不戦へのネットワーク


中東情勢に関わる申し入れ書(2019年6月22日)

小牧基地司令 船倉慶太様
自衛隊員の皆様

 6月13日、ホルムズ海峡近くのオマーン湾で日本などのタンカー2隻が攻撃を受けました。安倍首相がイランを訪問し、トランプ大統領の「メッセージ」を伝えるためにハメネイ師と会談をおこなっていたその時に起きました。それが偶然なのかはわかりません。米国は「イランがやった」、イランは「事実無根」と主張しています。以後、17日に米軍は1000人規模の増派を決めました。20日にはイランは米軍の無人偵察機を撃墜しました。緊張は高まっています。イスラエルのネタニヤフ首相は「アメリカを支持するよう」呼び掛けています。14日、岩屋防衛相は集団的自衛権は発動しない、「この事案で部隊を派遣する考えはない」としましたが、安保法制の論議のなかでは、政府はホルムズ海峡に機雷が撒かれて封鎖されれば自衛隊を派遣できるとしていました。存立危機事態と認定すれば集団的自衛権が行使できることになります。また海賊対処のためジブチに自衛隊基地がありますが、この基地を「邦人保護」の拠点として使用するという論議もすでになされており、現在ジブチ基地は自衛隊の中東、アフリカ派兵の拠点となりつつあります。

 5月28日、安倍首相と来日したトランプ大統領は海上自衛隊の空母「かが」を視察し、艦上で、海自隊員と米軍横須賀基地隊員を前にして「日米同盟がかつてないほど強固」になったと述べました。米国とイランが厳しく対立している現状のなかで、ここまでふみこんだパフォーマンスをおこなったのです。米国がイランとの戦争を決意したとき自衛隊は派遣を拒むことができるでしょうか、船舶護衛などが求められたとき断れるのでしょうか。

 日本政府は安倍首相のイラン訪問により、「米とイランの仲介」をしたと言っていますが、本当に戦争を回避するつもりならば、仲介をするのではなく、トランプ大統領にイラン核合意からの一方的離脱をやめるように言うべきだったのではないでしょうか。また、安倍首相がトランプ大統領の意向をうけてイランにおもむいたのであれば、それは自主的な外交とは言えません。戦争回避の努力とは言えません。明確な外交姿勢のないまま米国につき従っているようにしか思えません。「抱きつき外交」と揶揄される安倍外交は、自衛隊そして日本をとても危険なところに導いています。

 中東での不測の事態が懸念されますが、自衛隊は軍事的に関わることはできません。根拠となる安保法制は違憲なのです。

 小牧基地は物資・人員の輸送基地であり、輸送機はジブチ基地とも頻繁に行き来しています。米国とイランの軍事衝突が引き起こされれば、影響は小牧基地に直結します。基地隊員のみなさんの命と生活に直接関わることになります。

 基地司令が私たちの申し入れの趣旨に理解をしめされ、隊員の皆様のためにも、集団的自衛権を発動しないこと、派兵拠点となりつつあるジブチから自衛隊をひきあげること、を趣旨とする意見を上申していただくよう心からお願いいたします。

 2019年6月22日

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