不戦へのネットワーク


安倍首相の靖国神社参拝に抗議する声明(2013年12月27日)

内閣総理大臣 安倍晋三様

 本日(2013年12月26日)、安倍首相は、就任1周年を期して靖国神社を参拝しました。私たちは、安倍首相の靖国神社参拝に強い憤りをもって抗議をします。

1憲法の政教分離に違反
 靖国神社は、東京招魂社から始まり、1879年に靖国神社と改称され、陸・海軍省の管轄下におかれました。そして、侵略戦争の過程で、天皇に忠誠を誓い、命を捧げた軍人や軍属のみを「英霊」としてまつり、民衆を侵略戦争に加担させていく精神的支柱である国家神道の中核的存在としてありました。まさに天皇の神社であり、アジア侵略の精神的支柱でした。戦後、一宗教法人として存続を図りましたが、1978年には「昭和殉難者」としてA級戦犯である東条英樹以下14名を合祀しています。戦犯が合祀されしかも一宗教法人に首相が参拝することは憲法が規定する「政教分離」に違反する憲法破壊行為です。

2侵略植民地支配の正当化
 安倍首相は、就任以来、植民地支配と侵略戦争によってアジア諸国に多大な犠牲を強いたことを謝罪した村山談話や、旧日本軍の性的被害女性の強制性を認めて反省の意を表明した河野談話を否定するなど、侵略や植民地支配を肯定する姿勢を鮮明にしてきました。靖国神社への参拝は、日本が侵略戦争や植民地支配という国家犯罪に対し反省も謝罪もしないと内外に表明したに等しい行為です。
靖国神社への参拝に対し、侵略と植民地化で辛苦を味わった中国・韓国から批判されるのは当然です。そればかりか、「同盟国」であるアメリカからも「近隣諸国との緊張を悪化させようとしている」と非難をしています。「尖閣諸島」や「独島」を巡って緊張が続いている中、周辺諸国との緊張をさらに高めるための「挑発」ともいえる愚かな行為と断罪せざるを得ません。

3「戦争をする国」
 「改憲」を悲願とする安倍首相は、日本版NSCを設置し、秘密保護法を強硬に成立させ、実質的に憲法の平和主義をなきものにする指針を示した「国家安全保障戦略」、新防衛計画の大綱・中期防衛力の整備計画の決定、なりふり構わない「金」と実現できる担保もない虚言をもって沖縄の辺野古への新基地建設の押しつけなど、戦争ができる国づくりに驀進しています。首相の靖国神社参拝は、これから出てくる実質的な憲法破壊法案の「国家安全保障基本法」、明文改憲へと進み、再び靖国神社の新たな「英霊」、すなわち国のために死ねる体制作り準備にほかなりません。
 私たちは、アジア諸国との平和的な関係を求めます。「戦争をする国」づくりを断固拒否するとともに、アジアでの緊張を高める安倍首相の靖国参拝に強く抗議します。

2013年12月27日    不戦へのネットワ−ク


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