不戦へのネットワーク


申し入れ書(2022年5月27日)

防衛大臣 岸 信夫様
渡部琢也基地司令 様
自衛隊員の皆様

 ロシアが軍事侵攻をしている「ロシア・ウクライナ戦争」は、遠い国の戦争ではありません。戦争体制を取るロシアは、日本海の向こう側の国です。「KAZU1号事件」のあった知床半島からロシアが統治する国後島までたった25qの近くの国であることを忘れるわけにはいきません。今以上にアメリカ・NATOに協力することは、ロシアから非友好国指定から敵性国の指定を受ける危険な状況と言わざるを得ません。極東ロシア軍の活動拡大に対して、北海道の全自衛隊が警戒態勢に入っているのもその現れというしかありません。

日米首脳会談でバイデン大統領は、「岸田首相は、ウクライナへのさらなる支援を」と呼びかけています。日本政府がそれを決定した場合、支援のための輸送は、また小牧基地と美保基地の部隊となります。ウクライナとポーランドの国境付近は、すでに戦闘地域であり、イギリスBBC放送によれば、ポーランドは準戦時体制に入っていると報道されています。ロシア軍部は「これ以上ウクライナに軍事物資が入ってくるのであれば、その根元を攻撃せざるを得ない」と声明を出しています。根本とはポーランドのことです。このような状態で航空自衛隊の輸送機がたとえ「人道支援目的だ」と政府が言っても断固反対せざるを得ません。防弾チョッキもドローンもロシアから見れば軍事物資になります。

  「ウクライナに平和を」と言いながら、アメリカもNATO諸国の人々も、自国の政府に対して「これ以上武器を送るな」と大きな声を出していません。アメリカもNATOもウクライナに対して「ロシアの侵略と戦争犯罪を止めるためにもっと戦え。軍事物資だけはいくらでも送る」と言って、戦争を止めることと真逆の行動をとっています。アメリカやNATO諸国の「戦争継続支援」に日本が今以上加担すれば、必ずブーメランのように日本に跳ね返ってきます。軍事物資支援という形で参戦国化している欧米に見習えば、日本も参戦国化の非難を免れません。

 クリミア半島をロシアが併合した2014年以来、ウクライナのドンバス地方は政府軍と新ロシア勢力との内戦状態が続き、今年2月24日のロシア軍の侵攻でウクライナ全土が戦場化し、それから3カ月たったいま、兄弟国の兵士たちが殺し合い、事実上、ウクライナ兵を使ったアメリカ・NATOとロシアとの戦争になっています。停戦がなければさらに多くの都市が破壊され、住民たちが殺され続けます。「ウクライナに平和を!」と呼びかけることは同時に、アメリカやNATOに日本が加担せず、日本政府が先頭に立って中国やインドにも呼びかけ、一日も早い停戦の準備を進めることを日本政府に要求してこそ、この題目が生きてくると私たちは確信します。

 極東地域には、ソ連のスターリン政権によって強制移住させられたウクライナ出身のロシア人が200万人もいると言われています。ソ連からロシアになってからもウクライナ系のロシア人は、監視体制の中で生きざるを得ません。プーチンが犯罪者であったことは今に始まったことではありません。20数回もプーチンと会談したことを自慢していた安倍元首相は何だったのか、和平に向けて仕事を少しはしろよと言いたくもなります。このような政権を引き継いでいる岸田政権に自衛隊が振り回されることがあってはならないと、基地司令や隊員の皆さんに訴えることが本日の要請の核心です。

 専守防衛を政府が守っていた時代とは違い、世界情勢が直接的に隊員の命と生活に影響を及ぼす時代になっています。基地司令には部下の隊員たちの命と生活を守る責務があるという観点から、ウクライナ情勢を踏まえた意見具申をしていただくよう要求します。

 最後になりますが、23日、山口県の山口陸自基地で部下に暴行した隊員が逮捕され、続いて26日には北海道の真駒内駐屯地の隊員が地下鉄で高校生に暴行し、逮捕されました。制服を脱げば自衛隊員も一人の市民としての権利があります。大災害などの活動で信頼を高めても、このような事件が起きるとその信頼感が失われます。市民であり、労働者でもありますが、一般の私企業とは違う責務がやはりあります。特別公務員の地位とはそういう点での名称です。年間、4700人近い隊員が中途退職したり、今年の防衛大学卒業生の約500人のうち80人の任官拒否者が出てしまうのも、自衛隊内で構造的な問題があるとみざるを得ません。パワハラやモラハラ、セクハラのない職場環境づくりを基地司令に求めます。

2022年5月27日

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