賛助会ニュースレター

＜２００３年　学生ＹＭＣＡ賛助会ニュースレター　より＞

■第１１回　日韓学生YMCA交流プログラム

　東北アジアの平和定着と南北和解

　

　第11回目を数える本プログラムが、2003年2月22-27日、韓国議政府市で開催された。テーマは、「東北アジアの平和と南北和解」。議政府市は、ソウルの北に位置する。首都ソウルを守るための、対北朝鮮軍事地域であり、米軍基地、韓国軍基地が多く存在している。

　私たちは、ナショナルレポートの発表や、Jung Hyubaek成均館大教授による主題講演の後、3グループに別れてフィールドトリップに赴いた。主題講演において、「積極的平和」という戦争を生み出す様々な要素を取り除いていく概念が紹介され、その働きをしているグループを訪問した。議政府市の買売春地域と反対運動団体、国立公園無断トンネル工事反対運動、米軍基地周辺で働く女性への支援団体である。それぞれに、現場の悲惨さ、またそれらを解決するための困難さを、参加者はそれぞれ感じた。
　その後の分団討議では、フィールドトリップの感想や、軍事や平和運動に関しての質問が飛び交った。日韓両国とも、青年の政治離れなどと言われているが、何かしら気になることは多いらしい。たくさんの質問に関して、お互いに答えられないこともあり、自分と社会の接点を見つけようとするための有意義な時間となった。

　第2部として、昨年6月に起こった、米軍トレーラーによる女子中学生ひき逃げ事件の現場に赴いた。鎮魂碑に献花し、このような事件が起こらないよう祈った。しかしその直後、米軍と韓国軍の軍事車両衝突事故があり、韓国軍兵士が足を潰される事件が、目の前で起こった。原因は、米軍車両の無茶な運転である。突然ではあったが、南北分断のために起こる、韓国の悲惨な現実を、参加者たちは否応なく見せられた。
　閉会礼拝は、民間人の出入りができる最北端である臨津閣の、朝鮮半島をかたどった「統一の池」のまわりで行われた。韓国運動歌である「朝露」を皆で歌った後、自分達それぞれが平和のためにこれから行うことを宣誓した。
　このプログラムの報告会が、5月24-25日に京都で開催される。参加者それぞれの感想と合わせて、皆さんに詳しく聞いて欲しいと願う。（詳細は次号ニュースレターに掲載予定）

（九州地区共働スタッフ　森永希）

■World Peace Now 3.8

　イラクへの先制攻撃を止めさせるために、世界中で様々なピースアクションがされています。富山では、３月８日（土）と３月１５日（土）に連続してピースウォークを
行います。８日（土）は、３００人の方が雨にもめげず集まりました。
　私は出張で同盟の山田公平さんと東京のピースウォークに参加したのですが、天候にも恵まれ、日比谷に４万人もの人々が集まりました。それぞれ太鼓やギターなど思い思いの楽器や色とりどりのプラカード、そして、手作りの旗や民族衣装などで平和を訴えて、楽しく歩きました。

　私たちが到着した、１時半では既に会場である日比谷音楽堂は一杯で近寄ることもできず、出発時に前の方に並んでいたと思ったのですが、５時になってようやく自分たちの列が出発しました。６時過頃、約２．４Ｋｍのコースを有楽町に到着し、どこまで列が続いているのだろうと戻ってみると、日比谷公園近くまで延々とウォークが続いていました。

　沿道を行く人もピースサインを送り、カフェに座っている人々も、窓側にピースの看板を出していました。団体やグループを越えて、あれだけ大勢の人々が一体感を感じられた、信じられないようなウォークでした。
　富山でのピースウォークの趣旨は、『平和のために、まず私たち自身が「平和・非暴力・不服従」であることから始めましょう。「反対・対立」を乗り越え「対話・共存・相互理解・思いやり」の実現を目指します』です。今１５日のピースウォーク、富山で千名を集めるために必死に声を掛けています。
　また、以下の文章を富山の全てのメディアに送りました。

　ジャーナリストのみなさん。
　生意気ですが、戦争を止めるにはジャーナリストの方々が鍵を握っていると思います。過去戦争をでっち上げた戦争遂行者による情報操作（プロパガンダ戦略）は、卑劣の極みです。しかし、高度な情報操作に為すすべはないといわれています。
　ジャーナリストの皆さん、それで良いのですか？
　第２次世界大戦の時のように、ジャーナリストが利用されて戦争に向かっていって。湾岸戦争、少女ナイラ発言、死体のない戦場報道、戦争の真実が伝わらないテレビゲーム報道、星条旗を振り喜んでいるイラク人（途中省略）
　局の枠組みを越えて、協力しあって、強力な情報操作に対向して欲しいのです。ベトナム戦争は、ロバート・キャパや沢田教一など世界中の命を省みずカメラを抱えた報道カメラマンとそれを伝えるジャーナリストの方々によって、終わりました。今こそ、報道関係者が働くときではないでしょうか？　情報操作という戦争に！　平和の勝利をするために。　　　　　　　　　
　　島田　茂

（学生部委員、富山ＹＭＣＡ総主事　島田茂）

　国内外のＹＭＣＡの動き　－声明抜粋－
　
　私たちは、今、米国主導のイラク攻撃に反対し、平和を求めます
　戦争の犠牲者の多くは、「銃後の人々」。それらは、子どもであり、女性であり、高齢者であり、障がい者であり、「強い人々」ではなく、「弱い（弱くされている）人々」です。
　私たちは、今「戦う」勇気ではなく、「戦わない」勇気を持ちたいと思います。「平和の盾」となるための知恵を、私たちは授かっているはずです。戦争は、様々な関係性の破壊と対話の放棄から生まれ、そして平和は日常的な人と人との関わりから生まれます。理解から、対話から、です。（中略）「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」　（マタイ５章９節）　－横浜ＹＭＣＡ

　米国は、多くの国々が慎重な行動を求めているにもかかわらず、米国民の多くが攻撃への支持という世論を背景に、イラク攻撃の準備を進めています。しかし、その戦いは、歴史に刻み込まれて次の世代へ引き継がれ、米国を始め世界の子ども達を苦しめ、終わりのない苦しみとの戦いが始まることを意味します。（中略）
戦争によってもたらされるのは、世界平和の実現や、共に生きる社会の到来ではなく、人々の間の憎しみや不信、そして地球資源の枯渇と環境の荒廃だけです。どんな戦争であっても、理由は何であれ常に人々に苦しみと不幸を与えます。私たちは、米国のイラク攻撃に強く反対します。　－熊本ＹＭＣＡ
　
（前略）今、イラクにおける国連による大量破壊兵器査察活動が展開される一方、米国主導のイラク・フセイン政権転覆に向けて武力攻撃の準備が進められ、緊張の度合いが高まっています。もし、イラク攻撃が行われたら、アフガニスタンの例を見るまでもなく、一般市民、特に高齢者、子ども、女性が多数犠牲になることは明らかです。そこでは、問題の解決どころか、新たな憎しみの連鎖が生み出され、世界全体が暴力の連鎖に陥り、平和と安全が脅かされ、その影響は計り知れません。聖書は、「平和を実現する人びとは、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」（マタイによる福音書５章９節）と教えています。私たちは、米国によるイラク攻撃に強く反対します。ブッシュ大統領が、イラク攻撃を回避し、戦争によらない解決の方策を、国連を中心とした国際社会と共に粘り強く努力されることを強く要望します。　－日本ＹＭＣＡ同盟

The World Alliance of YMCAs expresses its opposition to any military attack on Iraq by any government or coalition, with or without the sanction of the United Nations. As a Christian, ecumenical movement, we are committed to actions for just peace　through dialogue. （略）－the World Alliance of YMCAs

■－　ジョイントミリアム報告特集　－

　

　２００２年２月１－２日に関西主事宅（京都）にて、ジョイントミリアムが開催されました。ミリアムはこれまで、‘女性’だけの会でしたが、今回は‘男性’も含め、全国から２５名程の参加となりました。
　１日目は、自己紹介から始まり、「大学の中で感じる‘性’について」‘なぜ学部学科によって男女の住み分けがおこるのか’、アカデミックハラスメント（アカハラ）の実態など、新林智子さんによるワークショップが行われました。
　その後のシェアーでは、差別と区別について、セクシャリティーについて、ＤＶ（ジェンダーと暴力）、自分の中のジェンダーについて、グループ別に活発な意見交換がありました。
　２日目は学生による聖研が行われ、最後に次回ミリアムについて、これからの自分について話し合いました。

　今回のミリアムで‘男性’はどのように思い、考えたのでしょうか？　声をひろってみました。

　まず思い浮かぶのはあの場がとても居心地が良かった事。約25人が一つの部屋に集い、実る話が出来たと思います。話し合った事は多岐にわたりとても一言に集約出来るものではないけど、要は「自分らしくあること」女らしさとか男らしさとかは本当にどうでもいい事で最終的には自分である事で、それがうまくいかない事があればそれぞれのスタンスで、それぞれのやり方で対処していく事、だと思っています。それに尽きるんだと感じました。

　「ミリアムは女性が集まって女性問題を考える会だと聞いていた。そしてそこから発展して性差別について考えてもいるらしい。それなのに女性限定とはどういうことなのか、と思っていた。男性を交えないことが、というかそもそも女性、男性と分ける事がすでに問題なんじゃないか、と思っていた。それが、今回ジョイントミリアムをするということで、女性の男性批判になるんじゃないのかと恐々参加した。　実際はそんなことは無く、男女の壁無く語られる姿にへぇ、と感心した。ミリアムで学ぶことは多かった。男と女は分けられるのか、分けるべきなのか。まだ、はっきりした答えは見つからない。しかし、自分の立場として何を考えるべきかが見えた気がした。
　今後はミリアムとして、どういう立場をとり、何を主張していくのかを考えたい。個人的な話や批判ばかりでは前に進まない。
　「じゃぁ、ミリアムはどう考えてるの？」この問いに答えるミリアムとしての理念が必要なんじゃないかと思う。

　今回のジョイントミリアムは共に生きるために新しい道を探していくきっかけになったのではないかと思います。私が持っている、女性、また男性に対するカチカチに凝り固まった考えを柔らかくほぐし、多様なあり方を認めていくことが必要なんやなあと感じました。私自身そのような凝り固まった男性観に縛られているのかもしれません。「男なんやから・・・」「男として・・・」などなど、他人をそのような尺度で規定することはもとより、自分自身をもその足枷によって縛っている、重たくしているのではないかと感じることがありました。
　元々私は「男とは・・」とかが割と好きな人間でしたが、最近ではそれがしんどいなあと感じることがあります。もっと弱くたってええやないか、情けなくてもええやないか、立派で強くなくてもええやないか、ということを自分の中でそれはどういうことなのかを考えていきたいなあと思っています。

　ジェンダーに関する議論やミリアムのあり方が、決してただ闇雲に「異性」を規定したり、批判したりするものではなくて、自分自身一人一人に問い続けるもの、大事に大事に自らの足に縛り付けているその足枷を、鎖をひきちぎるために活かされるものでありたいと願っています。まさしく自らの問題として考えていきたいなあと感じました。
　何よりこのような問題を素直に、突っ込んで話し合うことができる学Ｙの仲間に出会うことができたことが一番素敵なことだし、意味のあることだと思っています。

＊次回は６月１４－１５日（京都）にて開催予定です。

■関西地区学Ｙの集いin 六甲

　

　関西地区の学Ｙは、京都大、京都府立医科大、同志社大、同志社女子大、大阪大、大阪ＹＭＣＡ国際専門学校、聖和大、関西学院大等にて存続していますが、それぞれの活動はまだ細々としたものであり横のつながりも十分ではありません。そこで2001年３月から、各Ｙ同士が顔の見える関係づくりをしてお互いを刺激し、単位Ｙの活動や関西地区としての活動を活性化するために、関西地区の学Ｙの集いを重ねてきました。

　今回は、２月21日(金)－22日(土)、大阪YMCA六甲研修センターにて行われました。新入部員を迎える時期を目前にして、学Ｙとは何か、どんなことを目指し何をやっているのかということを自分の口で伝えられるように、皆にとっての学Ｙとはどのような場なのか、自分はなぜ学Ｙに入っているのかということなどを再び振りかえる場を持ちました。
　それぞれが何かと忙しい時期で、関西地区の参加は、聖和、関学、同志社、京大の各Ｙにとどまりましたが、鳥取大学Ｙのメンバーもかけつけてくれたり、その他シニア、スタッフと、聖和大Ｙ・大阪YMCA国際専門学校学生YMCA（OYICSY：オイクシー）顧問の岩坂二規先生を含めると計18名の参加となりました。

　今回は、関西地区としてのこれからの具体的なアクションについてまでは語り合えませんでしたが、限られた時間の中で、各Ｙの活動報告を交え、聖書を共に読み、今一度皆で学Ｙって何？というところから語り合う、有意義な時間であったように思います。

　最後に、今回分かち合われたみんなにとっての学Ｙとは、という声をまとめておきます。

「学Ｙは、皆がこうしてるから自分もこうしないといけないなんて考えなくてすむ場所。自分が自由でいられる場所。その分自然に本音もこぼれて、心で語り合う仲間と出会える場所。やりたいことを実現させてくれる場所。様々な問題に関わる中で、「差別を受けてきた人」というように問題自体を一括りにして考えるのではなく、その一人ひとりと関わることで他人事ではなく自分の事として、問題自体をどうするというより、その問題に対してこの先自分自身がどう関わっていくべきなのかを考えさせてくれる場所。知らなかったことを知り、小さい枠にはまっていた自分の世界観が変わった場所。結果が見えているものに向かって行くのではなく、結果を求めて向かって行ける場所。どうだったのかというより、どうしてきたのか、これからどうしていくのかということに重点をおいて考えられる場所。失敗もふくめて、経験は学びだと教えてくれた場所。」
　（関西地区共働スタッフ　水谷憲）

■中央大学Ｙクリスマス会

　　　　　
　昨年の１２月１５日土曜日に、神田YMCA地下食堂オーケルにて、白羊会のクリスマス会が行なわれました。私たち中大学Ｙのメンバーも参加させていただいて先輩方から当時の熱い想いや貴重な体験を聞かせていただくことができました。また、私たちの現在の活動に対するアドバイスをしていただいたりと、おいしい食事を囲みながら、楽しい時間を過ごすことができました。

　中大学Ｙは、７０年代の学生紛争をきっかけにして、８０年代の半ばに活動を休止することを余儀なくされました。しかし、中大学ＹのＯＢである、白羊会の皆様の熱い祈りとご尽力によって２０００年に復活するに至ったのです。とはいうものの、まだまだ不安定である中大学Ｙのために寄付をしていただいたり、アドバイスしていただいたりと、あらゆる面で白羊会に支えられて、私たちは今日まで活動を継続することができました。　　

　現在では普段の活動として、定期的にミーティングを行なうことで、連絡事項を伝達したり、活動報告をする場としています。しかし昨年は、ミーティングがみんなの経験や情報を共有する場としての役割を充分に果たしていなかったことを反省し、今年はフェアトレードを全体活動として月に一回の勉強会を行い、やがては講演会を行なおうと考えています。それに加えて、地域での活動、プログラムへの参加、また、カンボジア支援活動といった、独自の活動も充実させていきたいと考えています。スタディーツアーや勉強会を通して様々な問題やその構造を理解し、自分に何が出来るのかを考え、報告会や講演会を行なうことことで外に向けて発信し、問題解決を目指すというのが、私たち中大学Ｙの目標です。　
　（中央大学ＹＭＣＡ　岩鼻和幸）

■活水女子大Ｙの聖研

　活水女子大学ＹＷＣＡでは、毎週月曜日に顧問である井上大衛先生の研究室で、聖書研究会を行っています。昨年度は、島しづ子さんの「イエスのまなざし」という本をテキストとして聖書を読み進めていきました。活水ＹＷＣＡは、１５人のメンバー中クリスチャンは１人と、大学に入るまで、聖書を読んだことも触れたこともなかったメンバーがほとんどです。そのこともあってか、聖書やキリスト教への知識も乏しいのが現状ですし、その内容を理解できると言うことは難しく、逆に、聖書やキリスト教の考えとはまったく別の考えがあがるケースも少なくはありません。しかし、そのような中で、私たちは互いの考えを語り合い、この聖書研究会の場でしか学べないであろう何かを感じとっています。私自身、この場を通して、自分の大学生活を見直すことができ、より充実した生活を送れていることを実感しています。

　活水ＹＷＣＡの聖書研究会において、よく話題にのぼるテーマが「愛」についてです。私たちの周りには、さまざまな愛があります。コリントの信徒への手紙Ⅰ－１３章に「愛」について描かれています。「最も大いなるものは愛である」これは、一昨年度卒業された先輩が、私たちに託してくれた聖句です。愛がなければ、私たちは生きていくことができないのです。私たちが、考えている愛は、聖書の示す愛とはまた違ったものかもしれません。神の愛＝無償の愛だと聞きます。無償の愛とは何なのか、そもそも無償の愛とは存在するのか、それは今の私たちにはわかりません。これからも私たちのテーマとなるでしょう。その答えが見つかるかは分かりませんが、ひとりひとりが模索しつづけることができるような聖書研究会をこれからも続けていきたいと思っています。
　（活水ＹＷＣＡ　井上聖）

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