秘書の小部屋
2006.10

  尻尾振りわんこ 

ダイエットしなきゃ……
……なんかおくれ

2006年10月31日(火)晴れ

インターネットオークションで値段をつり上げて入札しちゃった「ユズ」が、秘書んちにやってきました。実物にお目もじしましての第一印象は

(ぶっ、ガングロでねえか)

この手の人形は金髪碧眼が多くて秘書んちにいる「モモクリ」もピンクのお肌ですのに、この焼けこげたトースト娘は一体なんなんじゃ。髪は麦藁みたいなブロンドでお目目は明るい茶色でして顔形は舶来もんですのに。(この場合の舶来とは欧米由来のことです。その他のアジアアフリカなどからは船でこようが飛行機で来ようが舶来とは申しません。これすなわち差別意識の現れ・・・って秘書が勝手に思ってるだけです。本気にしないで下さいまし。)

そういえば、サイトに数枚あった写真の1枚が真っ黒な顔でして、あれは写真の写りが悪いのだと思っておりましたが、白く写っている方が不正解だったのですね。人間、物事を自分の都合のいい方に解釈するもんですわな。

で、お洋服も汚れてますので、お洗濯しましょ、と脱がしにかかると、これがもう全身ヤニ臭くて・・・ トースト娘よ、あんた未成年のくせしてタバコふかすヤンキーか、ってな具合でして、ブロンドヘアもにちゃにちゃ。即刻お風呂へ入れるざます。とは言っても頭は洗えません。

昔、モモ人形を丸洗いして水が切れなくて洗濯機に放り込んでぶんぶん回してきれいにはなったけど髪がごしゃごしゃになってカールもとれちゃってムースつけて梳かしたら直毛パーマかけたみたいなヘアスタイルになっちゃってムースがべたついてもう一度洗ってばさばさ髪になって、モモちゃんごめんなさい・・・

石けんとブラシとスポンジでごしごししたら、んま、マイケルジャクソンみたく白くなりました。頭はタオルで拭きましたが何度拭いてもタオルがヤニ色にそまります。もしかして暗めのブロンドもほんとは明るい色かしらん。もとの持ち主はどういう人だったんでしょね。

そんなこんなで人形中心の生活になりました途端、秘書は人形事情に詳しくなりました。「メーカー不明」と記されていたユズはその後の秘書の綿密な調査の結果、ドイツの有名メーカーZapf社のものとわかりました。わーい、ブランド品だ。

そうとわかった途端、良い買い物をした、と自慢したくなるのは、秘書がお高級趣味に弱い軽薄庶民だからです。

で、実はその後また入札しちゃって、これがまた600円以上は出さないぞ、と誓ったに、つい熱くなってまた値段をつり上げちゃって・・・この勢いだと1万円人形も買っちゃうかも。(それだけは止めれ・・・)。

こっちの人形はサイトの写真が小さくて、顔が良さそうに見えたのは錯覚かもしれず、ちょいとした賭けです。開封した途端に「あいやーっ」とか叫びたくはありませんが、ふふふふふ、人生そうそう幸運が続くものではありませんぞ(と自分で言っててどうする)。

そんなことしてて仕事は大丈夫かと? 本職は編集長がだらだらしてますものでホームページ更新作業はヒマで、内職はムラがありまして今はムラの谷間のすなわち水没部落でして頭上を閑古鳥が群れ飛んでます夕焼けがきれいだ・・・ 

2006年10月27日(金)晴れ

大学受験優先のあまり、高校で一部科目をはしょっていたことが発覚して、このままでは単位不足で卒業できない、と問題になっています。

思い起こしてみますれば、秘書の遠い昔の青春時代でさえ、受験に関係のない科目では、バッくれるは内職に精出すは、で生徒はまともに授業受けてませんでしたっけ。この場合の内職とは、倫理の時間にこっそり数学に励むようなことを言います。そうした生徒の自主性を重んじてか、学校側も受験に配慮して下さいまして、芸術の選択なんぞ英語に化けてたような・・・ いや、そんなことありません、学校はちゃんと学習指導要領を遵守してた筈ですぞ、教育者たるもの教育機関たるもの、卒業生が実は卒業してなかったなんて事態をひきおこす筈がありません、余計なことを思い出してはなりませぬ。

昨日某地域FM放送を聞いておりましたらこの局のアナは本職ではなくて女子大生アルバイトだという話を聞いたことがありますがそれはどうでもよくて大体が普段ほとんど聞かない局なのですがこの日はラジオを動かしたばかりにチューニングがくるって普段聞くJ-WAVEが行方不明になりまして仕方なしに聞いていましたら女子アナが

「私も科目全部受けてませんでしたけど」

みたいな話を始めちゃって、世界史の授業を受けなかったものだから、後になって常識みたいなのに知らないことが多くて困っちゃって~、と可愛らしくしゃべってました。「私、卒業できてたんでしょうかあ~」とか、深く追求されたら困ること、しゃべるなよ、おい。それとも、そんなこと今更追求される筈ない、ってナメてる? 

あのね、世の中はね、見て見ぬ振りで成り立ってるの。だからってね、目の前に来て堂々と見せつけられたら、取り締まらなければならない立場の人間は非常に困っちゃうの、そんでもってね逮捕するよな案件じゃないなって思っててもね逮捕なんかしちゃったりするの、一応法治国家だから。

学校側は謝罪を取って付けてました。テレビは、学校側を非難する生徒のコメントを流していました。その多くが、これまた取って付けたように感じられるのは、

「需要のある所に供給あり」

生徒側もこうした方策を望んでいたからであり、何故望むかと言えば、とにかくいい大学に入らなきゃいい社会へ通ずるドアが開かないからじゃありませんかあ~。

って、なんてことを秘書は言ってるんでしょ、まったくもう。

2006年10月26日(木)晴れ

あだまいだいで~ ぢがれだび~(→訳:頭が痛いです。疲れました。)

週末は秘書の父上の三回忌がありました。でっかいマスクを掛けて電車に揺られて行ってそこはかとなくゲロッピ気味で読経の最中に必死で咳をこらえてお線香の煙にむせて、と受難の道を歩きましたが、とにかく終わってくれました。やれやれ、というのが正直なところです。こういう行事は残された人間を忙しくさせておくためにあるのですね。俗人どもに暇を与えると碌なことを考えないものだから、とか・・・

内職も適度に溜まってます。“適度”とはどの程度か。

朝9時に出社してちょこちょこっとお掃除して雑用をすませてお茶煎れてくつろいで、さあてと仕事に取りかかってお昼になって一休みして、日によって銀行や郵便局に行ったり晩ご飯のおかずの買い物をしたり、時に内職を納品にあるいは受け取りに行ったり、3時頃お茶を煎れてお饅頭やオセンベをいただきながら一休みして、またお仕事に精出して夕方暗くなってきまして、仕事のはかどり具合と納期を天秤にかけて、帰っちまうか残業するかちょこっと悩んで、たいていは明日の風は明後日に吹いてもらうことにしてそそくさと退社して・・・

と話したら、「いい身分だな」と言われました。とんでもねえです、身分は良かないです。それなりの身分でしたら、内職なんぞしとらんです。労働量と収入は比例するんです。

じゃ忙しいって言い訳するな、って言わんで下さいまし。労働にムラがあるんです。内職っていうのは程よくやって来ません。都会のバスと同じで、ちっともこないとイライラしていると、お団子になってやってきたりします。バスなら空バスを走らせればいいんですけど(良くないっ)、内職は手抜きできませんです。かくして、寝食を忘れるはめになって、結果、目が痛い手が痛い頭が痛い胃が痛い尻が痛い、と痛い痛いづくしになって、傾いた廊下をずりずりとずり落ちて行く・・・

唐突ですが、秘書んちにはお人形がいます。人形がなんだ、どこの家にもあるぞ、と言わんでくださいまし。身長約50センチ生まれたての赤ちゃんと同じ、横にすると目を閉じ手も足もちゃんと動いて抱っこするととても具合が良くて、仕事に疲れた秘書は毎夜癒されるのです・・・って、秘書はアブナイやつかしらん。

このお人形は昔々、乙女秘書が都内某デパートで見つけてその当時の給料の三分の一位をはたいて買ったものです(何年前かを正確に言うと歳がばれるっす)。当時、ジュモーだとかのアンティーク人形がもてはやされていて、秘書の年収に匹敵するようなお値段でして、当時から金詰まりの秘書に買える筈もなく、欲しい欲しいと念仏を唱えながら歩いていて目があっちゃったのがこの人形でした。

有り金はたいて即買い、とこんなことをしているから金詰まり路線をまっしぐらなのでしょう。

二食抜いても欲しい本は買う見たい映画は見る化粧品はいらない(地顔で充分だったんだよん当時はホントに)服も靴も体一個しかないから必要なだけあればいい、と今思うと、何考えてんだこのアホたれは、と思うような生活をしてましたんですな。

そんな生活におよそ不釣り合いな人形を買ってしまいました。で、その後の数々のお引っ越しで行方不明になることなく一緒に引っ越してきました。名前をモモちゃんと言います。フリフリのドレスを来て揃いのお帽子をリボンで結んで、ほっぺがきれいな「桃」色です。目は青くて髪は金髪です。

で、先日、趣味のバザーに出かけまして、なんとモモちゃんと同じ顔をした人形を見つけてしまいました。男の子の服を来てますが、型は全く同じ。

「これ、いくらですか?」とほとんど叫んでいました。売り子のおばちゃんは面倒くさそうに、「値段書いてないのは50円」と言います。

50円?

買わずにいられよか。おばちゃんの気の変わらないうちにさっさと支払いをすませてニンマリ。その場で名前が決まりました。と言うよか見つけた瞬間に「クリちゃんだっ」と叫んでました。クリちゃんのクリは「栗」。桃栗三年柿八年柚子の大バカ十八年、の桃栗です。

で、それがどうしたと?

並べて眺めているうちに、着せ替えのお洋服が欲しくなってオークションサイトを探しましたら、あるんですな。100円スタートで・・・(略)ことごとく入札失敗。だって、人形服の分際で何千円になっちまうんですもの。そんなに払えるかって。

で、服を探していたら、桃栗と同じ型の人形がいました。うっ。欲しい。高い。中古人形なのに1万円もするんか。買い手がついとらんで再出品を繰り返してるだよ。値下げしろやい・・・ といつしかオークションにハマってしまい、気がつくと、桃栗とは違うけど似たような人形を落札してました。当初300円以上は絶対ださないぞ、と誓っていたのに、終了間際で横入りされて熱くなって入札を繰り返しちゃって値段をつり上げちゃって・・・ああん、おばかっ。

冷静になって考えます。そもそもオークションサイトを覗いたのは、桃栗の氏素性を確認するためでした。お洋服欲しい、とは後から考えたこと。同じ人形が出品されててメーカー名などが書いてあればどこの誰だか分かる筈、と。同じのはあったけど無記載で参考にならなくて、どんどん横道にそれて行って・・・

かくなる上は、と深夜ベッドの上で桃栗のお洋服をひっぺがして、全身をくまなく点検します。はたから見たら、かなり嫌らしい構図ですな。あれこれやって虫眼鏡も動員して分かったのは

1)栗はイタリア製である。

2)桃は有名国産メーカーである。

? 何故に型が同じなのじゃ。どっちかがコピーか? 新旧の度合いでいくと桃より栗のほうが新しい。細部を点検すると、桃の方が造作がシャープ。ああん、また悩みの種が増えたよお。

ところで、新しいお人形の名前はユズです。「柚子」。なぜカキではないのか。それはですね、欲しいけど高くて買う気がしないオークション人形に勝手に「カーキ姫」って名前をつけちゃったからです。1万円だなんて、絶対に買わないぞ・・・

2006年10月20日(金)晴れ

今イチ調子が出ませぬ。いつになったら健康体に戻れるのでしょうか、と思いつつ、もしかしてこれが「人類共通の引き返せぬ道を歩いている」ということでは、つまり、廊下を突っ走って縁側から転げ落ちてそのまま床下にお隠れになるという人類共通のあのパターン・・・、昔は平らだと思っていた廊下がいきなり源平合戦鵯越えの逆落としみたいな急勾配になって、足を滑らせたが最後、ああん、止まれません戻れません三途の川の渡し賃持ってません金槌なんですう~

*鵯:ひよどり、鳥です。「鵯越えの逆落とし」でインターネット検索したら、ぶっ、なんちゅうサイトが出てくるんじゃ。良い子は検索しちゃいけません。

で準不健康体の身で、ほどほどに内職が忙しいです。内職といいつつ、本業がアレなもんで、どっちがメインか分からなくなりつつあります。本業もですけど内職も最近はどうもアレでして、レイアウト無しの生原稿を下さりまして「適当にまとめて」スタイルがすっかり定着しまして、ま、それはそれでいいんですけど、ついこの間なんか「ここんとこ原稿が来てません。今回大幅に改訂してるからその旨書いておかないと」と納品のついでに申し上げましたら、「まかせるから適当に書いて仕上げてきてよ」ですって。偉い先生方が書くべき原稿を内職おばさんがでっち上げる。世の中これでええのかね。

その伝でウチの編集長の経歴もでっち上げましたっけ。と言ってもデタラメを書いた訳じゃありません。いつもの饒舌部分を削って差し上げただけ。しゃべりすぎなんじゃい。

ウチの編集長、本を一冊発行しましたら、腑抜けの殻になっております。?。腑抜け? もぬけ(蛻)? 蛻とは脱皮することであります。編集長は脱皮して昼寝じいさんになりました。まあ、よく寝ること。寝る子は育つというけれど、これ以上なにが育つのでしょう。どうせなら金の成る木や金の卵を育てて欲しいものです。

どうせしばらくするとうるさく騒ぎだすでしょうから、今のこの静寂を大切にしたい、と秘書は折々瞑想に耽ります。聞こえてくるのは空気清浄機の運転音だけ。一瞬せせらぎの音に聞こえて、ああ心が休まる・・・

という具合にいかないのは我が社のお約束。無の境地につま先を踏み入れた途端、

こいのらんばあだ~

と、無粋度150%の編集長の目覚まし時計が腰をくねらせ足を踏みならしてけたたましく炸裂します。近所迷惑だよお。

2006年10月17日(火)晴れ

秋も竹縄・・・?秋も酣(たけなわ。まっさいちゅうの意味だよん)となりまして、栗ご飯がおいしゅうございます。柿もたんといただきました。晩ご飯のおかずはもう毎日秋刀魚でして、ああ贅沢、といいたいけれど、今は秋刀魚が旬で一番安いのであります。一尾80円だの69円だのでして、養殖鮭の切り身より安いです。秋刀魚が出ると按摩が引っ込むとか、柿が赤くなると医者が青くなるとか、まこと秋は栄養満点の季節でございます。来るべき冬に備えてたっぷり食べて肥えておきましょう、って秘書は冬眠するんか。

さてと、御無沙汰いたしました。いろいろありまして、まじ、死ぬかと思いました。

風邪はもう一月引きっぱなしとなりまして、よくなったかなあ、と思うとぶり返します。この間の3連休はまたしても寝て過ごしました。ごほっげほっぐふっと咳が出まして、当人はとっくに慣れっこになっておりますが、周りの人間は堪らない。わっ、病原菌が歩いてる、とばかりに露骨に避けられたりしまして、それはいくら秘書でも傷つきます。

が、さすが医者の薬は良く効きます。あれほど出まくった咳が治まってきましたが、1週間で薬切れ。さて医者にもう一度行こうか、という時に発作のような咳き込みが始まりまして、苦しいっ、もっと酸素を・・・という恐怖の事態が発生しまして、つい手を出しちゃいました。その名も「リン酸コデイン」。咳のひどい時だけ飲みなさい、と処方された薬です。すんごい効くのですが、どうも「依存性」があるらしいです。ひえ~。

だもんで、このお薬はとっとくことにして、お家にある「富山の置き薬」をごそごそとかきまわしました。この置き薬、1年に1回か2回、薬の営業にはまこと不向きと思われるbinbo神みたいなしおれた人が補充にやってきます。つい先日も来まして、うっかり咳をすると長々と話し込まれてなけなしの精気を吸い取られそうになりそうな悪寒がして、じっと堪えまして、エレベーターで降りて行ったのを確認してから盛大に咳き込んだりして・・・何やってるんでしょうね。本末転倒。

で、薬箱から「葛根湯」を取り出しまして服用しました。「風邪の初期症状に」とありましたが、秘書の風邪は、きっと3回めくらいの引き直しです。初期症状だい。

で、これが効きまして、喉の状態がとてもよろしい。続けて服用して、夜になって、なんだか頭が痛い。効能書きをじっくりと読みましたら、まれに重篤な症状が起こることがあるそうです。「偽アルドステロン症」として「…顔や手足がむくむ…頭痛…」。重篤とは書いてないけれど「消化器」に「悪心、食欲不振、胃部不快感」

zunzun zunzun zunzunzun………頭が痛いっ、輪っかを締められた孫悟空だよっ、うぐっ気持ち悪い胃袋がでんぐり返るよっ、巨大ゲロッピが出現するよっ。

で、トイレに駆け込みました。秋は虫の季節でもあります。窓から虫の音が聞こえてきます。あれ松虫が 鳴いている あれ鈴虫も 鳴き出した りんりんりんりん りいんりん 秋の夜長を鳴き通す げろげろげろげろ げっげっげ~

カエルの大合唱をするたびに頭が圧搾されます。しくしく鳴きながらお布団に潜り込みました。

(救急車のお世話にはなりたくないよ~)

泣き寝入りしまして、朝、気がついてみると目覚めが非常によろしい。はて、昨夜の悪夢は何だったのでしょう。どうも眼精疲労だったみたいです(仕事が忙しいんですう)。強烈な胃酸で喉が消毒されたみたいで、いがいが虫えへん虫も姿を消しておりました。ゲロッピにも効用あり。

さあてと、溜め込んだ内職に精出さなくっちゃ。

2006年10月6日(金)雨、台風ふたつ襲来

咳き込み女と鼻水女と、どっちがいいか。両方嫌、という答えは至極まっとうなれど、この際どっちか選ぶべし。

秘書は猛烈咳き込み女から、時々咳き込み女+鼻水湧出女へと変身しました。どっちも嫌ですが、咳き込みより鼻水の方が楽、とだけは言えます。咳き込むのは全身の筋肉運動でして、力の入れ具合を間違えると下っ腹に(膀胱筋が捻挫したかな?)みたいな疼痛が走ります。腹筋も使うのでお腹が妙な段腹に割れてきたり、背筋も使うのかぱんぱんに固まるし、全身が筋肉痛です。

その点、鼻水なら、ちーん、とかめばよし。机周りがティッシュの山になるのは仕方ありません。

と、思っていたら、出るわ出るわで、全身の水分が鼻から出て行きそうな事態になりました。ちーん、とかんだティッシュがべったり濡れるのって、自分の身から出たものでも気持ちいいものじゃありません。

といって、水分摂取に励めば、お定まりトイレの友優待会員みたくなります。どこまでも続く不幸の泥沼よ。せめて今宵は憂いの玉箒で憂さ晴らしを・・・風邪薬って、アルコールと一緒に飲んじゃいけないんでしたっけ。

こんな風邪ひき状態のせいか、知性が枯渇してきたのか(元々無いのかも)、この頃「これを読みたい!」という本がありません。次々と本を追っかけて読んでいたあの頃が懐かしい・・・と昔を美化するのは老化の現れです。

こんな時どうするか。

図書館の書架を「あ」から順に眺めていきます。なんと暇な、とバカにするなかれ。なけなしの知識で本を探していくと、どうしても片寄ります。無心に題名を眺めると、本が呼ぶんですな、ホント。

「オデッサの誘惑」なんぞは、だいぶ昔のことですが、通りすがりに目に飛び込んで(借りてくれろ)と訴えてましたもん。

で、今回ぼーっと眺めていて(借りなさい)と呼ばれたのは、入江曜子「少女の領分」でした。戦争中の疎開の話ですが、いきなり「ママン」と出てきて、おっカミュか、と一瞬思いかけましてそんな筈はなくて、著者自身が記しているように、自身の人生と時代とを冷静に見つめた物語でした。

しかしまあ、昔の日本は結構な階級社会であったのですね。朝吹登水子さんの自伝も興味津々でしたが、この「少女の領分」も庶民には別世界です。(秘書が育った家って、もしかして下層だったのかしらん。)

この伝で借りたのが「甘糟りり子」さん。絶対縁がないと思っていた人でしたが、秘書の世界とは違いすぎてかえって面白いです。

ちょっと違うけれど、「斎藤美奈子」さんを追っかけていて「斎藤澪奈子」さんもついでに読みましたっけ。「ミズ・ミナコ・サイトウ」と「斎藤美奈子」を同一人物と勘違いして敬遠していたのがふとした弾みで別人と分かり「妊娠小説」を読み始めたら面白くてはまってしまい、ではもう一人の「斎藤澪奈子」とはなんぞやと思ったのですが、元祖「一人叶姉妹」の派手派手人生のどこまで本当だったかはどうでもいいですが、これもまた庶民とは別世界の住人でございましたね。こういうエネルギーの強すぎる人は、内なるパワーが自己破壊にむかっちゃうんでしょうか、短命でありました。そういう意味では秘書は長生きできるかも。

2006年10月4日(水)曇り

8月9月と、里のアップルに行ったきりだったeMacがついに戻ってきました。久しぶりのeMacは、新婚ほやほやだった頃の配偶者に改めてお目もじするみたいでして、嬉し恥ずかしあら懐かしや(なんぞというアナクロな表現は昨今理解されるのでしょうかしらん)。

出て行った時とそっくりそのままの状態で戻りましたので(つまりデータは全部生きていました)、早速留守中に代役を務めていただいたOS10.2eMac(つまり元編集長仕様の飯松君)からファイルを移しまして更新するに、「権利がないから、上書き保存できないよ~ん」とのたまわれました。

ぐわ~ん。これぞアクセス権の問題。

では、と修復に取りかかり、全部修復した筈なのに、また別のファイルをいじると、「書き換えてやんないよ~ん」と、んま、根性悪だこと。どうも個別にアクセス権をいじらないとダメみたいです。

そんなんでも、戻ってきてくれてありがとう。やっぱり秘書には君が必要なのさ。他のパソコンじゃ、生きていけない(なんて台詞、特に男に囁かれた時に信じちゃいけません、人生しくじります)・・・

さてと、相変わらず風邪引き秘書ですが、いえ相変わりまして引き直しまして今度は鼻に来まして詰まるは溢れるは咳も湿ってきてううっ胸に激痛が走るぞよひゅーひゅーと変な音がするぞよ。

とこの状態で医者に行かないのは無茶というものです。本日行きました。朝8時半に受付して薬貰って(代金を払ったのになぜ貰うというのじゃ)出てきたのは11時半。半日丸つぶれ。だから医者には行きとうない。

多少待つとは思いましたので、読書に励もうと本を持って行きました。が、人選を間違えまして身が入らず、「無為の一時」というものをじっくり味わってきました。「人選」は間違いではありません。本を間違えたのではなく著者を間違えたのでした。

持っていったのは「色川武大」氏です。どっかで色川武大のナンタラカンタラは面白いと書いてあったのを見たような気がしたので、図書館の書庫に入っていた本を借り出してきたのでした。

書庫入り本というのは曲者(くせもの)です。書架にあればパラパラっと頁を繰って大体の検討がつきますが、書庫にあったのでは著者名とタイトルで判断するしかない。今回のように人様の書評があればめっけ物でして、勇んで借りてはみたものの、所詮秘書は世流田寝蔵であって阿佐田哲也にはなれません、波長が合いませんでした。

「甘糟りり子」にしとけばよかった。ちょうど「わがまま始末書」を読みかけだったのです。りり子さん、大杉栄、伊藤野枝事件の甘糟正彦大尉と関係があるかどうかはどうでもよくて、とにかくおのれの思うところに忠実な生き方は、ちまちま生きている秘書のありんこ人生を木っ端みじんにして下さいまして、実に気持ちがよろしいのです。(一緒にすると当人同士はご不満がおありでしょうが、中村うさぎさんの欲望への忠実具合もよろしいです。)

で、貰ったお薬を会社に持ってって、じっくり検分しますと、たかが風邪如きに7種類も処方されてました。ぐえっ。順番待ちしてる時に、よそのおばあちゃんが受け取るのをみてたら、一抱えもありそうな薬袋を中くらいのスーパーの買い物袋みたいなのに詰め込んで渡してましたっけ。薬九層倍医者丸儲け。

7種類の中には胃薬みたいなのも入ってました。即ち薬の飲み過ぎで胃が荒れるからこれも飲んどけと・・・


♫ふん ふん ふん ふん、ふんふんふん♫