有事法制反対ピースアクション

米第7艦隊旗艦ブルーリッジの名古屋港入港に対する港湾管理者への抗議と要請

名古屋港管理組合 管理者:名古屋市長 松原 武久様

 私たち、有事法制反対ピースアクションは、名古屋を中心に平和や人権の問題に取り組む市民グループです。一昨年3月に続いて1月30日から名古屋港金城埠頭に横須賀を母港とする米第7艦隊の旗艦ブルーリッジが入港することに対し、強く抗議します。

 今回の入港の目的は、「友好・親善」とされていますが、昨年末から東京八王子での小学生轢き逃げ事件、横須賀での強盗殺人事件と米軍による事件・事故が相次いでいます。名古屋港に引き続き寄港する室蘭市の対応を北海道新聞では以下のように伝えています。

〈ブルーリッジ寄港 室蘭市が中止要請、米は受け入れず2006/01/27 07:35〉
【室蘭】米第七艦隊の旗艦「ブルーリッジ」(一九、二○○トン)とイージス艦「チャンセラーズビル」(一○、○○○トン)の二月の室蘭港寄港をめぐり、室蘭市が当初、寄港中止を要請していたことが二十六日、分かった。
 米海軍は十九日、海上保安庁を通じて両艦の寄港を通告した。これに対し室蘭市は、横須賀市内の殺人事件で米兵が逮捕されたことを踏まえて同日午後、駐札幌米国総領事に「今回は寄港を遠慮してほしい」と伝えた。その後も要請を続けたが受け入れられなかった。
 同市は「市民感情を考えるとふさわしくない」(総務部)として、歓迎行事は行わず、米国側主催の艦上レセプションにも出席しない。また週明けにも駐札米国総領事に対し、滞在中は市民の安全に配慮するよう、道とともに申し入れる。

 貴職は、ブルーリッジの入港を安易に認めたばかりでなく、入港の発表に関してもアメリカ領事館の要請で、24時間前にしか行っていません。市民・県民の安全を最優先させるべき港湾管理責任者の対応の違いに失望を禁じ得ません。言うまでもなく、名古屋港は取り扱い貨物量日本一の商業港です。名古屋港管理組合規約では、「第一条この組合は、名古屋港の開発発展と利用の促進を図り、管理運営を確立し、もつて国際的重要港湾となすことを目的とする。」となっています。

 米艦船の入港がこの目的と一致するとは到底考えられません。名古屋港だけでなく相次ぐ全国の商業港への米艦船の入港は日本のどこの港でも米軍の基地として使えるようにする、つまり「商業港」の「軍港化」を意図しています。

 日米地位協定第5条による「事前通告」は港湾管理者が無条件で入港を認めることを意味しません。地協定5条についての「合意議事録」には「この条に特に定めのある場合を除くほか、日本の法令が摘要される」と書かれています。むしろ港湾管理者は、管理者としてその港湾の使用目的の判断をするという責務を自覚し、一般住民の平和と安全を守るために、毅然として港湾管理権を行使すべきです。港は世界に向かって開かれた海の玄関です。そこは貿易や交流の場であり、釣りをしたり、観光船で周遊したり、海を眺めたりと人々が楽しむ場所です。軍艦はもっとも不釣合いなものです。自然公物としての港湾は、平和利用されてこそ、その働きが生かされます。

 また、おそらく港湾法の「たとえどのような船舶であろうと不平等な取り扱いはできない」の条文を根拠に入港を認めたと思いますが、本来港湾法のこの項目は、第1項で「港湾運送業、倉庫業その他輸送及び保管に関連する私企業の公正な活動を妨げ、その活動に干渉し、又はこれらの者と競争して事業を営んではならない。」とあるように、民間の経済活動に対する公権力の不当な介入を防ぐという意味であって「どのような船舶でもよい」という拡大解釈は認められません。なぜなら、軍艦は「戦争をする」ことを目的とした船舶であって、その入港自体が「軍事行動」につながるからです。商業港への軍艦が横行することは平和的な商業活動への障害であり、一般市民にとっては「脅威」以外のなにものでもありません。

 更に、米艦船は常に「核」の問題があります。ご存知のように、神戸港は「非核神戸方式」によって核搭載の証明がない艦船の入港を拒否しています。今回の入港でも貴職は当然日本政府・米国政府に「核搭載の有無」を確認されたかと思います。おそらく日本政府は「事前協議の申し入れがない以上核の持込はない」との返答だと推察します。しかし、このような公式的な返答で実際ブルーリッジに核が搭載されているかどうか確認できるでしょうか。米国政府も日本政府も常に判で押したような中身のない回答を繰り返しています。これこそ非核三原則の空洞化に通じる道であり、自治体の港湾管理権の喪失だと言わざるを得ません。

 残念ながら、名古屋港管理組合の長である松原名古屋市長は、何の意思表示もせず、入港の事実も米領事館に言われるままに24時間前にしか公表しませんでした。

 自治体の最大の任務は住民の生命・財産を守ることです。この基本的な姿勢に立った判断をされ、今後一切外国艦船の入港を認めないよう要請するとともに、ブルーリッジの入港を認めたことに対し、強い抗議を表明します。

以上

2006年2月2日
有事法制反対ピースアクション


有事法制反対ピースアクション