闘行動」が可能になるとしている。すなわち米軍と一体となって、日本軍が途上国に直接に軍事介入・軍事侵略(ファルージャのような大量虐殺も含めて)をやれるように憲法を「改正」すべきというものである。

 このような憲法改悪案が、陸上自衛隊の中枢、陸幕防衛部員である自衛隊幹部が、組織ぐるみで作成し、自民党の憲法改正案起草委員長に提出していたのである。これは公務員が絶対的に遵守すべき憲法尊重義務違反という重大な犯罪行為であり、「政治的行為の制限」を定めた自衛隊法61条に抵触し、防衛庁法第23条が定めた「幕僚幹部の所管事務」の逸脱にあたる違法行為である。そして「政治が軍事を監督する文民統制(シビリアン・コントロール)」からのあからさまな逸脱である。現役自衛官、組織としての自衛隊の憲法違反行動としては「三矢研究」事件以来の重大事件なのである。

 政府・防衛庁・自民党は、事の重大さを懸命に隠し、「個人的行為」として闇に葬り去ろうとしている。絶対に許してはならない。防衛庁内部の身内による調査でことを済まさせてはならない。国会など国民の目の前で徹底調査させ、関係者全員を厳しく処分させなければならない。

 さらに、このようなとんでもない違憲・違法行為を引き起こした自民党の改憲策動そのものを中止させなければならない。

 12/24

ラムズフェルドの再任に米国内や米軍からも批判強まる

イラク駐留米軍の疲弊が表面化!

 米ギャラップ社などが20日まとめた世論調査によると「国防長官を解任すべきだ」との回答が52%と過半数を占めたという。そのような中、ラムズフェルド米国防長官は、24日、イラクを訪問し、モスル近郊の米兵ら22人が死亡する攻撃を受けた基地の負傷兵を見舞ったほか、ファルージャやバグダッドなどをヘリコプターで回り、士気の鼓舞に努めたと伝えられている。

 ラムズフェルド米国防長官は、駐留米軍の装備不足についての批判を米軍内から受けている。また、戦死者の遺族への手紙の署名を手書きではなく印字していた問題が浮上したり、米民間人権擁護機関が米軍の卑劣極まりない虐待・拷問が、アブグレイブだけでなく広く米軍内に広がっている事実を改めて明らかにするなど、第2期ブッシュ政権での再任に批判が強まっている。そのような中でのイラク訪問は、辞任を求める世論が勢いづくのをかわそうという狙いであろう。

 駐留米軍の装備不足についての批判には、米軍の疲弊ぶりや士気の低下が大いにからんでいる。
 今月8日訪問先のクウェートで、イラク派遣を控えた米軍兵士たちとの対話集会で、兵士達から装備不足や駐留長期化について不満をぶちまけられた。約2300人の兵士が集まった会場で、ある技術兵が「なぜ、ごみ捨て場から鉄クズや強化ガラスを掘り出し、間に合わせの装甲として車両に取り付けたりしなければならないのか」とたずねると、会場が拍手喝采となったというのだ。また、駐留の長期化についても「帰還できるはずの兵士をいつまで使い続け、引退や市民生活への復帰を妨げるつもりか」と不満を爆発させる質問が飛び交った。ラムズフェルドは、これから戦地に行く兵士たちのこれらの質問に対し「戦争は、今ある兵力でやるもので、望み通りの兵力を待ってやるものではない」「今の状態が、戦時における兵士の生活の現実だ」と突き放した。これに対しては、共和党の有力議員からも批判が噴出している。

 米軍は、想像を超えたレジスタンス勢力による都市ゲリラ戦、市街戦による抵抗で、著しく兵力を消耗し、限界に達しつつある。1月に予定されている欺瞞的な選挙に向けて新たに1万2000人の増派を余儀なくされたことだけからいっても、イラク現地の米軍の疲弊ぶりは明らかである。米軍は選挙に向けて「15万人体制」を敷くと発表した。これはイラク戦争開戦直後の戦争最盛期の14万8千人を上回る兵力である。また、米軍からは多くの脱走兵が出ており、その数は、5500名を超えて増え続けている。さらに、軍内部での命令拒否も発生している。軍務の期間が終わっても退役を許さない軍当局を相手取っての訴訟まで起こり始めているという。

 そのような中で、21日、イラク北部モスル郊外にある米軍基地に対し攻撃があり、米兵ら22人が死亡するという事件が発生したのである。米軍にとっては最大規模の被害となった。機動力を重視し、より少ない兵力で戦う戦略をとってきたラムズフェルド国防長官は、今回のイラク訪問で軍が十分な予算を得られるよう議会に働きかける考えをアピールし、米軍内からの批判かわしに躍起であった。

 ホワイトハウスが、それでもなおラムズフェルドの再任に固執するのは、解任すれば、泥沼化するイラク政策の失敗・継続している戦争でアメリカが軍事的にいっても勝っていないことを認めることになるからであろう。
 米軍は、泥沼化するイラク戦争で疲弊の度を増していくであろう。そして、戦争に勝つことは出来ないであろう。ホワイトハウス当局者は「米国はこれまでとは異なる戦争をしており、勝つことが重要」としてラムズフェルドの再任の理由を説明しているが、これは戦争でアメリカが勝利していないことの告白とも言えるのではないか。

 米軍はイラクでの犯罪を認め、即刻全面撤退すべきである。これ以上戦争を続けてイラク人民を殺害するな!

 12/24

反戦ビラ訴訟 検察側の控訴糾弾!

反戦平和運動への不当な弾圧・恫喝を許してはいけない!

 24日検察当局は、多くの「控訴をするな!」の声を無視して、反戦ビラ無罪判決に対し控訴を決定した。

 この訴訟は、立川テント村メンバー3人が自衛隊のイラク派兵反対を訴えるビラを防衛庁官舎の新聞受けに入れただけで、「住居侵入の罪」として逮捕し、家宅捜索し、75日間におよぶ長期の拘留をし、そして起訴するという、国家による反戦平和運動に対する異常な弾圧・恫喝であった。これに対し16日に、東京地裁八王子支部が、当然ながらも正当に「住民のプライバシー侵害の程度は低く、ビラ入れが憲法で保障された政治的表現活動の一つとして民主主義社会の根幹をなすことを考えれば、刑事罰に値するほどの違法性はない」と無罪判決をしていた。そして無罪判決の後には、憲法学者や刑法学者ら107人が、検察側に控訴しないよう求める声明を発表するなど多くの「控訴反対」の声が上がっていた。
 検察は控訴を取り下げ、無罪判決を受けた人や立川テント村に対し、誤った弾圧行為を謝罪すべきである。

 今回の控訴は、検察当局=国家権力が、反戦運動へのむき出しの弾圧・恐喝を裁判判決で退けられたにもかかわらず、あくまでも執拗に続けることの意思表明である。市民の反戦平和運動に対する不当な弾圧行為を合法化し、市民の民主的で自由な政治活動・表現の自由を司法判断で否定することをあくまで追求しようするものである。

 今回の控訴は、支配層が追求している日本の新しい軍国主義的エスカレーションと一体のものである。自衛隊のイラク派兵、米軍と一体化しての発展途上国へ軍事介入・侵略開始、そのための新防衛大綱、そして有事法制整備、さらには9条を中心とする憲法改悪、これら軍国主義的エスカレーションと、それに反対する反戦運動への弾圧は一体のものである。

 イラク戦争以降エスカレートする平和運動に対する弾圧を絶対許してはいけない。私たちは、検察の控訴を糾弾し取り下げを求めるとともに、控訴審での勝利のために支援の輪を広げなければならない。

 12/19

派遣延長後も やはり国民の6割が反対

小泉政権は派遣延長決定を撤回し
     ただちに自衛隊を撤退させよ!


 朝日新聞社が18、19の両日実施した全国世論調査(電話)で、9日に閣議決定した自衛隊のイラク派兵の延長について、58%もの人々が反対と答えたという。賛成は31%で、派兵延長決定前の調査と大きな変動はなかった。国民世論は、すでに決定してしまったのだからしかたがない、と延長を追認するのではなく、やはり過半数の国民が自衛隊のイラク派兵延長にあくまで反対しているのである。

 この事実に、小泉政権は無視を決め込んでいる。国会開会中は「自衛隊がいるところは非戦闘地域」などという国民を愚弄するような発言をし、国会閉会を待って派兵延長決定を強行するという政権の行為は、もはや民主主義のひとかけらもなく、小泉独裁とも言うべき暴挙である。

 小泉政権は、自衛隊をあくまで駐留させ続けようにしているが、彼らにとって今後いくつもの重大な試練がある。何よりもまず反米反占領勢力からいつ攻撃を仕掛けられるかわからない。さらに米・暫定政府があくまで強行しようとしている1月30日の国民議会選挙実施をめぐってイラクはさらなる戦闘の拡大が予想される。そして3月には自衛隊を護衛していたオランダ軍が撤退し、自衛隊はますますレジスタンス勢力の攻撃の前にさらされる。
 私たちは、この過半数の国民の反対の声を力あるものにし、日本政府に対して自衛隊のイラクからの撤兵を迫り続けなければならない。そして小泉政権に対し退陣を迫っていかなければならない。

 12/15

米と傀儡政府、「移行国民議会選挙」の開始を強行

マスメディアは「選挙美化」をやめよ!

内戦と民族分裂の危機をあおる選挙強行に反対する!

 米とその傀儡(かいらい)政府=暫定政府が、来年1月30日の「国民議会選挙」のための候補者名簿の届出を実施し、選挙戦開始を強行した。独立選挙委員会によると、全国区の比例代表制で行われる議会選挙には最終的に73政党、25個人、9連合会派の計107個人・組織の参加が認められ、各組織の提出名簿に掲載された候補者の数は計約7200人に上るという。

 もちろんこの中には反米反占領勢力の中心であり米軍の残虐な攻撃を受けているスンニ派(人口の約2割)は、少数の政党イラク・イスラム党を除いてボイコットしており、参加していない。
 また、シーア派の指導者ムクタダ・サドル師は14日、選挙に参加するシーア派指導者に対し、「選挙直後の米軍撤退を保証しなければ、選挙に参加できない」との声明を発表した。

 しかし、イラク人口の約6割を占めるシーア派の主要政党は、統一会派「統一イラク同盟」を結成、上位にイラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)、アッダワ党の指導者らを配する名簿を提出。また、クルド民族もクルド民主党とクルド愛国同盟が統一会派で選挙に臨むという。

 米軍と傀儡政府軍がファルージャで6000人以上といわれる大量虐殺(ジェノサイド)を行い、そのファルージャをも含めて全イラクで反米反占領の抵抗闘争が吹き荒れている中での「議会選挙」が、イラクの真の再建への道を開くものでも、民主主義への道を開くものでもないことは明らかである。
 それだけではない。米とシーア派の多数が手を組んだスンニ派・反米反占領勢力への武力弾圧、そしてそれへの反撃、という血で血を洗うような悲惨な「内戦」「民族分裂」、イラクにとって最大の悲劇への危険が高まることになる。
 私たちは、内戦と民族分裂の危機をあおる選挙強行に絶対反対である。

 日本のマスメディアの論調は、あたかもこの「議会選挙」がイラク再建の重要な一里塚であるかのように美化し、内戦と民族分裂の危機を人々の目から覆い隠している。無責任この上ない態度である。

 12/14

政府、「国民保護法」に基づく「基本指針」案の要旨を公表

自衛隊の海外派兵・対北朝鮮への強硬外交こそ
     国内でのテロ・有事対応の元凶


 政府は「有事法制」を国民生活の中に行きわたらせるための制度の整備を着々と進めている。
 政府は14日、6月成立の「国民保護法」を具体化するための「基本指針」案の要旨を発表した。これは、日本が外国からの攻撃を受ける「武力攻撃事態」やそれに準ずるテロなどの「緊急対処事態」を具体的に想定し、その場合の主として自治体や指定公共機関の対処の仕方について「指針」を示したもので、自治体などの意見を聞いたうえで来年3月下旬に閣議決定するという。決定されれば、これを基準にして都道府県の「国民保護計画」や、指定公共機関の「国民保護業務計画」の作成が05年度中に要求される。

 内容は、第1章で基本方針を示し、第2章で武力攻撃事態を@着上陸侵攻Aゲリラや特殊部隊による攻撃B弾道ミサイル攻撃C航空攻撃に4つを想定し、第3章で実施体制、第4章で住民避難、その救援、災害対処や国民生活安定、災害復旧、訓練・備蓄などの具体的指針を記し、第5章では緊急対処事態への対処について触れている。
 第1章の基本的方針では、「基本的人権の尊重」「自主性を尊重」と表明してはいるが、地方公共団体や指定公共機関などに防衛庁・自衛隊との連携を強く要求し、都道府県知事が行わない場合の内閣総理大臣の是正措置を明記している。また、消防団や自主防災組織、ボランティアなどを通じた国民の協力を要求している。
 第2章の武力攻撃事態の具体的想定は、政府・与党の責任者が日本への攻撃は当面ありえないとしている中での想定でリアリティは全くなく、危機感をあおって国民に戦争準備とその心構えを要求するもの。
 第4章の「国民の保護のための措置」が、国が自治体や指定公共機関に要求する具体的な部分で、「自主性の尊重」という美辞麗句とは裏腹に全面的な協力を強要される。NBC(核、生物、化学)攻撃や原子力事業所、離島などを含めて事細かに指針が示され、自治体や指定公共機関はこれに基づいて自らのマニュアル(計画)を作成しなければならない。この中には「民間防衛」に相当する自主防災組織や町内会などの動員の指示や、生活関連物資の価格安定、金銭債務の支払猶予、通貨及び金融の安定などまで含まれている。

 私たちは、この「国民保護法制」の個々の部分において、いかに基本的人権が侵され、戦争とその準備への参加が強制されようとしているかについて、具体的に批判し監視し続けることが必要である。そして、それとともに、なぜ「国民保護法制」が必要なのかについての根本的な批判をしつづけなければならない。
 北朝鮮、中国をはじめ近隣諸国と平和外交を率先して進めること、米ブッシュ政権の戦争政策と手を切り(もちろん自衛隊の海外派兵をやめ)、発展途上国との友好的互恵的関係を維持するならば、要するに平和憲法に基づいた対外関係を維持するならば、有事法制も必要なければ国民保護法制も必要ない。イラクに自衛隊を派兵し、日本は米国と同じ侵略者だと見なされるから、テロにおびえなければならないのである。米軍と一緒になってMD(ミサイル防衛)を推進し、いつでも戦争できるように「有事法制」を推進し、熱病的な反北朝鮮キャンペーンをやるから、北朝鮮とは友好的外交ができず、ギクシャクした関係になるのである。

 12/14 自衛隊派兵延長に抗議して日比谷に3000人

 15日から自衛隊のイラク派兵2年目に入ることに抗議して、14日の夜「撤退させよう自衛隊 終わらせようイラク占領 ワールド・ピース・ナウ12・14 ファルージャで6000人以上が殺された!」が、ワールド・ピース・ナウの主催で、日比谷野外音楽堂で6時半より開催された。体の芯まで冷え切ってしまうような寒さの中、3000以上の人々が参加する熱気あふれる集会・デモとなった。

 集会では、主催者の挨拶に続いて、元防衛庁教育訓練局長で現在新潟・加茂市長である小池さんから平和憲法を守ることの重要さについて訴えがあり、翻訳家の池田さんから自分たち独自で世論調査してみて、イラク派遣延長反対の意見が非常に多かったことの報告があり、さらにピース・コンサートのあと、JVCの原さん、熊岡さんからイラク現地での支援活動の報告と、自衛隊も含めて多国籍軍を撤退させようというアピールがあった。
 集会後に銀座・東京駅から常盤橋までキャンドル・デモ行進を行い、師走の街に、自衛隊のいますぐの撤退を訴えた。

              

 12/9
 12/10

小泉政権の新たな軍国主義エスカレーションをSTOPさせよう!

自衛隊イラク派兵延長、新防衛計画大綱、
     武器輸出禁止3原則の閣議決定を糾弾する!


 9日、10日と相次いで、国民の反対世論を無視し国会での議論を避けて、これまでの日本の安全保障の基本政策をくつがえす重大決定が閣議でなされた。自衛隊イラク派兵1年延長と新防衛大綱・中期防衛力整備計画、そして武器輸出禁止3原則緩和である。いずれも、従来の、曲がりなりにも存在した「専守防衛」という枠組みをかなぐり捨てて、米国の「対テロ戦争」=途上国軍事侵略戦争に一体となって参加していくことを目指したもので、日本の安保防衛の基本政策を根本的に改変するものである。かつてアジア・太平洋諸国を侵略し残虐の限りを尽くした過ちの深刻な反省の上に立つ平和憲法を踏みにじり、その改悪を先取りするものである。私たちは、この小泉政権の新たな軍国主義的エスカレーションを強く糾弾する。

1.米イラク侵略を支援する自衛隊イラク派兵延長を許すな!

 政府は9日の臨時閣議で、6割以上の国民の反対を押し切って、イラクへの自衛隊派遣を1年間延長する基本計画変更を決定した。小泉首相は記者会見で「日米同盟と国際協調を具体的に実施に移している今の日本の支援策は、国益にかなうと確信している」と述べ、多国籍軍に参加する有志連合諸国が次々撤退して「国際協調」という根拠が崩れていく中、唯一「日米同盟」のみが自衛隊駐留延長の根拠であることを表明した。
 イラク戦争と占領が何の正当性もなかったことが世界の前に明らかにされ、イラク人10万人以上の殺害、ファルージャでの6000人以上の大量虐殺(ジェノサイド)、アブグレイブ刑務所などでの拷問・虐待・虐殺、等など国家戦争犯罪の限りをつくしているブッシュ政権を支えるために、国民世論を裏切り、平和憲法を踏みにじり、自ら作り強引に国会を通過させた「イラク特措法」にも違反して、自衛隊の駐留延長を決めたのである。
 派遣の目的とされた「人道復興支援」がサマワの人々にほとんど役立っていないことが明らかになっている。当のサマワの人々から自衛隊の活動への不満が続出し、撤退要求のデモまで起きている。宿舎へのロケット弾などの攻撃は頻度を増し、人的被害が発生するのは時間の問題である。「人道復興支援」は単なる口実であり、米軍と協力して、中東イラクに自衛隊(=日本軍)を派兵・駐留させることそのものが目的であることが明らかになりつつある。

 小泉内閣の派遣延長決定とそれを承認した自民・公明両党を糾弾し、いますぐの自衛隊撤退を要求する。そして、野党と反戦平和の運動は、自衛隊の撤退を勝ち取るまで、粘り強く闘っていこう。また、この自衛隊イラク派兵を軸として、日本の軍国主義の新たなエスカレーションが進んでいることに注意を向け、そのSTOPのために頑張っていこう。


2.米軍と一体化して海外侵略を目指す
         新防衛計画大綱を許すな!

 政府は10日の閣議で、これまでの「専守防衛」を根本的に見直し、米の「対テロ戦争」に協力して、海外の「新たな脅威」に対処するための海外派兵を「本来任務」とする「防衛計画の大綱」を決定した。同時にその基本方針を実現するための中期防衛力整備計画(5年間)をも決定した。曲がりなりにも他国を侵略しないという枠をはめてきた「専守防衛」をかなぐり捨て、イラク派兵に見られるように、米軍と協力して途上国に軍事介入・侵略していくという、日本の国家のあり方を根本的に変える決定をしたのである。これもまた、何の国民的議論もない中での決定である。

 新大綱での情勢認識では、「従来のような国家間における軍事的対立を中心とした問題のみならず、国際テロ組織などの非国家主体が重大な脅威となっている」として、その「新たな脅威」への対処を優先課題と位置づけ、「この中で、唯一の超大国である米国は、テロとの闘いや大量破壊兵器の拡散防止等の課題に積極的に対処するなど、引き続き、世界の平和と安定に大きな役割を果たしている」として、ブッシュ政権の「対テロ戦争」を全面支持している。
 そして日本周辺の情勢については、北朝鮮の軍事的な動きを「重大な不安定要因」とみなすだけでなく、中国についても軍事力の近代化や海洋での活動範囲の拡大を指摘し、「動向には今後も注目していく必要がある」と、76年に最初の防衛大綱が策定されて以来初めて、警戒感をあらわにしている。
 中東から東アジアに至る地域(米は「不安定の弧」と呼んで軍事戦略の要にしている)についても「我が国にとって(この地域の)安定は極めて重要」として、米に追随して積極的に関与する方針を打ち出している。

 このような情勢認識のもと、国土防衛を主眼としてきた自衛隊から、「国際的な安全保障環境を改善し、我が国に脅威が及ばないようにする」自衛隊へ大きく舵を切り、米の「対テロ戦争」のために自衛隊を海外へ積極活用することを表明している。
 そして、そのために、「即応性、機動性、柔軟性及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度の技術力と情報能力に支えられた、多機能で団略的な実効性のある」防衛力にすることが表明されている。対テロ戦・途上国ゲリラ戦を勝ち抜くための機動的戦力を目指しているのである。
 また、弾道ミサイル(MD)については「ミサイル防衛(MD)システムの整備を含む必要な体制を確立する」と明記し、米軍のMDシステムに完全に組み込まれて、北朝鮮さらには中国を軍事力で威嚇することを表明している。

 この新「防衛計画の大綱」は、「日本国憲法の下」「専守防衛に徹し」「文民統制を確保し」等などの言葉でごまかしているが、徹頭徹尾侵略的なものであり、従来の「防衛政策」を根本的に侵略的なものに変えるものである。閣議決定されたとは言え、次期通常国会でその実現のための予算論議は避けられない。新「防衛計画の大綱」と次期中期防の侵略性を徹底的に暴露し、日本の軍国主義エスカレーションに反対する幅広い国民世論を形成し、小泉政権にSTOPをかけよう。

3.武器輸出禁止3原則の投げ捨てを許すな!
     軍需産業と政府が一体となっての軍事国家の推進!

 政府は10日、新しい「防衛計画の大綱」の閣議決定にあわせ、国是として歴代政権が守ってきた武器輸出禁止3原則を緩和(=段階的投げ捨て)することを決め、細田官房長官が談話の形で発表した。今回は、日米で共同技術研究をしているミサイル防衛(MD)に関する共同開発・生産に主眼を置いて3原則の例外とするが、他の案件についても個別に判断するとして次々に緩和していく道を開いた。これまで日本は、米国への技術供与を除き武器輸出を事実上、全面禁止してきたが、この政策を転換し、軍需産業としても軍事大国化を目指そうとするものである。
 当初は新「防衛計画の大綱」に盛り込むことで検討が進められてきたが、官房長官談話という、いつでも変えられる形にしたのは、次々に緩和を進め実質的に無きものにすることを目指していることの証左に他ならない。

 米国で何が起こっているかよく見なければならない。巨大な軍産複合体がブッシュ政権に深く入り込み、あの残虐非道なアフガン・イラク戦争を推し進め、それによって巨額の利益を上げている。彼らは戦争なしには生きていくことが出来ない「死の商人」である。かつての日本の軍需産業も、軍部と結託してアジア・太平洋諸国への軍事侵略を推進していった。武器輸出禁止3原則はそのことの真剣な反省の上に立ったものである。その原則を次々緩和していこうとしている。


4.日本の新しい軍国主義をSTOPさせるために
         世界とアジアの反戦平和運動とともに闘おう!


 自衛隊のイラク派兵延長、新「防衛計画の大綱」、武器輸出禁止3原則緩和の閣議決定は、一体のものである。日本を海外侵略国家へ、軍事大国化への引き込もうとするものである。
 しかし、小泉軍国主義政権はけっして安定したものではない。かつての支持率は見る影もなく、イラク派兵延長で30%台まで落ち込んでいる。小泉政権のレイムダック化は確実に進んでいる。小泉の最大の力の源泉は米ブッシュ大統領の支持であるが、その2期目ブッシュ政権は、無理に無理を重ねた結果、巨大な「双子の赤字」に苦しめられ、自らの足場=ドル帝国が揺らいでいる。現在のような軍事冒険主義を続けたならば、早晩ブッシュ政権は破綻する。そのときには、小泉政権もまた破綻をまぬかれない。
 
 反戦平和の闘いを継続させよう。
 日本の新しい軍国主義をSTOPさせるために、世界とアジアの反戦平和運動とともに闘おう。

 12/7

イラク人虐待の新たな事実が明るみに
          こんどは米海軍特殊部隊


米軍の組織ぐるみの拷問・虐待をあらためて追及する

 イラクの旧アブグレイブ刑務所でのイラク人虐待が発覚して間もない今年6月に、米海軍の特殊部隊員がバグダッドで拘束したイラク人を虐待し、それを目撃した国防情報局(DIA)の職員を脅迫し、他言しないよう求めていたという。米国自由人権協会(ACLU)が7日発表した。

 ACLUによると、*目撃したDIA職員が特殊部隊に車のキーを取り上げられ、電子メールの内容を監視すると通告されたうえ、米国に戻ってから口外しないよう命じられた、*特殊部隊の士官がイラク人を治療が必要なほど殴ったうえで、治療内容を記録せず、DIA職員が撮影した負傷部分の写真も押収した、などを6月25日付でDIA局長が国防次官(情報担当)に報告していたという。
 ACLUは「組織的な拘束者虐待があったことを裏付けるものだ。政府はさらに多くの文書の公開を渋っているようだ」と米政府の対応を批判している。

 ブッシュ政権は、アブグレイブ刑務所での恥ずべきイラク人拷問・虐待・虐殺の責任を一般兵士になすりつけ、軍組織の責任をうやむやにした。そして、その最高責任者であるラムズフェルド国防長官を留任させることによって免罪した。そういう中で、またまた、あらたなイラク人虐待の事実が明るみに出た。イラク人拷問・虐待が、アブグレイブ刑務所だけではなく、またそのほかの刑務所だけではなく、米軍が駐留するいろいろな場所で行われていたことを示している。あらためて米軍によるイラク人拷問・虐待を糾弾し、その責任を追及しよう。
 そして、口では「民主化」を唱え、実際には拷問・虐待そして大量虐殺さえ平気でやるブッシュ政権を全面支持し、自衛隊の駐留延長を決めようとしている小泉政権に自衛隊の即時撤退を要求していこう。

 12/7 小泉首相の靖国参拝中止と
  韓国人合祀取り下げを求めて韓国国会議員が決議案


 韓国の与野党の国会議員79人が7日、小泉首相の靖国神社参拝中止と同神社への韓国人合祀(ごうし)取り下げを求める決議案を韓国国会に提出した。

 提出した議員側によると、こうした決議案は初めてで、年内開催が見込まれる臨時国会での採択を目指すという。 決議案は与党・開かれたウリ党を中心に野党のハンナラ、民主労働、新千年民主の各党議員が署名。「A級戦犯をまつる靖国神社に小泉首相と閣僚が毎年参拝し、今後も参拝継続の意思を示していることに深刻な憂慮を表明する」とし、参拝の中止を求めている。
 さらに、「侵略戦争に強制動員された韓国人を、遺族に無断で同神社に合祀したことは遺憾」として、日本政府に合祀取り下げに向けて積極的に取り組むよう求めている。

 小泉首相は、韓国や中国からの再三にわたる靖国参拝批判に対し、一貫して無視し続けてきた。小泉支持勢力は、批判する中国や韓国を「内政干渉」だとさえ言う。とんでもない。靖国神社は単に「戦没者」をまつっている神社ではない。行ってみればすぐ分かることだが、まさに軍国主義の権化そのものであり、「遊就館」の展示たるや戦争賛美以外の何ものでもない。靖国神社は戦前だけでなく戦後の現在まで日本軍国主義の思想的支柱であり続けているのだ。日本軍国主義によって侵略され、虐殺され、塗炭の苦しみをなめさせられた韓国や中国の人々が、日本首相の靖国参拝を批判するのは、当然のことである。むしろ私たち日本国民が、その参拝を中止させられないでいることを恥ずべきである。
 小泉首相は、先の日中首脳会談で中国首脳から靖国参拝批判を突きつけられた。経済的には「中国特需」で潤いながら、政治的には首脳会談もまともに出来ないことなど、許されることではない。日本の軍国主義化に反対する人々を中心として、小泉靖国参拝反対の声はどんどん拡大している。

 12/6 防衛庁長官のサマワ訪問 派遣延長正当化のための茶番劇

ひとかけらの正当性もない自衛隊駐留
    小泉政権はただちに自衛隊を撤退させよ!


 サマワを「視察」した大野防衛庁長官が6日帰国し、自衛隊の派遣延長について「私は(環境は)整っていると思う」と語り、自衛隊の活動を継続すべきとの考えを強調した。「派遣延長の結論が先にありき」で、それを正当化するための、国内世論対策だけのためのわずか5時間半の「視察」、それも徹底した護衛に守られての「視察」。まったくの茶番劇と言うしかない。

 今回の視察について、政府は出発前日の3日午後に承認しながらも、「安全面の配慮」を理由に6日午前0時まで公表しなかった。大野長官は4日昼過ぎに成田空港を出発し、5日、サマワの陸自宿営地や、道路の改修現場などを約5時間半「視察」したという。 よほど安全に自信がなかったのであろう。それとも、この訪問にあわせてサマワで自衛隊撤退要求のデモが再び起こって、国内論議に収拾つかなくなることを恐れたためであろうか。いずれにしても、後ろめたい気分の「視察」であったに違いない。

 12/4

自衛隊幕僚幹部が憲法改正案を自民起草委員長に提出

小泉首相 「悪いことじゃない」 ヌケヌケと容認

文民統制からの明らかな逸脱
   「個人的」などの言い逃れは通用しない


 陸上自衛隊の幕僚の幹部が、軍隊の設置や集団的自衛権行使の容認、国民の国防義務などを盛り込んだ憲法改正案をまとめ、自民党の中谷憲法改正案起草委員長(元防衛庁長官)に提出していたという事実が4日明らかとなった。

 この文書は、陸上幕僚監部防衛部防衛課防衛班所属の幹部が作成。中谷氏によれば、今年夏ごろ、この幹部と憲法改正の意見交換をし、その結果を条文にするよう求めた。文書は7月末に渡されたが、11月に自民党憲法調査会がまとめた憲法改正草案大綱の素案には「全く反映していない」という。
 「草案」では「国の防衛のために軍隊を設置する」と明記し、さらに「集団的自衛権を行使することができる」としている。首相が「緊急事態の際は国家緊急事態を布告」することや、「すべての国民は国防の義務を負う」などの条文が盛り込まれている。また、軍事裁判所を念頭に置いた「特別裁判所」の設置までも言及しているという。
 また「集団的自衛権、並びに国連の集団的措置(集団安全保障)に基づく武力行使の容認」について「必要不可欠」と強調。これらを実現すれば「日本が攻撃されていない場合で米国等が攻撃された場合に米国等の防衛(日本以外を標的とするミサイルの迎撃を含む)」「有志連合軍に参加しての戦闘行動(アフガン、イラク等)」が可能になるとしているという。すなわち米軍と一緒になって、日本軍が途上国に直接に軍事介入・軍事侵略(ファルージャのような大量虐殺も含めて)をやれるように憲法を「改正」すべきというものである。

 憲法「改正」という最も重大な政治課題について、「制服組」が具体的な考え方を自民憲法改正案起草委員長に提示したということは、「文民統制」や公務員の憲法尊重擁護義務からの甚だしい逸脱であり、中谷氏の「個人的な勉強」と言う言い逃れが通用するようなものではない。まして自衛隊が直接に軍事力を行使して途上国へ侵略できるような、そして軍事裁判まで出来るような「改正案」の提示など、許されることではない。ただちに事態を明らかにして責任を追及し、関係者を処分すべきである。

 ところがあろうことか、小泉首相は「専門家の意見をきくことは悪いことじゃありませんね」と記者団に語って理解を示し、細田官房長官は同日午前の記者会見で、政府として調査しているとしつつ、「1対1の個人間の依頼であり、それに対する答えだと聞いているので、その限りではあまり問題はないのではないかと思っている」と弁護する姿勢を示した。

 日本の軍国主義がここまで来ているのかを知って、薄ら寒い思いがする。軍部が強大な権力を持ち、それを政府が無責任に容認・追随し、アジア2000万人を殺戮する侵略戦争に突入していった、かつての忌むべき過ちを絶対に繰り返してはならない。そのために、今回のような「制服組」の逸脱行為の1つ1つを厳しく追及していかなければならない。

 12/3 敵基地攻撃用兵器の研究・開発を盛り込む 次期防に

専守防衛から逸脱し、他国へ攻撃的脅威

海外軍事侵略に道を開く
   新防衛計画大綱・次期防に反対する


 防衛庁が3日に自民党国防部会に提示した次期中期防衛力整備計画(次期防、2005−09年度)の概要によると、地対地攻撃用の長射程精密誘導弾(ミサイル)の研究着手や、地対空ミサイルによる攻撃を妨害するための戦闘機搭載型電子妨害装置の開発が盛り込まれていることが明らかとなった。
 これらの装備を保有していないことを理由に、政府はいままで「敵基地攻撃を前提とした装備体系になっていない」と説明してきたにもかかわらず、それをかなぐり捨てて、他国の基地攻撃にも使われる兵器を研究・開発しようとしているのだ。それを正当化するための口実には「離島対処に必要な装備」が挙げられている。

 10日に閣議決定が予定されている新「防衛計画の大綱」は、従来の「専守防衛」という基本方針を捨て、自衛隊の基本任務を国土防衛とともに、遠く離れた海外における脅威の「予防」を挙げることによって、自衛隊の海外派兵展開を本来任務化して、そのための装備を整え、そのための三軍の統合運用を目指している。今回の次期防に盛り込まれた攻撃型装備の研究・開発は、この方針に沿ったもので、平和憲法の改悪を先取りするものである。

 12/3 血塗られたラムズフェルド国防長官 留任へ

私たちは満身の怒りをこめて糾弾する!

 ブッシュ米大統領がラムズフェルド国防長官に留任を要請し、長官もこれを受け入れたと3日、複数の米メディアが報じた。国際法を踏みにじってアフガン・イラクに先制攻撃をかけ、国土を破壊し民衆を殺戮し、さらにイラク・アブグレイブ収容所での拷問・虐待・惨殺など、歴史的にもまれにみる数々の国家戦争犯罪の中心人物ラムズフェルドを再選ブッシュが再び国防長官に留任させたことに、私たちは怒りを抑えることができない。

 第2期ブッシュ政権は、このラムズフェルドの留任によって世界に、第1期と同様に、あるいはさらに強硬に「対テロ戦争」という名の途上国侵略戦争を遂行する意志を表明した。そのことによって、ますます米国が世界から孤立し、破綻への道を邁進していく意志を表明した。
 しかし、ブッシュの選んだ道は、世界の反戦平和の闘いをますます高揚させる道でもあることを思い知らされることになるであろう。

 12/1 イラク米軍1万2000人増強 
     増派の余裕なく駐留期間延長でまかなう


ファルージャの大虐殺のさらなる拡大を許すな!

 米国防総省は1日、反米反占領のレジスタンス勢力を制圧して、来年1月のイラク国民議会選挙を強行するために、駐留米軍を現状の13万8000人から15万人規模に増強すると発表した。昨年5月の大規模戦闘終結宣言当時の14万8000人態勢を上回って、最大規模となる。

 ブッシュ政権の「対テロ戦争」のために、米軍の海外展開は限界にきており、もはやイラクに増派する余裕はない。そのため今回の1万2000人も交代時期を迎える部隊の駐留を延長することによって実現するしかない。駐留延長されるのは、来年1月に交代が予定されていた陸軍8200人(規定任務期間1年)と海兵隊2300人(同7カ月)で、延長期間は2カ月間。この海兵隊2300人は沖縄から派遣された海兵隊第31遠征部隊である。また、陸軍精鋭部隊である第82空挺師団1500人も約3ケ月間のイラクへの臨時派遣が決まったという。

 ブッシュ政権は、1月選挙を控え、反米反占領の抵抗闘争の強まりと有志連合国の相次ぐ撤兵に、苦しいやりくりの中での米軍増強を余儀なくされている。今回の増強は決して米国の強さを示すものではない、むしろ弱さの現われである。ファルージャでの大量虐殺(ジェノサイド)を厳しく追及し、世界にその残虐さを知らせ、米軍の撤退へと圧力をかけていこう。