有事法制反対ピースアクション

航空自衛隊のイラクからの撤退を求める申し入れ書(2006年8月26日)〈ノーモア南京〉名古屋の会

航空自衛隊小牧基地司令 浮須一郎様
航空自衛隊小牧基地の隊員・家族の皆様

 8月23日、この飛行場から200名の航空自衛隊がイラクに向けて飛び立ったという報道がありました。この同じ日の夕刻、名古屋栄の街角でで私たちは『航空自衛隊はイラクに行くな』とマイクを通して道行く人たちに訴えかけました。

 「イラクには大量破壊兵器がある」、「フセイン大統領とアルカイダとは関係がある」という理由でアメリカ・イギリスは2003年3月20日にイラク攻撃を始めました。1カ月余りの後、ブッシュ大統領は勝利宣言をしました。しかし、このイラク攻撃の理由はまったく根拠のないことが明らかとなり、当の米英政府ともこれを認めました。米英両政府のすべきことはイラク政府とイラクの民衆に対しての誠実な謝罪です。攻撃で死亡した人に対しては相応に補償すべきで、負傷者に対しては米英の医学医療の総力を挙げ治療に当たるべきです。攻撃されず現在アメリカ大使館となっているフセイン大統領給電、石油支配のために破壊しなかったイラク石油省の建物以外の破壊された省庁の再建、そして何よりも生活基盤となる水道施設、発電施設、道路・橋梁、学校、病院などの再建です。そしてイラクの人々の家の再建は無条件で行われるべきです。理由を付けて先制攻撃をし、石油を略奪し、巨大な軍事力で占領を続け、イラク民衆の破壊された生活基盤を放置する米英のこのイラク戦争・占領がゆるされていいはずはありません。日本政府・小泉首相はこの米英のイラク攻撃を国際的に真っ先に支持を表明し、その証として自衛隊をイラクに派兵し、国内向けには自衛隊のイラク派兵を人道復興支援と言い繕いました。

 自衛隊のイラク派兵から2年半、この7月で陸上自衛隊はイラク・サマーワから撤退しました。しかし、クウェートに駐留する航空自衛隊は撤退どころか輸送任務が拡大されました。米軍の戦闘と一体となった輸送任務の拡大であり、輸送範囲の拡大です。イラク占領に抵抗する武装勢力は米軍の戦闘行為と一体をなす航空自衛隊C130輸送機を標的にしない理由はありません。

 1937年7月7日の北京郊外盧溝橋での一発の銃声は日中全面戦争の契機となりました。69年前の「名古屋新聞」には「我が陸戦隊の大山中隊長保安隊に射殺される」との見出しで、戦火が飛び火した上海で偵察にでた海軍陸戦隊大山勇夫中尉・斉藤要蔵一等水兵が中国の保安隊に射殺される事件が報じられた。これを機に、第二次上海事変に発展し、16日付の名古屋新聞は、「我が空軍長駆南京を爆撃」との見出しで渡洋爆撃の成果を報じた。8月15日の動員令のよって名古屋城に師団司令部を置く第3師団第6聯隊(名古屋)・第68聯隊(岐阜)、四国善通寺の第11師団の兵員は軍艦で揚子江に派兵され、名古屋と岐阜の聯隊は8月23日未明に上海郊外呉淞に敵前上陸した。以後2カ月半にわたる上海での攻防戦によって両軍の兵士と中国の民衆が多数死傷した。第6聯隊長は戦死し、第68聯隊長が負傷するほどの激戦でした。しかしその端緒は、盧溝橋でのたった一発の銃声でした。

 去る6月アメリカ陸軍のエーレン・ワタダ中尉はイラクへの派兵命令に対して、「このイラク戦争に参加することは戦争犯罪に自らが加わることになる」と表明し、イラクへの出動を拒否しました。軍隊内部からも反対行動がでるイラク戦争について、直近のアメリカの世論調査は国民の6割が米軍のイラク攻撃と占領に反対しているという結果を報じています。

 政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることの内容に決意し」た日本国憲法に背き政府は小牧の航空自衛隊にイラクへの派兵命令を下しています。イラクを占領しているその米軍の戦闘行為と一体となったこの空自の輸送任務がイラクの民衆の称賛を浴びることはありません。これはイラクではなく日本が攻撃占領されたことを想像すれば明らかです。戦争の惨禍をイラク民衆に加えることのないように、そして航空自衛隊員に負傷者が出ることのないように願っています。イラクでのC130輸送機の輸送実態を私たちは知らされておりません。その実態をつぶさに知っている自衛隊員と知る立場にある基地司令こそ小泉首相に意見具申してください。

〈ノーモア南京〉名古屋の会


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