有事法制反対ピースアクション

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イラク派遣の中止を求める要請書

2005年1月16日
新ガイドラインに異議あり!北九州行動会議

陸上自衛隊・第10師団   廣瀬 清一 様

 昨年12月9日、小泉政権は、自衛隊のイラク派遣の一年間延長を閣議決定しました。私たちはこの決定が、6000名以上にものぼる犠牲者を出したといわれる、米軍のファルージャ総攻撃の直後になされたこと、そしてそれ以降イラク全土にわたって反米武装勢力の米軍やその同調者への攻撃が激化していることを百も承知でなされたことに、怒りを禁じえません。
 何よりもそれは、イラクへ軍隊を派遣している各国がイラクからの撤退を表明したり検討し始めている中、どこまでもアメリカのイラク侵略―軍事占領に日本が加担するという決定だからです。イラクの人々は、日本をアメリカと同列のイラク軍事占領当事国として認識することになりました。そもそも「大量破壊兵器」の存在という大嘘で、世界中をペテンにかけて始められたアメリカの対イラク侵略戦争にこそ、今日のイラク情勢が混乱している原因があります。その混乱の大元を正す努力ではなく、逆にその混乱をさらに拡大させる愚を、小泉政権は犯したのです。
 そして、その誤った決定は、来月からの第5次派遣部隊である、貴師団隊員の皆さんの生命を最大級の危険にさらすことになるとともに、逆にイラクの人々に銃を向けそして発砲するという事態にも至りかねないものだからです。
 昨年10月、私たちの地元出身の若者が、イラクで武装勢力に誘拐され殺害されるという、きわめて痛ましい事件が起こりました。許されない犯行ですが、その際小泉首相は、事件の報を聞くや開口一番「テロには屈しない」と、事実上人質解放交渉の余地がないことを言明しました。今回のイラク派遣一年延長決定も同様のものだと思います。つまり、個々の自衛隊隊員の生命の安全や家族の心痛などおかまいなしに、誰が見ても全土戦場と化しているところに、「非戦闘地域」というレッテルを貼り付けて隊員を送り込もうというのですから。自衛隊員も含めて国民の生命を省みず、政治・政策の駒としてしか扱っていないのが小泉政権です。
 今月末予定のイラク国民議会選挙は、クルド地区を除くイラク全土での「非常事態宣言」が発令されている中で行われます。イラク国民の大多数は、占領者アメリカの意を呈した国民議会選挙を望んでいません。たとえ軍事力に頼ってこの選挙が行われたとしても、それ以降のアメリカの描く「親米イラク新国家体制」への道のりもまた前途多難、破綻を余儀なくされるでしょう。なぜならイラク国民の手によるイラク新国家作りとはほど遠いプロセスだからです。
このように、イラクの人々が望んでもいない「国づくり」にこれからの一年間、自衛隊を使うことに意味などありません。それがいわゆる「国益」につながるということもまったく考えられません。むしろイラクをはじめアラブ諸国家の日本への不信を拡大する事になりかねません。
 こうした理由から、私たちはイラクへの部隊派遣の中止を強く求めるものです。

以上要請いたします。