図書館問題研究会第54回全国大会アピール

教 育基本法の改悪に抗して図書館サービスの原則を守るアピール

 図書館問題研究会全国大会は、数年にわたり毎回教育基本法の改悪に反対するアピールまたは決議を採択し、また「任務と課題」において「図書館法の上位法 である教育基本法の改悪に反対する」旨を掲げ、そのために活動してきた。しかし2006年12月、教育基本法改悪案は充分な内容審議もなされないまま、強 行採決により成立した。議会制民主主義を無視した与党の暴挙に、私たち図書館問題研究会は強く抗議するものである。
 図書館問題研究会が同法の改悪に反対した主な理由は次の3点であった。
1.改悪法案は、旧法がもっていた日本国憲法との強いつながりを断ち切り、改憲手続法制定の動きとともに、改憲への道をつけるものとなっていること。
2.旧法が基本としていた国民の権利としての教育を改変し、国家のための人材育成の教育にしようとしていること。とりわけ教育の目標の中に「愛国心」を入 れることにより、思想および良心の自由が教育の名において侵害される恐れがあること。
3.旧法第10条(教育行政)の改変により、また新法案第17条(教育振興基本計画)により、時の政府による恣意的な教育支配が可能になること。
 現在、教育基本法が改悪され、改憲手続法が制定されている。この現状において私たちは、これらの危惧が現実となることを憂慮しつつ、今日まで日本の図書 館員が堅持してきた図書館の自由、自立性ある図書館運営、図書館の無料原則などを将来にわたって継承してゆく決意を新たにしている。私たちは「思想および 良心の自由」「学問の自由」「法のもとの平等」「教育の機会均等」を明記する日本国憲法に依拠し、国家の不当な支配に服することなく国民全体に直接責任を 負って、知る自由を保障する図書館活動を力強く進めてゆく決意を表明する。図書館にかかわる日々の実践を積み重ねつつ、体験を思想にして、よりよい図書館 を実現する力とする。
 私たちは、引き続き民主的な教育・知る自由の保障・図書館の自由を堅持する。そして、全国の教育関係者、図書館利用者、図書館関係者、図書館員に、私た ちとともに行動を起こすことを広く呼びかけるものである。

2007年7月10日
図書館問題研究会第54回全国大会


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