第2部 ODAの諸問題:ODAにおける環境アセスメント

付録・ODA用語集


アルファベット

BHN

ODAの分野で使われた場合、収益性が低く、借款で対応することが困難な医療・保険、衛生、水供給、教育、環境、農村・農業開発などの分野のことを指す。基礎生活分野と訳される。Basic Human Needs の略。

DAC

経済協力開発機構(OECD)の下部組織で、主として援助の量的拡大、質的向上について援助供与国間の意見調節を行なう。開発援助委員会と訳される。

JICA

国際協力事業団。ジャイカと呼ばれる。ODAのうち無償資金協力、技術協力の実施を担当する。

LLDC

後発開発途上国。開発途上国(LDC)の中でも特に開発の遅れた国々を指す。40カ国ほどがこれに当たり、アフリカ諸国が多い。

NGO

非政府組織。小規模だが、人間と人間との交流をもとにしたきめ細かく多様な活動ができるとされ、政府間では果たすことのできない草の根レベルの役割を担うことが期待されている。

ODA

政府開発援助。国家がなんらかの贈与要素を持った資金を発展途上国に供与する場合の資金の流れを指す。グラントエレメントが25%以下などの3つの条件を満たさなくてはならない。その条件に当てはまらないもので、その他の政府による資金の流れをOOF(その他の公的資金の流れ)という。

ODA基本法

ODA全般のプロセスを定めた法。日本は世界でも例外的にODA基本法が制定されておらず、NGOなどはプロセスを法的に保障するためにODA基本法を作るよう働きかけている。

ODA大綱

ODAの理念などを内外に示すために作られたもの。閣議決定されたもので、法的拘束力は持たない。

OECD

経済協力開発機構。先進国が世界的な立場から国際経済全般について協議するための機関。高水準の経済成長を維持する、開発途上国の経済発展を援助するなどの目的を持つ。

OECF

海外経済協力基金。ODAのうち円借款の部分を担当する実施機関。

WID

開発途上国の真の発展のためには女性が開発の担い手として十分な能力を発揮し、女性の置かれている社会・経済的状況を改善し、地位向上を促進しなくてはならない、という考え方。Women in Developmentの略。

 

エロア

占領地域経済復興基金。戦後の日本とドイツの復興を目的としてアメリカが拠出した援助基金で、綿花・羊毛などの工業原料の輸入のために使用された。

 

開発教育

南北問題を自ら考え、正しい認識を図ることを目的とした教育。南北双方で行なわれ、一人一人の人間の立場の改善と自立を進めていく。

開発調査

電力、港湾、道路など、開発途上国の社会・経済発展に重要な役割を持つ開発計画の作成のために調査団を派遣し、開発に必要なプロジェクトの基本計画を作成する業務。この報告書をもとに途上国が先進援助国や国際機関に資金協力を求めることになる。

ガリオア

占領地域救済政府基金。戦後の日本とドイツの復興を目的としてアメリカが軍事予算から支出した援助基金で、食糧・医薬品などの生活必需品の緊急購入に使われた。

技術協力

開発途上国に技術を普及させることを目的とする援助。専門家・青年海外協力隊の派遣、研修員の受け入れなどが行なわれている。

共同形成主義

途上国の自助努力を尊重しつつ援助を供与する国も自らの援助方針を示し、共同して援助計画と適切な案件を探っていく、という考え方。97年のODA白書で初めて記述された。従来は「要請主義」であるとし、開発途上国政府の要請があって初めてODAを供与する、としていたが、実際は要請前に援助国側が案件を発掘して開発途上国側に提案するというすり合わせが行なわれていた。共同形成主義の考え方はこのような実態を改めて理論づけたもの、ということもできる。

グラントエレメント

援助条件の緩やかさを表示するための指標。市場金利(10%と仮定)で貸し付けるものを0%とし、無償資金協力を100%としたもの。金利や、返済期間などの条件が緩くなるにしたがって高くなる。25%以上のものがODAとして認められる。

経済インフラ

長期的なものであれ、経済収益性が期待される運輸・通信・エネルギーなどの分野を指す。

交換公文

供与国政府と被援助国政府との間でODAの協力内容を取り決めた文書のこと。E/N(Exchange of Note)ともいわれる。

国際機関への出資・拠出

国際機関を通じて間接的に援助を行なうもの。国連諸機関には外務省が、国際開発金融機関には大蔵省が予算を要求し拠出・出資する。

国際緊急援助隊

JDR(Japan Disaster Reilief Team)。開発途上国地域で発生した大規模な災害に対して、被災国や国際機関の要請を受けて国際的な緊急活動を行うチーム。

 

作業合意書

S/W(Scope of Work).JICAの行う開発調査において、事前調査に基づいて相手国との間で取り交わされる、本格調査の作業範囲、内容などを規定した合意文書。

自助努力

途上国側が主体となり開発を行なうことで、途上国に本当に必要なニーズにあった開発ができる、という考え方。「自助努力の支援」がODAの理念の1つとされている。

借款契約

借款の金額・条件・プロジェクトの範囲・内容のみでなく、借款の実施・管理に必要な手続きが記載されたもの。OECFと相手側政府または実施機関との間で結ばれる。L/A(Loan Agreement)ともいう。一般に公開されていない。

商品借款

途上国に経済開発に直接役立つ機械類や工業用原材料などを商品で供与する円借款のこと。

世界銀行

国際復興開発銀行(IpD)と国際開発協会(IDA)の二つより構成されているものの通称。現在は主に累積債務問題への対応を図り、途上国の経済構造調整努力を支援するための融資を拡充している。世銀。

相互依存

日本は他国との関係がなければ発展することは不可能である、という認識。理念の一つとして定められている。

贈与比率

ODA全体に占める贈与の割合。日本はこの比率が他国に比べて低く、DAC諸国中最下位である。

 

タイド

援助に必要とされる資材、役務の調達先を援助する側の国と援助される側の国に限定するもの。一般にひもつきと呼ばれる。調達先を限定しないものをアンタイド、調達先を、援助する側の国と開発途上国に限定するものを部分アンタイド(LDCアンタイド)という。

ツーステップローン

開発途上国の金融機関を通じ、特定の分野の開発を支援するもので、中小企業育成や自作農支援というように、多数の最終受益者を対象にできるほか、その金融機関自身の育成にも役立つ。

討議議事録

R/D(Recode of Discussion)。プロジェクト方式技術協力を始めるにあたって、相手国の協力先機関と協力内容について合意した事項を取りまとめ、双方が署名した文書のこと。

 

日本輸出入銀行

政府金融機関の一つで、かつては海外へ進出する日本企業への融資を行っていたが、現在は、海外の、ある程度収益が見込まれるプロジェクトの実施に対する融資を担当している。OOF(その他の公的資金の流れ)の一部を形成する。輸銀。

 

フィジビリティ・スタディ

実施可能性調査。開発途上国政府がODAの供与を要請する(F/S)前に、そのプロジェクトが経済的、技術的に可能かを調査するもの。コンサルタント会社に委託する場合もある。

プロジェクト

研究や開発のための計画。ODAの分野で使われた場合、日本語では案件と訳される。

 

無償資金協力

開発途上国に返済義務を課さないで資金を供与するもの。

 

有償資金協力

資金を長期低利で貸し付けるもの。円で貸し付けるため円借款と呼ばれる。日本はこの協力形態のODAに占める割合が他国に比べ、多い。

要請主義

開発途上国政府の政府の要請があって初めてODAを供与する、というもの。途上国の自助努力という概念から基礎づけられていた。実際はあまり機能しておらず、97年のODA白書から「要請主義から共同形成主義へ」として、共同形成主義への移行が進められている。

4省庁協議

円借款を供与するかどうか、またその内容などを外務省・大蔵省・経済企画庁・通産省の4省庁で協議するもの。無償資金協力の場合は大蔵省と外務省・担当省庁(19省庁に分かれる)で協議することになる。

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