プツマヨのプラン・ペトロリアム(石油計画)

ギャリー・リーチ
2004年5月10日
コロンビア・ジャーナル原文


2000年12月、米国の訓練を受けた対麻薬部隊と米国から提供されたブラックホーク・ヘリ、そして米軍兵士が操縦する噴霧航空機がプツマヨ州に降り立った。プラン・コロンビア最初の空中からの薬剤散布作戦を行うためである。コカ作物に対する毒薬空中散布を初めてから3年強経ったこれまでに、プツマヨは、南部諸州の多くとともに、繰り返しの散布の標的となってきた。米国政府は、2002年と2003年に、ついに毒薬散布作戦でコカ栽培が減り始めたと主張したが、このプラン・コロンビアが、米国へのコカイン流入を大規模に減らすという公表された主目標を達成したかどうかについては全く証拠がない。しかしながら、プラン・コロンビアが米国諸都市でのコカイン価格や純度、入手可能性に影響を与えられなかった一方、プツマヨの軍事化により、石油資源の豊富なプツマヨ州で多国籍企業による石油開発は大規模に増加した。プラン・コロンビアの経済部門を構成する新自由主義的経済「改革」により、海外の石油企業の計画はさらにおいしいものとなっている。

2002年7月、ブッシュ政権は議会を説得して、コロンビアに対する米国の軍事援助に付けられていた、対麻薬作戦に限るという制約を撤廃させることに成功し、世界規模の「対テロ戦争」なるものの一環としてコロンビアの不法武装グループへの戦いに使うことができるようにした。この制約撤廃の結果、米国の軍事援助は、多国籍企業の石油操業を攻撃していたコロンビア革命軍(FARC)を標的とするために直接用いることができるようになった。2001年9月11日の直後、駐コロンビア米国大使アン・パターソンは、対テロ戦争の流れにおいて石油資源の新たな入手先を見つけることが重要であると明言した。彼女は、既にラテンアメリカで第三位の石油輸出国であり米国に対して石油を提供する諸国の中で十指に入るコロンビアには「米国にもっと石油を輸出する潜在力があり、そして、我々にとって、石油入手先を多角化するkとおはかつて無い程に重要となっている」と述べている。

しかしながら、プツマヨ州で過去10年間に内戦がエスカレートしていたことで、石油企業は、ほとんどがゲリラの統制地域にある大規模な石油資源の開発に躊躇していた。しかしながら、1990年代後半に右派準軍組織がプツマヨ州に入り込むと同時にプラン・コロンビアが適用され、それによって石油企業の操業のための治安が保たれることになった。プラン・コロンビア開始のときには、遠いアマゾンにあるプツマヨ州の石油生産は1980年に一日8万バレルに到達したのを頂点として20年にわたり減少していた。2003年には一日あたり9626バレルと今も少ないが、この2年間で多くの契約が多国籍企業とコロンビア政府との間になされたので、これからは激増することになろう。

奥深くにあるオリト市は、4本の石油パイプラインが合流する場所で、プツマヨ州の石油操業の中心である。そのうち日本は、現在コロンビア国営エコペトロルと米国資本のアルゴシー・エネジー、カナダ資本のぺと露バンクの子会社ペトロミネラレスが近くで開発している油田から来ている。もう一つは米国資本のオクシデンタル石油とカナダのEnCanaが操業するエクアドル領アマゾンからの石油を運んでいる。4番目のパイプラインはトランサンディノ・パイプラインという名で、アンデスを横切って、他の3本のパイプラインから来た石油をコロンビアの太平洋岸にあるトゥマコ港に運んでいる。

オリトのエコペトロルの施設は、会社と軍が使う車両とヘリのために現地で使うための石油だけを精製する小さな精製所と、原油をトランサンディノ・パイプラインに供給するいくつかの大規模貯蔵タンクである。施設はまた、プツマヨの石油インフラを防衛するために特別な訓練を受けた1200人の軍兵士が暮らす軍事基地も含んでいる。左派ゲリラは、多国籍企業がコロンビアの資源を搾取することに抗議して、繰り返しコロンビアの石油パイプラインを標的としてきた。矛盾したことだが、ゲリラは、自らが破壊しようと考えている相手の外国石油会社やそこで働く人々から石油操業を標的にするといって金を強請ることで利益を得てきた。ここ数年で最も頻繁に攻撃されているパイプラインは北東部のアラウカ州にあるカニョ・リモンとプツマヨ州にあるトランサンディノである。2001年にカニョ・リモン・パイプラインが170回攻撃された後、ブッシュ政権はコロンビアに9300万ドルの「対テロ」資金を提供し、パイプライン防衛を助けるために米軍特殊部隊兵士を派遣した。カニョ・リモン・パイプラインの所有者の一つはオクシデンタル石油である。

外国の石油企業はゲリラに金を支払ったことをどこも認めていないが、オクシデンタルの副社長ローレンス・メリアージュは、過去に同社の契約社員がアラウカ州で強請を受けたことを認めた。プツマヨ州でのFARCによる脅迫と要求について聞いたとき、アルゴシーのコロンビア代表エドガー・ダイズは、社員を誘拐する脅迫があったことを認めたが、社員たちがゲリラに強請りの支払いをしたかどうかについては知らないと述べた。2003年FARCがアルゴシーの操業に手を着けなかったという事実は興味深い。

13億ドルからなるプラン・コロンビアのプツマヨでの適用は、プツマヨ州での石油インフラ攻撃が1999年の48件から2000年の110件へと激増したことを受けて開始されたものである。プツマヨの石油操業防衛に責任を負う軍司令官フランシスコ・ハビエル・クルスによると、米国の麻薬戦争はプツマヨ州での石油操業を安全なものにしたという。というのも、「主としてプラン・コロンビアで提供されたヘリと兵士、訓練」を軍が使えるようになったからである。けれども2002年に石油インフラ攻撃は43件へと減少したが、昨2003年には記録的な144件の攻撃があった。

昨年の攻撃のうち半数以上は、FARCゲリラが石油インフラへの大規模攻撃を行なった11月になされたものである。政府はただちにこれに対応し、石油施設防衛責任者を配置換えして、クルス中佐を据えた。コロンビア軍のエリート対ゲリラ部隊である緊急派遣部隊(FUDRA)からクルスを抜擢したことは、アレバロ・ウリベ大統領の政府がプツマヨの石油インフラ防衛にかける意気込みを示している。クルス中佐の第9特殊大体の特別作戦部隊は先端兵器と暗視機材を保有し、起こりうる攻撃に先生対応する戦略の一環として対ゲリラ作戦を行うことが可能である。部隊はまたヘリコプター2機も、対ゲリラ作戦のための兵士の輸送のために自由に使うことができる。これらのヘリは、国営石油企業エコペトロルとカナダのペトロバンクが所有するものである。クルス中佐は自らの使命を次のように明言する:「治安が私にとって最も重要だ。石油会社は心配することなしに操業する必要があり、国際的な投資家たちは安心を感じる必要がある」。

外国の石油企業は、クルス中佐の部隊がプツマヨ州の「治安」を維持できるかどうかに大きな関心を寄せている。ペトロバンクのボゴタ代表スティーブン・ベネデッティによると、ペトロバンク者は2002年6月からプツマヨ州での操業を開始した。というのも「プツマヨには大きな獲物があると思う」からである。この「獲物」はオリト油田にある推定11億バレルの石油であり、その8割はまだ開発されていない。2003年11月のFARCによる攻撃でペトロバンク社の採掘サイトのいくつかが攻撃を受けたが、それでもペトロバンクの石油生産は昨年18%増加した。

クルス中佐によると、軍だけで、起こりうるゲリラの石油インフラに対する襲撃を阻止できるわけではない。彼の部下はしばしば、ウリベの「民主的治安プログラム」のもとで創設された文民情報提供者ネットワークからの情報に依存している。クルスは、自分の使命を達成するためには、「テロリストの攻撃を阻止するために協力すれば、勝つのは人々全員なのだ」ということを理解させることが大切であると語る。石油生産が停止すると、外国の石油企業がコロンビア政府に払う採掘権料も減る。コロンビアの法律では、こうした採掘権料は、社会経済プログラムに使われることになっている。ペトロバンクが2002年に署名した増進的生産契約の条件によれば、1日3200バレルという基準量を超えたオリト油田の石油生産に対しては、ペトロバンクが79%の権利を有することになっている。現在は、1日1400バレル、基準量を超えて生産している。パートナーであるエコペトロルは残りの21%を受け取る。コロンビアの段階別採掘権料に従うと、ペトロバンクは自分のものとなる79%の石油のうち8%相当をコロンビア政府に採掘権料として支払い、コロンビア政府はその8%のうちの9%を州政府に与える。オリト市が受け取るのは、州が受け取った9%のうちの31%である。

石油権収入の利益還元をオリトで認めることは難しい。オリト市はプツマヨ州では石油権収入の最大の受取り手であるが、そこでの貧困と未開発は、石油権収入を全く受け取らない同じ規模の都市と変わらない。けれども、オリト市の中では、石油労働者と他の現地住民との間に見られる劇的な生活の対比が、ガブリエル・ガルシア・マルケスが描いた謎の都市マコンドでの外国資本フルーツ企業進出の記述を思い起こさせる。オリト市の中心地近くには巨大なレクリエーション施設があり、そこには野球場、ピクニック/ゲーム区域、社交集会ホール、水の流れる大規模な水泳プールがあり、ペトロバンクとエコペトロルの職員がそれらを使用する。この要塞のような敷地に周辺のスラム街の住人が紛れ込まないよう、敷地は高いワイヤーと鉄制フェンスで囲まれている。ある住人によると、オリトが石油権収入から利益を受けない理由は、「石油はプツマヨ州から取り去られ、その収入は官僚の財布に入る」からである。また別の住人は、さらにあからさまに、次のように言った:「政治家が金を盗んでいる」。汚職まみれの市行政当局が左派ゲリラに共感しているとされるアラウカ州で採掘権料収入の州への還元をカットしたウリベ大統領は、右派準軍組織が制圧するプツマヨ州の諸都市の汚職まみれの現地役人に資金をつぎ込み続けている。

軍と国家警察が駐留しているにもかかわらず---あるいは恐らくそのために---、オリト市はコロンビア自衛軍連合(AUC)に属する準軍組織により制圧されている。準軍組織がプツマヨ州に進出したのは1990年代後半のことであり、一連の虐殺によってオリト市を含むプツマヨ州の主要都市のほとんどを制圧下に置いた。最近FARCがいくつかの小さな町を再び制圧し、そしてクルス中佐は軍はAUCとも戦っていると主張sちえはいるが、準軍組織は、非道な戦略によりオリト市を制圧し続けている。ある住民によると、「AUCはゲリラになるかも知れないという理由で罪のないカンペシノを殺す」という。私がクルス中佐と会った日に、準軍組織は現地のカンペシノ指導者アリリオ・シルバをオリト市で殺害した。

プツマヨ州で外国の石油企業に好ましい環境を作りだしている要因は、対麻薬戦争と対テロ戦争によるプツマヨ州の軍事化だけではない。プラン・コロンビアの経済プログラムにより、石油は外国企業にとっておいしいテーマとなっているのである。2000年にプラン・コロンビアの初期フェーズが適用されたときに存在した経済面での計画は、既に1999年12月、3年にわたる27億ドルの貸付の代償に国際通貨基金(IMF)がコロンビアに適用した経済引締め政策があるだけだった。IMFが提唱した新自由主義経済政策には、公共支出の削減、国内市場の海外企業への開放、国営企業の私営化とリストラなどが含まれていた。米国の軍事援助と構造調整との間にあるこの継続的な関係は、1989年にジョージ・ブッシュ父大統領が、「市場指向政策に基づく」経済「改革」をコロンビアに適用するよう求めたと同時に22億ドルのアンデス・イニシアチブを発表したときにまで遡る。

2001年、コロンビア政府は、海外石油企業にエコペトロルと半々で生産パートナーシップを組むことを要請しない新たな政令を制定し、これにより私企業は新たな油田から採掘した石油については最大70%を有することができるようになった---既存の油田における増進的生産契約では、さらに多くの比率を有することが可能である。さらに、外国企業の生産権期間も延長され、石油生産に対してコロンビア政府に支払う権利料は劇的に減らされた。新たな政令が発布される前、コロンビアは石油採掘権利料としてラテンアメリカでは最も高い20%を要求していたが、現在の傾斜権利料を含む新たな規則では、コロンビアの油田のほとんど---一日あたり5000バレル以下のところ---で、求められる採掘権利料は、前述の通りたったの8%に過ぎない。政府は、この変更はコロンビアの競争力をあげて外国からの投資を促し、石油の自給自足を維持するために必要であると主張した。新たに「競争力をつけた」コロンビアは、速やかに数十の新たな契約を外国の石油企業と交渉した。プツマヨ州で操業するペトロバンクとアルゴシーは、この一連の契約で参入してきた企業である。

2003年6月26日、IMFの構造調整要求を満たすための次の対応策が採られた。ウリベが国営石油企業のリストラを命ずる大統領令を発布したのである。これは国営石油企業を私営化するものではなかったが、それと同じ結果を引き起こした。エコペトロルは3つの企業に分割された:分割された後に残ったエコペトロルは石油生産と精製を行い、国営炭化水素法人は石油契約のすべての交渉を行い、コロンビア・エネルギー推進協会は営業活動を行うこととなった。2004年3月、コロンビアがIMFとの間で経済改革を継続するかわりに新たな21億ドルの契約に署名してから2カ月後に、エコペトロルに対するウリベのリストラの現実的結果がはっきりと現れてきた。コロンビアのエネルギー相エルネスト・メヒアは、米国テキサス州ヒューストンで、外国企業は、エコペトロルと提携しなくても、国営炭化水素法人と契約を交渉できると発表したのである。

新たな規則では、また、生産権の時限が撤廃され、油田の生産性が続く限り、外国企業が100%の石油を保有し続けることが可能となった。さらに、非常に大きな油田---現在コロンビアでは2カ所だけである---で操業している企業を除いて、ほとんどの企業は、8%の生産権利料を支払っているだけである。4年前、エコペトロルと対等の提携をし、20%の石油権料を支払いさらに生産時限も付され、それ以降は残りの石油と採掘設備等をエコペトロルに返還しなくてはならなかった契約から比べると、現在は、外国企業に劇的に有利になっている。

ウリベ政権は石油政策を、2005年末までに石油輸入国になるのを避けるためだとコロンビア国民に説明している。国内の需要増大をまかない、さらに輸出国であるためには、コロンビアはさらなる石油生産が必要になる。これらの政策で石油生産は増大するであろうが、コロンビアが石油自給を維持するとか輸出国のままであるという事実は、単に技術的なものである。コロンビアは国内で消費する石油のすべてそして輸出のすべてをそもそも生産しているわけではない。石油のかなりをコロンビア国内で操業する外国石油企業から市場価格で買っているのである。というのも、契約の中には、一定の部分をこれら企業がエコペトロルに売却してよいことになっているものもあるからである。たとえばプツマヨでは、ペトロバンクもアルゴシー・エネルギーも、石油が採れる端から、エコペトロルに石油を売っている。オリトでは、エコペトロルはペトロバンクの79%のシェアを市場価格で購入し、それからトランサンディノ・パイプラインを使って太平洋岸に送り、輸出しているのである。

これから締結される予定の契約の多くでは、エコペトロルが外国企業の石油を100%購入し、その一部を国内消費に使って残りを輸出することになる。したがって、向こう数年にわたりコロンビアの石油生産が増大する可能性は高いが、それは主として外国企業により生産されるものであり、コロンビアは、それを、外国産の原油を購入するのと同じ市場価格で購入するのである。けれども、コロンビアで外国企業が採掘する石油はコロンビアで生産されているという理由で輸入石油に分類されない。それゆえ、コロンビアが実際には自らの石油に国際市場価格を支払っているにしても、技術的には、コロンビアは石油輸出国であり続けることになる。そうした中、コロンビアが新たな契約から得る唯一の利益は、外国企業から受け取る8%の石油権料だけであるにもかかわらず、国営炭化水素法人の理事長ホセ・アルマンド・サモラは、契約における譲歩は「主権の喪失を意味しているわけでも国の資源を売り飛ばしているわけでもない」と言い張る。

2003年、ペトロバンクはプツマヨ州での石油操業に5000万ドルを投資した。エコペトロルが仮にIMFからの21億ドルのうちから5000万ドルを使って自ら石油生産にあたっていたならば、79%の石油を外国企業に手渡すかわりに全石油を自前で生産できていたはずである。その石油を外国で売れば、操業コストもまかなえるし、コロンビアがローン返却を行うこともできるし、政府にとってとても必要な歳入も増大していたはずである。IMFから借り入れた資金を全国的に初期費用にあてることで、コロンビアは自国の貴重な資源を自らコントロールできたであろう。メキシコやベネスエラそして世界最大の石油産出国であるサウジアラビアがその国営石油企業を通してやっていたと同様に。しかしながら、IMFの目的が、国内に焦点をあてた経済プロジェクトにはなかったことははっきりしている。

コロンビア政府は、石油自足を維持するという誤解を招く説明をつかって、IMFの構造調整条件に合致すると同時に米国からの軍事援助を継続するよう、実質的に石油を手放した。そして外国石油企業はよろこんでプラン・コロンビアの軍事・経済政策から利益を手にし、これによりコロンビアは新自由主義時代の資源搾取の好例となった。ペトロバンクのベネデッティがはっきりと述べたように、ペトロバンク社は、新たな契約規則を大歓迎しており、コロンビアでの操業拡大計画を内戦により邪魔される気はさらさらないと述べている。「利益はリスクよりも大きいと思う」とベネデッティは言う。けれども、プツマヨ州の住民の多くは、石油採掘により自分たちが危険にさらされると考えている。というのも、それにより内戦が継続することになるからである。プツマヨのある住民が率直に述べたように、「中東の紛争が石油のためであることは誰もが知っている。そしてコロンビアの問題も同様である。恐らくコカの要素もあるだろうが、けれども中心はやはり石油である。そして、石油がある限り、武装グループは撤退しないだろう。金と権力がある場所に関心を持っているのだから」。


コロンビアの記事です。石油の支配権を確保するために、コロンビアはプツマヨ州で米国が進めていること。石油操業を安全にするために米国が訓練した現地軍を配置し、それでも足りなければ米軍を派遣すること。イラク侵略の背景を理解するにも大切な事実が紹介されています。

石油の支配権をはじめとして世界的な覇権を維持するためにアブグレイブで典型的に明らかになったような拷問等を必要に応じて使うことを厭わない米国の政策には、建国以来の長い歴史があります(そもそも「アメリカ合州国」は先住民の虐殺の上に建国された国)。

著名な国務省の政策立案スタッフ、ジョージ・ケナン(『米国外交50年史』[だったと思う]という回想が、岩波現代文庫から出ている)は、1948年に政策計画研究23(PPS23)で、次のように書いています。
我々の人口は世界の6.3パーセントに過ぎないが、世界の富の約半分を所有している。〔・・・・・・〕こうした状況では、我々が羨みと憤慨の対象となることは避けられない。今後我々が本当にしなくてはならないことは、この均衡のとれないいちを維持できるような国際関係の様式を作り上げることである。そのためには感傷主義と夢想は捨て、あらゆる面で、我々の国家的目的に注意を集中しなくてはならない。〔・・・・・・〕人権や生活水準の向上、民主化といった曖昧で非現実的な目標について語ることをやめなくてはならない。我々がはっきりと力によって問題に対処しなくてはならない日が来るのはそう遠いことではない。そのときに、理想主義のスローガンに邪魔されなければされないほど好ましいのだ[ノーム・チョムスキー『アメリカが本当に望んでいること』(現代企画室)より再引用]。
「ゲリラになるかも知れないという理由で罪のないカンペシノを殺す」という記述は、米軍がイラクで行なっている無差別殺人と無差別拘留・拷問(赤十字によればアルグレイブの8割から9割が戦闘とは関係のない民間人であるそうです)と、同型です。また、コロンビアではディンコープ社という米国の傭兵会社が活動しています。イラクでのブラックウォーター社と同様、契約傭兵を提供している会社です。そう言う点でも、似通っています。

日本政府は、「対テロ戦争」(それがおぞましい拷問や強姦、殺害により利権を確保するための隠れ蓑に過ぎないことはますます明らかになってきていますが)の推進を前提として、昨年成立した武力攻撃事態法を実働させるために、日米物品役務相互提供協定の改定など、有事7法案の今国会成立をねらっています。

ブッシュ政権の大スポンサー、エクソン・モービル社(インドネシアのアチェでインドネシア軍を傭兵として雇い入れ住民を弾圧して石油を採掘している会社でもあります)に対するキャンペーンが行われているようです。

あと、唐突ですが、超・充実したサイト「海外盤CD輸入禁止に反対する」というサイトがあります。
益岡賢 2004年5月18日

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