コロンビア革命軍のレジスタンスを検証する:ゲリラ戦は終わっていない ジェームズ・J・ブリテン
2008年8月1日
Colombia Journal 原文


2008年春、FARCは大きな打撃を三つ被った。ゲリラ組織FARCの指導者の中で最もよく知られた二人が殺され、さらに、総司令官マヌエル・マルランダ・ベレスが心臓発作で死去したのである。ワシントン・ポスト紙の特派員フアン・フォレロは、コロンビア政府筋の発表を繰り返し、「コロンビアの人々は、初めて、これまで無敵と思われていたゲリラ・グループを和平交渉に付ける可能性、さらには軍事的に打倒する可能性を膨らませている。内部侵入者によって弱体化され、休むまもなく戦闘を続け空爆を受けているFARCは、記録的な数のメンバーを失っている」。同様に政府と軍筋の情報に依拠しながら、コロンビアで最も人気の高いニュース誌は、メンバーの逃亡と支持の喪失によりFARCの力は壊滅的に衰退したと報じた。ベネズエラ大統領ウーゴ・チャベスさえ、ゲリラ戦という手段による組織的な階級闘争の時代は終わったとの意見を述べた。しかしながら、FARC指導者3人の死は重要な意味を持つが、FARCは衰退し消滅も間近に迫っている可能性さえあるといった報道は、新しいものではない。

1970年代初頭、結成されて間もない頃、 FARCは特定の支配地域に対して軍が加えた大規模な対ゲリラ攻撃により壊滅的な打撃を受けた。1973年、米国の支援を受けたコロンビア政府が「アノリ作戦」を展開し、FARCの軍事供給の大部分を破壊し、指導陣の一部を滅ぼしたのである。1970年代初頭に行われたこれらの対ゲリラ作戦のあと、FARCは火器の70%を失い、武装戦闘員は150人にまで減ったと報じられた。FARC崩壊の報道が広くなされたが、わずか数年のうちに、そうした宣言が時期尚早だったことがわかった。ゲリラは対ゲリラ作戦からすぐに勢力を回復し、政治学者ダニエル・L・プレモによると、1970年代半ばには、「組織を再編成してますます多くの前線で散発的な行動に出る」ことができるようになった。

一方、E・J・ホブスボームは、FARCが、初期に米国の支援のもとで展開された対ゲリラ作戦を生き延びただけでなく、「初期の失敗、民間人の撤退と分散再定住を手配しなくてはならないという大きな不利、非正規戦に長い経験を持つ強力なコロンビア軍、さらには農村部での深刻な政治的対立にもかかわらず、活動を維持することに成功た」ことを指摘する。「[彼らの]成功は、戦略的・技術的調整によってのみでなく、何よりもゲリラ戦の政治基盤を充分理解したことによる」。

プラン・コロンビア(2000年から2005年)およびプラン・パトリオタ(2003年から2006年)のもとで展開された対ゲリラ作戦ののちも、やはりFARCに対して勝利を収めたという主張がなされたが、尚早だった。その後、ゲリラ攻撃は減ったどころか、かなりの数の戦闘員がFARCに流入し、企業や国のインフラに対する攻撃も増大した。同様に、今回も、FARCが弱体化したという感情的な主張に対し、FARCはコロンビアの一個大隊を撃破してコロンビアで最も重要な石油インフラを撹乱することをもって応えた。

4月29日から5月6日のあいだに、FARCは一連の計画的攻撃を実行し、コロンビア最大の石油パイプラインの一部を孤立させ、推定で80万バレルから300万バレル相当の石油生産を停止に追い込んだ。さらに、FARCは、コロンビア北部の諸州で、石油と軍事供給の流通をコントロールするために必要な基幹的輸送ルートを戦略的に破壊した。また、セサル県のカタツンボ近くにある重要な橋を破壊することで、FARCは政府治安部隊と私営治安部隊の移動を阻害し、駐留していた軍部隊を戦闘で孤立された。最初の攻撃に次いで、ノルテ・デ・サンタンデル県のチブ近くで別のFARC前線部隊が500マイルにわたるカニョ・リモン・パイプライン----真の標的はここにあった----の守衛に当たっていた治安部隊に攻撃を加えた。皮肉なことに、これらの攻撃はすべて、駐コロンビア米国大使ウィリアム・ブラウンフィールドがこの地域を訪れて治安状況と経済発展を賞賛し、FARCの勢力が衰えたのはそのためだと述べてからわずか数時間のうちになされた。

FARCの攻撃に対し、コロンビア軍のパウリノ・コロナド将軍は5月3日、反攻を開始し、FARC攻撃を阻止して石油供給を再開しようとした。ゲリラは派遣された大隊をすぐに撃破し、その後さらに48時間にわたってパイプライン施設を攻撃した。カニョ・リモン・パイプラインを標的とした作戦は他から孤立した戦略的成功にとどまらなかった。FARCは、結成44周年記念日に、コロンビア最大の炭鉱エル・セレホンを標的とし、搾取的な多国籍/国家インフラにさらなる攻撃を加えたのである。ロイター通信によると、5月27日、FARCのゲリラたちは、「110トンの石炭を運んでいた貨車120両からなる列車のうち約40貨車を」脱線させた。政府筋はこれによって被った大きなダメージを隠そうとしたが、FARCが搬出ルート全体を不安定化させたことにより貿易が大きく妨げられたことはすぐに明かになった。

これらは、企業の利益を守っているコロンビア政府および私営の治安部隊に対してFARCが依然として軍事的に対抗できることを示す事例である。けれども、それ以上に興味深いのは、FARCの組織的な軍事作戦が、コロンビア政府と米国政府双方の関係者を沈黙させたことである。コロンビア南部地域がFARCの活動の中心で、コロンビア北部地域は経済的に安全だと考えていた政府関係者は多かった。けれども、上述の攻撃から、FARCへの支持とFARCの行動力は、多くのメディアが述べるよりもはるかに広い範囲にわたっていることがわかった。コロンビアの内務大臣カルソス・オルギンが語ったように、コロンビアはFARCに対する勝利を収めたと夢想したり主張しようとする段階にないことが明らかになった。

支配層は、政府とメディアの回路を通して定期的に覇権主義的な戦略を採り、FARCへの内外の支援を思いとどまらせるために、FARCが構造的に弱体化したと発表する。アレバロ・ウリベ大統領の政府は、半世紀にわたる内戦を経験してきたコロンビアに、漠然とした安全の装いを作り出した。コロンビアでは、国内の安定を宣伝するために、内戦をめぐる数値と情報を政府が積極的に矮小化してきたことは、誰もが知っている。

2006年夏、当時コロンビア国家警察の総監だったホルヘ・ダニエル・カストロは、第975号法律により2003年以来、3万944人の準軍組織兵士に恩赦が与えられたと述べた。この数値は、コロンビア最大の準軍組織であるコロンビア自警軍連合(AUC)の規模について学者は軍事アナリストや政府関係者が語ってきた数字の倍である。さらにその後、2007年に、ウリベ大統領とフランシスコ・サントス・カルデロン副大統領は、国内の治安と政府の政策に関する統計数値を変更するよう官僚に強いたとして非難された。コロンビアの国家統計局(DANE)は、政府が「コロンビアを実際よりも安全に見せるために、統計を」操作したし現在も操作していると述べ、「[ウリベを]国内でも米国でも人気者にした成果に疑問を呈し・・・・・・、大統領の政策は・・・・・・現実がどうであれ治安状況が改善されたとの認識を維持することにあった」と述べている。

政府が行う情報操作の一例は、コロンビアの国内避難民(IDP)数を簡単に検討すればわかる。インタープレス・サービスのコンスタンサ・ビエイラは、強制退去をめぐる問題を検討し、2007年にコロンビアのIDPは38パーセント増加したことを指摘した。コロンビアのIDP数は、現在、スーダンに次いで世界第二位である。コロンビアのIDPは、中東全体(イラクを含む)のIDPよりも100万人多いことを考えれば、どのくらいの規模か、感覚がつかめるだろう。政府の主張では、コロンビアのIDPの数は約190万人だが、コロンビア内外の人権団体や研究所が記録した数はその倍にのぼる。

たとえば「人権と強制追放に関するコンサルタンシー」(CODHES)と国内強制追放監視センター(IDMC)、日本の国際協力機構(JICA)は、コロンビアのIDPの人数は、実際には390万人から420万人のあいだと述べている。これらについての政府の情報操作を見ても、FARCが解体しつつあるという報道は眉唾かもしれないことが理解できるだろう。

この数カ月間、FARCがかつてない困難に陥ったことは否定できないが、同時に、コロンビア社会全体に不正な社会文化的および政治経済的状況が浸透している限り、ゲリラが兵士をリクルートできる母体は存在し続けることを理解する必要がある。FARCは現代のラテンアメリカで最古の、そして最も力を持った政治=軍事運動であり、依然として数千人からおそらく数万人の規模を維持している。こうしたことを考えると、コロンビアの治安状況は改善されたとか、FARCの時代は過ぎて歴史に記録される過去のものとなったといった示唆を受け入れることは、コロンビアという国の現実について虚偽の意識を持つことにほかならない。

コロンビアでは、不平等も強制追放者数も、搾取もますます増大しており、それに応じて反対の声も強まり続けている。それは不安定な状況の結果であり、まさにそれを通して人々は、自分たちの社会的な位置づけを意識する。その結果、さらに過激な手段でレジスタンスの行動に関与することになる。政治学者のピーター・カルバートによると、政治=経済の格差は「ゲリラ運動におあつらえの、現状に不満を持った大衆支持層」を提供する。

FARCが戦略的な改革と撤退の時期にあるというのは正しい。けれども、FARCゲリラは終わったと考えるのは、ゲリラ戦についても、またコロンビア社会に蔓延する物理的な状況と階級闘争についても理解していないことである。FARCが敗北を喫したと言うのは、革命的解放の内在的な解釈を通した自決権を理解し損なっていることを示している。コロンビア国内の闘争は終わってはいない。闘争は、急進的で、敵対的なかたちで続くだろう。米国とウリベ政権が貧しい人々に対する戦争を続けるならば、ヒュー・オショーニシーとスー・ブランフォードが指摘したように、「コロンビアの家族から生きる術を略奪し、左派ゲリラとりわけFARCに参加する以外の選択肢を残さなくすることで、コロンビアの内部紛争を」悪化させ、激化することになる。

ジェームズ・J・ブリテンはカナダのノバスコシア州にあるアカディア大学の社会学助教授で、大西洋カナダ=コロンビア研究グループの共同創設者。

本記事で表明されている見解は著者のものであり、コロンビア・ジャーナルの見解を反映したものでは必ずしもない場合がある。


■ ミサイル防衛に反対する防衛省へのアピール

日時:9月14日(日) 午後1時30分~2時30分
場所:防衛省正門前
 (JR・有楽町線・南北線 市ヶ谷駅徒歩5分
主催:PAC3実射訓練に反対する全国実行委員会
呼びかけ団体:
 核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
 戦争に協力しない!させない!練馬アクション
 横田行動実行委員会
 平和の声・行動ネットワーク(入間)
 埼玉市民行動
 パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会
 市民ネットワーク千葉県
 船橋憲法を生かす会
 イラク戦争に反対する市民と議員の会(千葉)
 非核市民宣言運動・ヨコスカ
 ヨコスカ平和船団
 NO!AWACSの会[浜松]
 不戦へのネットワーク[名古屋] 連絡先:核とミサイル防衛にNO!キャンペーン
 kojis@agate.plala.or.jp

■ 辺野古・高江

辺野古浜通信-photo-辺野古情報をご覧下さい。

■ 辺野古新基地建設NO 東京集会

日時:9月27日(土)午後6時開場、午後6時30分開会
 辺野古反対決議の提案者:玉城義和さん(県議会副議長)
 辺野古で闘う市民:当山栄さん(沖縄平和市民連絡会)
 開会前にビデオ上映あり
場所:文京区民センター・2A(東京都文京区本郷4-15-14)
 http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1754
 JR「水道橋」駅10分、東京メトロ・都営地下鉄「春日」駅1分
会場費:500円
主催:辺野古への基地建設を許さない実行委員会
連絡先:沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック(090-3910-4140 )
    市民のひろば(03-5275-5989)

■ 映画『靖国』自主上映会

日時:9/20(土)14:00(開場13:30)
場所:市民プラザかぞ・多目的ホール
   (東武線・加須駅から徒歩4分、0480-62-0200)
入場料:前売券1000円、当日券1200円
主催:映画『靖国』加須実行委員会(友野 0480-61-9088)
協力:平和を考える加須市民の会

■ 神戸電鉄敷設工事朝鮮人犠牲者を追悼する集い

日時:2008年10月19日(日)午後0時
会場:神戸電鉄朝鮮人労働者モニュメント前
  (神戸電鉄湊川駅より徒歩10分)
  (神戸市兵庫区会下山(えげやま)町1丁目、
   東山小学校南を神戸電鉄に沿って西に200メートル。
   2つ目のガードを南にくぐると掲示板がある)
  地図
  会場の分からない人は、11時30分、神戸電鉄湊川駅改札集合。
主催:神戸港における戦時下朝鮮人・中国人強制連行を調査する会
 〒657-0064 神戸市灘区山田町3-1-1 神戸学生青年センター内
 HP e-mail hida@ksyc.jp

■ 女性と貧困ネットをつくろう 立ち上げ集会

日時:2008年9月28日(日)1時半~6時 開場1時
会場:東京千駄ヶ谷区民会館(原宿駅竹下口から徒歩10分)
プログラム:
 貧乏体験発表 女性と貧困シンポジウム
 物物交換のフリマ ゲーム
 カンパ大歓迎 特に高収入の人
 物物交換のため、不用品を持参してください(服、日用品など)
問合せ  ふぇみん tel03(3402)3238  ACW2 tel03(5304)7383
 eメール binbowwomen@gmail.com

■ 第35回市民憲法講座「日本のマスメディア状況と憲法」

お話:日隅一雄さん (弁護士)
日時:2008年9月27日(土)6時半開始
場所:文京区民センター 3C会議室
参加費:800円
主催:許すな!憲法改悪・市民連絡会
   東京都千代田区三崎町2-21-6-301
03-3221-4668 Fax03-3221-2558

■ 九条の会事務局学習会/ 名古屋高裁判決と派兵恒久法

日時・9月13日(土)1時半(開場1時)~4時
会場・東京・星陵会館(地下鉄永田町駅下車6番出口)
講師・小林 武(愛知大学教授)
半田 滋(東京新聞編集委員) 
渡辺 治(一橋大学教授)
参加費:1000円
主催:九条の会事務局03-3221-5075
益岡賢 2008年9月10日

一つ上] [トップ・ページ