不戦へのネットワーク


7月参議院選挙前の要請書(2016年6月25日)

小牧基地指令 野中 盛様
隊員の皆様

 来月7月1日で、全自衛隊発足62年になります。創立62年を前にして、その1/3の期間、申し入れという行動で、私たち不戦へのネットワークは小牧基地の皆さまとお付き合いしてきたことになります。この20年を振り返りながら、改めて私たちの考えとお願いをしたいと今日も申し入れをします。

 まず、何よりも国の軍事組織が「一人も殺さず、一人も殺されず」を守ってきたことに国民的な意志を感じます。基地司令をはじめ、隊員の皆さまも家族の皆様も「専守防衛」という憲法解釈の元、安心して任務をやり遂げる職場であったであろうと思います。それは、戦争体験のある国会議員の多くが、「海外での戦争だけは許してはいけない」と信念のもとで「専守防衛路線」を守り、戦争体験を持つ多くの国民がそれを支持してきたからだと言うことができます。アメリカから、どんなに強い要求があっても日本政府は応じてきませんでした。イラク戦争時、当時の小泉首相は、自衛隊を派遣しましたが、テロ対策特措法も、イラク特措法も隊員の命に危険がある場合は、ただちに安全な場所への撤退を命令しなければならないと規定されていました。

 1945年の敗戦以降、何とか積み重ねてきたことが、2014年7月1日、集団的自衛権行使容認の閣議決定をし、翌2015年9月19日、海外で武力行使ができる、つまり戦争ができる法律を作り、場合によってはいつ発動されても法的には問題のない体制を作り上げてしまいました。62年間守ってきたことが、政府の命令一つでガラガラと崩れてしまう法体制にあるのが現在だと私たちは理解をしています。

 もはや、隊員の皆さまや家族の皆さまにとって安全な職場だと言うことができなくなりました。私たちにとっても海外旅行が安全だと言うことができなくなります。安倍政権が、対テロ戦争の側に立っているからです。自衛隊をその戦争のために使うためにこそ強硬成立をさせたのが安保関連法(戦争法)だと理解しています。そして、安倍首相は7月10日の参議院選挙を、改憲に必要な議席を確保し、この法体制が憲法に違反をしないように憲法を変えていくための重要な一歩として位置付けている、と考えます。「対テロ戦争のために自衛隊を活用します」と選挙前に安倍首相が言うわけがありません。しかし、選挙に勝てば自分の任期中に改憲をしたいと公言しています。そのことを私たちは最も心配しています。そしてそれは基地司令はじめ隊員の皆さまにこそ直接関わってくる問題です。どのような職場であれ、職務命令には従わなければなりませんが、1969年の最高裁で「命にかかわる職務命令を拒否しても不利益があってはならない」という判決が出ています。

 私たちは、日本国憲法こそが皆様の安全を守ってきたと思っています。南スーダンもジブチも外務省が言うほど安全ではありません。唯一の国内支援基地としての小牧基地を職場とする皆さまに、どうか立ち止まって以上のことを考え、一人の市民として今度の選挙に臨んでいただきたいと思います。創立62年、参議院選挙を目前にした今日、「一人も殺さず、一人も殺されず」の信念を守り、貫いていただきたいと訴えます。

 オスプレイの飛来の問題、新空中給油機の導入の問題、ブルーインパルス展示飛行の問題、部品の落下事故の問題など、2市1町の住民も自治体も小牧基地の動向を注視しています。「小牧基地はこれ以上大きくならず静かにしていてほしい」これが周辺住民や自治体の要望です。20年以上にわたり申し入れを行ってきましたが、今後も私たちの声を粘り強く届けたいと思います。

2016年月6月25日 不戦へのネットワーク


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