不戦へのネットワーク


「米軍の補助部隊にならないこと」についての要望書(2018年11月24日)

小牧基地司令 船倉慶太様
自衛隊員の皆様 

 今年もあと一か月を残す時期になりました。毎月の申し入れを受けていただき、感謝します。
私たちは、基地の外の市民や県民が何を問題とし、何に対して不安と疑問を持っているかを皆さまに伝えることにより、基地の外の状況を知り、理解していただきたいと申し入れ活動を続けてきました。2市1町の市民や町民の皆さまも声高になることはなくても、平穏で安全な日常を妨げないでほしいと小牧基地の皆さまに要望をしていると思います。
 しかし、戦争法=安保法制の成立以降、安倍政権の「防衛政策」は、急速かつ強力に、日米軍事一体化を推し進め、小牧基地もこの流れの中で、再編されざるを得ません。来月の「防衛大綱の見直し」の発表は、この流れを加速する政府の意思の表れとなります。この流れに断固反対する立場から申し入れをいたします。
 
 新安保法制の成立により、全自衛隊が常にアメリカ軍の世界的動向に左右されざるを得ません。世界のどこかで米軍が行動すれば、直ちに自衛隊に関係してくるという法的構造になっています。その実践的準備としての日米合同演習の繰り返しが、9月・10月と行われました。KC46Aという新型空中給油機を所有する三保基地と共に、KC767型機を所有する小牧基地は、米空軍支援の最先端にあるということを認識せざるを得ません。アフガニスタン戦争時における、海上自衛隊による給油活動と同等の任務が押し付けられる危険性を小牧基地はもっています。日常業務としての訓練活動が、直ちに対米支援活動に転化する可能性があることをどうか強く認識していただきたいと思います。12月の防衛大綱発表の前に、わざわざアメリカのアーミテージ氏とジョセフ・ナイ氏が「21世紀における日米同盟の刷新」という、いわば、「第4次アーミテージ報告」を発表した中で、「日米統合任務部隊」の設置を提言しています。防衛大綱発表前の安倍政権に対する事実上の強要と言えます。いえ、むしろ安倍政権が望むことを提言したとも言えます。
 日米共同訓練の繰り返しは、事実上の日米統合部隊の創設につながります。アメリカ軍司令部に自衛隊が従い、自衛隊は米軍の補助部隊化することになります。12月を控えた今、基地司令をはじめ、隊員の皆さま一人一人が、日頃の任務が、安倍政権の政策により強く変質してしまうことを立ち止まって考えていただきたいと思います。

 最後に、小牧基地から1万キロの遠くにあるアフリカの自衛隊ジブチ基地についてです。自衛隊ジブチ基地は、陸海空自衛隊が連携する基地となっています。南スーダン支援もこの基地が使われました。昨年の邦人救出訓練を含め、C130輸送機、KC767がこのジブチ基地を使用しています。今や、海賊対策基地とは名ばかりで米軍支援基地と言ったほうが実態に合っていると断言できます。アデン湾、バベルマンデブ海峡の向こう側にあるイエメンの内戦に対して、国連人権理事会は「200万人の女性たちが死の危険に晒されている」と報告し、グテーレス国連事務総長は、「これは自然災害ではなく人災であり、イエメンは今崖っぷちにある」と発表しています。米軍は、ジブチ基地から無人攻撃機でイエメンを攻撃し、内戦の一方のサウジアラビアの空軍部隊に空中給油活動で支援をしてきました。今、サウジアラビアのジャマル・カショギ氏暗殺をめぐっての国際的非難の中で、空中給油支援作戦を中止していますが、いつ航空自衛隊への支援要請が来るかもしれません。今の情勢は一歩手前にあると私たちは認識しています。そのような動きに断固反対します。米軍支援の加速化に対してストップをかけるために基地の中からも声を出していただきたいと強く要望します。

2018年11月24日

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