人々は経済政策に抗議している

ギャリー・リーチ
2004年10月18日
コロンビア・ジャーナル原文


先週(10月12日の週)、コロンビアで100万人以上の人々が、コロンビア各地の都市で行進を行った。アレバロ・ウリベ大統領の経済政策に抗議するためである。首都ボゴタでは、30万人以上の人々がボリバール広場に集まり、米国の国旗を燃やして、コロンビアと米国が自由貿易合意を目指して進めている交渉に反対の声を表明した。失業と貧困が増大しつつある中、コロンビア最大の新聞であるエル・ティエンポ紙は、このデモが「テフロン大統領」の終焉の始まりを告げる者ではないかとの問いを提起した。ウリベの人気はまだかなりのものであるが、ますます多くのコロンビア人が彼のネオリベラル経済政策に失望している中で、最新の世論調査で彼の支持率は6ポイント低下した。

大統領に就任して2年を過ぎた現在、ウリベの政策への反対は強まっている。国際通貨基金(IMF)が推進する構造改革を積極的に実行しようとしているため、マクロ経済学的観点からはコロンビア経済は改善されたが、雇用の創生と貧困の軽減にはほとんど何もなっていない。米国と同様、コロンビアでは仕事の伴わない経済回復が進んでいるのである。すなわち、4%近い昨年のコロンビア経済成長は、仕事を創り出すわけでもなく、コロンビアの人々の生活状況を改善したわけでもない。

ブッシュ政権の官僚やウォール・ストリートのアナリストたちは、感嘆すべき経済成長を達成する経済政策を実施したとして繰り返しウリベを賞賛してきた。けれども、それは、ウリベが取った政策が、コロンビアの労働者を犠牲にして多国籍資本に優しい投資環境を作りだしてきたからである。過去5年にわたる約50億ドルの貸付のお返しにIMFが要求する構造改革を実施するために、ウリベは様々な国営企業をリストラし私営化してきたのである。

このプロセスで、IMFと多国籍資本が望む基本要求のうち3つが達成された。まず、外国からの投資に有利な条件が確立された。これはとりわけエネルギー部門において顕著で、今や外国の石油企業が支払うロイヤルティは少なくて住み、またコロンビア政府と合弁する必要もなくなった。国営のエネルギー、電信電話、公益企業のリストラと私営化は政府の労働者雇用をダウンサイズすることで、利潤を高めると同時に失業を増加させた。

これらの、より「効率の良い」組織から政府が手にする増加収入により、構造改革の第二の目的達成が促された。すなわち、海外債務支払いに充てられる政府歳入比率の増加である。そして最後の目的は、コロンビア労働組合を継続的に弱体化させることである。労組はリストラ、そしてコロンビア軍と親密な同盟関係にある右派準軍組織による汚い戦争により大きな被害を受けている。

IMFが強制した構造改革の結果、コロンビア経済は昨年、ほとんど4%近い大きな経済成長を遂げた。けれども、この経済成長の大部分はコロンビアのビジネスではなく、ますます有利になった投資環境を利用した海外企業によるものである。そのため、必然的に、利潤のほとんどはコロンビアの人々をほとんど利さずに、国外に流出する。この経済成長の利益でコロンビア政府の懐に入った分は、コロンビアの貸付評価を維持するために対外債務支払いに充てられる。これはコロンビアが将来にも貸付を得ることができることを意味し、それが不可避的に多国籍企業にもっと有利な構造改革を行えという要求につながる。

先週の抗議参加者は、労働者、農民、先住民グループ、民主的左派政党などからなっていた。組織者たちによると、これらの人々は、「コロンビアが対外債務支払いを確実に行うようIMFが命じた自由貿易と年金改革に反対する運動に参加した」のである。抗議参加者たちは、また、現在米国とコロンビアが交渉している自由貿易合意にも反対している。この自由貿易合意は、大規模な海外企業と競争できずに小規模のコロンビア・ビジネスが閉鎖を余儀なくされることで、失業をさらに増大させる可能性が高い。農民たちも、自由貿易合意のもとでコロンビアに流入するだろう安価な農業製品と競争することはできないだろう。

抗議参加者は、さらに、消費税率を引き上げ、牛乳や肉といった基本的な食料にも消費税を課そうとするウリベの政策に反対している。この退行的[逆累進的]課税政策は、コロンビアの富裕層がほとんど所得税を払わない一方で、貧困生活を送っている人口の64%により大きな経済負担を強要する。実際、コロンビア人口4200万人のうち、所得税を払っているのはたったの100万人だけなのである。

抗議のあと、ボゴタの日刊紙エル・ヌエボ・シグロの論説者は次のように述べた:「現政権のもとで、経済危機はかつてないほどシャープになっている。我々は政治的・社会的崩壊に直面している」。彼は、ウリベの経済政策と引き続く国内対立を結びつけ、「経済的・社会的正義がない限り、平和は決してあり得ない」と主張する。

コロンビア人の中で高まる不満とウリベの政策に対する新聞の論説上での以前より頻繁な批判は、ウリベのハネムーンがついに終わったのかも知れないことを示唆している。ウリベはまた、コロンビアにおける人権侵害の大部分を犯している右派準軍組織との間でもたもたと和平交渉を行っていることも批判されている。それに加えて、自分の再選を可能にするために憲法を改変しようとしていることで、コロンビア社会の一部から非難されている。また、国際人権団体は、政府の治安部隊が犯す人権侵害が増加していることを批判している。とりわけ、「失踪」させられたコロンビア人は記録的な数に上る。

ここ数年、ラテンアメリカ全土で、人々は、IMFと米国が推進するネオリベラル経済改革にますます失望している。ボリビアとアルゼンチン、エクアドルを揺るがした政治的・社会的激変が、コロンビアでもますますはっきりと姿を現しているようである。これにより、残りの任期2年で、経済・治安の政策をウリベが実施することは、ますます難しくなるかも知れない。



イラクで香田証生さんが人質にとられました。2ちゃんねるなどでは、「首チョンパ」といったメッセージが流れているようです(何でこんなに惨めなメッセージを書き込むのでしょうね)。一方、志葉玲さんのブログに、冷静な状況分析とできることの説明があります。ぜひアクセスしてみて下さい。

また、この人質問題を大きく展開しているわけではありませんが、イラク最新情報を『ファルージャ2004年4月』のフォローアップ・ブログで更新中です。こちらは、イラクの現状について、イラクの人々への支援について等を紹介しています。


以下のような上映会とイベントがあります。

■『沖縄 辺野古 闘いの現場からの記録!』

日時
 2004年11月18日(木)
  18時30分 開場
  19時00分〜 上映
  『ある熱い心の1ページ
   −辺野古沖ボーリング調査 阻止闘争の記録− その四』
   (大島 和典/54分/2004年/Jユニオン)
  20時00分〜 現地での座り込み参加者を交えて(上原成信さんの予
   定)トーク&ディスカッション

上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

参加費:500円

問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
(03-5261-2229, 090-3471-7475)
jyouei@videoact.jp

参考サイト
ヘリポート建設阻止協議会 命を守る会
シンさんの辺野古日記
沖縄一坪反戦地主会 関東ブロック
ジュゴンの家日誌


■写真展・映像&トークショー「戦火のイラク」

会期:2004年11月5日(金)〜12日(金)
会場:キッド・アイラック・アート・ホール
 世田谷区松原2-43-11 京王線「明大前」駅改札右徒歩2分
開館時間 11:00〜20:00  期間中無休
写真・映像会場/入場無料   トークショー/1000円
トークショー   参加費 1000円/予約先着順・定員40名 11月5日(金) 18:00〜 土井敏邦  「米軍の爆撃で重傷を負ったイラク人少年の1年」
11月6日(土) 18:00〜 森住卓   「占領と核汚染の日々」
11月7日(日) 18:00〜 綿井健陽  「映像表現の可能性と限界?イラク取材の現場から」
11月10日(水) 18:00〜 豊田直巳  「イラク戦争下の子どもたち」
11月12日(金) 18:00〜 JVJA 特別企画トークショー
※トークショー時、映像展会場には入れません。また内容を一部変更する場合があります。
問合せ:日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA)
 TEL : 090-6101-6113  FAX : 03-3252-7651
 E-mail office@jvja.net URL http://www.jvja.net/

東京都教育委員会の無茶苦茶さについては、たとえば、教育委員の米長氏の発言に如実に現れています。
益岡賢 2004年10月30日

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