不戦へのネットワーク


南スーダンから自衛隊の即時撤退を要請する申し入れ書(2017年3月25日)




小牧基地司令 尾崎義典様
自衛隊員の皆様

 3月10日夕方、安倍首相は南スーダンPKOに派遣されている自衛隊の撤退を表明しました。この日のこの時間は、森友学園の問題で、籠池理事長の記者会見が行われている時間であり、いかにも唐突で何か隠された意図があるのではないかと想像をさせる表明でした。
安倍首相は、撤退の理由を「南スーダンPKOへの派遣は今年1月で5年を迎え、施設部隊の派遣としては過去最長となる」「南スーダンの国づくりが新たな段階を迎える中、自衛隊の施設整備は一定の区切りがつけることができると判断した」と説明し、国会の場であれほど追及された現地での治安悪化には一言も触れませんでした。菅官房長官は、昨年9月頃から撤退の検討を始めていたと記者会見で表明しましたが、昨年10月、稲田防衛相は南スーダンのジュバを視察し、「現地の治安は安定している」と報告し、この報告をもとに安保関連法(戦争法)に基づく「駆けつけ警護」や「宿営地共同防護」の新任務が付与されて派遣されましたということはどう説明をするのでしょうか。
加えて、南スーダンの現地情報を記録した「日報」問題で、新たな事実が発覚しました。2月時点で、保存していないとされた日報が、統合幕僚監部にデータで保管されていることが明らかになりましたが、その後、陸上自衛隊司令部や派遣部隊でも日報が保存されていることも明らかになり、しかも陸上自衛隊の上層部はこの事実を隠蔽するために、日報の破棄を指示していたと言います。まったく驚くべき事実です。日報には、昨年7月の現地情勢を「戦闘」と表記していました。稲田防衛相の「憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないので、武力衝突という言葉を使っている」や、河野統合幕僚長の「法的な誤解を招かないように、戦闘という言葉を使うときは注意するよう現地に指導した」などという言葉遊びのような国会答弁もひどいものですが、あるものをなかったというこの隠ぺい体質に、心の底から怒りを覚えます。
稲田防衛大臣がこの事実を知っていたのかどうかは明らかになっていませんが、知っていたなら国会で虚為答弁を繰り返していたことになり、知らなかったとしても文民統制が機能していないという事実に対して重大な責任があります。稲田防衛相は、「森友事件」についても国会で虚為答弁を繰り返しています。自衛隊のトップとしての資質も人格も疑わざるを得ません。このような稲田防衛相を任命し、かばい続ける安倍首相の責任も免れません。
今回の南スーダン派遣に対する一連のことが示すのは、政府や自衛隊の幹部は都合の悪いことは隠し、自衛隊員や市民を欺くということです。私たちは、徹底的な事実の解明と、稲田防衛相、安倍首相の責任追及と辞任を求めます。3月18日、派遣されている自衛隊員5人が南スーダン政府軍に一時拘束され武器を没収されるという事態も報告されています。現地は、日報が報告しているように「戦闘状態」です。PKO5原則に違反をしています。5月の撤収を待つのではなく、自衛隊はただちに撤収すべきと意見具申をすべきです。




2017年3月25日
不戦へのネットワーク


不戦へのネットワーク