プラン・コロンビアは米国石油企業を利している

ギャリー・リーチ
2004年11月12日
コロンビア・ジャーナル原文


コロンビアに対する米国の関与が増大することにより利益を得る最大の石油会社はハーケン・エネルギー社である。11月4日、テキサスに本社を置く同社は、コロンビアで新たな石油採掘生産契約に署名したと発表した。この会社はジョージ・W・ブッシュ大統領と緊密な関係を持っている。ジョージ・W・ブッシュは、同社の役員を1986年から1990年まで努めたのである。ブッシュ大統領は、第一任期にプラン・コロンビアに年間5億ドルをつぎ込んだことに加え、「対テロ」そして基幹石油パイプラインを守らせるための米軍特殊部隊兵士の派遣に1億ドル近くを提供してもいる。コロンビアに対する米国の軍事的関与の激化は、国際通貨基金(IMF)が押しつけた経済改革とあいまって、コロンビアの石油資源を採掘しようと狙っているハーケン社のような海外企業にとって有利な条件を創りだした。

米国の軍事援助により、米国の石油企業がコロンビアで操業するための治安環境が作り出されている。軍事援助とともにIMFの構造調整プログラムが、海外企業に有利な経済的状況を作り出している。1999年12月と2004年1月の貸付の見返りに、IMFはコロンビアに国営機構のリストラを要求した。これにしたがって、アレヴァロ・ウリベ大統領はこの2年でコロンビアの国営石油企業エコペトロルをリストラし、ハーケンなどの海外石油企業に有利な投資環境を整えた。

ハーケン社の11月4日記者発表によると、子会社のグローバル・エネルギー開発PLCが「コロンビアのエネルギー省に初発の採掘権料8%を払う以外は、契約の100%を所有する」ことになる。ハーケン社はさらに、「契約は、グローバル社に、既開発のパロ・ブランコ油田に隣接する8万5000エーカーの排他的開発生産権を与えた」と述べており、ここには「正味約180万バレルが埋蔵されていることがわかっている」という。

今年5月10日付コロンビア・ジャーナルの記事「プツマヨのプラン・ペトロリアム」では、米軍援助とIMFが押しつけた構造調整が、すでにロサンゼルスを本社とするオクシデンタル石油社とカナダのペトロバンク社を利していることが論じられている。この記事はまた、ウリベ政権が2003年エコペトロルをリストラしたことで、エコペトロル社は3組織に分離したことを説明している。縮小されたエコペトロル社は石油生産精製企業として、国営炭化水素法人は石油関係の契約交渉を一手に引き受け、コロンビア・エネルギー推進協会はコロンビアのエネルギー産業を推進する。しかしながら、リストラ後も、外国企業との間で成立したすべての新規契約は、エコペトロル社とパートナーシップをとらなくてはならなかった。

けれども、5月10日付記事が指摘するように、2004年4月、「コロンビアのエネルギー相エルネスト・メヒアは、米国テキサス州ヒューストンで、外国企業は、エコペトロルと提携しなくても、国営炭化水素法人と契約を交渉できると発表した」のである。2003年のリストラおよび2001年の構造改革に加えてのこの宣言は、企業がコロンビア政府に払わなくてはならない採掘権料を劇的に削減することとなった。これにより、ハーケン・エネルギー社は、低い採掘権料で、またエコペトロルと共同せずに新たな契約を締結することができた。その結果、ハーケンは「契約の100%を所有する」ことになる。すなわち、ハーケン社が石油を100%所有することになる。また、ハーケンは「コロンビアのエネルギー省に初発の採掘権料8%を払う」必要があるだけとなった。

ハーケン社の契約は、IMFが押しつけた改革がコロンビア政府に、その石油を海外の搾取に開かせた度合いを示している。5月10日の記事が指摘するように、「4年前、エコペトロルと対等の提携をし、20%の石油権料を支払いさらに生産時限も付され、それ以降は残りの石油と採掘設備等をエコペトロルに返還しなくてはならなかった契約から比べると、現在は、外国企業に劇的に有利になっている」。

ウリベ政権は、この政策についてコロンビア市民に、コロンビアが石油輸入国にならないために必要なのだと説明したが、実際のところ、石油も利益もほとんどコロンビアに残らないのがこの政策である。技術的には、ハーケン社と交わされたような新たな契約のため、コロンビアは石油輸出国であり続けるだろう。しかしながら、ハーケン社が「契約の100%を所有する」ため、同社は生産する石油をすべてコロンビア国外に持ち出し海外(米国など)で売ることになる。コロンビアは石油価格の8%の採掘権料を受け取るだけであるにもかかわらず、ハーケン社が「自社の」石油をコロンビアで採掘するために石油輸出国に留まるというわけである。

クリントン政権がプラン・コロンビアにIMFの「改革」を組み込んだため、プラン・コロンビアのもとで米国の軍事援助を得るためには、コロンビアはIMFの新自由主義的改革政策に黙従しなくてはならなかった。すなわち、プラン・コロンビアの経済部門は、単に、IMFがコロンビアに適用した構造改革プログラムからなっているのである(「プラン・コロンビア概説」を参照)。米国の援助はプラン・コロンビアの軍事部門を構成しており、これまでに30億ドル相当のヘリ、武器、訓練が投下されている。

コロンビアで海外企業が操業するために有利な環境を作り上げるために、米国の軍事援助とIMFが押しつけた経済改革が枢要の役割を果たしたことは確かである。米国の軍事援助は、IMFが押しつけたエコペトロル社のリストラにより作り出された有利な経済状況を活用しようとする石油企業が現場で操業するために必要な治安を確立するためのものである。コロンビア南部の石油生産地域プツマヨ集を統括するコロンビア軍部隊の司令官フランシスコ・ハビエル・クルス中佐が言うように、「私にとって最も重要なのは治安である。石油会社が心配なく操業できる必要があるし、国際投資家は安心していられる必要がある」。


コロンビアで米国企業と米軍・米国軍事援助がどのように連動しているかを見ると、経団連が武器輸出解禁を求めていること、日本政府が「自衛隊」を国外に派遣しようと腐心し派遣実績を作ってきたことの理由と意味がよくわかります。

沢山のことが起きています。

まずは、何よりも辺野古のこと。とてもわかりやすい説明がP-navi blogにあります。さらに同じブログには、追加の説明も。

次に、イラク意見広告の会から呼びかけがあります。

また、12月5日(日)、「クルド人難民二家族を支援する会」が講演会を企画しています。
 日時:12月5日(日)18:30〜20:30
 場所:渋谷勤労福祉会館第二洋室
  渋谷区神南1-19-8
 電話番号:0334622511
 資料代:500円
 講師 難民支援協会・石川
 アハメット・カザンキラン(クルド人)他
とのことです。

あと、20日だから本当にすぐ(今日)だけど、森沢典子さんのパレスチナ講演会というのが千葉であるようです。アラファトの死後、占領下での弾圧が続くパレスチナ。現地に詳しい森沢さんならではのお話が聞けるかも知れません。
益岡賢 2004年11月20日

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