不戦へのネットワーク


 2011年10月24日、愛知県の航空対策課に対し、以下の申し入れを行ないました。
給油機導入に際して、輸送業務が主であるから「輸送と教育」という基地の役割は変わらず、基地機能の強化には当たらないと繰り返していましたが、県はこの件に関して何も対応をとっとおらず、県の見解としては「県営名古屋空港に関わることではない。自衛隊がどんな任務をするかというのは県は関知しない」という姿勢でした。渋々ですが、小牧基地に問い合わせてみるという返事を引き出しました。


自衛隊による米軍機への給油に関する「覚書」についての申し入れ(2011年10月24日)

愛知県知事 大村 秀章様

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 日々県民のための県政にご努力されていることに敬意を表します。
表題について、さる10月3日付けで、昨年10月に、米太平洋空軍と自衛隊が日米共同訓練や有事の際に航空自衛隊の空中給油機から米軍戦闘機などへの空中給油実施を可能にする「覚書」を締結していたと報じられました。この件に関し、県営空港を設置管理する貴職の見解をお聞きするとともに、小牧基地の「輸送」業務という運用の性格を逸脱する今回の覚書の実態を明らかにし、「覚書」の破棄を政府・防衛省に要求するよう申し入れます。

 小牧基地への空中給油機の配備に際しては、周辺自治体から基地機能の強化につながるのではないかという危惧から、強い反対の意向が示されていました。また、私たちも配備反対を設置管理者である県として政府・防衛省などに働きかけるよう申し入れてきました。空中給油機配備開始後も、2009年2月には周辺自治体が防衛大臣宛に「小牧基地については、航空自衛隊の構成に基づく航空支援集団及び航空教育集団として行う、航空輸送及び航空教育を中心とする業務を変えないようにされたい。」旨の要請も行っています。

 しかしながら、貴職は以前の交渉の際、空中給油機導入は、「空中給油輸送機配備について、小牧基地の基本的な役割は輸送と教育であり、空中給油・輸送機が配備されてもその目的は「輸送」にあたり、基地機能の強化に当たらない」という見解を示されました。私たちはもちろんこの見解を受け入れたわけではありませんが、そのような解釈で貴職は空中給油機導入を容認してきました。しかし、今回の「覚書」の内容は貴職の示した以前の見解とはまったく違った内容です。基地機能の変更が明らかになった今回の「覚書」について、設置管理者である県に対しなんら情報が届かないというのは重大な問題です。

 更に、今回の「覚書」にあるように、訓練だけでなく「周辺事態」や「武力攻撃事態」の際に空中給油が可能になるならば憲法が禁止している「集団的自衛権の行使」や「武力の行使」に違反します。2008年4月に名古屋高裁で出されたイラク派兵差し止め裁判では、イラクでの航空自衛隊の活動を、憲法9条1項違反と認めました。現在の戦争は、兵站活動なくしては成立せず、判決は他国の軍隊に対する兵站活動も「武力行使と一体化」とし、憲法に違反すると認めました。米軍機への空中給油は戦闘活動への兵站活動であり、明らかに憲法に違反する活動をする任務を行なう部隊の存在を認めるわけにはいきません。以上を踏まえ、貴職に対し以下のように申し入れます。

1.政府・防衛省に対し「覚書」の内容を明らかにするよう要請し、「覚書」の破棄を要求すること。

2.「覚書」の内容を周辺自治体並びに県民に対し明らかにすること。

3.昨年と今年、アラスカで行なわれた日米共同演習における訓練内容を明らかにし、周辺自治体並びに県民に周知すること。

4.小牧基地での米軍の利用実態を明らかにすること。

以上

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