不戦へのネットワーク


ブルーインパルス飛行、並びにオスプレイの訓練移転についての申し入れ書(2013年9月22日)

航空自衛隊小牧基地司令 上ノ谷 寛様
隊員の皆様

 基地司令や隊員の皆様の日頃の努力に敬意を表します。
本日は、航空祭に際してのブルーインパルス展示飛行の中止と、米軍新型輸送機MV22オスプレイの小牧基地への訓練移転をしないよう、要請いたします。
昨年12月、「改憲」の姿勢を積極的に進める安倍自民党政権が誕生し、いよいよ自衛隊員の命を守ってきた憲法9条及び前文の全面的な「改悪」が現実的になりつつあります。さらに、改憲を待たず、現憲法下での解釈で集団的自衛権の行使ができるようにとの動きも加速しています。
法律だけでなく、実体としての自衛隊も拡大強化が続いています。小牧基地でいえば、憲法違反のイラク派兵が行われ、私たちも強く反対したにもかかわらず、空中給油機が配備されるなど基地機能の強化・拡大が進んでいます。2010年には、「米軍との空中給油の覚書」が締結され、米軍との共同訓練に参加し、米軍の後方支援体制の強化、「集団的自衛権」行使の先取りが行われています。
この見地に立って、以下の要請を行います。

1.ブルーインパルス展示飛行について
 小牧基地でのブルーインパルスの展示飛行は、これまで何度か取りざたされてきましたが、周辺自治体などの反対で実現していません。昨年は国際航空宇宙展がセントレアで開催されましたが、その際も展示はされましたが展示飛行はされていません。
 小牧基地は、県営名古屋空港の滑走路を使用しているため、民間定期便の離着陸の合間に行われます。周辺は住宅が密集し、通常でも騒音の被害があります。
 ブルーインパルス飛行の説明で自衛隊は安全なT2練習機を使用し、通常の倍以上の整備をし、自衛隊最高のパイロットが操縦するといっています。しかし実際は過去三回も墜落し、浜松では民間人の被害も出ています。
 小牧基地においては過去に米軍機・自衛隊機を含め、墜落事故の6件を含め21件の事故を起こしています。(春日井市議会での答弁)今でも常に軍用機の墜落や部品の落下の危険があり、周辺住民の平穏な暮らしが危険にさらされています。
 ブルーインパルスの飛行は、小牧基地の強化・拡大の象徴です。周辺自治体が平和で安全で安心な暮らしを守りたいという最低限の切実な思いにこたえるためにも、住民が求める「輸送と教育」という現状を維持するのが最低限のことです。
危険なブルーインパルスの展示飛行を今年はもちろん、来年以降も行わないよう申し入れます。

2.米軍新型輸送機MV22オスプレイの訓練移転について
 新聞報道によると、8月末、政治団体「そうぞう」の下地代表と日本維新の会沖縄支部が、大村知事と会談し、米軍新型輸送機MV22オスプレイの訓練移転を含めた協力要請をするとありました。
 昨年10月、MV22オスプレイは沖縄の普天間基地に、知事をはじめ沖縄の全自治体、住民の反対にもかかわらず12機が配備され、さらに今年8月にも12機の追加配備がされました。ご存知のようにオスプレイは開発段階から事故が多発し多数の米軍人の死傷者を出しています。沖縄はもとより、本土でも既に低空飛行訓練が開始され、来月には滋賀県の饗庭野演習場での日米共同訓練にも参加します。
 沖縄での訓練は日米合意を守らない訓練が繰り返され、住民は日夜騒音と墜落の危険に晒されています。沖縄ばかりではなく、本土上空で行われる米軍機の低空飛行訓練は、日本の航空法も適用されず、超低空飛行で訓練を行います。これまでの米軍機の低空飛行訓練では、墜落事故や農家の土蔵が壊れるなど多くの被害がでています。住民の平穏な生活と生命の安全を守るより、米軍の軍事訓練を優先するのは許せない行為です。
 今年1月には、沖縄県下すべての41自治体が、オスプレイ配備と低空飛行訓練に反対をして首相に「建白書」を提出しました。また、昨年7月には全国知事会が安全性の確認ができていない現状では受け入れることはできない」という緊急決議を全会一致で採択し、今年3月には本土での訓練にあたって政府に要請をしています。名古屋市議会においても意見書が採択されています。
 オスプレイの、配備および全国での低空飛行訓練は、有事の際に、殴り込み部隊である海兵隊兵力を迅速に、しかも敵のレーダーに感知されないように輸送するためのものです。今年朝鮮戦争を想定して行われて大規模な米韓合同演習「フォールイーグル」に参加しています。
 オスプレイの分散移転訓練は、沖縄の負担軽減ではなく全国への危険の拡散です。沖縄はもとより、全国へのオスプレイの配備と訓練をやめることが、住民の平和と安全を守ることになります。
民間機が常時利用し、周辺の住宅地が密集する小牧基地での訓練移転は、住民の生命と安全の危険性を増すことになります。また、小牧基地がさらに米軍とともに戦争ができる基地に強化拡大することになります。改憲に突き進む安倍政権の基でこそ、「戦争」の現実を直視し、ブレーキをかけるよう小牧基地でのMV22オスプレイの訓練移転をしないよう意見具申をしてくださるよう要請します。


2013年9月22日
 不戦へのネットワーク


不戦へのネットワーク