有事法制反対ピースアクション


イラクからの撤退を求める申し入れ書(有事法制反対ピースアクション:2005年7月3日)

航空自衛隊小牧基地
上田 益三 基地司令様

 今日、1日で皆さまの自衛隊は、発足51年目を迎えました。この間ただの一度も海外で「殺し・殺される」ことはありませんでした。日本が国是として、海外での戦闘行為を禁じてきたことが、隊員の皆さまの生命を守り、ご家族の皆さまと共に長い人生計画を立てることができた理由だと思います。安心して仕事ができる職場ほど大切なものはありません。
 無理に無理を重ねた結果、JR西日本は4月25日大事故を起こしました。今、同じように小泉首相は皆さまに、無理に無理を重ねる命令を出し続けています。「自分たちの選んだ職場だからしかたがない」などと簡単に言わないでください。平時に於いて命に関わる職務命令は憲法違反ですし、そのような命令に従わなくても違反とならないのが日本国憲法の秩序です。
 イラク特措法の12月14日期限切れの半年前の今、小泉首相は6月28日のブッシュ大統領の「勝利するまでイラクにとどまり、戦う」という演説を受けて、イラク派兵延長を決断しつつあります。多国籍軍の一翼を担い、アメリカ占領軍に協力する姿がイラクの人々に一層鮮明になっています。一人ひとりの隊員がどんなに努力しても、占領する側とされる側の関係は変えようがありません。重大な事態になる前に一日も早くイラクからの撤退を求める私たちには、12月の再々延長など絶対に認められません。基地の外側だけでなく、上田司令を始めとする基地の内からも反対の声を、あるいは疑問の声を何としても上げていただきたく本日もまた申し入れに参りました。
 新田原基地に移動された前基地司令溝口一佐が残された次の言葉を忘れるわけにはいきません。「平時に於ける活動が海外派遣の大原則であり、アメリカが勝手にはじめた戦争に日本はどこまで付き合うのか」どうか上田司令や幹部の皆さま、溝口一佐が残された言葉を大事にされて、小牧基地内の皆さまの自由な議論と意見とを、そして、基地の外へアピールする自由を保障してください。

 さて、イラクへの「主権移譲」1周年の6月28日、フォート・ブラック基地のアメリカ陸軍第82空挺師団の隊員を前にしたブッシュ大統領の演説は、与党共和党議員からも「ホワイトハウスは現実から完全に切り離されている。現実とは、我々がイラクで敗北しつつあるということだ」という批判にさらされています。国防総省の発表だけで開戦以来、米兵の死者は1730人を超え、とどまる見通しもありません。宿営地内に引きこもっているだけの部隊、外国軍隊に守ってもらうだけの部隊と陸上自衛隊をからかっていた当のアメリカ軍自体が、基地に引きこもり、民間警備員に守ってもらっている状態になっています。アメリカ軍の人的被害を減らすため、16万人のイラク治安部隊を全面に出そうとしていますが、部隊に参加するイラク人は仕事がないから、武装勢力に参加するか、治安部隊に参加するか、どちらかしかありません。いつアメリカ軍に銃を向けてもおかしくないのがブッシュ演説の中で期待するイラク治安部隊の実情です。
 外務省も防衛庁もこうした情勢の中で、15日サマワで起きた陸自車両への投石事件、23日の陸自車列への爆発事件を受けて、撤退の検討に入る矢先、世界に向けてとりわけ日本に向けて「勝利するまでイラクにとどまる」というブッシュに、小泉首相は引き込まれ、6月29日、防衛庁に対し派遣延長の決意を伝えたといわれています。現実から完全に引きはなされている人物に最後まで従う決意をする小泉首相が、現実から完全に引きはなされるのは必然です。こうして無理に無理を重ね、重大事態となるまで小泉列車の暴走は止まりません。この暴走を「70キロ制限」までに落とさねばなりません。あの事故を起こさないですんだであろう安全速度にまで落とすということは、戦地に二度と再び派兵しないということです。そこには、私たち市民の反対だけでは決定的に不十分です。派兵されつづけている当の皆様の中からの疑問の声・不安の声を、政府・防衛庁・マスコミに向け届けてください。当事者の声ほど強力なものはありません。
 この間、陸自にばかり目がいって、マスコミは空自のC130輸送機については報道していません。現地イラクにおける武装勢力側の自衛隊に対する見方は、サマワの陸自は目障りだが実害はなし。しかし、C130を飛ばす空自は、米兵をイラクに送り込み軍事物資を輸送しつづけより一層イラクに敵対的である、というものです。バグダッド空港もタリル飛行場もその外は武装勢力側の支配圏です。このような危険地帯への飛行任務は一日もはやく中止すべきです。旧ソ連製のロケット弾を武装勢力側はまだ多く所有しています。また、クウェートが安全地帯だなどとは誰も保証していません。
 私たちは、これまで何度も申し入れてきましたが、今回も重ねて申し入れます。

1.基地司令の責務は、部下の生命を守りきることにあります。そのためにこそ上部組織に対し、積極的に意見具申をしてください。
2.ほんの少しの危険情報であっても、その際はC130を絶対に飛ばさないように現地に命令を出してください。
3.一刻も早くイラクから撤退してください。


2005年7月3日

有事法制反対ピースアクション


有事法制反対ピースアクション