最近コロンビアで見つかった大量墓地は「フォールス=ポジティブ」かもしれない
コン・ハリナン
Foreign Policy in Focus原文
2010年8月1日


コロンビアとベネズエラの間に最近見られる緊張関係の背景を理解したいならば、「煙幕」に思いをめぐらせてから、ボゴタの南にあるメタ県で病気になった子どもたちのことが数カ月前に報じられたことを思い出そう。子どもたちが病気になったのは地元の小川で水を飲んだためだった。コロンビア軍が秘密裡に埋めた2000人以上の遺体により小川が汚染されていたのである。

コロンビア軍最高司令部によると、ラ・マカレナ軍基地のすぐそばにあるこの大量墓地には打ち続く内戦の中、2002年から2009年のあいだに殺されたゲリラ兵たちの遺体が埋められているという。しかしながら、コロンビア軍がいわゆる「フォールス=ポジティブ」スキャンダルに関与していたことに鑑み、人権団体などは遺体が中央政府と闘っている二つのゲリラ組織コロンビア革命軍と民族解放軍の兵士のものであるという主張に大きな疑問を抱いている。

「フォールス=ポジティブ」は、民間人を殺してからゲリラの軍服を着せて対ゲリラ作戦が成功したと主張し米国からさらなる援助を引き出すというコロンビア軍の作戦につけられた名前である。人権団体Comision de Derechos Homanos del Bajo AriariとColective Orland Fals Bordaによると、この作戦のもとで約2000人の民間人が殺されたという。

ラ・マカレナに埋められた遺体の身元はまだ確認されていないが、「フォールス=ポジティブ」作戦の犠牲者および地元の活動家と労働組合員である可能性が高い。新たにコロンビア大統領となるフアン・マヌエル・サントスは、この殺害が行なわれたとき国防相だった。サントスはまた、2008年にコロンビア軍による短期間のエクアドル侵略----このとき複数のゲリラを殺したとされる----を監督する立場にあった。この侵略はラテンアメリカ中から非難された。

退陣するコロンビア大統領アレバロ・ウリベは、人々の関心をそらすことに専心している。ウリベ政権の外相ルイス・アルフォンソ・オヨスは写真と情報を披露し、それらはベネズエラがコロンビア人ゲリラ1500人もを受け入れていることを示すものだと主張しているが、その一方でラテンアメリカのNGOグループはウリベ政権の行政治安局(DAS)がジャーナリストや判事、NGO、国際組織や野党政治家の活動を破壊する大規模な計画を行なっていたことを明らかにしている。このために使われた「汚い戦略」の中には殺害脅迫も含まれている。

コロンビアに70億ドル以上の軍事援助を提供している米国は、DASに先端の監視技術を提供しているため、米国政府もこのスキャンダルに巻き込まれることになる可能性がある。

米国は、コロンビアの労働組合員暗殺をめぐっても汚名を負っている。US Office on Colombiaのケリー・ニコラスによると、元DAS局長ホルヘ・ノグエラが裁判で行なった証言は、労働組合員を追跡するコロンビア諜報特殊部隊に対して米国が訓練を与えていることを示している。

コロンビアは現在、労働組合員にとって世界で最も危険な国となっている。国際労働組合総連合(ITUC)の労働組合権年次調査によると、2009年に殺された101人の労働組合員のうち48 人がコロンビアで殺されている。2010年に入ってこれまでにさらに20人の労働組合員がコロンビアで殺されている。刑務所労働者組合の会計担当エルナン・アブディエル・オルドネスは汚職を暴いたのち多くの殺害脅迫を受け取ったが政府は彼の安全を守る措置をとらなかった。彼はバイクに乗った暗殺者により銃で殺された。

「コロンビアとうい国はやはり、他のどの国と比べても、労働者の基本的権利を求めて立ち上がることが死刑を意味しがちな国である。政府はこれを隠蔽するPRキャンペーンをやっているが」。ITCUのガイ・ライダー総書記はこう語る。「コロンビア当局は、コロンビア人労働組合活動家の身体的保全を保証するために緊急に実効的措置を取らなければならない」。

ウリベには、確かに、注意をコロンビアから背けベネズエラに向けさせる理由がある。米州人権委員会は「フォールス=ポジティブ」殺人の調査を迫っているし、ウリベの弟が「死の部隊」と協力関係にあったことで避難されている。アルゼンチン人で元人権委員会委員長のサンティアゴ・カントンは「超法規的処刑、人権擁護活動家へのスパイ活動など、これらを総合して考えると、この数年にわたって事態は一貫している」と話す。

ところで、オバマ政権はこうした図式の中でどのような役割を果たしているだろうか? ウリベを断固として支持し、ベネズエラがコロンビア政府と外交関係を一時停止したことを批判し、さらに、北米ラテンアメリカ委員会(NACLA)の調査によると、チャベスに反対する右翼のメディア活動に秘密裡に資金を提供している。さらに、ボリビアとニカラグアの右翼もオバマ政権から金を受け取っている。

NACLAのジェレミー・ビッグウッドは「2007年から 2009年にかけて、国務省にあるあまり知られていない民主主義・人権・労働局は、汎米開発財団(PADF)を通して少なくとも400万ドルをボリビアとニカラグア、ベネズエラのジャーナリストたちに提供してきた」と話す。その際、米国国務省は、国務省の資金を得た「すべての出版」に「その旨を明記すること」という自らの規則を破っている。ビッグウッドによると、米国はPADFに関してその規程を放棄したという。

コロンビアは南米における米国政府最大の同盟国であるため、ウリベの右派政権と米国政府がチャベスを心底嫌う点で共通点を見出したとしても驚くことではない。けれども、チャベスに対する攻撃はまた、間接的には新たに創設された32カ国からなる中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)に対する攻撃でもある。CELACは、米国やカナダ、EUを含まない最初のラテンアメリカ・カリブ地域共同体である。

この7月にCELACはカラカスで会合を開き、そこでチャベスおよびチリで新たに大統領となった保守派のサバスティアン・ピネラをCELACの憲章草案作成にあたるフォーラムの共同議長に選んだ。奇妙な組合せに見えるが、チャベスを戯画的に描き出す米国メディアの視点はラテンアメリカではほとんど共有されていない。ワシントンDCにある経済政策研究センターのアレクサンダー・メインは、「チャベスは・・・・・・ラテンアメリカ地域の統合を推進するためには大胆な妥協を辞さない態度を示した」と説明する。

一方、ピネラは超保守派であるが、メインによると「国際関係に対して抑制した立場を示したことから、ピネラもまた現実主義的に振舞うつもりがあることがわかる」。

カラカス会議は「政治的・経済的・文化的統合」を標榜するとともに、「各国が脅迫や侵略、一方的な強制的措置を被ることなく独自の政治体制を定める」権利を確認している。興味深いことに、「自由貿易」や「自由市場」、過去数十年にわたりラテンアメリカ地域で米国が採用していた経済政策である「ワシントン合意」への言及はなかった。

ラテンアメリカが経済的体力と政治的独立性を高めるにつれて、米国の政策は米国がラテンアメリカで巨大な力を持っていた前世紀に封じ込められた様相を呈している。米国政府は、ラテンアメリカの新たな現実に合致した外交的アプローチを模索するのではなく、軍事的足跡を拡大しようとしている。

米軍はまもなくコロンビアの軍事基地7個所から作戦を遂行し第4艦隊を復活させるが、いずれもラテンアメリカでは極めて評判が悪い。対麻薬戦争を非軍事化すべきというラテンアメリカ諸国の助言を聞き入れる代わりに、米国は最近、麻薬取引とマネーローンダリングを「禁止する」ために、コスタリカに戦艦46隻と兵士 7000人を展開すると発表した。2000年から2009年まで、米国の対ラテンアメリカ援助のうち軍と警察につぎ込まれてきたのは40パーセント弱だった。オバマ政権はこの数値を47パーセントに引き上げたのである。

米国政府とコロンビア政府はベネズエラを悪魔に仕立て上げようとしているが、それに耳を傾ける人々はごくわずかである。そして日を追うごとにますますその数は少なく、的外れのものになっている。


■ 辺野古通信

辺野古通信ご覧ください。

■ 「菅直人首相に、5・28日米共同声明を白紙撤回し、普天間基地の奄美・徳之島と沖縄・辺野古への移設を断念するよう強く求める署名運動」

奄美・徳之島にも、沖縄・辺野古にも、米軍基地をつくらせない市民の会より。賛同締切りは8月31日です。

■ 辺野古への新基地建設をとめよう! 東京集会

日時 8月28日(土)18:00開場 18:30開始
お話 高里鈴代さん
場所 文京区民センター 3-A会議室
  (東京都文京区本郷4-15-14 電話03-3814-6731)
   都営地下鉄三田線・大江戸線「春日」駅A2出口直上
   東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園」駅3分
   JR総武線「水道橋」駅10分
参加費 500円
主催 辺野古への基地建設を許さない実行委員会

■ 沖縄に基地はいらない!日米安保もいらない!新宿ど真ん中デモ

日時:8月27日(金)18時:街頭宣伝 19時半:デモ出発
場所:新宿東口アルタ前広場にて   (デモコースはブログに掲載します)

■ STOP無印良品キャンペーン

無印良品への働きかけを。STOP無印良品キャンペーンのサイトには具体的な情報があります。

■ 東北アジアの平和と日朝正常化を求める9・18集会

日時:2010年9月18日(土)18:00開場・18:30開始
場所:東京・文京区民センター3A
講演:「韓国併合」100年と日朝国交正常化を考える(仮題)
   姜徳相さん(歴史学者・「韓国強制併合100年共同行動」日本実行委共同代表)
報告:韓国哨戒艦沈没事件-「北朝鮮攻撃」説の疑問点
   北川広和さん(「日韓分析」編集・日韓ネット事務局)

■ SYI第8回行動「入管前納涼祭」

日時:8月23日(月)18:00集合・雨天中止
場所:東京・品川北ふ頭公園
   JR品川駅 東口 都バス[品99](品川埠頭循環)乗車7分
飲食持ち込み歓迎。カンパも大歓迎。
できるだけ浴衣、甚平などの夏っぽい恰好でいらしてください。
詳しいことはSYI(収容者友人有志一同)のブログをご覧ください。

■ 第53回市民憲法講座 参院選後の政治状況と憲法問題

日時:8月28(土)18:30~
場所:東京・文京区民センター3C会議室
お話:高田健さん(許すな!憲法改悪・市民連絡会)
参加費:800円

■ 「普天間基地の無条件返還と辺野古・徳之島への移設断念を求める署名」

要請事項
1. 沖縄差別に貫かれた5・28「日米共同声明」を撤回すること
2. 普天間基地の即時無条件返還を米国政府に要求すること
3. 名護市辺野古への新基地建設計画を断念すること
4. 徳之島への移設・移転計画を断念すること

【メール署名方法】
メールアドレス:henokojitu.syomei@gmail.com
署名方法:上記アドレスに氏名(ハンドルネームは不可)、住所を書いて送信して下さい。識別のためメールのタイトルを「署名賛同」として下さい。
【署名用紙】
添付の用紙を打ち出して使うか、下記urlからダウンロードして下さい。
個人用
団体用
【署名での個人情報の取り扱い】
本署名、メール署名での個人情報は本署名行動のため以外には使用しないことを約束いたします。メール署名でのメールアドレス等個人情報は署名行動終了後廃棄します。
辺野古への基地建設を許さない実行委員会
問い合わせ先: Tel:090-3910-4140(一坪)・Fax:047-364-9632(一坪)
署名送付先: 〒101-0061東京都千代田区三崎町2-2-13-502
沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック宛
締め切り: 第1次集約 2010年8月末日 最終集約 2010年10月末日
益岡賢 2010年8月20日

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