不戦へのネットワーク


自衛隊の中東派遣閣議決定に関する申し入れ書(2019年12月28日)

小牧基地司令 船倉慶太様
自衛隊員の皆様

 政府は昨日、27日の閣議で、海上自衛隊の中東派遣を決定しました。護衛艦「たかなみ」とP3C哨戒機二機が日本関係船舶の安全確保に向けた情報収集をおこなう。派遣根拠は防衛省設置法の「調査・研究」。活動期間は1年。そして不測の事態には海上警備行動を発令する、としています。

 私たちはこれまでの申し入れにおいて何度も自衛隊中東派遣をしないようにお願いしてきました。その意味で、今度の閣議決定はとても残念です。改めて、中東派遣を中止するよう求めたいと思います。

 今回の派遣は問題だらけの決定です。中日新聞は「調査・研究という魔法のカードで」「自衛隊をいつでも、どこへでも、海外派遣できる」(27日夕刊)ことになる、と指摘しています。「安全保障政策に新たな汚点」とさえ断じています。

再考が必要です。

 有志連合には参加しないというのはごまかしです。今次の中東派遣では、米軍がバーレーンに置く司令部に連絡要員を派遣する、としていますが、バーレーンには米軍指揮下の有志連合・合同海上部隊(CMF)があります。有志連合に参加しないというのは、米軍がよびかけた番人作戦(センチネル)の指揮下にはないということに過ぎません。日本独自の活動ではなく、事実上有志連合のもとでの活動です。

 武力による民間船保護を、日本籍船以外にも、日本関係船舶として適用しようとしていることも問題です。船籍を日本以外に移した船(便宜置籍船)、法的には外国船、も自衛隊の警備行動の対象にしています。つまり、日本企業が外国に持っている船=資産を武力で守るということになります。これは「自衛」でしょうか? これが許されれば、どのようにも拡大解釈が可能となります。国際法違反も指摘されています。

 また、海賊対処という任務が事実上終了しているにもかかわらず、ジブチ基地から自衛隊がなかなか撤退しないことを考えると、1年かぎりではなく、恒久的なものになることも予想されます。

 こうした問題点の多い自衛隊派遣ですが、現場で危険にさらされるのは、軍艦と行動をともにすることを余儀なくされた民間船です。いっしょに行動することで、「敵」と認識されれば、攻撃対象とされます。民間船の安全を守るためには地域の平和的な環境をつくることが一番です。日本政府はそうした努力をしていません。アメリカの「要請」に応えることが優先されています。安全とされたところでも戦場となれば、今回はホルムズ海峡、ペルシャ湾が除外されていますが、何が起きるかは予想できません。南スーダンでは事実上の戦闘が起き、そのことを記した日報が隠され、事実が隠蔽されました。また湾岸戦争時に日本政府によって派遣された民間輸送船がミサイル攻撃にさらされていたという事実も隠蔽されてきました。

 犠牲となるのは民間船の船員であり、自衛隊員です。

基地司令に要請します。

自衛隊の中東派遣を中止するよう上申してください。

 2019年12月28日 不戦へのネットワーク


不戦へのネットワーク