有事法制反対ピースアクション

自衛隊の撤退を求める申し入れ及び質問書 (2004年10月30日)

上田益三小牧基地司令様

 残念なことに、またもイラクで邦人が拘束されるという事件が起きました。「自衛隊を撤退させなければ殺害する」という警告を出しています。香田さんとみられる遺体が発見されたという報道もあります。今回も小泉首相は即座に「自衛隊は撤退しない」と明言しました。そもそも、イラクでこのような外国人を拘束する事件が起きるのは、米英の無謀・不当な攻撃と占領に無条件で加担し、自衛隊をイラクに派兵したことに原因があります。
 私たちが何度も申し入れの中で言ってきたように、イラク全土は今だ戦闘地域です。1月の選挙を前に、米軍による大規模な掃討作戦によってファルージャ・サマッラなどで多数の住民が殺されています。アメリカの市民によるシンクタンク「政策研究センター」の報告によると、6月の主権移譲後、米兵の死傷者数は月平均747名にのぼり、イラク攻撃期(3月20日〜5月1日)の482名、占領期(5月2日〜6月28日)の415名より大きく増え、戦闘は少なくなるどころか逆に増えています。
 米軍の死傷者の増加はそのままイラク人の死者の増加を意味し、新聞報道では、「米、イラクの大学の共同研究チームが、昨年3月のイラク戦争開戦後、米軍の武装ヘリコプター攻撃などによるイラク人の死者数が、10万人を超え、死者の過半数が女性や子どもだったと指摘している」としています。開戦の理由はことごとく否定されています。なぜこれほど多くのイラクの人たちが殺されなければならないのでしょうか。まったく理不尽なことです。その原因を止めることも、糾弾することもせず、逆に加担しているのが日本です。イラクの人々は米英軍に対し抵抗するのは当然です。
 「武器を持っているかもしれない」という疑いだけで相手を殺し、その上にその家に土足で踏み込んで好き勝手にする。こんな理不尽なことが許されないことは子どもでもわかることです。9月の国連総会でアナン事務総長はイラク攻撃を「国連憲章違反・違法」と明言しました。日本政府のいう「国際社会」は明らかに米英軍の間違った戦争に気づきはじめています。攻撃開始当時30カ国だった参加国はこの間8カ国が撤退し、コスタリカは連合軍から抜けるという判断をしています。来年3月には、サマワに駐屯するオランダ軍が、来年末にはポーランド軍も撤退するという報道もあります。
 日本はどうでしょうか。小泉首相は今だ米英軍によるイラク攻撃を支持し、違法だとは言いません。そして「人道復興支援」です。イラクの人たちは信用するはずがありません。
 陸上自衛隊が駐屯するサマワで何度も宿営地へ向けた攻撃があり、24日には宿営地内にロケット弾が着弾しています。現地に派兵されている自衛隊員の一人一人がたとえ善意であっても、大本が間違っていれば相手にとっては「敵」としか認識されません。このままでは自衛隊員が「殺し、殺される」ということが現実として起きるのではないかと本気で危惧しています。これは陸上自衛隊の皆さんに限ってことではなく、航空自衛隊の隊員の皆さんにも言えることです。航空自衛隊のホームページによると、3月から10月までの間に、75回、180,7トンの輸送を行ったと記載されています。この中には、「関係各国・関係機関の物資・人員の輸送」とありますが、米軍の物資・兵員を運ぶことによって、イラクで行われている無差別虐殺に間接的に手を貸していることになります。
 12月14日に「基本計画」の期限が切れます。サマワの宿営地が何度となく攻撃されても細田博之官房長官は、「組織的、集中的に攻撃を行ったのではなく、(ロケット弾に)信管もなかった。このことをもって、(12月で切れる)自衛隊派遣の期限について新たな判断をすることはない」サマワ周辺の治安についても「特別な状況の変化があるとは受け止めていない」と述べ、派兵の延長を行おうとしています。自衛隊員の死傷者が出るまで「安全」だと言い続けるのでしょうか。
 前任の溝口博伸小牧基地指令は「米国が勝手に始めた戦争に日本がどこまでつき合うのか。国際貢献、復興支援といいながらも横目で米国と握手しながら共同歩調をとっている」と本質を見抜いた発言をしています。
 1月の選挙を前に、イラクの状勢はますます混迷を深めるでしょう。12月14日の「基本計画」期限切れは、間違った行動を正す絶好の機会です。着任された上田基地司令がどのような認識をされているのかをお伺いするとともに、是非以下のことを意見具申してくださるよう、申し入れます。
尚、質問に関しては、11月10日までに文章で回答をお願いいたします。

質 問

1)サマワの自衛隊の宿営地に、ロケット弾が着弾するという事態に至っていますが、サマワはイラク特措法でいう非戦闘地域だとお考えですか。

2)もし、非戦闘地域だとお考えなら、自衛隊宿営地への攻撃はどのような理由だとお考えですか。

3)航空自衛隊のクウェート・イラクでの活動は安全が確保されているとお考えですか。

4)航空自衛隊はじめ、自衛隊の海外への派兵が恒常的に行われていますが、海外への派兵は本来任務ではありません。派兵自体をどのようにお考えですか。
 
5)もし、海外への派兵を容認されるならどのような条件が必だとお考えですか。

6)イラク派兵に関して、隊員個々人の意思はどのように表明されますか。また、それは尊重されますか。



申し入れ

1)現在、イラク全土に「非戦闘地域」はありません。今すぐ自衛隊を撤退すること。

2)イラクへの自衛隊派遣計画を延長しないこと。

以上、小泉首相、大野防衛庁長官に意見具申してください。



2004年10月30日   有事法制反対ピースアクション
名古屋市昭和区白金1−13−10  共同代表 水田 洋 寺尾光身
TEL 052−881−3573


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