京大ユニセフクラブ2002年度11月祭研究発表
「水家族」

6 世界から水を集める日本

第5章 水の将来(文責:佐藤)



 日本は海外から20万m3の水を輸入しています。しかし実際は、日本人はそれよりずっと多くの海外の水を使っていることになります。それは日本で消費される食料の多くは海外で作られたものであるため、それらの食料を作るときに使われる水を私たちは間接的に使っていることになるからです。食料自給率が40%しかない現在では、私たちは海外の水なしでは生きていけません。逆に言えば、世界の水不足は私たちの水不足でもあるのです。


 総合地球環境学研究所の沖大幹助教授の資産によると、日本は間接的に1年間に1035億m3の水を輸入していることになります。そのうち農畜産物が99%を占めます。逆に輸出は16億m3です。つまり日本には年間1000億m3の水が入ってきているのです。


 なぜこれほどにまで水の間接的輸出量と輸入量が異なるかというと、生産するのに必要な水の量が農産物と工業製品で大きく違うからです。人間が使う水の中で、灌漑用の水が7割を占め、産業用の水が2割、残り1割が都市用に使われます。また1トンの穀物を生産するのには1000トンの水が必要で、それは約200ドルの市場価値を持ちます。一方工業製品は、1000トンの水で1万ドルから2万ドルの市場価値を生み出します。つまり農作物を作るのには、工業製品を作るときと比べて大量に水がいるのです。


 また沖助教授によると、同じ農作物でも多くの穀物飼料や長い肥育時間が必要な牛肉の生産は、同じ量の豚肉を生産するのと比べ9倍の、鶏肉では20倍の水が必要だということです。



――――水の将来・私たちと世界の将来――――
 私たちは食料を通じて、また木材や綿花を通じても水とつながっています。そのため、世界の水不足は私たちの生活に大きく影響を与えます。将来、日本は現在のように大量のものを輸入できなくなるかもしれません。逆に私たちの暮らしが世界の水に影響を与えることも確かです。世界中の結びつきが強くなりつつある現在、私たちの暮らしと世界とは相互に影響を与え合うものとなりました。そのため、これからは世界で何が起き、また私たちの暮らしが世界とどうつながっているのかを皆が考える必要があるでしょう。



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