不戦へのネットワーク


年明けにも自衛隊が南スーダンへ派遣され、なし崩しに海外派兵の常態化がなされようとしています。12月4日、空中給油機の覚書問題と共に、小牧基地への申し入れ行動を行ないました。以下。申し入れ書です。


自衛隊による米軍機への給油に関する「覚書」についての申し入れ(2011年12月4日)

日本国首相  野田 佳彦様
防衛大臣   一川 保夫様
小牧基地司令 谷川 修平様

 私たち、不戦へのネットワークは、小牧基地の基地機能強化の観点から空中給油機導入に対し、反対の取り組みを行なってきました。残念ながら、現在4機の空中給油機は配備され、第404飛行隊として運用をしています。その空中給油機について、さる10月3日付けで、昨年10月に、米太平洋空軍と自衛隊が日米共同訓練や有事の際に航空自衛隊の空中給油機から米軍戦闘機などへの空中給油実施を可能にする「覚書」を締結していたと報じられました。

 私たちは、以下の理由から、この「覚書」の内容を明らかにし、破棄するよう申し入れます。

 そもそも、空中給油機の導入に際しては、その能力から国会でも導入の賛否がありました。小牧基地への空中給油機の配備に際しては、周辺自治体から基地機能の強化につながるのではないかという危惧から、強い反対の意向が示されていました。また、私たちも配備反対の立場から、県や政府・防衛省などに働きかけてきました。空中給油機配備開始後も、2009年2月には周辺自治体が防衛大臣宛に「小牧基地については、航空自衛隊の構成に基づく航空支援集団及び航空教育集団として行う、航空輸送及び航空教育を中心とする業務を変えないようにされたい。」旨の要請も行っています。

 しかしながら、防衛施設局(当時、現防衛局)は、空中給油機導入は、「空中給油輸送機配備について、小牧基地の基本的な役割は輸送と教育であり、空中給油・輸送機が配備されてもその目的は「輸送」にあたり、基地機能の強化に当たらない」と周辺自治体及び県に説明しました。私たちはもちろんこの見解を受け入れたわけではありませんが、防衛局はそのような解釈で空中給油機導入を推進してきました。

 しかし、今回の「覚書」の内容はこの見解とはまったく違います。また、今回の「覚書」にあるように、訓練だけでなく「周辺事態」や「武力攻撃自体」の際に空中給油が可能になるならば憲法が禁止している「集団的自衛権の行使」や「武力の行使」に違反します。2008年4月に名古屋高裁で出されたイラク派兵差し止め訴訟の判決では、イラクでの航空自衛隊の活動を、憲法9条1項違反と認めました。現在の戦争は、兵站活動なくしては成立せず、判決は他国の軍隊に対する兵站活動も「武力行使と一体」とし、憲法に違反すると認めました。米軍機への空中給油は戦闘活動への兵站活動であり、明らかに憲法に違反する活動をする任務を行なう部隊の存在を認めるわけにはいきません。

 また、航空自衛隊小牧基地の滑走路は、愛知県が設置管理するものであり、県営空港として地域の発展に貢献する任務が最優先されます。市街地の真ん中にあり航空機による事故の危険性や、騒音などによって周辺住民の平穏な生活が脅かされることもあります。周辺自治体も、基地機能強化には反対をしています。「覚書」の内容は、今後小牧基地が、C130輸送機だけではなくKC767によっても、更にアメリカの戦争に加担をする兵站業務を負わされることにつながります。実質的な基地機能の強化であり、新たな出撃拠点につながる「覚書」は決して容認で来るものでありません。

私たちは、以上の観点から以下を申し入れます。

1.政府・防衛省は「覚書」の内容を明らかにすること。
2.「覚書」の内容を周辺自治体並びに県民に対し明らかにすること。
3.基地機能強化につながる「覚書」を破棄すること。


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