不戦へのネットワーク

東アジア諸国が脅威と感じるKC767の配備を中止し、空自隊員の命に関わるイラク「人道支援活動」からの一日も早い撤退を求める申し入れ書(不戦へのネットワーク:2007年2月17日)

浮須一郎基地司令様
隊員の皆様

 本日、私たちは三市一町にわたる宣伝活動をやりながら基地正門前に立ちました。今日の「くるな給油機2.17大行進」を計画し主催した不戦へのネットワークは毎月申入れを行っている有事法制反対ピースアクションの構成団体の一つです。98年以降、愛知県に対し、二市一町に対し、また周辺住民の皆さんに対し、給油機導入に反対しようと訴えてきました。KC767の配備を目前にし、「専守防衛」や各種の「人道支援」をはるかに超える基地になってしまう現実を前にして、10年に渡る反対運動の弱さを噛みしめながらも、諸団体・諸個人に本日の行動を呼びかけました。私たち不戦へのネットワークは、日本国の最高法規としての日本国憲法を遵守し、不戦の立場から憲法違反は見逃さないという熱意を支えにする団体です。この立場から浮須基地司令、隊員の皆様に以下の申入れを致します。

 2月20日に、ブュシュ政権の「影の大統領」とも言われるチェイニー副大統領がリン夫人とともに来日します。イラク戦争が始まるや否や米国防総省と100億ドル、日本円で1兆円を越える契約をしたハリバートン社の最高責任者を6年間やり、今も最大の個人株主です。リン夫人は、アメリカ最大の軍需産業であるロッキードマーチン社の役員を8年間もやり、アメリカが戦争をやるたびに巨大な財産を得てきた戦争屋夫婦として有名です。この「影の大統領」は、日本の国会の動向を見ながら、イラク戦争への更なる支援、沖縄をはじめとする米軍再編の加速化、総じて日本の軍事協力体制の加速と確認のための来日と理解できます。中でも、1月10日に発表されたブッシュ新戦略への協力要請は、浮須基地司令や隊員の皆さんへの更なる過重な負担を押し付けることになる、ということをまず確認しておかねばなりません。しかも、報道によれば防衛省の最高責任者である久間防衛大臣とは会談しないとのこと。「日米同盟が大切なら人と金をもっと出せ」というだけ言ってグアムに向かうようです。このような人物のために隊員の皆さんが命がけの任務をこれからも続けなければならないのかと考えると、腹の底からの怒りを禁じ得ません。

 隊員の皆さんとC130は、アメリカ軍の「対テロ戦争」のための無料定期便として使われ、イラクの抵抗勢力からは、占領軍に協力する輸送機として狙われ、実情を知っている人たちからは「打ち落とされる前に帰ってくればいいのに」と無責任な覚めた目で見られているのです。イラク派兵を続けることにいいことなどなにもありません。にもかかわらず、安倍首相は「人道復興支援」を続けるために更にイラク特措法の2年の延長を明言しています。更にこれから2年です。
 イラク現地では1月20日以降、毎週2機の割合で米軍ヘリが撃墜されています。更に、2月14日から開始された「法の執行作戦」という名のバグダッド掃討作戦は、米軍・イラク軍計9万人を投入し、夏まで続くと報道されています。もはや人道復興支援の余地などどこにもありません。米軍への補給作戦としての軍事行動任務と明確にし、それに対応するか撤退するかしかありません。イラク特措法は、平定されつつあるイラクを前提に作られた法律であり、今の状態に対応できる法律ではありません。そのしわ寄せが全て皆さんに押し付けられているとしか理解できません。もう本当に止める時が来たと思われます。イラクからの撤退に向けた圧力を政府や防衛省に、ここから、この基地の中からあげる時が来たと判断されます。部下の命を預かる浮須基地司令から口火を切ってください。政府のごまかしによってイラクの人たちの命が奪われています。隊員の命が脅かされています。

 空中給油機(KC767)は、35年前の1972年、日中国交回復にあたり、当時の田中首相により「日本は他国に脅威を与えるような武器は持たない。従って空中給油可能な戦闘機も給油機も持たない」と明言せざるを得なかった危険な武器なのです。民間機が離発着する県営空港との共存などあり得ません。住民の安全と平和を守ることが責務である自治体は、本来配備に反対するべきですし、空港管理者である愛知県は、その危険性を広く県民に伝え、監視と滑走路の使用制約任務の決意を示しておく責任があるのです。しかし、前小泉政権以降、「安保防衛問題は国の専管事項」という主張に、自治体までもが任務を忘れ、引き継がれています。制服を脱いだ時、平穏で安全な生活を求める住民の立場からお考えください。
 そして、何よりも「地球規模の日米同盟」を推進する限り、やがてアメリカの戦争協力に使われかねない危険性があります。更に、昨年の「機動衛生隊」の編成、C130の空中給油機化の着手、空中給油機能を持つUH60Jヘリの調達と、私たち市民の眼から見てもこの基地の機能強化が理解できます。アメリカの利益に押しまくられることを日米同盟の強化と政府や自衛隊が理解するならば、軍事的下請け化は必然です。法の改悪によって「専守防衛体制」の制約がなくなった今、KC767配備は、この基地が本格的な派兵拠点になることを意味します。アメリカという強大な国が、実は単独ではイラクやアフガニスタンという小国ですら上手くコントロールできない国であることをはっきり自覚する必要があります。
 基地の外と中で、アメリカに強要される派兵拠点化にともに反対をしていきましょう。
東アジア諸国が脅威と感じるKC767の配備を中止し、アメリカのイラクでの掃討作戦に加担し続け、空自隊員の命に関わるイラクでの「人道復興支援」活動から一日でも早く撤退をするために声を上げていきましょう。

2007年2月17日
不戦へのネットワーク


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