アレクサンデル・ロペスとのインタビュー

ギャリー・リーチ
2003年4月28日
コロンビア・ジャーナル原文


2003年2月22日、ニューヨーク市で行われたこのインタビューの中で、コロンビアの議員アレクサンデル・ロペスは、カリ市営の公共サービス会社EMCALIに対する私営化提案について、労働組合指導者の暗殺について、コロンビア大統領アレバロ・ウリベが提案している国民投票について、コロンビアに対する米軍の介入について語る。当時のSINTRAEMCALI(カリの市公務員労組)委員長として、ロペスはカリ市庁舎(CAM)を35日間にわたって占拠した。この占拠は2002年1月に、政府がEMCALIの私営化を取りやめるとして決着した。その2月後、彼はコロンビアの国会議員に選出された。

質問:EMCALIの私営化を巡る現状はどのようなものでしょうか。

回答:2002年1月に、パストラナ大統領はカリの人々、労働者、そしてカリ市長と同意に達しました。合意内容は、EMCALIを私営化も精算もしないということでした。また、カリ住民に対する低価格のサービスも保証することとなりました。けれども、ウリベ大統領の立場は、この合意を尊重しないというものです。そして、彼の政策は「公共」のものではなく、公共/人々のことを好んでいません。全く逆に、ウリベの政治は国営ビジネスを私営化し、国営ビジネスを精算するというものです。前政権との間で交わされた合意を無視するというウリベの決断を考え、そして、カリの公共企業を私営かすることは望まないと述べたカリ住民との合意を無視するという決断を考えると、ウリベの政策に対する反応が起きるのは明らかです。労働者からだけでなく、コミュニティからも、そして私のような政治家からも。私たちは、カリの人々に明らかに悲惨をもたらすようなこうした政策に反対して抗議するよう人々に呼びかけています。EMCALIの自然な所有者はカリの人々なのです。

質問:コロンビアで労働組合員を守るためには何が必要でしょうか。

回答:第一に、国家政策の全面的変更が必要です。コロンビア政府は、コロンビア労働者に対するジェノサイドに秘密裡に共謀しているように見えます。3500人近い労働組合員が殺害されながら、これらの犯罪について、それを行った者は誰一人として見つかっていないのです。これは、コロンビア政府がコロンビア労働組合指導者の死について認めている不処罰のとても深刻な印だと思います。

コロンビア政府には、労働運動に関して、現在の政策とは全く異なった政策が必要です。政府代表たちが、コロンビアの労働者をゲリラだとかテロリストだとか言う状況は続けることができません。労働組合指導者をゲリラのメンバーであると決めつけるような政府官僚の政策は、コロンビアの労働組合員に起きていることについてコロンビア政府が全く見ないふりをするものです。労働組合員には保証が必要です。単に労働組合員として生きることを許される保証だけでなく、労働組合活動を続けることに対する保証が。政府の現在の政策のまた別の例は、労働改革法に見られます。労働運動に打撃を与え、労働者の権利が剥奪されたものです。政府は、組合員の命を守るだけでなく、権利と自由を保証する政策を採らなくてはなりません。また、過去10年に犯されてきた、コロンビアの労働組合活動家に対するジェノサイド全般に対して存在してきた不処罰の全てを無くすことも重要です。

質問:ウリベ大統領が提案した国民投票についてはどう思いますか?

回答:政府は、この国民投票を利用して、コロンビアの人々と世界に対して、コロンビア政府は民主的なのだと見せようとしています。特定の問題について、コロンビアの人々と協議する政府であると見せかけようとしているのです。けれども、この国民投票は、コロンビアの人々に対する罠であると言われています。反対派の政治階級だけでなく、労働セクターをはじめとする様々なシャカイセクターが、これを罠と呼んでいるのです。私たちは、これを、国民投票ではなく住民投票であると言っています。というのも、実際には、18の項目は、現政権が規定する政治経済政策への支持と確認を含んでいるからです。この住民投票には、税制改革のような、コロンビアの人々を利さない項目、社会投資の削減のような、コロンビアの人々の利とならない項目、そして住民投票に必要なだけの投票を得ようとするために、現在の市長や議員の任期をもう一年延長するといった親分子分関係的な側面が含まれています。ですから、これは国民投票と名付けられていますが、実際には住民投票で、現政権に別の顔、より民主的な顔を据えようという試みとしてなされているものです。ところで、実際のところは、現政権がコロンビアの人々に求めているのは、自分たちに不利となるような様々な経済政策に同意することなのです。

質問:米国政府が「対テロ戦争」の一部としてアラウカ州に米軍を派遣していることについては、どう考えますか。

回答:私はコロンビアへの軍事介入には賛成しません。コロンビアの戦争に米国の資金が必要な理由は何もないと思いますし、また、コロンビアに対しても他のどの国に対しても、米国の武力など必要ないと思います。米国政府は世界の警察などではありません。米国はコロンビアの主権を尊重すべきだと考えています。コロンビア内戦に対する軍事介入は私たちコロンビア人だけに影響します。わたしは、国際社会に対して、米国にコロンビアへの経済軍事援助を撤退しないよう要求することを求めると同時に、米国政府と米軍に対して、コロンビア駐留がもたらした結果と状況については責任を取るよう求める人々の中に入っています。

質問:米国から、軍事援助のかわりに、どんな助けが必要でしょうか。

回答:まず第一に米国はコロンビアの人々の自律性/自主性を尊重する必要があります。これが最初の基本だと思います。コロンビアの人々の、民主主義への権利を尊重すること。米国政府は別の政府から干渉されることはないと思います。そして、米国政府に私たちが求める基本的なことは、コロンビアの人々の自律性と意志決定を尊重するようにというものです。

質問:エクアドルでのグティエレスの選出、ブラジルでのルーラの選出、ベネスエラでのチャベスの選出は、コロンビアにはどのような意味を持っているでしょうか。

回答:グローバリゼーションと新自由主義モデルの結果ラテン・アメリカの人々が直面している攻撃に対して、人々は対応していると思います。グローバリゼーションの犠牲となってきたラテン・アメリカの人々は、今、この攻撃に対して、直接の断固たる対応をしているのです。ですから、ベネスエラをはじめとするラテン・アメリカ諸国で私たちが目にしてきた選挙による民主的制度を通しての人々の答えは、自らを正当に主張するという自然な行為です。それは新自由主義モデルを拒否するという決定であり、ネオリベラル・モデルが汚職を見逃してきたことを拒否することなのです。この20年にわたり、コロンビアでは、新自由主義モデルが、いくつかの政党を守ってきました。そして、現在ラテン・アメリカの人々が行っているのは、このモデルを拒否することなのです。それが、そうした国で昨日する民主的政策のモデルそして例として昨日していることは明らかです。

コロンビアでは、グローバリゼーションと政府を支持しない人全てに対する「汚い戦争」の政策が進められていることは明らかです。コロンビアの政治生活はとても困難です。というのも、コロンビアと米国政府とは異なる考え方をする私たちを全て、軍事的暴力の標的と見なす極右集団がいるからです。コロンビアには独自の論理があるようです。というのも、準軍組織が存在し、それが、不正に対して闘う人々、グローバリゼーションやコロンビアを支配する不処罰に対して闘う人々を標的としているからです。ですから、ラテン・アメリカで起きていることはとても重要ですが、コロンビアの状況は極めて深刻かつ危険で、そのため、コロンビア内戦に対する交渉による平和的解決の道を見つけるために国際社会の介入が必要となっています。

質問:コロンビア政府と準軍組織との「交渉」についてはどうお考えですか。

回答:これらの組織 −コロンビア革命軍(FARC)ゲリラと準軍組織− のことを、米国政府はテロリストと見なしています。私には、コロンビア政府が、これらの不法集団のうち一つとだけ交渉を開始するというのがわかりません。コロンビアに良いテロリストと悪いテロリストがいるなどということは理解できません。コロンビアで和解の政策があるとするならば、あらゆるグループ間のものであるべきであり、特定のグループとのことであってはなりません。コロンビア政府には、とりわけ一つの部門を擁護する傾向があります。実際には、全てのコロンビア人が戦争の問題を生きているにもかかわらず、です。ですから、政府がしなくてはいけないことは全国的な民族和解であり、コロンビアのたった一つの武装グループとの和解の場を作ることではありません。

  益岡賢 2003年4月29日

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