不戦へのネットワーク


沖縄・普天間基地のオスプレイ撤去と本土での低空飛行訓練中止を求める要請書(2012年11月13日)

内閣総理大臣  野田 佳彦様
防衛大臣    森本  敏様
外務大臣    玄葉光一郎様

 日米両政府は、10月、多くの反対を黙殺して、岩国基地を経由し、普天間基地に垂直離着陸機MVオスプレイ12機を配備しました。すでに、沖縄県内では夜間も含め訓練が開始され、住民は墜落の危険に脅かされています。10月20日には、航空ショーの展示を名目に、韓国の烏山基地へと初の海外飛行も行っています。

 さらに、11月1日、森本防衛相は、今月にも本土の岩国基地と東富士演習場を拠点に、本土での低空飛行訓練が開始されると、関係自治体に詳細は一切知らせず一方的に通告しました。オスプレイはこれまで開発段階で4回、配備後にも3回の墜落事故を起こし36人が死亡しています更に、これまでのCH−46輸送機より格段に性能を伸ばしたオスプレイの配備は、「日米軍事同盟」をより一層進め、アジアでの軍拡と緊張を高めるものです。

沖縄全島で墜落の危険。

 オスプレイは開発段階から事故が多発するオスプレイは、今年4月にはモロッコで訓練中に事故を起こし4名が死傷し、6月にも米空軍仕様のCV22が米国フロリダ州で訓練中に墜落し乗員5人が負傷する等、まさに欠陥機であることが証明されています。しかし、森本防衛相は、アメリカの「人為的ミス」という報告を持って安全宣言を行い、配備を強行しました。すでに、伊江島や、名護市のキャンプ・シュワブ、金武町などにまたがるキャンプ・ハンセンや北部訓練場などで夜間や早朝も含む訓練を繰り返し、騒音や墜落の危険に晒されています。

本土での分散訓練は沖縄で沖縄の負担軽減は欺瞞

岩国基地やキャンプ富士を拠点に行われる本土での飛行訓練は、全国7ルートある米軍の低空飛行訓練ルートで行われます。岩国やキャンプ富士では年間離着陸が約500回、全国にまたがる低空飛行訓練ルートでは、年間330回の訓練を行うとしています。しかも、これまでも航空法は適用されず、夜間や超低空飛行も行われます。日米両政府は、日本の航空法で定める最低安全高度の150メートル以上を飛行すること、人口密集地や学校、病院などの上空を避けて飛行することなどで合意していますが、これまでの沖縄や本土の訓練の実態で明らかなように、これらの合意が守られたことはありません。低空飛行が行われる住民は騒音や墜落の恐怖にさらされています。四国香川県ではダム湖に戦闘機が墜落するという事故も起きています。本土での分散訓練は沖縄の負担軽減にはならず、危険の分散でしかありません。

オスプレイの配備は東アジアの緊張をさらに高める。

 2011年、アメリカは「新アジア戦略」で中国の軍事拡大をにらみ、「米軍と同盟国の軍事力の強化」をうたっています。これまでのCH46ヘリと比較して、2倍の速力で航続距離も約8倍、作戦行動範囲も600qと4倍になるオスプレイの配備は、海兵隊の能力をたかめ、米軍の迅速な海外展開がより迅速に広範囲にできることになります。
 日本政府も、2010年に策定した「防衛計画の大綱」で、これまでの「基盤的防衛力」から積極的に海外展開ができるよう「動的防衛力」を打ち出し、中国を意識し南西諸島への自衛隊の配備、PKOへの積極的な関与を盛り込んでいます。自民党はもちろん、民主党の中にも憲法を「改正」し、集団的自衛権行使の容認、武器輸出の緩和な自衛隊の強化と日米軍事一体化をさらに進める動きがでています。野田佳彦首相は「米海兵隊の能力の中核を担う優れた装備で、わが国の安全保障に大きな意味を持つ」と発言しています。森本防衛相は自衛隊での購入も示唆しています。すでにイラクへの自衛隊の戦地派遣が実現したいま、自衛隊と米軍が一体となった戦争へのシナリオが着々と進んでいくようです。

 私たちは、オスプレイの配備は東アジアの緊張を高め、平和と安定には決して寄与しないと確信します。
 普天間基地からMVオスプレイを撤去し、沖縄や本土上空での飛行訓練の中止を強く求めます。


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