ウリベの猛攻撃

6月あらゆる前線で全国的な攻撃が行われた
ジャスティン・ポドゥール
2003年6月30日
ZNet原文


5月末、ラテンアメリカ諸国からなる「リオ・グループ」は、コロンビア内戦への対処法を議論した。コロンビアの大統領アレバロ・ウリベ・ベレスは、コフィ・アナンにFARC---コロンビア最大のゲリラ---に対する最後通告を発するよう求める宣言をリオ・グループが発するよう求めた。この最後通告は、FARCが交渉の場につくか、さもなくば・・・・・・その、さもなくば、の内容は特定されていない。ベネスエラのウーゴ・チャベス大統領は、その最後通告には反対を表明した。チャベス大統領は、そうした宣言は、コロンビアへの多国籍軍介入を準備する効果を持つことにしかならないと述べた。ウリベは、最後通告が与えられようが与えられまいが、ラテンアメリカの将来は、対テロ戦争及び対麻薬貿易戦争にあると述べた。

ウリベは、それから、6月の一カ月、あらゆる類の暴力を進める指揮をとり、すべての段階で、暴力を激化させるような意志決定を行った。

最初の決定事項の一つは、1998年以来発効した恐ろしいまでに不十分な労働組合員保護規定を変更することであった。コロンビア内戦の中で、準軍組織の暴力により、数千人の労働組合員が殺されてきた。今年に入ってからだけで、35人の労働組合活動家が殺されている。2002年に殺された労働組合員は150人であった。ウリベの代替案の前の規程では、労働組合員は護衛を付けて良いことになっている。新たな計画では、護衛を政府が指名することになっている。準軍組織の力が軍及び警察とのコネクションから来ていることを考えると、労働組合員に政府使命の護衛を付けることは、鶏小屋の護衛にキツネを雇うようなものである。

労働組合員に対する現在の保護規定がどのようなものであれ、それは、ウリベの声明の2週間後に失敗を露呈した。6月16日、ククタの宝くじ販売職員組合のルイス・H・ロロンとタメの保健労働者組合のモレリー・グイエンが殺され、6月17日、バジェデュパルの公務員組合のオルランド・フェルナンデスが殺されたのである。

労働組合員を罰するためにウリベ政権が考え出したもう一つの作戦は、「改善と能力のためのプログラム」で、これは、労働組合員を「指導官」のもとで孤立して「働かせる」ものである。この「指導官」たちが仕事を割り当て、毎週評価し、職場への復帰を禁止する。

5月に「爆破による私営化」プログラムを試みたウリベ政府は、国営企業の解体を大規模にエスカレートさせた。6月14日(3名の労働組合員が殺された数日前)、政府はコロンビア電話網を運営するTELECOMの私営化を発表した。組合は、1万人の仕事が失われると推定している。英国−コロンビア連帯キャンペーンのコミュニケが、TELECOM解体の背景を提供している。

決定的な圧力はワシントンから来た。CUT(コロンビア労働連盟)の公共部門ディレクタであるミグエル・カロが指摘したように、「米国は、米州自由貿易地域の交渉にコロンビアを含める条件として、米国企業との間で一方的な「リスク共有」契約を適用すべしと主張した」のである。

「リスク共有」と間違った名前を付けられた契約は、全くリスク共有といった類のものではなく、単に、海外の多国籍企業が公共部門を盗み取るための手段にすぎない。1993年、TELECOMは、多国籍企業6社と、200万の電話回線提供の契約を結んだ。これらの企業は、180万回線を設置したが、115万回線しか熟れなかった。投資は国家予算からきたが、「リスク共有」は、回線がいくつ売れるかにかかわらず、多国籍企業の利益を保証するものである。NORTELや他の企業は、20億米ドル相当の契約締結を要求している。コロンビアの前政権は6億ドルを提案したが、これはNORTELにとっては十分でなかった。NORTELは、米国議会に対し、自分の要求が満たされるまで、包括的な貿易投資協定を阻止するようロビー活動を行っている。ウリベはそれを受け入れ、それゆえ、ミグエル・カロによると「今一度コロンビア政府が米国の帝国主義的権力にひざまずいたことを示す」TELECOM解体と売却となったのである。
けれどもTELECOMは端緒に過ぎない。私営化の対象として名前を挙げられているものは数百あるが、その中には、社会保障、国営石油企業ECOPETROLがある。ECOPETROLは1948年に創設されたもので、創設自体が、労働者の闘いによるものであった。資産は80億ドルにのぼり、年間20億ドルの収入がある。石油労働者組合USOは、コロンビアで最も戦闘的で組織された組合であり、最も攻撃を大きく受けている組合でもある。ECOPETROLの施設は、私営化を前にして軍事化された。

先住民とアフリカ系コロンビア人、そして地方の農民に対する戦争も続けられている。6月8日、カルダスのリオスシオで、準軍組織の攻撃により、4人の先住民活動家が殺害され、4人が重傷を負った。準軍組織によるほとんどの虐殺と同様、かなり前から殺害脅迫がだされており、それに対して脅迫を受けた人々は政府に保護を依頼していた。政府は、虐殺前に、携帯電話と移動手段を助けとして提供していた。

ブエナベンチューラのサバレタスのアフリカ系コロンビア人コミュニティでは、準軍組織が、6月14日、5人を殺害した。黒人プロセス(PCN)は、これは、自分たちのコミュニティに対してなされた多数の虐殺の一つであると発表している。虐殺の波は、1996年、2000年、2001年にも起きていた。当時も今も、虐殺の意図は、人々を逃げ出させ、天然資源と巨大開発プロジェクトのために土地を「掃除」することにある。

全国的に、あらゆる前線で、暴力的な攻撃が行われているのである。

そして、あらゆるところで、コロンビアの人々は、英雄的な抵抗を続けている。6月19日、60万人もの国営部門労働者が、私営化を阻止するためにストライキを行った。これらの人々は、ボゴタとバランカベルメハ(ECOPETROLの施設がある)で行進し、これに対して、政府の治安部隊がデモ参加者に対して放水砲と催涙ガスを放った。コロンビアの公共インフラで働く何万人もの労働者の運命は、このストライキの結果により決まるかも知れない。英国−コロンビア連帯キャンペーンの言葉を借りるならば、「コロンビアがファシズムに付き進むことを阻止するためには、内外の大規模な圧力が必要である。CUTの人権部は、連帯を呼びかけ、国際的な抗議を動員する必要性とコロンビアでの物理的な随伴の必要性を強調している」。

2003年7月22日、コカコーラのボイコットが始まる。コロンビア食品飲料労働者組合SINALTRAINALは、そうしたボイコットを望む大きな理由を持っている。コカコーラ・ボトリング社の資金提供を受けた準軍組織により、組合員の8名が殺されたのである。労働者の何百人もが、クビになり、拘留され、誘拐され、拷問され、失踪した。多国籍企業が利益を上げるために社会的な反対勢力のメンバーを殺害する、コロンビアの汚い戦争の一環である。

SINALTRAINALは鉄鋼労働者組合連合の助けを借りて法的な手段に出た。判事は、コカコーラ・ボトラーズは説明すべき事件があると判決したが、コカコーラ社はそれに応じなかった。要求されているのは、賠償、政策の変更、労働者と人々の人権尊重へのコミットメントである。不処罰に対する公衆法廷で、SINALTRAINALはコカコーラが自社労働者への人権侵害で有罪であると認定した。コロンビアで、グアテマラで、ペルーで、ブラジルで、米国で、ベネスエラで、パレスチナで、トルコで、イランで、他のところで、労働組合員への攻撃から利益を受け、瓶詰め工場からの汚染で水源を汚染し、人種差別をし、世界で無理性に水を用い、インドのコミュニティから水を盗み取り、ベネスエラの寡頭支配層を支援する。ボイコットは第一段階として、1年間続けられる予定である。このボイコットは、「多国籍企業コカコーラ社の製品を消費しないことだけからなるのではなく、同社の政策に対する継続的・永続的な批判と組織・闘いのキャンペーン」である。

ウリベは6月を、53頁からなる新戦略文書をもって終えた。この文書は「民主的治安」と呼ばれる。名は中身を現すといった感じである。この文書は、テロと戦争、資本主義のグローバル化を通して、世界中のあらゆる国の資源と公共部門とを略奪しようという、米国のより広範で加速しつつある計画の一部をなしている。

数年前、メキシコのサパティスタは、自分たちを敵とする大統領の「新戦略」に直面していた。サパティスタたちは、それは新しいものでもなければ戦略でもなく、500年間抵抗を続けてきた人々が、突然抵抗のしかたを忘れるだろうとの仮定に基づく馬鹿げた攻撃であると批判した。

コロンビアの人々も、抵抗の方法を忘れはしないだろう。けれども、これらの総攻撃に、コロンビアの人々は、孤立無援で直面しなくてはならないのだろうか?


もともとコカコーラを買って飲んだことはほとんどないのですが、コカコーラ社の関連のものは、今後二度と買わないようにします。皆さんも、よろしければ、7月22日から、ボイコットにご協力下さい。

関連記事として、「ブッシュは人権より企業利益を優先」、「コカコーラ労働者の声」、「コカコーラと「死の部隊」」もご覧下さい。
益岡賢 2003年7月3日

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