不戦へのネットワーク


これ以上軍拡をしないことを求める申入書(2017年12月23日)

防衛大臣   小野寺五典様
小牧基地司令 尾崎義典様
自衛隊員の皆様 

 私たちは、毎月この小牧基地の様々な内容で申し入れを行っていますが、時代がますます悪くなっていく状況を心から危惧しています。それは、最前線にある自衛隊員の皆さんに深くかかわることでもあります。

 12月6日、アメリカのトランプ大統領は、中東のエルサレムをイスラエルの首都と認め大使館の移転させる方針を発表しました。イスラエルによるパレスチナの占領によって中東の不安定な状況が長く続く中、国連もエルサレムの帰属問題はイスラエルとパレスチナの交渉によって決定すべきだとし、アメリカの歴代政権もイスラエルによる東エルサレムの併合は国連決議違反としてきました。それを一方的に覆した今回の発表は、より一層中東の不安定化を招くものです。

 12月18日、アメリカのトランプ大統領は、議会に対して「国家安全保障戦略」を提出しました。その内容は、4つの柱からなり、第1は「国民と国土の防衛」でアメリカ本土を狙う北朝鮮による核ミサイルなどへの防衛強化、第2は「アメリカの繁栄の促進」、第3は「力による平和の維持」でアメリカ優位を確保するために軍事力の近代化や能力の強化、即応力の向上をはかると共に、同盟国に対して大きな責任を負うことを求めています。4つ目は「アメリカの影響力の拡大」でアメリカの繁栄を守るために最適な影響力を強化しなければならないとしています。「力による平和の維持」はことごとく失敗をしています。いったい、アメリカはイラク戦争から何を学んだのか、トランプ大統領の国家安全保障戦略はあまりにも独善的で自己中心的と言わざるを得ません。

 しかし、このような、アメリカの「力による平和の維持」と同盟国に対して大きな責任の負担、ということを無条件に受け入れているのが日本の安倍首相です。11月のトランプ大統領来日の際に、「日米が100%ともにあることを力強く確認した」とし、武器商人と化したトランプ大統領に対して、F35Aや新型迎撃ミサイルのSM3ブロック2Aなどのイージス艦の購入を約束しまた。そして、12月19日に、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を閣議決定し、敵基地攻撃も可能な長距離巡航ミサイルの導入に向けての予算も閣議決定をしました。軍事費は6年連続で上昇し、5兆1千億円以上にもなっています。そして、来年の通常国会には改憲に向けて発議を行い、9条の平和主義の息の根を止めようとしています。

 朝鮮の核開発やミサイル実験を口実に、軍拡の道をひた走り、憲法の平和主義をかなぐり捨てた先にあるのはアメリカなどと共に戦争をする国です。その最前線に立つのは自衛隊員の皆さんです。歴史の教訓に学ぶなら、「力による平和の維持」などありえません。対立をあおる軍備の拡張はやめるべきです。

 「憲法9条が自衛隊員の命を守ってきた」この言葉をいま一度、思い起こすべきです。私たちは、全力を挙げてこの戦争への道を止めようと思います。

2017年12月23日
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