覗き見の好きなあなたは   人 目 の お客様 です。

秘密日記 秘書の独り言


12月31日(日) 晴れ

1年間ご苦労様、と言って同居人が大きな袋をくれた。ふん、どうせ自分の部屋に溜め込んでいたゴミだろう。どうせ秘書なんか・・・

ところがどっこい、だった。ふかふかの毛皮のコートが現われた。頬を寄せるとすべすべして気持ちがいい。うーん、しあわせ。そんなもん、いらんわい、とか言わなくて良かった。

で、何の毛皮? 近年中国大陸で大発生しているフェイクとかのだって? ふーん、知らないな。フェネック(砂漠きつね)の中華バージョンかな。

ま、そんなこと、どうでもいい。マダムみたいな気分だ。縁起もいいらしい。金が成る、とか同居人が言ってた。お正月はこれ着て田舎に帰ろう。カルメン故郷に帰る、みたいだ。

申し遅れましたが、この年の瀬まで、馬鹿話におつき合い下さいましてありがとうございました。今世紀は取りあえずこれにて締め、でございます。来世紀は馬鹿度がパワーアップするかもしれませぬ。(少々反省はしておりますが、頭蓋骨の中身がパチンコ玉もどきの身ゆえ、またもや人の道を踏み外すかも。その節はせせら笑って吹き飛ばして下さるようお願い申し上げます。)

どなた様も良いお年をお迎え下さい。


12月30日(土) 晴れ

お休みだ。しばらく社長や諸部長や編集長の面倒をみなくてすむ。ああ、せいせいする。


12月29日(金) 晴れ

12月28日(木) 晴れ

12月27日(水) 晴れ

12月26日(火) 晴れ

この4日間、呑んだくれて風邪をぶり返して仕事に追われて、秘書は目をまわしていた。日々の記憶が定かでない。

編集長が、誰かに電話で呼び出されて翌日の昼過ぎまで行方不明になっていたのは、何日のことだったか。
誘拐される筈もないが、それでも守衛のおじさんと少々心配した。またヤ印とお近づきになってないか、どっかで段ボール積み上げて寝込んでないか、トラ箱に収容されていないか・・・貰い受けに行くなら付いてってあげる、とおじさんは言ってくれたが、行くのは秘書の仕事と決めつけんで欲しい。すました顔して編集長は帰って来た。

ともあれ今世紀もあとわずか。(新年になったってなんにも変わらんぞ・・・)


12月25日(月・お誕生日で平日) 晴れ

神様のお子様の誕生日だ。神様自身の誕生日はないのだろうか。

秘書はキリスト教徒ではない。クリスマスを祝う義理はない。デパートでプレゼントに大金注ぎ込む義理もない。ケンタッキーでフライにされた鶏に恨みも義理もない。本日は秘書は平日だ。(何が言いたいのだ。)

実は、幼少の頃生まれて初めて食べたクリスマスケーキに当たってカエルの大合唱をして以来、クリスマスは嫌いだ。(バタークリームが悪かったらしい。)

なのに、秘書の机の上にどかんと15センチと25センチのケーキが2つ。
社長と経理部長がそれぞれ買って来たという。チョコレートと生クリーム、と営業部長が解説してくれたが、誰が食うんだ、こんなに。


12月24日(日・イヴとか言う日) 晴れ

イベントで使うので衣装を作るように、と同居人から布を渡された。仕立賃は払うと言うが、デザイン画も型紙もない。ああだこうだとやって丸1日つぶれてしまった。
高密度長時間低賃金労働だ。搾取だ。青春を返せ! と叫びたいが、御近所の手前じっと我慢してしまった。しわが増えそうだ。


12月23日(土・お誕生日で祝日) 晴れ

人様のお誕生日で本日はお休みの日。
パーティにお呼ばれする訳ではないが、とにかく仕事が休めるのがうれしい。

あと2日遅かったら、なんたらかんたら・・・と言う話を聞いたことがある。
2日後には、大昔に、世界的に名の知られた別のお方がお生まれになっていて(近未来大過去? 時制が変だ)、それはちと具合がよろしくない、とからしいが、後のお方の場合は我が国では祝日扱いではないので、重なったとて休日の数に増減はなく、従って問題にすることではない、というのが秘書の取って付けた見解。

大変だというのは、片や元現人神様の後裔片や神様のお子様という立場なので、それこそバトルロワイヤルになるらしい・・・(そんな訳ない)

ともあれ、“下々”と一括りで呼ばれる秘書には雲の上の世界のお話。


12月22日(金) 晴れ

編集長がそわそわと出かけて行った。会議とか言ってるが、秘書は知ってる。会議中は居眠りしてて、その後の忘年会で本領を発揮するのだ。真面目くさった顔して、腹ん中は結構とんでもない暴走中年だ。また今夜も誰かを餌食にするのだ。また今夜も枯葉を会場一杯にぶちまけるぞ。ああ、恐ろし。


12月21日(木) 晴れ

1日真面目に労働すると、ぐったり疲れる。
と言うと、いつもは不真面目に仕事してるみたいだ。訂正。働き過ぎると、晩御飯も食べたくないほど疲れる。
? 食べたくない訳がない。とにかくお風呂が先!といいたいほど体中が逆立って波打って鳴門の渦潮みたいになる。

家へ帰るなりカバンをほうり出して(昔よくランドセルをほうり出したけど、あれと同じ)、お風呂セットをつかんでお風呂へ走った。(風呂は壊れたまま。直す気は消え失せた)

銭湯の広々した開放感はたまらない。ちまちました家風呂なんぞに浸かっとる巷の人々よ、目覚めよ、とか、一席ぶちたくなる。

いい気分で湯舟に入ると、なんか浮いている。なんじゃこれは、と魚の浮き袋のようなものを掴むと、いい香りがふわぁーと拡がった。ううーん、と思わず顔がほころびる。柚子だ。今日は柚子湯だ。暖まるぞ、お肌がすべすべになるぞ。ああ、しあわせ。幸福って単純な喜びなんだ・・・
しかし、柚子と一緒にお湯に浸かっているなんて、鍋の具みたいだな。何鍋? もちろん餅肌の美女鍋だい。
晩御飯は鍋にしよう。


12月20日(水) 晴れ

大事をとって秘書はお仕事をお休みしました。本当はすっかり平熱、食欲もたっぷりあって、とっても元気、奇跡の子ですが、本日のこのこ出勤したら、昨日の大病がまるで仮病ではありませんか。
枕元に紅茶を入れたポットとクッキーとみかん、それに溜め込んだビデオテープを用意し、あっそうそうリモコンも忘れずに、1日お布団の中で過ごします。
電話はもちろん留守電、しかもお休みモードです。ふっふっふっ。


12月19日(火) 晴れ

風邪を引いた。今年は風邪の当たり年だ。どうやら厄病神に魅入られたらしい。厄病神って男だろうか。いい男なら少し許してやろう。許すって何を・・・とヴィールスに脳味噌を食われたらしく頭の中が支離滅裂だ。

ふと気づくと机の前に編集長が二人いる。二人して両手をかざして秘書の目の前で振る。
やめてくれぇ〜目が回る。

と、今度は社長が覗き込む。うぇっ社長も顔二つだ。
大丈夫かな、と編集長とひそひそ喋ってる。 

大丈夫ではない、風邪引いてんだぁ〜、と泣きを入れたら、グローブみたいなのがおでこに貼り付いた。
熱がある、と言ってるのは誰だ。辺りがぼーっとしてくる・・・

というわけで秘書はとっとと早退いたしました。お家に帰って冬眠状態になっていました。夜中に目が覚めたら、あらら平熱です。どうしたことでしょう。


12月18日(月) 晴れ少し雨

気が付けば今世紀の終わりまで後少しではないか。気が付くのが遅い、とかうるさいのに言われたが、秘書は日々忙しいのだ。毎日、誰のおかげで走りまわされていると思うのだ。今日だって、年賀状刷り直すから、書き損じを今すぐ取り替えて来いとか。秘書はまだ自分の年賀状をただの1枚も書いていない。


12月17日(日) 晴れ後雨

ピクニックに行った。駅のすぐ近くの住宅地だけれど、場所も時代も遠い所に来たように静かに緑が生い茂っていた。なんとかのチベット、とはよく言われる表現だが、ここもその一つらしい。初めて来たのに懐かしさが込み上げる。幼かった自分が直ぐ横の道からやってきて、迷いこんだ見知らぬ大人を訝し気に見上げそうな気がする。

貴重な空間、と感じたが、数年後には跡形もなく消え去ることになっていると言う。ゼネコン、とかいうものに食われてしまうらしい。

おかげで夜やけ酒みたいに飲み過ぎてしまった。ばか騒ぎをしてしまって、反省・・・


12月16日(土) 晴れ

編集長が猫撫で声で近寄ってくる。日頃世話になってるから、昼飯でもどうかね、と。
どうせその後こき使われるにきまってる。コンビニで済ませますから、とそっけない返事で無視しようと思ったら、すかさず、ステーキ食べる?と悪魔のごとくささやく。
ほいほい付いて行く自分が情けない。(拒否できるわけありませんでしょ。)

さて、本日のお題は、ルポで作っていた年賀状をiMacで印刷する、だ。なんだそんなこと、と軽く片付けてはいけない。真空管ラジオおじさんはだいぶ悪戦苦闘したらしい。
いひひ、もったい付けてデカイ恩を着せてやろう。


12月15日(金) 晴れ

せかせかそわそわしてた編集長があっと言う間にいなくなりあっと言う間に戻って来た。
でかい包みを抱えている。ドラム缶2号?と悪寒が走ったが、プリンターだった。御愛用のルポが壊れて印刷が出来なくなったのだと。見捨てかけた愛松君をこき使おうと言うのだ。愛松君にとっては幸いなのか災いなのか・・・

接続する、と勇んで箱を開けたもの、いつまでもごちゃごちゃお抜かしになっているので、マニュアルは読みましたかと聞いたところ、いんや、の御返事。

あのなぁ、と声には出さねど、秘書切れかかる。マニュアル読めよっ。
まったくこのおじさんは、パソコンいじって何年か知らないが、真空管ラジオから未だに抜け出ていないみたいだ。殴って言うこと聞く訳ありませんでしょ、コンピューターが。


12月14日(木) 晴れ

ようやくブッシュさんがアメリカ大統領だと判明した。36日は長かった。もう(もともと)誰でも良い。新聞は政策の違いをあれこれ書いているが、パチンコ玉のような秘書の脳味噌ではどっちになっても同じ、としか理解できていない。頭蓋骨の中で脳味噌玉が弾けて転がってどこの穴に落ちても出てくるのは、偉大なるおせっかい国家ア・・・だ。

守衛のおじさんが満面の笑みをたたえてイキイキしてる。いいことがあったらしい。
営業部長がシュークリームをくれた。部長はいい人だ。しょぼんとしているのが気にかかる。お礼を言おうとしたら、守衛のおじさんに言って、と言われた。どうやら部長は守衛のおじさんに、ぱしらされたらしい。


12月13日(水) 晴れ

大あくびをかみ殺して仕事してる振りして1時間。耐えきれなくなってトイレにこもった。ほんの5分の仮眠で人は生き返るのだ。清清しく別人になって席に戻ると、しなびた林檎のような染みの浮き出た黄色い不細工な塊がごろんと机に乗っかっている。

なんだ、こいつは。新手の嫌がらせか。
クンクンと鼻を寄せると外見に似合わずかぐわしい。
これはなにか、と通りかかった編集長に聞いてみた。(聞いた秘書がバカだった。)

いわく、伝説の珍果である。皮を剥いてはいけない。布でよく拭き取って丸齧りするが良い。

手触りが堅いなとは思ったが、素直な秘書は、それいけ!、の掛け声に合わせてがぶりとやった。
ぐわっ、顎が割れる。

経理部長がすっ飛んできた。
それはカリンだ。生では食べられないのに、なにをしとるかね。蜂蜜やお酒につけるんだよ。

遅い。こめかみがずきんずきんしてる。きょうのおやつのおせんべが食べられない。マシュマロ買って来い、編集長! でなきゃ一生許してやらないっ。


12月12日(火) 晴れ

先日空いた歯の大穴を詰めに歯医者に行った。治療はまるで工事現場だ。大口開けさせといて、小槌でガンガンと詰め物を叩き込まれた。やわな脳味噌は打ち身で青ぶくれになりそうだ。やっとはまったと思ったら今度はやっとこでグイグイ引っ張って抜く。ぽろっと口の中に落ちたら、「飲まないで!」。誰が飲むか、こんなもん。カバみたいにデカイ口開いてる身にいろいろ言われたって返事はできん。歯医者が好きで来てる訳ではないぞよ。


12月11日(月) 晴れ

ちょっと行ってくる、と編集長が出て行った。
煮詰まって原稿が進まなくなって外の空気でも吸いに言ったんだろ、と思ってたら、外回りから戻った営業部長がささやいた。

さっき駅前通ったらまたやってたよ。

お陰でぐるっと遠回りしたので帰りが遅くなったそうだ。おみやげの餡まんが少しくたびれた顔をしている。さっさと食してあげないとせっかくの美味が台無しだ。いつ帰ってくるかわからない編集長の分も始末して差し上げなくては。(編集長は最近演説に行ったらそう簡単には帰って来なくなった。よほど楽しいらしい。)


12月10日(日) 晴れ、ちょっぴり雨

むふふ、うふふ、ぐふふ、むふっ。
今日はデートだ。この世で一番素敵な人と手をつなぎ枯葉を踏みしめて思い入れたっぷりに井の頭公園をそぞろ歩くのだ。おべんとに紅茶も用意して、夢のような1日を過ごすのだ。むふっふっふっ。

の筈だった。現実はいつも残酷だ。
どこでこうなるのか、なにが楽しくて秘書は編集長と演説会場の下見をしてるのだ。おまけにパソコンの周辺機器も少し見ておきたいだと。
よっしゃ、つきあいましょう。ただし、アフタヌーンティーに行ってからですぜぃ。


12月9日(土) 晴れ

帰り道、行きつけの格安スーパーで今夜の鍋の材料を物色してたら、背中をどやされた。すわっ、編集長、と、そんな筈がない、隣のおばちゃんだった。おばちゃんの家は今改築中とかで隣町に一時引っ越ししてる。建物の構造上隣近所の人とほとんど出くわさないらしい。だもので、体内のおしゃべり虫の行き場がなくて溜まりに溜まってたらしい。30分も話し込まれた。内気で無口な秘書としては1週間分言葉を先出しした感じだ。明日から1週間ちゃんとしゃべれるかなあ。


12月8日(金) 晴れ

今日はなんの日、と聞かれて、ジョン・レノンの命日、と答える秘書はまっとうだ。20年前のあの日、幼心に衝撃が走ったものだった・・・
日米開戦の日、だなんて、生まれてない頃のことがすらすら出てくる方がおかしい。

そう言ったら、学校で歴史をならわなかったのか、と言い返されてしまった。ブーッ、だ。学校ではいつも時間切れで近現代史はやりませーん。あとは教科書読んでおくようにと言うだけだ。読んだかどうかのチェックはしませーん。文句あるなら文部省に言ってください。いや、行ってください、ドラム缶抱えて。

しかし編集長は一向に出かける気配がない。朝からあちこちにファックス送りつけて忙しそうにしてる。何してるんだろ。ちら、と覗きみたら、特大サイズの活字が並んでた。その大きさだけで、過激そう、と思えてくる。真面目くさった編集長の横顔がにゃっとした。ふふふ、と低い笑いが漏れた。無気味だ。


12月7日(木) 晴れ

ふかふかの肉まんにかぶりついていたら、ガリッと来た。いてっ。石入りか、こいつは。
ドリンクヨーグルトの身替わりに編集長がくれたやつだ。ほかほか湯気が立って見るからに食欲をそそる風情をしておった。意外と気がきくではないか、と編集長を見直しかけたところだったのに。こいつは憎まんじゃない、憎むんだっ(?)。後頭部に叩き付けてやる。

激昂して口の中の石をペッと吐き出した。

ふ? なんか石じゃないみたいだ。もしかして・・・ う? 金属みたいだ。もしかして・・・ 歯の詰め物みたいだ。わぁー、奥歯に穴が空いている。

事態に気付くと急にしくしくと痛み始めた。目が潤んでくる。
どうしたの、と営業部長が声をかけてくれた。かくかくしかじか、と説明すると、可哀想にとチョコエッグをとりだして秘書の手の平に乗せてくれた。部長はいい人だ。だけど、奥歯のブラックホールに頭が割れそうに甘いチョコを詰め込んだら悶絶死するではないか。愛があるなら正露丸をくれ。


12月6日(水) 晴れ

なんか眠いな、と思ってたら、どかっと来た。いつの間にか舟を漕いでいた。さざ波がちゃぽちゃぽ心地よい、と身を任せていたら、ゴチン! 愛用のiMac松子さんにおでこを打ち付けていた。派手な音がしたもので、総務部長がとんで来た。無事か、と言って松子さんを撫でている。

(どうせ秘書は石頭ですよ。むかっ。)

気分を害したまま、眠気を我慢して仕事を続けていたら頭が痛くなって来た。(実は昨夜遅くまでビデオを見たせいで睡眠が著しく足りていないのだ。)そこで、秘書は早退することにした。

頭が痛くてたまりません、今日は帰らせていただきます。

総務部長がぎょっとした顔をした。そんなにぶつけたかね。それは大変だ。
そう言いながら部長は松子さんをしげしげとながめた。
(よく見いや。松子さんの方が石頭に決まってる。)
しかし、部長ぼそっとつぶやいた。

修理に出さなきゃならんかな。

(むかっむかっ。)


12月5日(火) 晴れ

ふと、気がついた。インターネット中毒が演説中毒に変わっただけの話だ。あの、のめり込んだらとことん、というはた迷惑な性質はちっとも変わっていない。

というのは勿論編集長のことである。よく喋るタネがあるなと控えめで無口な秘書は寒心する。いえ感心する。議会傍聴したり議員に説教したり。

その編集長が大喜びしてた。標的の一つ、警察署が改築のため、市役所の隣に仮移転することになったというのだ。両方一遍にできるぞしめしめ、と。しかし仮設庁舎が完成して業務を始めるのは来年の4月頃らしい。それまでこのネタが続くのだろうか。続いてたら恐い気がする。


12月4日(月) 晴れ

インターネットの世界に足を突っ込んで3年、円熟期を迎え、ホームページに一層の磨きをかけ、世界に発信するのだ! みたいなことを口走っていた編集長だが、最近どうもやることが違うようにみえる。反抗期なのかな。

電脳のお供、愛松君がひとり淋しくポツネンとしてる。医者に止められたからとか言うが、一頃の中毒振りが嘘のようだ。前のパソコンを壊して(壊れた、と言ってた)修理に出してるあいだ愛松君が来るまで禁断症状に悶えていたのを秘書はよく覚えている。

だのにこの冷たい仕打ちは何だ。お陰で愛松君の顔色が悪い。青ざめて紫色になったり黄疸起こしたみたいに黄緑色になったりこの間は息絶えたような土気色してた。ジッと見つめてた秘書も二日酔いのまま小舟に乗り込んで暴風雨に遭遇したような気分になって来た。

ちゃんと面倒見てあげなくては愛松君が可哀想だ。なのに編集長は、もっといいのを買うからいい、とか言い出す。罰当たりだ。(秘書が罰を当ててやる。)

と、ぶつぶつ言ってたら、編集長がトンズラしてしまった。演説に行ってきまーす、とか言いおいて。秘書の話を真面目に聞けっ!


12月3日(日) 晴れ

なんとなく1日が過ぎてしまった。生体レベルが下がってるらしい。いかん、晩御飯はニンニクライスにしよう。


12月2日(土) 晴れ

元気なおじさんは今夜もどこかに行くらしい。ヒマと金と行き先があるらしい。清貧の秘書は今夜もコタツにみかんを並べて残り毛糸を集めてマフラーを編む。できたら同居人に売りつける契約をしたのだ。ただで編んでやるほどお人好しではない。だって、同居人は今夜もライブとかに行ってしまった。秘書は独りでお留守番だ。淋しくなんかないやい。ぐすっ。


12月1日(金) 雨のち晴れ?

一晩寝たら冷静になった。昨日まではいやに愚痴っぽくて恨みがましかったようだ。反省。
“成り金”だなんて口走っちゃって、いやもう本当に恥ずかしい。“清貧”こそが秘書には似つかわしい。赤貧という言葉もある、と口を挟む人がいるが、雑音と聞き捨てよう。秘書は、貧しくとも常に清く正しく生きるのだ。

と、清清しい雰囲気で仕事に励んでいると、む、ぶちこわしの雰囲気が漂ってくる。何か言いたげにニャニャッとするのは言わずと知れたあのお方。手を後ろに組んで勿体つけて楽しそうにやってくる。ヒゲが大分伸びてる。宝船が沈没して3カ月ほど漂流してた大黒様みたいだな。

昨日またお出かけして夜遊びに精出していたらしいことは、守衛のおじさんから聞いて知ってる。先日「お疲れでは」なんて声かけしたのが損した気分になる。

で、かのお方が言うことには、「いやぁ昨日は楽しかった。久し振りに『枯葉』を歌ったが、のどは衰えていないねぇ。演説のおかげで磨きがかかったようでもある。」
次の言葉は絶対、ひとつ聞かせてしんぜよう、だ。秘書は口に入れて噛みつきかけた羊羹を元に戻して泡食って、なんか秘書に用があるっていってましたよね、と大声で社長を呼ばわろうと腰を浮かしかけた。

するとすかさず編集長、だもんで今日も演説に行ってくる、と後ろに隠してたドラム缶をどんと秘書の机に乗せた。はずみで羊羹が皿から飛び出した。これがやりたかったんだな。くーっ、おのれっ、落し前はつけてもらうぞ。

(日記を1週間も溜めると天気がなんだったかはクイズ状態です。象や鯨や放射能が降ったとでも書いてない限り気にしないで下され。
御来訪ありがとうございました。またのおいでをお待ちしております。
お帰りはこちらです。

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2001.1分離